仕事をする上で、契約社員と共に働く場合もあります。正社員とアルバイトの違いは理解できていても、契約社員がそれらとどのような部分で違うのか明確に答えられない人も多いはずです。そんな契約社員がどのような位置であるか詳細について知ってみましょう。
契約社員の特徴
契約期間が決まっている
契約社員の特徴のひとつは、会社との契約期間が決まっているという特徴があります。企業との間で期間が定められているのが契約社員と呼ばれる人達になります。正社員やアルバイトの場合は、契約期間が定められていません。これが大きな違いとなるのです。
正社員やアルバイトで、働きたいという意思があれば、通常で問題なければいつまででも勤めることができます。これに対して、契約社員は期間が定められているため、働きたい意思があったとしてもそのままでは継続することはできません。
契約社員としてそのまま、仕事を継続するには更新の手続きが必要となります。もちろん、企業の都合などによることになります。そして、契約社員の契約期間は最長3年と定められています。しかし、高度なスペシャリストと60歳以上の人の場合は、最長5年と定められています。
業務時間は契約ごとに決める
契約社員の業務時間に関しては、契約ごとに決めるという規則があります。これは、正社員の場合と大きく異なる点です。例えば、正社員の場合就業時間や勤務時間などは、会社の規定で一律で定められています。そのため、勝手に勤務時間を変えるということは基本的にできない可能性が高いのです。
しかし、契約社員の場合は自分にとって都合のよい業務時間を選ぶことができます。例えば、子供を抱える主婦であれば、子供が学校などに行っている時間帯を選んで働くことも可能となるのです。企業によっては、自分の都合を相談して、自分に合った時間帯を希望することができる場合もあります。
二重契約が可能
正社員の雇用では、一般的に複数の会社に属することは禁止されています。二重契約は基本的にできないことになっています。しかし、契約社員の場合は二重契約が可能となっています。契約時に企業でどのくらいの日数働くのかを明記することで、別の企業と契約を結ぶことができるのです。
契約社員であれば、副業も可能になるというわけです。金銭面的な面よりも、やりたい仕事を合わせて持つ人にとっては非常に便利な契約となるでしょう。二重契約については、ルールとして可能ですが、企業との雇用契約による場合もあるので確認しておきましょう。
転勤は勤務地を明記すればない
正社員で入社した場合、企業によっては希望しない転勤を命じられる可能性もあります。もちろん、企業によっては転勤を命じたとしても、断る権利もあります。しかし、正社員として長く勤めるのであれば、明確な理由がない限り断りづらいのも正直なところだといえるでしょう。
それに対して、契約社員は転勤を命じられることはありません。これは、雇用契約書に勤務地を明記してあることで、それ以外の土地に転勤することはないのです。そのため、転勤を望まない人にとっては好都合なポイントでもあります。
退職金制度は義務でない
退職金制度に関しては、企業によって異なります。例え正社員であったとしても、企業が退職金制度を設けているかどうかは、確認が必要です。企業の退職金制度が設けられていたとしても、契約社員の場合は規定がないため、退職金が支給されるかどうかは確認が必要です。
基本的に契約社員は、短期間の勤務であることがほとんどなので、退職金が発生するケースはあまりありません。しかし、中には契約社員に対しても、わずかであっても退職金が支給されるケースもあります。そのため、契約の際に確認しておくとよいでしょう。
基本的に昇進はない
正社員であれば、長年企業に勤めるであろうという可能性から、昇進のチャンスにも恵まれることもあります。しかし、契約社員であれば期間限定という雇用なため、昇進のチャンスは基本的にないというのが現状です。いくら仕事ができても、期間が短いため昇進というチャンスは与えることができないのです。
もし、1年契約の契約社員に役職を与えたとしても、1年経てば契約が終わり企業を去ってしまうことになります。どんなに素晴らしいスキルを持っていたとしても、企業としてはリスクが高くなってしまいます。そのため、契約社員への昇進は基本的にない可能性が高いのです。
契約社員に向いている人の特徴
極めたいスキルや得意分野がある
正社員で入社となると、自分の希望する職務に従事するためには、時間が掛かる場合もあり、希望とは違う部署へ配属となる可能性もあります。企業としては、幅広く仕事を覚えてもらうための策として、希望職以外の仕事につかなけらばならなくなるケースもあるのです。
しかし、契約社員であれば自分の極めたいスキルや得意分野を選ぶことができます。決まった仕事を時間内に行うということになるので、正社員に比べて自分が得意な仕事で働くことができます。自分の持つスキルを活かして働きたい人に向いているといえるでしょう。
