特定口座と一般口座や 源泉徴収って? 選び方がわからない方へ

特定口座と一般口座や 源泉徴収って? 選び方がわからない方へ

2018.07.17

株式投資を始めようと証券会社に申し込むときに、最初に迷うのがこれではないでしょうか?わからないから特定口座の「源泉徴収あり」にしている、という人も多いのでは?投資に慣れてきたら、節税対策にも目を向けましょう。役立つ情報を紹介します。

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特定口座とは

株式投資を始めようとするとき、はじめてこの言葉を目にする人も多いのではないでしょうか? 特定口座と一般口座、自分は一般人だから一般口座かな、なんて軽く考えてはいけません。同じ株式売買でも証券会社での取り扱いは、どちらを選ぶかによって大きく異なります。 この2つの口座の違いは、株式売買によって生じた利益、つまり所得にかかる所得税の取り扱いの違いなのですが、このしくみを知らないで運用した場合、本来払う必要がない税金を払うことになっていたり、一方で知らないうちに脱税をしていたというようなことにもなりかねません。

特定口座と一般口座との違いは

大前提として知っておかなければならないのは、株式投資による売買益は、所得であり所得税の対象であるということです。譲渡益及び配当金の税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となっています。 本来この税金の処理は、1年に1度確定申告で行わなければなりません。一般口座を選択した場合、証券会社はこの税金処理のサポートを一切行いません。この場合証券会社は単なる株式売買の仲介を行っているだけということになります。 一方特定口座は、取引する証券会社ごとに1つ作れる口座で、その口座での売買に係る税金処理についてサポートをしてくれる口座です。

税金の手続きは証券会社にお任せの特定口座

特定口座は、税金処理のサポートをしてくれます。確定申告の際には、申告者は年間で得た収入のうち、所得税の対象となる所得についてその明細を全て記入しなければなりません。株式売買を頻繁に行っている場合、その全てに対して記載しなければならず大変面倒なものです。 特定口座では、証券会社側で年間取引報告書、というものを作成してくれます。申告者はこの年間取引報告書を使って確定申告をすることになります。 やっぱり確定申告しなくちゃダメなのと思った方、ご安心ください。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があって、「源泉徴収あり」を選択した場合、基本的に確定申告の必要はありません。この源泉徴収あり、なしについては別項で説明します。

税金に関することは全て自分で行う一般口座

一般口座は税金についてのサポートは一切行いません。ですから確定申告の際には、あなたが1年間で行った取引のうち、譲渡益が出たもの、また配当が出たものに関して得た所得と税金を自分で計算しなければなりません。 配当益と譲渡益では、所得のカテゴリーも違います。確定申告はネット上で行うこともできますが、記載の方法などわからない場合は、やはり税務署に出向いて聞くことになります。ある程度手間がかかることは、覚悟しなければなりません。

特定口座は源泉徴収の納め方を自分で選択する

前述したように、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。源泉徴収とは、会社員にはおなじみですが、税金をあらかじめ差し引いてくれるということです。「源泉徴収あり」を選択した場合、証券会社側があらかじめ譲渡益から税金を差し引いてくれます。 これにより、確定申告が自動的に免除になります。 「源泉徴収なし」の場合は、基本的に確定申告が必要です。しかし条件によっては、本来税金を払わなくてもいい場合があり、「源泉徴収あり」にしてしまうと、一律で差し引かれてしまうというデメリットもあるのです。

手続きが面倒な人は特定口座がおすすめ

確定申告は面倒なので絶対したくない、という方は特定口座の「源泉徴収あり」を選びましょう。 一方で、なるべく払う税金を少なくしたいと思っている方は、確定申告が必要になりますので「源泉徴収なし」を選ぶ必要があります。 では一般口座を選ぶメリットは何なのでしょうか?実は現在では特殊な場合を除いて、一般口座を選ばなければならない必要はありません。事実どの証券会社に聞いても、一般口座を勧めるところはないのが現状です。特別な事情がない限り、源泉徴収ありなしにかかわらず特定口座を選ぶべきでしょう。

