不労所得で生活できるのか
毎朝早朝から電車に乗って通勤して、家に帰りつくのはいつも深夜。こういう日常ではプライベートの時間を確保するのは難しく心身ともに疲れはててしまいます。リートを運用し分配金のみで生活することができるのでしょうか。
もちろんリートの分配金(不労所得)のみでは安定した収入は見込めません。しかも金融商品は多数あるため選ぶ基準が分からない、メリットやデメリットを理解し十分な準備をしたうえで検討するのがよいでしょう。
リートの基礎知識
リートの基礎知識について解説をしていきます。
REIT(Real Estate Investment Trust)とは何か
REIT(英: real estate investment trust、リート)とは、不動産投資信託ともいい、投資家から調達した資金を不動産に投資する金融商品です。日本国内のREITである「J-REIT」のことを単にREITということもあります。
不動産への直接投資と比較すると、REITへの投資は少ない資金で、複数の物件への投資を実現することができ、物件の選定・運営管理等は専門家に任せることができるので便利です。
世界のREIT市場の中で歴史が長い地域はアメリカとオーストラリアです。アメリカは1960年から、オーストラリアは1971年からREIT市場がはじまりました。
ヨーロッパにおいては2003年にフランス、2007年にイギリスとドイツ、2008年にイタリア、アジアにおいては2001年に日本、2002年に韓国、2005年に香港において、REIT市場がはじまりました(これらの国以外にもREIT市場は存在します)。
税前利益がほぼそのまま分配金になる理由
J-REITの決算が行われる際に、投資家に対して支払われるお金を分配金といいます。この分配金は、株式会社などでいうところの配当金に該当します。J-REITは会計上の税前利益の90%以上を配当するなどの要件を満たした場合、利益配当を法人税の算定上、損金算入することが可能です。したがって税前利益がほぼそのまま分配金として投資家に支払われます。
株式と比べて分配金を得やすい
前述のとおりJ-REITは、税前利益がほぼそのまま分配金として支払われるので、株式などに比べると、投資家が分配金を得やすい金融商品といえます。また、後述のとおりJ-REITの分配金利回りは高く、その点でも分配金に期待できるところは大きいといえます。
J-REITにはいくつかの種類がある
大きく分けて単一用途特化型J-REITと複数用途型J-REITの2種類があります。
単一用途特化型J-REITとは、ある特定の用途の不動産に投資するREITで、住居特化型、オフィスビル特化型、物流施設特化型、商業施設特化型、ホテル特化型、温泉・温浴関連施設特化型、ヘルスケア施設特化型があります。
複数用途型J-REITとは、複数の用途の不動産に投資をするREITで、さらに複合型(2つの用途の不動産に投資)、総合型(3つ以上の用途または用途を限定しない)があります。
スポンサー企業などもチェック
J-REITが設立される際の流れとしては、まず不動産会社や金融機関、商社などのスポンサーが不動産投資顧問会社(資産運用会社)を設立し、その不動産投資顧問会社がJ-REITを運営するという形態をとります。
スポンサーは、J-REITが取得する不動産の供給者となることが多く、大きな役割を果たしています。たとえば、日本ビルファンド投資法人(銘柄コード:8951)の場合では、不動産投資顧問会社は日本ビルファンドマネジメント株式会社で、メインスポンサーは三井不動産株式会社です。
分配金について
分配金について解説をしていきます。
J-REITは高い分配金利回り
J-REITの分配金利回りは2018年5月25日時点で、最高6.54%(いちごホテルリート投資法人 )と高い分配金利回りを実現しています。しかしJ-REITは景気動向などの影響を受けやすく、価格の変動も大きいので注意が必要です。
配当控除を受けられない
総合課税の配当所得がある場合に、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができます(申告分離課税を選択した場合には控除を受けることはできません)。これを配当控除といいます。株の配当金とは異なり、J-REITの分配金は配当控除を受けることができません。
J-REITのメリット・デメリット
J-REITのメリット・デメリットは一体何でしょうか?解説をしていきます。
J-REITのメリット
J-REITは、通常の不動産投資と比べて少額から手軽にはじめることができるというメリットがあります。また、個人では難しい、複数の不動産への分散投資をすることも可能です。
分散投資をすることにより、投資上のリスクを軽減できます。経験豊富な専門家が運用をし、実際に不動産に関連する業務を行う業者を選択・監督するので、通常の不動産投資の場合に生じるような物件についての諸々の手間が省けます。
J-REITは証券取引所に上場されていることから、購入や売却の注文がいつでも可能であるうえに、変動する価格を時間のずれが生じることなく確認できます。
J-REITのデメリット
一般の企業と同様にJ-REITも倒産のおそれがあります。ただし仮に倒産した場合でも、不動産の価値はなくなりません。理論上は精算時に不動産を売却すれば、投資資金が戻る可能はあります。
リートでの分配金生活は不利なことが多いので慎重に行おう
J-REITは高い分配金利回りが魅力です。少額から手軽にはじめることができ、複数の不動産への分散投資をすることも可能です。
良い点にだけ目を向けると、リートでの分配金生活は簡単に達成できそうですが、J-REITには配当控除がなく、価格の変動も大きいので注意が必要です。リートでの分配金生活をはじめてみるのなら、これらの不利な点をしっかりと理解して、まずは少額からの投資をおすすめします。