様々な職場で経験を積みたい
自分にとってどんな仕事が向いているのかわからず、就活に迷ってしまっていたり、最初の就職先で失敗をしてしまい、自分に合った職種を選びたいと考えている人にとって、期間の決まった契約社員としての働き方は魅力的だといえるでしょう。
さまざまな職種を経験したり、いろいろな職場を体験したいという人には、契約社員で働くことで知ることができます。自分に合った職場や職種を見つけられる可能性もあるので、非常にニーズに合った働き方ができるでしょう。
プライベートと仕事の両立をしたい
契約社員は、業務時間を選ぶことができるため、プライベートで持つ趣味などのために時間を割きたい人に合います。例えば、ダンスや歌など将来の夢に向けて頑張りたい人は、正社員で働く場合、なかなか思うように時間を割くことができません。予期せぬ残業や休日出勤などが発生する可能性があるためです。
そして、主婦などであれば家族のために時間を費やすことも大事な仕事です。そのため、契約社員で働けば契約通りの業務時間で働けるため、家事や子育てにも支障が出にくく仕事との両立が可能になりやすくなります。プライベートと仕事を両立させるためには、都合のよい働き方ができるといえます。
決められた範囲で責務を全うしたい人
正社員として働くと、幅広い業務を任せられたり責任も課せられることが多くなります。企業としては、先を見据えて社員を育成をしていくため、必要なことになります。しかし、性格的に幅広い業務を器用にこなせない人もおり、決められた範囲で業務を遂行していくことに向いている人もいます。
せっかくスキルはあるのに、幅広い業務の中で苦手な仕事ばかりになり、仕事が続けられなくなってしまうのではもったいないことになります。その点、契約社員で働けば決められた業務を決められた時間でこなすスタイルになるので、得意なことを続けられることになるのです。
契約社員の派遣社員と比較した際のメリット
交通費が支給されることが多い
契約社員と派遣社員の違いが、いまひとつピンとこない人も多いのではないでしょうか。契約社員は、企業との間で直接雇用契約となりますが、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結びます。これが、派遣社員と契約社員の大きな違いとなります。
そして、契約社員の場合ほとんどが交通費支給が一般的となっています。しかし、派遣社員の場合は時給に交通費も含むとされているケースが多く、交通費があまりかからない距離の人は問題ありませんが、遠距離通勤の場合は結果的にマイナスになってしまう場合もあります。
もちろん、どちらも企業によって違う場合もあり、派遣社員であっても、特例的に交通費が出る場合もあります。契約時に必ずきちんと確認することをおすすめします。
正社員雇用の可能性がある
契約社員が派遣社員よりも、正社員登用への道が開けやすいのは、企業と直接契約を結んでいるからです。高いスキルを持っていたり、真面目に働く姿などが企業に好印象を与えた場合、企業としてもゼロからのスタートの社員を雇用するよりも、経験者を社員登用する方がメリットがあると考えられます。
ある程度の契約期間があり、業務をしっかりとこなすことができ、企業に認められることが重要です。もちろん、自分にとってもチャンスであると感じるのであれば、安定した正社員を目指す大きなチャンスとなります。
これに対して、派遣社員は契約社員よりも正社員登用への道は狭いといわれています。これは、直接雇用契約ではないため、可能性がないわけではありませんが、すんなりと簡単に社員登用とはいけないためです。
派遣社員よりも重要な業務を担当できる
契約社員が担当する業務は、派遣社員に与えられるものよりも、重要な業務を与えられる場合がほとんどです。派遣社員を雇用する際は、正社員や契約社員の仕事の補佐といったヘルプ的な役割を与えられます。どちらかといえば、雑務的な内容になることが多いのです。
スキルや、経験を積みキャリアアップを目指したいと考えるのであれば、派遣社員よりも契約社員として働く方がメリットがあります。直接雇用の契約社員であれば、企業側もある程度重要な業務を与えることがあり、企業内の仕組みなども知ることもできるのです。
契約社員の派遣社員と比較した際のデメリット
雇用期間が限定される
企業と直接雇用の契約社員は、雇用期間が限定されています。派遣社員の場合も、契約期間がありますが、更新という形で別の企業を紹介してくれるため、契約社員のように雇用期間が限定されて終了とはならないので、派遣会社との契約は継続されます。
派遣先が変わったとしても、派遣会社との契約があれば仕事が継続できます。企業と直接雇用である契約社員は、契約終了のあとは保障がありません。そのため、雇用期間が限定されている契約社員のデメリットといえます。
契約満了後は職探しをしなければならない