源泉徴収ありの特定口座のメリット

「源泉徴収あり」の特定口座のメリットを更に詳しく解説します。

確定申告の手間がかからない

「源泉徴収あり」の特定口座のメリットは、何と言っても手間がかからないことです。 「源泉徴収なし」の場合、譲渡益や配当益にかかる税金は、確定申告をして翌年に支払うことになりますが、もし確定申告をしなかったら、脱税になってしまいます。また税金を払うタイミングが実際に益が出た時点から、時間的に離れているので実際に払う段になったときに払えない、というようなこともないとは言えません。 ちなみに、「源泉徴収あり」の場合、売買益が出たらその都度源泉徴収されますが、年間トータルで売却損が出てしまった場合は、払いすぎている税金は自動的に還付されます。とにかく楽で手間いらずなのがこの「源泉徴収あり」なのです。

利益をあげても扶養から外れない

「源泉徴収あり」の確定口座を選ぶことの、副次的な効果としてあなたがもし扶養されている状態(扶養家族)ならば、仮に利益を上げてもその扶養がはずれないというメリットがあります。 通常扶養の条件は、年間所得が一定額以内である必要があります。しかしその判断基準は確定申告に基づいて行われるため、「源泉徴収あり」を選択して申告免除となっている場合は、いくら利益を上げていたとしても、その扶養がはずれることはありません。 しかし「源泉徴収なし」を選択した場合は、確定申告を行うことになるので、この限りではありません。主婦や学生など、既に扶養に入っている人にとっては、扶養に入ることのメリットが大きいので、「源泉徴収あり」の特定口座は特にオススメです。

上場株式配当等受領委任契約が結べる

上場株式配当等受領委任契約というものがあります。株式によって得られる利益は、譲渡時(売却したとき)の譲渡益だけではありません。配当金として支払われるものもあります。仮に株式譲渡で損が出ていたとしても、配当で益が出ていたとしたら、その差額分は課税対象となってしまいます。 確定申告では、そうしたことを考慮して申告をしなければなりませんが、この上場株式配当受領委任契約を、証券会社と結んでいるとこの配当も含めて一括して税金の処理をしてくれます。 実際の、この上場株式配当受領委任契約は、「源泉徴収あり」で特定口座を開設すれば自動的についてくることがほとんどですが、一応証券会社に確認してみた方がよいでしょう。

源泉徴収ありの特定口座のデメリット

良いことだらけに見える「源泉徴収あり」の特定口座ですが、ここでは逆にそのデメリットについて述べます。一口に言えば、「源泉徴収あり」の特定口座のデメリットとは、税金を払いすぎている場合があるということです。 会社員で、自動的に会社が税処理をやってくれることに慣れていると、意外と気づかないのですが、税金は基本的に自己責任なのです。確定申告をして、仮に税金を払いすぎていたとしても、税務署がそれを勝手に戻してくれるなどということはありません。払うべき税金を払っておらず、税務署から追徴課税されることはあっても、その逆はありません。 この項では「源泉徴収あり」の特定口座で、実際に払いすぎになってしまうケースをご紹介しましょう。

確定申告しなければ損失の繰越控除は利用できない

「損失の繰越控除」というしくみがあります。税金は基本的に、単年での所得に対して課税されますが、大きな損失を出してしまったときに、その救済措置としてその損失の翌年から3年間は、出した損失分が課税対象額から控除されるというしくみです。 例をあげて説明すると、ある年に100万円の譲渡損失を出したとします。すると翌年、仮に40万円の利益を出したとしても、課税対象額は0円になり税金も0円になります。繰越した最大控除額は100-40=60万円となります。その次の年に70万円の利益を出したとすると、70-60=10万円が課税対象額となります。 損失を出した時には、大変ありがたい仕組みなのですが、これを使うには確定申告をしていなければならないという条件があります。

