毎日のストレッチで健康的な体を手に入れる
怪我の予防や硬くなった体を、柔軟するのに効果的なストレッチ。ストレッチを行うことで、血液の流れが良好になり体内に蓄積されている老廃物を、排出しやすくなり疲労回復やむくみ改善など、さまざまな効果もあります。毎日のストレッチで健康的な体を手に入れる効果的な方法をご紹介いたします。ストレッチとは
そもそもストレッチとはどのようなものなのでしょうか。健康的な体作りができるストレッチについて見てまいります。ストレッチの定義
ストレッチとは、筋肉を伸ばすことが目的になります。筋肉は筋繊維という細い繊維が束になってできていて、この繊維の中にはコラーゲン成分を含有。筋肉を解剖学的に見ると多くの場合、骨から骨へと繋いでいる筋繊維ということになり、ストレッチとすることで「骨と骨の間にある筋繊維を伸ばす」ことをいいます。 ストレッチには、筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げる効果があるほか、呼吸を整えたりリラックス効果があるなど心身のコンディション作りにさまざまな効果を発揮。1960年頃にスポーツ科学の論文中で使われ始め、1970年代後半から急速に広まったストレッチですが、当初は静的ストレッチのみでした。筋トレとの違い
ストレッチは硬くなった筋肉を伸ばし、血流を改善。筋肉を緩めることを目的であることに対し、筋トレは筋肉に負荷をかけて鍛えることで筋力の維持増進をする運動になります。ストレッチと筋トレ、どちらも筋肉を動かし血流を良好にするので健康な体作りに大切な運動ですが、効果を実感するまでの期間が異なります。 柔軟性を高め、肩こりや腰痛を解消する効果をメインとするストレッチは、毎日行うことで徐々に体の不調を感じている部分を緩和。継続して行うことで肩こりや腰痛を解消します。一方、筋トレでは筋肉に負荷をかけて怪我をしにくく疲れにくい体を作ることがメインとなるので、毎日行う必要はありません。3日に1度は休むことで効率よく怪我をしにくく疲れにくい体を作ることができます。ストレッチの種類
2000年頃から区別され始めた静的ストレッチと動的ストレッチ。静的ストレッチと動的ストレッチの違いについて見てみましょう。動作を伴う動的ストレッチ
ダイナミックストレッチとも呼ばれる動的ストレッチ。動的ストレッチとは手足を動かし、動きの中で筋肉を伸ばしていくストレッチ方法。体をダイナミックに動かすことで心拍数が上昇。体が温まるため、スポーツや競技のシーンでウォーミングアップとして使われています。 また、動的ストレッチの代表例にラジオ体操があります。ラジオ体操の動きの中には反動をつけて筋肉を刺激。心拍数が上昇し、筋肉の可動域を広げる効果があります。起床後に行うことで、心身をすっきりと目覚めさせる効果が期待できます。止まったまま行う静的ストレッチ
静止状態を意味する英語staticに由来する静的ストレッチは、別名スタティックストレッチとも呼ばれています。足や腕をさまざまな方向に動かす動的ストレッチとは異なり、静的ストレッチでは筋肉を一方向に伸ばしていくのが特徴。ゆっくりと筋肉を関節可動域の限界まで伸ばし、その状態を数十秒間キープすることが静的ストレッチの基本動作。 主に運動後のクールダウンや就寝前のリラックスとして行われます。静的ストレッチは、運動後のクールダウンや就寝前のリラックスに取り入れることで、筋肉痛や疲れを軽減させる効果が期待できます。動的ストレッチの効果
ストレッチを行うことで得られる効果を詳しく見てみましょう。まずは、動的ストレッチの効果についてです。怪我を予防する
動的ストレッチは、腕や足をさまざまな方向に動かすだけでなく、体をひねる動作などもあり本格的な運動を始める前の軽い運動になります。腕や足を大きく動かすことで体の内側が徐々に温まり、体温が上昇。血流がよくなり筋肉の温度も上昇します。 スポーツや筋トレを行う前のストレッチとして取り入れることで、スムーズに体が動くようになり怪我を防止。また、パフォーマンス向上効果も期待できます。筋トレの効果をアップさせる
筋肉は、姿勢を維持する役割をするため常に緊張状態を保っています。しかし、筋肉がガチガチに緊張している状態では体をうまく動かすことができません。同じ姿勢を保った状態から急に体を動かそうとしたときに痛みを感じるのは、筋肉が緊張状態で固まってしまっているためです。 筋トレなどのトレーニングを行う前に動的ストレッチで緊張している筋肉をほぐしましょう。血流がよくなり、筋肉がほぐされ動きやすい状態に変化することで、その後に行うトレーニングの効果をアップさせます。カロリーを消費する
