股関節を鍛えることで、痛みの軽減が期待できる
40代ともなると、関節のあちらこちらに痛みを感じはじめます。またその痛みを自分で解消できれば良いのに、と思っている人は少なくないでしょう。実は、股関節を鍛えることにより、痛みの軽減が期待できるのです。
股関節を鍛える理由
股関節を鍛える理由として挙げられることは、以下の通りです。
股関節の運動能力を向上させるのが狙い
太ももの骨が骨盤と接する部分の関節である股関節に障害が起こると、お尻や太もも、腰のあたりに痛みが生じます。また歩き方にも影響が出て、ひざにも負担がかかります。腰痛やひざの痛みなど、大元の原因が股関節にあることが少なくありません。
股関節は日常に行うすべての動作に影響する大切な部分です。しかし加齢とともに、股関節や周囲の筋肉が硬くなり弱ってくるため、結果、股関節にかかる負担が大きくなります。そして、日常の動作や歩行に支障をきたすようになってきます。
ゆえに股関節の運動能力を鍛えることを、現在の自分のために、またこれから迎える老後のために、始めていかなくてはなりません。ストレッチにより柔軟性を高め、筋力トレーニングにより運動の力を高めていきましょう。それは、負荷に強い股関節を作ることに繋がります。
痛みが強くなる場合や痛みが引かない場合
痛みが伴う場合には行わないようにしてください。股関節の痛みは、過剰な負荷がかかった場合に起こるので、無理は禁物。状態を見ながら行うことが大切です。調子が良い時を狙ってトレーニングしていきましょう。なお股関節の痛みが強くなる場合や、痛みが引かない場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があるため、医師に相談しましょう。
股関節の動きを把握し正確なトレーニングを
それではまず、股関節の動きをしっかりと把握していきましょう。
股関節の動きは六種類に分類できる
股関節は球関節なので、前後、左右、捻りという、3次元のあらゆる方向に動かすことができます。六つに分類されるその動きは複雑で、複数の動作を同時に行うことが可能です。例えば、右足を右斜め前に踏み出す場合は、屈曲と外転を同時に行なっています。さらにつま先を外側に向けた場合には、外旋の動作も加わります。
屈曲と伸展
屈曲とは、関節の角度を小さくする運動のことです。股関節における屈曲は、太ももを上げる動作に該当し、その参考可動域は125度とされています。また伸展とは、関節の角度を大きくする運動で、脚を後ろに振り上げる動作に該当します。こちらの参考可動域は15度になります。階段の昇降や、高い段差を超えたりする時などをイメージすると分かりやすいでしょう。
内転と外転
内転は、脚を身体の中心面に近づける動きと定義されており、脚を付け根から内側に閉じる動作に該当します。参考可動域は20度です。また外転は、脚を身体の中心面から遠ざける動きと定義され、脚を外側に開く動作に該当します。こちらの参考可動域は45度です。坂道など、左右の高さが違う状況でも真っ直ぐに立っていることができるのは、この運動によるものです。
内旋と外旋
内旋は、体の前方に向かうある部分を内方へ向ける運動と定義されています。それは足首を動かさずに、つま先を内側に向くようにひねる動作に該当し、その参考可動域は45度です。また外旋とは、体の前方に向かうある部分を外方へ向ける運動と定義されており、参考可動域は内旋と同じく45度。バレリーナが踵を揃えて立つ動作や、脚を軽く交差し(この動きは内転)つま先を内側に向ける動きなどを想像してください。
股関節を鍛えるストレッチと筋力トレーニング
次に、股関節を鍛えるストレッチ法と、筋力トレーニングの方法を詳しく解説していきます。
鍛える際のポイントと注意点
ストレッチや筋力トレーニングの際は、屈曲・伸展、内転・外転、内旋・外旋といった運動の種類を意識した上で、目的としている動きが正しくできているかどうかを確認しながら行なってください。また、どの動作も勢いよく動かしてはなりません。勢いに頼る動作は、筋力への負荷が減るために効果が弱くなるからです。また急な動きは、痛みを引き起こす原因になる可能性があります。
なお、痛みを伴うことがある動作に関しては、最初のうちは回数を減らすなど控えめに行ないましょう。徐々に増やしていくことが大切です。初めから大きな負荷をかけてしまうと、逆効果になる可能性を生んでしまいます。また、運動中に熱を持った感覚がある場合や、かなり強い痛みを伴う場合にはすぐに運動を中止し、医師からの診断を受けてください。
股関節のストレッチ
股関節のストレッチには、4つの種類があります。
屈曲動作のストレッチ
太ももを引き寄せる動作です。仰向けになり、片膝を抱えるようにして、お腹の方に引き寄せます。
伸展動作のストレッチ
太もも前を伸ばす動作です。横向きに寝転び、足首を手で持って下さい。そして足首をお尻に引き寄せながら、体全体をやや後ろにそらします。
内転・屈曲動作のストレッチ
お尻の横を伸ばす運動です。仰向けになり両ひざを三角形に立てます。そこから、片方の足首のくるぶしより少し上を、反対側の膝に乗せます。その膝の太もも後ろをお腹に向かって引き寄せてください。
外旋・外転動作のストレッチ
内ももを伸ばす運動です。仰向けになり、片ひざを90度に曲げて軽く持ち上げます。その状態から、ガニ股にするようなイメージで外側に倒します。
股関節の筋力トレーニング
股関節の筋力をアップするトレーニング法は、どのようなものなのでしょうか。
外旋動作のトレーニング(シェルエクササイズ)
横向きに寝ころび、両ひざを90度に曲げた状態にします。次につま先を適度に引き寄せ、その状態で片方のひざを外側に向かって開きます。開いては閉じる、扉のようなイメージでおこなってください。このエクササイズは股関節周りの小さな筋肉がしっかり動くので、股関節を安定させます。
?伸展動作のトレーニング(ヒップリフト)
仰向けになり、両ひざを三角形にして立てます。その際すねは地面に直角になるように、踵を引いてください。また足幅は、骨盤の幅まで開いておきましょう。次に下腹に軽く力を入れながら、お尻を持ち上げて下ろします。お尻と太もも後ろの筋力を整える運動です。
内転動作のトレーニング(インナーサイ)
横向きになり、上にある方の足を曲げて床につけます。下の足を真っ直ぐにしたまま、地面から軽く浮かせて、下ろす動作を繰り返します。内ももの筋肉が整っていきます。
屈曲動作のトレーニング(ニーアップ)
立った状態で、太ももを床と平行になるまで引きあげます。大腰筋や腸腰筋が整っていく運動です。
日常動作に近い複合的なトレーニング(スクワット)
両足を肩幅より少し広めに開いて立ち、つま先を少し外側に開きます。そして両手を頭の後ろで組み、身体を下ろしましょう。ひざを曲げた姿勢を1秒保ち、ひざを伸ばして立ち上がります。
股関節を鍛え、負荷に強い股関節に。
股関節を鍛える時には、行うストレッチや筋力トレーニングの効果を高めるために、目的とする運動を意識することが非常に重要です。また、鍛える際の注意点を把握することも大切になります。それは、危険な方法を避けたり、医師に診てもらうべきタイミングを知ることができるようになるからです。
これらのことを踏まえながら、股関節を鍛え、負荷に強い股関節にしていきましょう。医師に頼る前に自分の力で対処できることは、素晴らしいことです。