譲渡益が一律に源泉徴収されてしまう

そもそも譲渡益が20万以下であれば、申告義務はありません。ですからもし「源泉徴収なし」にしておいたとしても申告する必要はなく、税金はとられません。 しかし「源泉徴収あり」の特定口座では、一律で徴収されてしまうため、その約20%、4万円は自動的に徴収されその還付を求めることはできません。 理不尽に思われるかもしれませんが、そもそも申告免除との引き換えなので、諦めるしかないのです。それが嫌なら確定申告をするしかない、ということになります。

源泉徴収なしの特定口座のメリット

「源泉徴収あり」のデメリットが、「源泉徴収なし」のメリットとなります。ですから最大のメリットは税金を払いすぎる、ということがないことです。その引き換えとして、確定申告をしなければならないわけです。 会社員にとっては、この確定申告のハードルがとても高いもののように思えるかもしれません。 大きな借金をしたようなとき、例えば家を住宅ローンで購入した時に、確定申告を経験するというようなことがあります。こうしたきっかけを通して、確定申告に慣れていくといいかもしれません。いずれ独立をしたり定年になったりすれば、否が応でも経験しなければならなくなるので、早いうちから慣れておくに越したことはありません。 この確定申告のハードルさえ低くなれば、実は「源泉徴収なし」特定口座は、有意義なものであり、逆に何故早くそうしなかったか、と思うこともあるかもしれません。 また株式の譲渡益だけでなく、税金を払いすぎているケースは他にもいろいろありますので、確定申告をマスターすれば自己資金を無駄なく運用していくことができます。

年間取引報告書を使って簡単に確定申告できる

前述したように、「特定口座」は「一般口座」と違い、年間取引報告書を証券会社側で作成してくれます。確定申告の際、実際には確定申告書の該当箇所に、その年間取引報告書に記載されている値を、転記していくという作業だけで大体のことは済むのです。 もちろんそれを記載するための、最低限の知識は必要になりますが、1回経験すれば大体のことはわかるものです。

税金を払い過ぎる心配がない

譲渡益が20万円以下の人は、確定申告はいりません。もっともこれ以外に給与所得2,000万円以下、という条件もついているのですが、それだけ稼ぐ人はそうそういませんので、普通の人は譲渡益20万以下なら確定申告なしと覚えておけばよいでしょう。 ですから少額投資であれば「源泉徴収なし」の方が圧倒的にお得であり、おすすめです。 また先に述べましたが、損失の繰越控除ができることも「源泉徴収なし」の大きなメリットです。株式投資を長くやってみると、勝ち続けることの難しさがわかってきます。大きな損失を出すと、このメリットの重要性が痛感されるようなことがあります。 投資額が大きくなってくると、この重みも増してきますので本格的に投資を始めようという段階では「源泉徴収なし」に切り替えることをご一考ください。

源泉徴収なしの特定口座のデメリット

「源泉徴収なし」のデメリットとして「確定申告をしなければならない」ということそのものが、一種の負担であることは間違いはないでしょう。またそれ以外にも、その確定申告に付随するものとして、いくつかのデメリットが存在します。

自営業の場合は国民健康保険料が上がる

国民健康保険料、つまり国民健康保険税の税額は、基本的に所得によらない均等割と、所得に比例する所得割の2種類の計算方法で算出された額の合算となります。給与所得者の場合は、その額の半分を会社が払い、半分を本人が支払うというしくみです。所得割の額は給与所得者の場合、その給与所得のみによって算出されます。 しかし自営業の場合、国民健康保険料の所得割は世帯の総所得で決定されます。譲渡益が出ると、それは総所得に合算されてしまうため保険料は上がってしまうのです。 ただし国民健康保険税の所得割税率は、各地方自治体によって違うので、実際には自分の居住している自治体のホームページなどから確認して下さい。