ダイエットにも効果のある動的ストレッチ。動きのあるストレッチを行うことでカロリーが消費され、ストレッチを終えたあとも筋肉の温度が上昇しているため新陳代謝がアップ。しばらくカロリーが消費されやすい状態が続きます。 動的ストレッチだけでは消費できるカロリーは大きくありませんが、有酸素運動や筋トレなどを組み合わせることにより大きなカロリー消費に繋がります。また、動的ストレッチは体をひねる動作も含まれているのでお腹周りの引き締め効果も発揮。カロリー消費目的だけでなく、体を引き締めたい人にもおすすめのストレッチです。血流をよくする
デスクワークなど、一定の姿勢を長時間続けていることで起こる肩こりや腰痛は、筋肉が凝り固まってしまい血液の流れが悪くなっていることが原因。座った体勢のままできる肩回しや腰をひねる動作などの動的ストレッチで凝り固まっている筋肉をほぐしましょう。座った体勢のままでも、肩周りや腰周りを大きく動かすことで血流を促進する効果を発揮。 凝り固まった筋肉をほぐすだけでなく、冷え解消にも繋がります。動的ストレッチには、体のさまざまな不調を改善する効果があります。むくみを解消する
足やお尻など、夕方になるにつれてむくみやすくなる部分は動的ストレッチで解消できます。股関節など、リンパが集中している部分の可動域を広げることでリンパの流れを促進。老廃物が効率よく排出されるようになるため、むくみ解消効果が期待できます。 また、動的ストレッチにマッサージをプラスすることで、より効率よくむくみを解消することができます。お風呂上がりなど、体が温まっているときに行うと効果アップ。気分をリフレッシュする
手足を大きく動かして行う動的ストレッチには、適度に体を動かすため気分を高揚させる効果があります。気分が高揚することで、気持ちが落ち込んでいるときや鬱々としている気持ちをリフレッシュ。気持ちのリセットをすることができます。 また、寝起きですっきりしない頭を目覚めさせる効果や食後、眠くなってしまう前に動的ストレッチを行うことで眠気を解消。その後の予定を円滑にすすめることができます。静的ストレッチの効果
手足を大きく動かす動的ストレッチとは異なり、筋肉を一方向に数十秒間キープして伸ばす静的ストレッチ。静的ストレッチの効果について見てみましょう。柔軟性の向上と維持
可動域ギリギリのところまで伸ばした姿勢を維持する静的ストレッチは、柔軟性の維持に効果的。柔軟性の高い体というのは骨や関節が柔らかいという意味ではなく、それらを支えている筋肉や腱の伸縮しやすく柔らかい状態にあることをいいます。 静的ストレッチを毎日行うことで、筋肉や腱の伸びる可動域が広がり柔軟な体を作ることができます。また、毎日静的ストレッチを行うことで柔軟性の高い体をキープ。反動をつけずに行うことで筋肉や腱を痛めずに伸ばすことができます。気持ちをリラックスさせる
呼吸を整えながらゆっくりとした動きで行う静的ストレッチには副交感神経を活発にさせる効果があります。副交感神経が活発になることで筋肉と気持ちをリラックスさせる効果を発揮。緊張で体がガチガチに固まってしまっているときに静的ストレッチを行うことで、筋肉のこわばりがほぐされ気持ちにも余裕ができます。 心身ともに緊張し、凝り固まっていると感じるときは静的ストレッチを行って緊張をときほぐしましょう。緊張がときほぐされることで、リラックス効果のほかに凝りや痛みを感じている部分を緩和する効果もあります。疲れをとる
柔軟性を高める効果もある静的ストレッチは、筋肉のこわばりをほぐし血流がよくなることで蓄積された疲労の軽減にも繋がります。疲れの原因となる疲労物質は、血流が悪くなることで老廃物がきちんと排出されないため体内に蓄積されることで起こります。 静的ストレッチを血流が滞りやすい股関節やふくらはぎ、太ももの裏側を意識して行うことでリンパの流れを促進。疲労の原因となる疲労物質が老廃物とともに流れやすくなります。ぐっすり眠れる
静的ストレッチにより副交感神経が優位になることから日中の活動で上昇していた心拍数が低下。心身ともに落ち着くので安眠に効果を発揮します。眠る前やお風呂上がりに、日常生活の中で凝り固まりやすい肩周りや股関節周りの静的ストレッチを行うことで、快眠だけでなく疲労回復効果も期待。 翌朝すっきりとした目覚めを感じることができます。また、睡眠の質が向上することで疲れにくい体にすることができます。肩こりや腰痛の改善
