リスティング広告は、ユーザーがGoogleやYahoo! JAPANなどで検索したキーワードによって表示される、テキスト形式の広告になります。
リスティング広告は、自社の商品やサービスに関心を持ったユーザーを、一人でも多くWebサイトへ集客するのにおすすめなWeb広告の1つです。
ですが、
「リスティング広告はどれくらいの費用がかかるのか」
リスティング広告の相場を知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リスティング広告の費用や相場から予算の決め方、広告の費用対効果を高めながら広告費を抑えるポイントまで初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
リスティング広告の運用を検討している方はぜひ参考にしてください。
リスティング広告の費用と相場
少額の予算でも始められるリスティング広告ですが、初めて出稿する際にどれくらいの費用がかかるのか、広告費の相場についてわからない部分が多いかと思います。
ここでは、月間の広告費の相場や代理店に依頼した場合の費用について解説します。
月間の広告費の相場は20万から50万程度
一般的にリスティング広告費用の相場は、月20万〜50万円前後が多いです。
ただし、広告を出稿するサービスや商品、会社の規模によっては、数百万でリスティング広告を出稿している企業もあります。
リスティング広告は、最低出稿金額がなく、キーワードや配信の時間帯、居住地域などを細かく設定できるのであれば、最低1,000円からでも出稿可能です。
企業や市場規模を考慮し、出稿したいキーワードの成果目標や※クリック単価から、効果的な予算を決めて無理のない運用をしましょう。
※クリック単価(CPC)とは、広告が1回クリックされたときに発生する費用のこと
代理店に依頼した場合の費用
リスティング広告を自社運用する場合に比べると、代理店は別途費用が必要になります。
代理店に依頼した際の手数料は、下記3つの形態があります。
▫️手数料率型
▫️定額型
▫️成果報酬型
どの形態を選ぶべきかは、広告を出稿する商品やサービスによって費用は変わります。代理店に依頼する際の参考にしてください。
手数料率型
手数料率型とは、広告費のいくらかの割合が、手数料としてかかる形態のことです。
一般的なリスティング広告運用の代理店は、手数料率型の形態を採用していることが多く、
相場の目安は「リスティング広告の運用費用20万円〜」、月々の運用代行した手数料「広告費用×20%」です。
▫️広告手数料=100万円×20%=20万円
▫️代理店に支払う金額=広告費用100万円+広告手数料20万円=合計120万円運用手数料の料金体系は、代理店によって異なり、広告費用に対して月額固定で手数料を決めている会社もあります。
・使った広告費のみの支払いとなるので、予算がコントロールしやすい
・広告費を抑えれば、代行手数料も下げられる
・多くの代理店で最低金額(平均費用相場は5万円)を設定していたり、成果よりも予算を使い切ることに注力される可能性がある
・広告費の増加を提案される場合もある
定額型
定額型とは、広告費の大小に関係なく、手数料が定額で決められている形態のことです。
月額20万円以内は〇〇万円
20万円から50万円は〇〇円
というように、広告費の額ごとにかかる手数料が定められています。
・運用額が多少増えても手数料は変わらなかったり、手数料率型よりも安くなることもある
・広告費を増やしやすい
・広告費を増やしやすい点を、逆手に取られる場合がある
・広告運用額が足りないと、提案される可能性がある
成果報酬型
成果報酬型は、最初に決められた手数料は0円、成果に応じて手数料が決まる形態です。
手数料の計算式は下記になります。
手数料=目標コンバージョン単価(CPA)×コンバージョン数(CV)
・成果が発生しないと、費用が発生しない
・費用の発生が、目に見えて分かりやすい
・代理店が架空のCVを発生させる可能性がある
・成果1件に対して、手数料が高く設定されている場合がある
リステング広告の仕組みは2つある
リスティング広告の費用は下記、2つの仕組みによって決まります。
▫️クリック課金
▫️オークション制
ここでは、2つの広告費用の仕組みについて詳しくみていきましょう。
クリック課金制
リスティング広告は、広告が表示されただけでは費用は発生せず、
広告がクリックされたときにのみ費用が発生する【クリック課金制】が採用されています。
「クリック保証型」「PPC(Pay Per Click)」とも呼ばれています。
広告費=クリック単価×クリックされた回数
1クリックあたりのクリック単価は、広告を出稿するサービスや商品、ジャンルなどによって異なりますが、おおよその単価は、Googleキーワードプランナーなどのツールで調べることができます。
運用の変動が大きい場合は、定期的に消化金額を確認するようにしましょう。
オークション制
リスティング広告は、設定したキーワードが検索されると広告が100%表示されるというわけではありません。