扶養控除から外れる可能性がある

主婦や学生の場合、このポイントは大変重要です。「扶養」には税扶養、社会保険扶養の2種類があります。簡単に言って誰かの「扶養」に入るということは、税金なら納税義務がなくなることを意味し、社会保険なら社会保険料を払う必要がなくなることを意味します。 税扶養の場合、扶養として認められるためには、その年間所得が38万円以下であること、という条件があります。年間収入ではなく年間所得(控除後の金額)であることに注意してください。給与所得者の場合、給与所得控除の最低額は65万円なので、年間所得38万円というのは、給与収入で言えば38+65=103万円ということです。 パートやアルバイトでの年間給与から、65万円を引いた額に投資益を足した金額が38万円を超えると、扶養からはずれなければならないのです。 扶養からはずれることのデメリットがどれ程なのか、ということに関しては一概に言えることではありませんし、個別に計算をしていかなければわかりません。ただ確実に扶養していた人の配偶者控除、或いは扶養家族控除の金額分、課税対象額が増えるので世帯の税金は増えます。増額分は単純計算で7.5万円程になります。 単純に譲渡益のみだけで考えるなら、よほど投資額が大きく損益の振れ幅が大きいということでなければ、損失の繰越控除によるメリットは少なく、確定申告をして扶養を外すメリットはないと考えた方がよいでしょう。

一般口座のメリットは無いのか

一般口座のメリットは何なのでしょうか? はっきり言うと、実は一般口座にメリットらしいメリットはないのです。かつてはメリットがあったこともあるのですが、現在ではありません。 そもそも特定口座とは証券会社側で損益計算をし、その税金を算出してくれるものです。当然のことながら損益計算をするには、取得の金額と譲渡の金額が、はっきりしていなければなりません。売却に関しては証券会社で売却するので、その価格は明らかですが、取得については色々なケースがあります。 取得金額が不明の場合、特定口座での取り扱いができないため、自動的に一般口座になるのです。

特定口座では買えない株を扱うとき

一般口座で取り扱う株としては、他社で取得した株を別の証券会社に移管するような場合があります。ただ現在では特定口座→特定口座の移管は、証券会社で普通に取り扱っています。 一般口座を使わざるを得ないのは例えば、るいとうやミニ株のように、取得経緯が複雑で購入価格が算定しづらいものが該当します。 また株式ではなく、個人売買等で取得した国債や社債のような債券を、同一口座で売却したいというような場合は、取得経緯を証券会社側で証明できないため、一般口座しか使えません。いずれにしても特殊ケースになります。

特殊な事情がなければメリットは無い

特殊な事情がなければ、一般口座を使うメリットはありません。特定口座を使用しましょう。 内装

特定口座がより便利になった税制改正のポイント

平成28年の税制改正で、特定口座で扱える商品の範囲が広がりました。

特定公社債等の譲渡益が課税対象に

国内債券、外国債、公社債投資信託、MMF、中期国債ファンドなどの金融商品が特定口座で扱え、一元的に損益計算ができるようになりました。株式や投資信託と同様、特定口座で損益合算ができます。また確定申告を行うことで、3年間の損失の繰越控除も一括して適用されます。 ただし気を付けなくてはいけないのは、そもそもこうした税制改正は個人の資産を明らかにし、その損益実態の透明性を増すために行われているということです。 「源泉徴収あり」の特定口座は特に問題ありませんが、「源泉徴収なし」の特定口座の場合、確定申告を正しく行っていなければ脱税の証拠は一目瞭然です。「源泉徴収なし」を選択した場合は、特に損益の内容を自分でしっかり把握しましょう。

上場株式等と特定公社債等をまとめて管理できる

さまざまな有価証券を一元管理できるということは、資産運用の視野が広がったということでもあります。個人資産をハイリスクハイリターンの商品と、ローリスクローリターンの商品とに分配し、組み合わせて一つの口座で運用することもできるようになりました。まずは特定口座を開設して、色々と試してみてはいかがでしょうか?