肩こりや腰痛など、凝りや疲れを感じる部分には老廃物が蓄積して周辺組織が硬くなっている場合があります。そのようなときは目的の部位や周辺の筋肉をゆっくり伸ばしていくことで、筋肉のこわばりがほぐされ血流を改善。 不調の原因となる老廃物を取り除くことに繋がります。動的ストレッチのような勢いのあるストレッチは、痛みを感じている部分をさらに痛めてしまう可能性もあるので静的ストレッチを行いましょう。ストレッチを効果的に行うためのポイント
手足を大きく動かしたり、不調を感じる部分の筋肉や腱を伸ばしたりすることがストレッチですが、ストレッチを効果的に行うためのポイントがあります。ストレッチを効果的に行うためのポイントを見てみましょう。体を動かしやすい服装で行う
ストレッチや運動など、体を動かすときの基本的な服装は体を動かしやすい服装であること。デニムや革製の生地など、動きが制限されてしまうような服装では満足に筋肉を伸ばせません。筋肉を充分に伸ばすためにはジャージなど、体を動かしやすい服装で行うことが重要です。 体を締め付けず伸びのよい素材の服装で行いましょう。また、ストレッチは体の内側を徐々に温め汗をかきやすい状態にします。そのため、乾きやすい素材の服が適しています。正しいタイミングで行う
ストレッチは基本的にいつ行ってもかまいませんが、動的ストレッチと静的ストレッチにはそれぞれ正しいタイミングがあります。運動の前後や眠る前など、動的ストレッチと静的ストレッチを正しいタイミングで行うことで高い効果を発揮します。 例えば、入眠前に効果的な静的ストレッチは気持ちだけでなく筋肉もリラックスしてしまうので運動前に行うと、運動中に力が入らなくなるなどの弊害が発生。動的ストレッチと静的ストレッチはタイミングに合わせて使い分けましょう。伸ばしたい部位に意識を集中させる
ストレッチは、ただなんとなく形を合わせるだけでは効果が半減してしまいます。勢いにまかせたストレッチも逆効果。ストレッチは、伸ばしたい体の部位に意識を集中させ、そこに酸素を送るイメージで呼吸をしながら行うことで効果的に筋肉や腱を伸ばすことができます。 また、痛みを感じるときは無理をせず気持ちのよい痛みの感覚を基準に行いましょう。痛みを我慢して行うストレッチは怪我の原因にもなるので注意しましょう。無理のない範囲で毎日続ける
ストレッチは、1週間に1回や疲れたときだけ行うのでは効果がうまく発揮されません。とくに、運動不足や長時間同じ姿勢を取り続けていると筋肉がこわばり血管を圧迫。筋肉が酸素不足になり硬く縮んでしまうという悪循環に陥ります。 柔軟性のある質のよい筋肉を作るためには、毎日の継続が大切。負担にならない程度で、毎日ストレッチを行いましょう。筋力と体力アップに効果的な動的ストレッチ
筋力と体力アップには動的ストレッチがおすすめ。運動効果を高め、1人で安全に行える動的ストレッチ5種類を見てみましょう。股関節の可動域を広げる動的ストレッチ
歩きながら行う股関節を回して可動域を広げるストレッチ。股関節周りの筋群を温めるストレッチで、運動前や足腰のだるさを感じているときにおすすめ。股関節を回して可動域を広げるストレッチは、20メートル間を歩きながら行います。- 1.歩いている途中に右膝から右足を胸に向かって上げて、膝が曲がったまま側面右側に回転させていき地面に戻します。
- 2.3ステップ終えたら左側も同じ要領で回します。
- 3.左側も3ステップ終えたら再度右側を3ステップ行います。
- 4.同じ動作をテンポよく繰り返していきます。
コアを活性化させるウォーキングランジ
一歩一歩を大きく踏み込むことで、体幹とバランス感覚を鍛えることができるウォーキングランジ。体のコアとなる部分を活性化させ、股関節周りの筋肉を伸ばす動的ストレッチです。歩きながら行うストレッチですが、歩くスペースがないときはその場で足を入れ替えて行いましょう。- 1.20メートルの距離を大きく片足を前に出して踏み込みながら歩いていきます。
- 2.前にだした膝を90度になるまで曲げ、後ろ足の膝を地面に近づけるように腰を落とします。
- 3.両腕を頭の上に持っていき、バンザイのようなポーズをとりながら骨盤を軽く後ろに傾けます。
- 4.3秒ほどキープしたら、反動を使わずに立ち上がり反対の足も同様に行っていきます。
肩周りの筋肉をほぐす動的ストレッチ
肩甲骨は体を安定させる上で大きな役割を果たします。姿勢が悪いために肩甲骨周りに凝りを感じることがあります。肩周りの筋肉をほぐす動的ストレッチを取り入れましょう。- 1.腕を下げた状態で肩を前にだし、1回転させます。
- 2.次に、肩を後ろに回しながら逆回転させます。