企業と直接雇用の契約社員は、雇用期間が限定されています。そのため、契約が満了した場合、自力で転職先をみつけなければいけません。その点、派遣社員は契約期間が満了しても派遣会社が次の派遣先を紹介してくれるので、不安なく続けていくことができます。
契約社員のデメリットは、契約終了したあとの仕事探しにあります。派遣社員であれば、派遣会社が自分の希望に沿うような会社を見つけて紹介してくれるので安心ですが、契約社員の場合は自分の力で就職活動をしなければいけないのがデメリットとなります。
契約社員であることは、社員登用の可能性があるとしても、一般的には長期的なキャリアを望めない可能性が高いのです。
5年ルールが施行された契約社員の行く末
雇止めされる
2013年に労働契約法が改正され、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期労働者は無期労働契約への転換を申し込むことができるようになるとなりました。その中で懸念される雇止め問題は、どのようになっているのでしょうか。
雇止めとは、更新前に契約を打ち切られてしまうことになります。しかし、今回の改正により雇止めに関して、雇い止めの法理というルールが組み込まれています。
・過去に反復更新された有期契約で、その雇い止めが無期契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
・労働者において、有期契約の契約期間の満了時にその有期契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
以上のいずれかに該当する有期労働者が対象となります。該当者に対して、使用者が雇止めをすることができますが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないは雇止めは認められません。同一の労働条件で更新され、通算契約が5年を超えている場合は無期転換ルールの該当となります。
処遇条件が変更がないまま無期契約社員になる
それまでの雇用契約の変更がないまま、無期契約社員になることができるといわれています。それまでの給与や、条件などを変えずにそのままの状態で契約ができます。多くの企業は、この条件変更のない無期契約社員としての雇用を考えています。
条件の変更がなく、契約が続くのであれば自分の状況に合った形で、仕事を継続することができるメリットがあります。勤務地が変更になったり、業務が変わることがなければ負担なく続けていくことができます。企業としても、慣れている人材にそのままの契約で任せる方が安心といえます。
処遇条件が改善され無期契約社員になる
一方で、条件の改善があっての無期契約社員になる場合もあります。これは、5年という経験から給与の見直しをして、昇給ありの条件で無期契約社員になるケースです。この場合は、契約社員として続けたい人にとっては、非常に嬉しいポイントです。
基本的にはネガティブな条件を提示するようなものではなく、基本ベースの条件の中でよりよい条件で働けるような条件を考えている企業も多いのです。企業的には、この両タイプのどちらかの形で考えているといわれています。
限定正社員になる
この転換で、限定社員になるという形を取る企業もあります。この限定社員というのは、いったいどんなものなのでしょうか。限定社員とは、正社員であることに変わりありません。限定という意味は、勤務地や職種、労働時間を限定する契約であることを意味します。
それまでの契約社員と同じような条件で、正社員の待遇を受けるわけですから、これはメリットが大きいと考えられます。ただ反面企業によっては、受け皿として受け入れたとしても、限定という部分で雇用の管理が大変になることも懸念されます。
そのため、経費の負担に対してそれだけのメリットがなければ、なかなか契約しづらいというのも正直なところです。限定社員の受け入れが可能な企業であれば、将来的に積極的な契約も増えてくる可能性もあるでしょう。
正社員になる
そして、この転換期に契約社員から正社員へと契約が変わることもあります。2013年に有期労働契約の改正により、5年になるのがちょうど2018年にあたります。そのため、この2018年から発生することになります。契約社員から、正社員としての契約も可能性があるわけです。
その企業で正社員を目指しているのであれば、大きなチャンスでもあります。しかし、5年という時間を考えると正社員で働きたいと考えるのであれば、最初から正社員で働ける企業を見つける方が早いといえます。正社員としての契約は、コスト面的に企業も慎重になっているのが現状です。
契約社員の雇用条件を把握しよう
今後、契約社員と職場で仕事をする機会がどんどん増えていく可能性があります。契約社員の置かれている雇用条件を把握して、よりよい状態でお互いが仕事ができるようにしていきましょう。さまざまな雇用形態を理解して、スムーズで快適な職場環境を作っていきましょう。