タンパク質の過剰摂取によって 引き起こされる症状や病気とは

タンパク質の過剰摂取によって 引き起こされる症状や病気とは

2018.09.26

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タンパク質の過剰摂取が身体にどんな影響を与えるのか

筋肉を作るためや健康維持のために、タンパク質の摂取は欠かせませんが、どれくらいの量を摂取すればいいのか迷いますよね。たくさん摂取してしまったために、なにか体に影響がないのか不安になるでしょう。 どの食べ物も極端な過剰摂取は体を壊してしまいます。タンパク質の働きや役目をしっかり再確認したうえで、一日の摂取量やカロリーに気を付けながら、タンパク質を摂取することが大切です。 過剰摂取のため体に起きてしまう影響を知ることも、予防の第一歩になるでしょう。トレーニング

タンパク質の働き

タンパク質は、人の筋肉や臓器などのエネルギー源や、免疫機能の抗体などに必要不可欠な栄養素です。体内に取り込まれたタンパク質は、一旦「アミノ酸」として細かく分解され、機能の異なるタンパク質へと形を変えて再形成されます。 20種類も存在するアミノ酸が、目的に合わせて結合することで約10万種類の新しいタンパク質へと変わります。筋肉や肌、髪などが人それぞれ異なるのは、アミノ酸の組み合わせによるためです。肉

タンパク質の種類について

タンパク質は体内でアミノ酸に分解されますが、このうちの9種類は体内で合成することができません。そのため、食事から摂取する必要があり、そのアミノ酸を「必須アミノ酸」とよびます。 食事から摂取するタンパク質は、その食材によって含まれているアミノ酸が異なり、必要なアミノ酸を摂取するためにも、しっかりとタンパク質の種類を把握することが大切です。

動物性タンパク質とは

肉や魚、卵や乳製品などの動物由来の食品に含まれるタンパク質を「動物性タンパク質」とよびます。体内で合成することができない、必須アミノ酸の9種類全てをバランスよく含み、体内への吸収率が97%ととても高いのが特徴です。 この良質なタンパク質かどうかを示したものが「アミノ酸スコア」といわれるもので、スコアが100に近いほど、アミノ酸がバランスよく含まれるタンパク質を指します。 アミノ酸スコアより、「牛肉(ロース)」「あじ(生)」「鶏卵」「牛乳」は全てスコア100と示されており、このことからも、動物性タンパク質は理想的なタンパク質といえます。

植物性タンパク質とは

米や小麦などの穀類や、大豆など豆類の植物由来の食品に含まれるタンパク質を「植物性タンパク質」とよび、野菜や果物に含まれている場合もあります。 一部の植物性タンパク質では必須アミノ酸が不足しており、体内への吸収率は84%と低めです。アミノ酸スコアでは、「糸引き納豆」はスコア100で動物性タンパク質と同じくらい理想的なタンパク質といえますが、「キャベツ 53」「りんご 56」などスコアが低い食品も多いです。バーベル トレー

筋トレやダイエットとタンパク質の繋がり

体内で新しいタンパク質が合成される一方、古くなったタンパク質は分解されて消えていきます。筋肉を増やすためには、分解される量よりも合成される量のほうが多くなくてはならないため、十分な量のタンパク質が必要となるでしょう。

筋タンパク質にも限界がある

筋タンパク質とは、トレーニングなどで負荷を与えて傷付いた筋肉繊維を、修復したり構成させたりするタンパク質のことであり、このタンパク質が合成を繰り返すことで、強い筋肉が作られます。 しかし、摂取したタンパク質が全て身につくわけではなく、足りないアミノ酸があると筋タンパク質の合成もうまくできないため、必要なアミノ酸をそろえることはとても難しいといえます。

ダイエットにおいてタンパク質とは

タンパク質は筋肉の材料になるだけでなく、代謝をサポートするビタミンB1やB2も多く含みます。そのため、エネルギーを燃焼しやすい体を作るために必要な栄養素といえます。 タンパク質の摂取量は体重1㎏に対して1gが目安であり、体重60㎏の人であれば1食20gのタンパク質を目標に摂取するとよいでしょう。たとえば、鶏むね肉100g食べるとタンパク質21.7gを摂取することができます。カロリーは約191Kcalであり、約20分のジョギングで消費するカロリーです。牛乳 カルシウム

タンパク質の過剰摂取によるカルシウム不足

意外と知られていませんが、タンパク質の過剰摂取は体内のカルシウム不足を招く原因にもなります。カルシウム不足に気を付けながら、タンパク質だけでなく、バランスよく食事をとることが大切です。