一般口座から特定口座への受け入れについて

平成28年の税制改正でさまざまな有価証券が、一元管理できるようになったと説明しましたが、そもそもこの改正以前では公社債などの課税のしくみは複雑でした。 配当金は源泉分離課税、譲渡益は非課税、償還差益は総合課税と、扱いもバラバラ。これを改正によって全て一律に申告分離課税とし、特定口座を使用することが可能になりました。 この改正以前に保有していたものは、平成28年までの時限措置で特定口座に組み入れる対応を行っていましたが、現在は終了しています。 現在一般口座で管理しているものは、その種を問わず特定口座へは組み入れることはできません。従って配当、譲渡益、償還差益にかかる税処理は、個人の責任において確定申告を行う必要があります。

MMFなどの公募公社債投資信託

現在一般口座で保有するMMF、中期国債ファンド、公社債投信信託Fなどを特定口座に組み入れることはできません。

国債などの特定公社債

現在一般口座で保有する、特定公社債を特定口座に組み入れることはできません。

特定口座の変更方法

基本的には一般口座から特定口座へ変更する、ということはできません。しかし特定口座を新規に開設することは、書類を提出すればいつでもできます。 ただし証券会社によっては、実際には2つの口座があっても、ユーザーの使用できる口座をどちらかに限定し、他方を使えなくすることで「口座変更」という表現を使うところもあります。 また口座間の金融商品の移動については、一般口座から特定口座へは特殊なケースを除き対応できません。特定口座から一般口座への移動は可能です。

一般口座からの変更は

証券会社によっては特定口座開設後、一般口座と特定口座を購入ごとに選べるようにしているところもあります。 しかしこの場合「うっかり間違えて一般で購入してしまった」というケースもあり、注意が必要です。間違えて購入しまった場合は、その後の扱いの面倒を避けるためにも、早めに売却した方が無難です。

源泉徴収なしからの変更は

源泉徴収あり/なし の変更もできますが、そもそも源泉徴収は税金処理の対応ありなしの変更ですので、税金が1年単位であるため変更も1年単位です。 ただ変更を希望した年に売却や配当が発生しておらず、またその年の年末までに配当が発生しない場合は、即時に受け付けてくれます。その条件に合わない場合は、翌年からの変更という対応になります。

手続き方法はWEBで簡単にできる

手続きそのものは、それぞれの証券会社で簡単にできるようになっています。証券会社のホームページで確認してみましょう。

課税ゼロのNISA口座とは

NISA(Nippon Individual Saving Account)とは2014年から始まった新しい制度のこと。少額投資非課税制度と呼ばれます。投資額が比較的少ない投資家を対象にした、非課税制度となりますが、誰でも使うことができますので、投資予定額の一部でこの制度を使うという使い方ももちろん可能です。

NISAとは税金が非課税になる精度

NISAは、年間120万円までの投資枠の範囲で、最長5年間投資総額600万円まで、その譲渡益や配当が非課税になるという制度です。投資枠とはその年間の投資「のべ」額を意味します。 仮に50万円で株や投資信託を購入したら、その時点で120万円の枠のうち、50万円を使ったことになり枠の残りは70万円となります。この株を売却して新規に30万円の株を購入すれば、枠の残りは40万円となるという具合です。 枠の繰り越しはできず、新たな年になればまた新たに120万円の枠ができます。 長期保有したときは、最長5年間その配当や譲渡益が非課税になります。5年を超えて保有し続けるという場合は、新たな年の120万の枠を再度割り当てる(ロールオーバー)ことができ、この際は最初の投資額が適用されます。 期間の単位は、税金の取り扱いですので年です。投資した時点から5年という意味ではないのでご注意ください。