広告の配信枠には限りがあり、広告の掲載順位は【オークション制】で決定します。
掲載順位が低ければ、広告自体が表示されない可能性もあります。
※Googleリスティング広告の場合、上下に最大4つずつの広告枠が用意されている
このオークション制では「入札単価」と「広告の品質」が判断基準となり、
Google広告を例にあげると、
【掲載順位(広告ランク)=入札単価×広告の品質(品質スコア)】
という計算式で掲載順位が決まっています。
▫️「入札単価」:広告主が指定した1クリックあたりにいくら払えるかの上限値
競合が多いキーワードでは、入札単価の水準が高いため、ある程度の費用が必要になります。
▫️「広告の品質」:ユーザーに対しての広告とウェブサイトの有用性や利便性をシステムで評価したもの
※Google広告では、「推定クリック率」「広告の関連性」「ライティングページの利便性」の3つを総合して算出される
先に掲載した計算式にあるように、入札単価をいくら引き上げても、広告の品質が低いと判断された場合は、掲載順位は上がりません。
ですので、入札単価を上げていくだけでなく、広告の品質を上げていくための改善も掲載順位を向上するための必要な要素です。
運用時は、掲載結果を定期的に確認し、入札価格と広告の品質で機会損失が起きていないかを確認していきましょう。
リスティング広告の予算の決め方
リスティング広告の予算は下記、3つの方法があります。
▫️獲得したい成果(コンバージョン数)から決める
▫️クリック単価(CPC)の相場から算出する
▫️売上目標から決める
では、リスティング広告の予算をどう決めていくのかを解説していきます。
獲得したい成果(コンバージョン数)から決める
取得したい成果が定まっている場合、逆算して予算を決める方法があります。
まず、「限界CPA」を算出したあと「目標CPA」、「広告予算」と順に計算しましょう。
※CPAとは、1件の成果(コンバージョン)を取得するのにかかった広告費用を示す値のこと
「限界CPA」「目標CPA」とCPAの限界値・目標値を定めることで、広告費用の算出、そして広告の運用状況を把握する指標にすることもできます。
はじめに限界CPAを、下記の計算式で算出していきましょう。
限界CPA=売上単価-原価-経費
【例:1コンバージョンの売上単価が10,000円と仮定】
売上単価の10,000円から原価5,000円、経費2,000円を差し引くと、3,000円が利益となります。
つまり、目標CPAを3,000円以上にしてしまうと赤字になるため、限界CPAは3,000円になります。
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次に目標CPAを、下記の計算式で算出します。
目標CPA=限界CPA-確保したい利益
【例:商品単価が10,000円と仮定】
商品単価の10,000円から原価5,000円、経費2,000円、確保したい利益2,000円を差し引くと、目標CPAは1,000円となります。
よって、1件の成果(コンバージョン)を広告費用1,000円で取得すれば、2,000円の利益を得ることができるということになります。
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さいごに目標CPAから広告費を算出してみましょう。下記の計算式で算出します。
広告費=目標CPA×コンバージョン(CV)数
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【例:目標CPA10,000円、月の販売目標(目標CV数)100台】
広告費(1,000,000円)=目標CPA(10,000円)×コンバージョン数(100台)
目標CPAとコンバージョン数を定めれば、広告予算を出すことができます。
目標CPAを計算せずに広告予算を考えてしまうと、取得したいコンバージョン数から、大きくかけ離れてしまうことにつながる恐れがあるので注意しましょう。
クリック単価(CPC)の相場から算出する
広告を出稿したいキーワードの「クリック単価(CPC)」の相場から逆算し、広告予算を算出するのも一つの方法です。
Googleキーワードプランナーなどのツールを使うことで、単価の相場を調べることができます。
調べたクリック単価の相場に、目標のクリック数をかけることで、おおよその広告予算も分かります。
しかし、目標CPAを低く設定しすぎると、予算切れによる機会損失が発生する場合もありますので、できるだけ目標CPAよりも高い1日の予算設定を行いましょう。
売上目標から決める
売上目標を事前に決めることで、逆算して広告費を算出するのも1つの手段です。
こちらの方法はコンバージョン率とクリック単価を先に仮定しましょう。
まず、売上目標を達成するためのコンバージョン数と、必要クリック数を算出することで、広告費用が分かります。
計算式は下記になります。
▫️コンバージョン数(販売目標数)=売上目標÷販売価格
▫️必要クリック数=コンバージョン数(販売目標数)×コンバージョン率
▫️広告費用=クリック単価×必要クリック数