カルシウムが排泄される

タンパク質の分解にはカルシウムが必要なため、タンパク質を多く摂取すればするほど、カルシウムの排泄も多くなります。そのため、タンパク質の過剰摂取はカルシウム不足へとつながってしまいます。 カルシウムが不足することで、骨の中のカルシウムも失われるため「鬆症」(しょうしょう)を引き起こす恐れがあります。また、タンパク質の消化のために腎臓や胃などに過剰な負担がかかり、合併症などを引き起こす恐れもあるため、適量を守って摂取することが大切です。

カルシウム不足におすすめ

カルシウムといえば牛乳ですが、100gの牛乳には110mgのカルシウムが含まれています。その他のカルシウムが多く含まれる食材は、卵黄100gでカルシウム150mg、豆腐100gでカルシウム120mg、魚肉ソーセージ100gでカルシウム100mgなどがあります。カップル 落胆

過剰摂取するとなりやすくなる病気

タンパク質の摂取を意識するあまり、脂質も多くとってしまい、カロリーオーバーや肥満などにつながる場合があります。筋肉を作るためにはタンパク質の摂取は大切ですが、健康を損なう恐れがあることを知ることもとても大切です。

尿路結石の原因になる

動物性タンパク質を摂取することで、体内では「シュウ酸」や「尿酸」などの物質が増加します。 この「シュウ酸」は、通常なら腸内でカルシウムと結合し便として排出されますが、吸収しきれなかったシュウ酸は尿と結びつきます。 シュウ酸が尿と結合してしまうと、尿の中のカルシウムと結合され、石のようなかたまりを作ります。そのため、排泄されにくくなった尿は尿管につまりやくなり、尿路結石の原因となります。

内臓疲労してしまう

体内に摂取されたタンパク質は、必要なタンパク質へと合成や分解を繰り返しますが、過剰摂取のために余ってしまったタンパク質は「窒素」へと分解されます。 この窒素は体内では必要のない物質のため、体外へ排泄する必要があるのですが、窒素は体に有害な物質のため、肝臓で無害な尿素に変えてから尿として体外へ排泄されます。 タンパク質を過剰摂取すると、この工程が多くなってしまうため、肝臓や腎臓に大きな負担がかかってしまいます。そのため、内臓疲労へとつながってしまいます。

腎不全や腎臓病になる

腎臓は体内の老廃物をろ過する臓器です。これまでにおこなわれた実験では、タンパク質を過剰摂取することで、腎臓でろ過される老廃物の量も増加し、長期にわたりこの過剰なろ過が繰り返されることで、腎臓に大きな負担がかかるとともに、機能も低下されることが示されています。 腎不全や腎臓病は、腎臓のろ過する機能が低下した状態のことをさす病気です。腎臓が正常であっても、タンパク質の過剰摂取は腎臓に大きなダメージを与える恐れがあるといえます。

脱水症状を起こす

ダイエット方法の一つに、炭水化物をタンパク質に置き換える方法があり、食事もとれるうえ、カロリーが大幅におさえられることから人気なダイエット法です。 しかし、タンパク質の分解には多くの水分が必要となるため、これらが原因で脱水症状を引き起こす恐れがあります。タンパク質は、炭水化物以上に水分を必要とする栄養素であることを、再認識する必要があるでしょう。

腸内環境が乱れる

腸の中には、100種類以上100兆個にもおよぶ腸内細菌が生息しています。腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「どちらでもない中間の菌」の3種類に分けられ、1番多く生息しているものが「どちらでもない中間の菌」で、1番少なくごくわずかしか生息していないものが「悪玉菌」です。 動物性タンパク質を過剰摂取すると、体内に吸収されなかったタンパク質はそのまま腸へと運ばれます。腸内に運ばれたタンパク質は、悪玉菌のエサになりやすいため、腸内環境が乱れる原因になります。 1番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうことで、腸の運動が弱まり便秘につながるだけでなく、中毒菌や病原菌による感染の危険性や、発がん性をもつ腐敗産物の生成など、危険なリスクが多くなります。 腸内環境が乱れているときは、黒っぽい嫌な臭いがある便が出ることが多く、口臭や体臭がきつくなることも多いので、普段から意識することが病気の早期発見につながるでしょう。栄養 料理

バランスのよい食事をすることが大切

筋力トレーニングやダイエットなどに励んでいるときは、意識が高いあまり、無理な運動や食生活になりやすい傾向があります。そんな人に多いタンパク質の過剰摂取は、効果が思っていたように出ないだけでなく、健康を損なう危険性も多くあります。 毎日三食をしっかりとることを前提に、動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく食べながら、健康的に過ごしましょう。

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