NISA口座は特定口座や一般口座よりもお得

NISA制度を受ける口座をNISA口座と呼びます。NISA口座の開設条件は、開設する年の1月1日時点で満20歳以上ならば誰でも開設できます。 一般口座や特定口座などは、証券会社ごとに開設できますが、NISAは1人に1つしか開設できません。複数の証券会社と契約している場合は、どこでNISA口座を開設するか選ぶ必要があります。NISAの適用範囲は、上場株式と投資信託です。 NISAの特徴は何といっても非課税。通常は20.315%取られる税金が0円なのですから、圧倒的にお得です。投資枠を上手に使って、この非課税のメリットを最大限に生かしましょう。 なお具体的なNISA口座の開設方法については、各証券会社のホームページを確認してみましょう。

お得なNISAの3つの種類

現在、NISAには3つのカテゴリーがあります。ノーマルなNISA、未成年向けのジュニアNISA、投資信託専用のつみたてNISAの3種類です。それぞれの概要を紹介します。

長期の運用を考えていない人向けのNISA

NISAの説明は前項で説明した通りです。対象金融商品は株式と投資信託ですが、比較的長期に運用する投資信託に関しては、つみたてNISAという制度が出来たのでそちらの方が向いています。 併用はできないので、NISAかつみたてNISAのどちらが自分のニーズに合うのか、しっかり検討しましょう。非課税枠が大きいのがNISAの特徴ですので、比較的まとまった資金のある人におすすめです。

子供の教育資金にジュニアNISA

2016年から始まった、未成年(0~19歳)を対象にしたNISA制度です。非課税枠は年間80万円。最大5年間非課税なのはNISAと同じです。未成年対象ですので、教育資金という位置づけです。 契約者は未成年の本人となりますが、実質は親権を持つ父母が代行することになります。非課税枠80万円は、贈与税の基礎控除の年間110万円以内になっているというところがポイントです。 つまり教育資金ではなくても、子孫に資産を残すというニーズの人も対象にしています。ジュニアNISAには、いくつかの注意事項がありますが、一番大きいのは原則18歳まで払い出しができないということでしょう。 仮にどうしても払い出しをしなければならない場合、災害など特別に税務署が認めたケース以外では、それまでの配当などの非課税分も含めて全て課税されてしまいます。検討される場合は、よく内容を把握してから始めましょう。

コツコツ積み立てるつみたてNISA

2018年から新たにつみたてNISAという制度が開始されました。投資額は年間40万円と少額ですが、一方で非課税期間が20年と大幅に長く設定されています。対象金融商品は、取り扱い要件を満たした投資信託のみとなっています。 NISAとの併用ができないので、長期にわたって積み立てるという投資の仕方が向いている人に、おすすめの制度となっています。

NISA口座の注意点

NISA口座の注意点について説明します。

NISA口座だけの開設はできない

NISA口座は証券会社で申し込みます。証券会社の取引は、少なくとも一般口座か特定口座のどちらかを持っていなければならないので、NISA口座のみ作るということはできません。新規に開設する場合は、同時に一般口座か特定口座を作らなければなりません。 もし今新たに証券会社の口座を作るのであれば、特定口座とNISA口座を同時に開設することをおすすめします。

1人1口座しか持てない

NISA口座は1人1口座です。つまりNISA口座を開ける証券会社は、1つだけということです。ただし、これを移動することはできます。年単位なので今年はA証券のNISA口座、来年はB証券のNISA口座ということは可能です。

株式注文の際に口座を選択する必要がある

株式注文の際には、口座を選択して購入することになります。特定口座か一般口座かNISA口座か、どれを選ぶかという選択をしなければなりません。 NISA口座は、投資金額で枠取りされますので、仮に60万円の資金があってA社の株を購入売却、B社の株を購入売却と繰り返せば、2回で120万円の枠を使い切ってしまいます。 どの商品をNISA口座にあてるか、しっかり考えて運用しましょう。