- 3.円を描くようなイメージで10回ほど行います。
- 4.運動前に行うことで、怪我の予防にも繋がります。
リンパの流れをよくするヒップ叩き
リンパ腺の多い足の付け根を刺激する動的ストレッチ。リンパ腺が刺激されることで、リンパの流れがよくなり余分な水分や老廃物が流れやすくなります。また、太もも裏の大腿二頭筋を鍛え引き締める効果もあります。- 1.仰向けのまま足を上げ、腰と膝を折り、足首を曲げたままかかとでお尻を叩きます。
- 2.トントンとリズミカルに20回ほど行います。
- 3.かかとがお尻につかなくてもかまいません。届く範囲で行います。
ハムストリングをほぐす動的ストレッチ
太ももの裏にあるハムストリングという筋肉をほぐして柔軟性をもたせる動的ストレッチ。体の硬さを徐々に柔らかくしていく効果が期待できます。背中が丸まらないように胸を張りながら行いましょう。- 1.床に両足を着けた状態のまましゃがみ、それぞれの足首を掴みます。
- 2.大胸筋と太ももがついている状態をキープしながら、掴んだ手を離さないように膝を伸ばしていきます。
- 3.膝を伸ばせるところまで伸ばし、太ももの裏側、ハムストリングがしっかりと伸びているのを感じます。
- 4.ハムストリングがしっかりと伸びているのを感じたら元の位置に戻ります。
- 5.1セットを10回として、3セット行います。
リラックス効果抜群おすすめの静的ストレッチ
筋肉や気持ちをリラックスさせたいときにおすすめの静的ストレッチ。1人で安全に行うことができる静的ストレッチ5種類を見てみましょう。肩周りを伸ばす静的ストレッチ
肩周りの凝り固まった筋肉をゆっくりと伸ばして血流の促進を促す静的ストレッチ。肩こり解消にも繋がります。座っている状態でもできるので、デスクワークの人にもおすすめ。- 1.両腕を胸の高さに上げ、左腕を右側へと動かします。
- 2.右手首で左ひじの外側を胸の方へと押さえ、10秒ほどキープします。
- 3.左の肩周りが伸びているのを感じたら、右肩も同様に伸ばします。
背中の筋肉を伸ばす静的ストレッチ
正しい姿勢をキープするのに重要な背中の筋肉。同じ姿勢を維持するために凝り固まった背中の筋肉を伸ばす静的ストレッチで、背中の凝りと疲れを解消しましょう。- 1.四つんばいの体勢になります。
- 2.腕を伸ばしたままお尻を後ろに下げていきます。
- 3.背中の筋肉が伸びているのを感じながら30秒間キープしてください。
- 4.30秒経ったら元の位置に戻ります。
- 5.1〜4の動作を1セットとして、3セット行います。
腿の前面を伸ばす膝抱えストレッチ
骨盤の歪みを矯正する効果のある膝抱えストレッチ。足をひきつけることで腰回りやハムストリングを伸ばし、むくみや腰痛の改善効果が期待できます。頭が床から浮かないように注意します。- 1.両膝を抱えて丸くなり、後ろに倒れます。
- 2.呼吸を整えながら30秒間キープします。
- 3.30秒キープしたら片足を伸ばします。
- 4.伸ばしている足の膝裏がなるべく床から離れないようにします。
- 5.伸ばしている足の腿の前面が伸びているのを感じながら30秒間キープします。
- 6.30秒間キープしたら、左右の足を入れ替えて同じ動作を行います。
内腿を伸ばすサイドレッグストレッチ
運動前の準備体操で行ったことがあるという人も多いサイドレッグストレッチ。動的ストレッチとは異なる静的ストレッチなので、反動は一切つけずに行いましょう。- 1.足を広げてたち、体重を片足に乗せます。
- 2.徐々に軸足を曲げていき、反対の足を完全に伸ばしていきます。
- 3.内ももが伸びていると感じられるところで静止します。
- 4.30秒ほどキープします。
- 5.ゆっくりと元の姿勢に戻り、反対の足も同様に伸ばします。
下半身の可動域を広げる鳩のポーズ
ヨガのポーズの1でもある鳩のポーズ。中殿筋や外腿、股関節のストレッチをすることで下半身の可動性を高めることができます。- 1.床に座ります。
- 2.左膝を前にもってきて、膝を曲げ、左脛が床にくっつくようにします。
- 3.できるだけ脛がまっすぐになるようにします。
- 4.右足は後ろに伸ばします。
- 5.右足の甲は床にくっつけます。
- 6.右足は体とまっすぐになるように伸ばします。
- 7.両手は後ろで組み、引っ張られるような感覚で後ろに引きます。
- 8.もっと伸ばしたいときは、両腕を前方に思い切り伸ばし前にある足に覆いかぶさるようにします。
- 9.数十秒間キープしたら、反対の足で同様の動作を行います。