販売価格50,000円の商品を、売上目標1,000,000円を達成するためには、20個売れないといけません。
例として、コンバージョン率1%、クリック単価100円で考えていきましょう。計算式は下記になります。
▫️1,000,000円(売上目標)÷50,000円(販売価格)=20個(コンバージョン数)
▫️20個(コンバージョン数)÷1%(コンバージョン率)=2,000回(必要クリック数)
▫️クリック単価100円×2,000回(必要クリック数)=200,000円(広告費用)
コンバージョン率とクリック単価を定めている場合は、順に算出してみましょう。
リスティング広告の費用を抑える4つの方法
リスティング広告の費用を抑えていくためには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、以下4つの費用を抑える方法をご紹介します。
▫️マッチタイプを設定する
▫️除外キーワードを設定する
▫️広告ランクを上げる
▫️配信時間や配信先を見直す
マッチタイプを設定する
マッチタイプとは、設定したキーワードに対して、どのような検索語句で広告が表示されるかが決まる設定です。
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※2021年2月から「絞り込み部分一致」は廃止され、「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」の3つの種類があります。
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3つのマッチタイプから、キーワード登録するかによって、配信されるクエリが全く異なります。
▫️フレーズ一致:広告を出稿したいキーワードがユーザーの検索語句に含まれ、同じ語順だったら表示する
▫️部分一致:広告を出稿したいキーワードがユーザーの検索語句と関連すると判断されたときに表示する
例えば、企業名を完全一致で登録したとします。
GoogleやYahoo!の検索エンジンで検索された企業名が、完全一致したときにのみ、広告が表示される仕組みになっています。
3つのマッチタイプを使い分けることで、ムダな広告費の削減や機会損失を減らせるため、費用対効果を上げることにもつながります。
除外キーワードを設定する
除外キーワードとは「このキーワードは広告を表示しない」といった設定ができることです。
成果の見込みが低いキーワードでの広告表示とクリックを防ぎます。
除外キーワードを設定することは、広告費用を抑えるためには重要になってきます。
除外キーワードの設定をすることで、より費用対効果の高いキーワードに、多く予算を割くことができるからです。
リスティング広告を運用していくうちに、想定外のキーワードで広告を表示しているケースや成果が見込めないキーワードも多くでてきます。
余計な広告費を削ることで、費用対効果が高まるため、出稿しているキーワードをチェックし、定期的に除外キーワードの設定を行いましょう。
広告ランクを上げる
広告ランクによって、リスティング広告の掲載順位は決まります。
広告ランクが高いほど広告が上位に表示されやすいため、広告費を削減できます。
広告ランクの算出は、下記の通りです。
広告ランク = 上限クリック単価 × 広告の品質 + 広告表示オプション + 広告表示フォーマット
算出の公式でわかるように、いくら上限クリック単価を高めても、広告の品質が低ければ表示されにくくなります。出稿している広告やアクセス先のページ内容(ライティングページなど)が、ユーザーの求めていることを満たす内容になっているかを分析、改善を繰り返す必要があります。
配信時間や配信先を見直す
リスティング広告は配信時間帯、地域やターゲットを設定することができます。
例えば、商圏が特定の地域に限られていた場合、全国に広告配信したとしても成果が得られないまま、ムダなクリックが発生し続けてしまいます。
よって、成果の少ない時間帯、曜日は配信を止め、ターゲットの生活リズムに合わせていくことも手段の一つです。
成果の出やすいタイミングで、広告の表示を増やすことや商圏に適した地域への配信エリアを絞り込むことで、費用対効果を上げることも可能です。
リスティング広告の費用対効果を上げる3つのポイント
運用の高い成果を得ようと、出稿をただ拡大すると、広告費をムダに使ってしまうことが多くあります。
ここでは、リスティング広告でムダな費用を抑え、費用対効果を上げるポイントを3つご紹介します。
▫️広告の費用対効果を測定する
▫️ライティングページの利便性を最適化
▫️リスティング広告と相性がいいビジネスなのか見直す
広告の費用対効果を測定する
広告の費用対効果を計測する指標として「ROAS(Retum On Advertising Spend)」がよく使用されています。広告費に対し、どれだけ売上が発生したのかを表します。
ROASの計算式は、下記になります。
ROAS=売上÷広告費×100(%)