損益通算や繰越控除は受けられない

重要なポイントですが、NISA口座は損益通算や繰越控除は受けられません。 えっなんでと思われるかもしれませんが、そもそも非課税を対象にした口座なので、その口座の損益については対象外というのが基本スタンスなのです。ですから仮にNISA口座で売買した株式で、大きな損失が出てもあきらめるしかありません。

特定口座開設が簡単なおすすめの銀行

特定口座開設が簡単なお勧めの銀行を調べてみました。銀行ですので、取り扱うのは主に投資信託や債券投資となります。選定基準は、口座開設が簡単かつ大手の金融機関ということで選んでいます。

みずほ銀行

みずほ銀行には、みずほ銀行投資信託口座開設アプリというものがあります。来店や書類の送付などの面倒な手続きがなく、スマートホンから簡単に開設できるのが魅力です。事前にみずほダイレクト(みずほ銀行のインターネットバンキング)のアカウントを持っていることが必要です。 ただしこのアプリでできるのは投資信託口座の開設までで、その後「SMART FOLIO」という投資運用アプリを使えば、NISA口座の開設と投資信託の購入が始められます。 特定口座については別途手続きが必要です。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行では、三菱UFJダイレクト(三菱UFJ銀行のインターネットバンキング)から申し込めます。投資信託口座と特定口座が同時に申し込めるところがメリットです。 書類処理は全て、写真を添付ファイルで送ることで行えます。

特定口座開設におすすめの証券会社

特定口座開設におすすめの証券会社を選んでみました。こちらの選定基準は、手数料が安い、信用取引の可否、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)が扱える、という基準で選んでいます。VTとはETF(上場投資信託)つまり、株式と同様いつでも売買可能な投資信託の一種で、世界経済と連動し安定性のより高いファンドのことで近年注目されているものです。

楽天証券

楽天証券の取引のコースは、1注文ごとに手数料がかかる超割コースと、1日の取引総額で決まるいちにち定額コースの2種類を用意しています。手数料は以下の通り。 超割コース:1注文5万円まで54円(税込)、手数料の1%ポイントバック いちにち定額コース:1日10万円まで無料 その他、FXのペアスプレッドは0.3銭(米ドル/円)。投資信託の手数料無料が1270本用意。手数料の安さには定評があります。

SBI証券

取引のコースは楽天証券同様、1注文ごとに手数料がかかるスタンダードプランと、1日の取引総額で決まるアクティブプランの2種類を用意しています。 スタンダードプラン:1注文5万円まで54円(税込)
アクティブプラン:1日10万円まで無料
その他、FXのペアスプレッド0.5銭(米ドル/円)です。

マネックス証券

取引のコースは同様に、1注文ごとに手数料がかかる手数料コース、1日の取引総額で決まる一日定額手数料コースの2種類を用意しています。 取引毎手数料コース:1注文10万円まで108円(税込)
一日定額手数料コース:1日300万円ごと2700円(税込み) マネックス証券の1日定額手数料コースは高く見えますが、300万円までの取引なら一律2700円と、他社と料金の設定方法が違います。ただ少額投資なら注文毎手数料を選ぶべきでしょう。

特定口座を作って株を始めてみよう

特定口座に関連して色々説明してきましたが、まずは投資として何を行うかを決めましょう。投資信託のみしか興味がないという場合は、自分が普段使用している銀行などで手軽に始めるのもよいと思います。 ただ迷っていたり、幅広くやってみたいと思われるなら証券会社を選択するのがよいでしょう。口座については本文でご説明した通り、特定口座を選択しましょう。源泉徴収あり/なしについては、不安であれば、まずは「あり」で始めることをおすすめします。 投資にはリスクもありますが、低金利時代には資産を増やすチャンスでもありますので、一度チャレンジされてみてははいかがでしょうか?

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