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広告の費用対効果とROASは比例し、ROASが高いほど広告の費用対効果が高いということになるため、ROASの低い広告から最初にアクセスしたライティングページを改善したり、ROASの高い広告に予算を増やすなど、効果的な広告運用に使用されます。
ライティングページの利便性を最適化
ユーザーが広告をクリックして、最初にアクセスしたページのことを「ライティングページ(LP)」と呼びます。
検索語句や広告とライティングページの内容が合っていなかったり、成果までの導線がユーザーにとって分かりづらいと、ユーザーが離脱してしまうことに繋がります。ユーザーが求めていることを満たし、利便性を高めたライティングページを用意することが大切です。
リスティング広告と相性がいいビジネスなのか見直す
リスティング広告は顕在層へのアプローチを得意としているため、リスティング広告と相性がいいビジネスなのか見直す必要があります。
特に費用対効果が高いキーワードは、企業名や商品名、緊急性の高いサービスと相性が良いといえます。自社商品を知っている既存顧客、ユーザーが検索した結果画面に広告が表示されるので、商品購入や問い合わせなどの確率が高くなります。
アプローチするターゲットを顕在層だけでなく、潜在層にもアプローチもしたい場合は、ディスプレイ広告も効果が期待できるので、活用するか検討してみましょう。
リスティング広告は自社運用するか、代理店に依頼するか
リスティング広告運用の予算を決定したあと、広告予算を自社運用するか、代理店に依頼するか、どちらのほうがいいか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
最後に、自社運用と代理店のメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。
自社運用と代理店のメリット / デメリット
自社運用のメリット
▫️代理店手数料がかからない
▫️社内にマーケティングの知識や情報が溜まる
▫️PDCAをスピード感のある運用ができる
※PDCA:Plan(計画)、Do(実行)、check(測定・評価)、Action(対策・改善)
自社運用のデメリット
▫️最新の情報が集まりにくく、自分で調べる必要がある
▫️雇用コスト・教育ともに時間と労力がかかる
▫️運用に悩んだときに、相談する相手がいない
代理店のメリット
▫️最新の情報が集まり、共有してくれる
▫️社内に運用担当者を雇用する必要がない
▫️過去の事例や知識からリスクを減らせる
代理店のデメリット
▫️代理店手数料がかかる
▫️社内に知識や情報が溜まらない
▫️担当者が複数案件を抱えている、自社運用よりもスピード感が多少遅くなる
代理店の利用はこんな方におすすめ
より緻密に予算を決めて、リスティング広告を運用する必要がある場合や、自社運営するための人材育成に時間をかけられないといった場合には、代理店の利用をおすすめします。
代理店なら、業界ごとの予算相場やクリック単価の相場を把握しているので、代理店に問い合わせをしてみるのも1つの手です。
広告運用を実際に出稿することで、成果目標を達成できるのか明確にわかります。達成が難しい場合には、広告設定や競合と比較したときの訴求といった様々な視点から見直し、改善を立案してくれます。
改善策の検証に必要な予算を決めたり、1件あたりの成果目標をいくらの費用で取得したいか(目標CPA)などに悩んだ際は、代理店の利用も検討してみましょう。
まとめ
リスティング広告は、改善施策も一度やれば終わりというものではありません。
日々結果を確認しながら、改善を繰り返すことが大切と、ご理解していただけたのではないでしょうか。
リスティング広告は最低出稿金額がなく、自分で費用を決められるので、どの企業でも気軽に運用ができる手法です。
一般的に広告運用の相場は、月額20万から50万程度となっており、広告予算の決め方は、3つの算出方法をご紹介しました。
【広告予算を決める3つの方法】
▫️獲得したい成果(コンバージョン数)から決める
▫️クリック単価(CPC)の相場から算出する
▫️売上目標から決める
目標CPAを計算せずに広告予算を考えてしまうと、取得したいコンバージョン数から大きくかけ離れる恐れがあります。
また、広告運用によって赤字にならないためにも、必ず限度CPAも算出しましょう。
Webマーケティングが広く浸透している中、リスティング広告は欠かすことのできない広告運用の一つになっています。
広告運用の代理店も非常に増えているので、自社運用していくことに悩んだ場合は、代理店利用に依頼することも、視野に入れて検討していくのもいいかと思います。
リスティング広告は、運用結果をリアルタイムで確認しながらターゲットや予算、出稿キーワードなどを調整できます。
費用対効果を高めるためには、ターゲットの明確化や目標など、広告運用を計測するための指標をもとに、長期的に継続できる運用体制をしていきましょう。
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