カメラマンに就くにはなにが必要か
カメラマンになるには、なんの資格もいりません。カメラさえあって、その撮影で収入を得ればいいだけです。でもそれが難しい、カメラが好きな人はいっぱいいますが、皆アマチュアカメラマンです。
カメラマンは資格のいらない仕事
カメラマンになるには、資格が必要ありません。自分で宣言すれば、明日からカメラマンとなれます。大学の芸術科や、専門学校に通う必要もないです。自分の腕に自信があれば転職も可能です。
その代わり、学歴などの肩書は通用しません。今までどのような作品を撮ってきたか、どんな仕事をしてきたかが重要となります。日本では、カメラマンといえば一眼レフをかかえてなん本もレンズを持っている人、というイメージがありますが、映画やTVの動画を撮影するスタッフもカメラマンです。
カメラマンの主な専門分野
カメラマンはひとりで全ての分野の写真を撮るわけではありません。専門分野に特化して自分の仕事を追及しています。人物だけを撮る人もいれば、風景しかとらない人、車の写真ばかり取る人もいます。
広告写真撮影カメラマン
雑誌やポスター、新聞広告などに載せる、宣伝用の写真を依頼を受けて撮影します。撮影対象は人物を使った写真や、車、料理など多岐にわたり、対象ごとの専門分野を持っている人もいます。
人物の撮影では、通常はカメラマン単独ではなく、スタイリストやヘアメイクなどと協力して撮影することが多いです。スタジオで撮影するときもあれば、街中や海辺で撮影するときもあります。
ブライダルカメラマン
結婚式や披露宴の現場を写真または動画で撮影するカメラマンです。結婚式は一生に一度の記念になるものですから、失敗はできません。新郎新婦入場から、ケーキ入刀、お色直し、キャンドルサービス、キスシーンなど、押さえなければならないところはたくさんあって、どれもやり直しがききません。毎回が緊張する仕事です。
報道カメラマン
事件や事故、記者会見など、報道に必要な写真や動画を撮影しているのが報道カメラマンです。多くは新聞社やTV局、出版社などの会社に所属しています。普段は待機していて、事件や事故があると急いで現場に向かう仕事です。
記者会見などでは、脚立に乗って後ろから撮影しています。場所取りで怒鳴り合いになっているところが、TV中継で時折見られます。
アート系カメラマン
広告や報道写真のような商業性はなく、写真を芸術のひとつとして撮り続ける人がいます。大自然の風景や人物、街並みなどを自分の感性で切り取っている人や、過剰な装飾を加えた写真を撮ったり、あるいはぎりぎりまで表現をそぎ落とした写真を撮ってみたりと、表現方法はさまざまです。
アート系の写真のみで生活できる人は、世界でもほんの一部だと思います。世界的に有名な写真雑誌に繰り返し採用されたり、大きな賞を取ったりすれば認められる可能性があります。
カメラマンの仕事の大変な点について
フリーのカメラマンとなって、大変なのは、仕事を見つけてくることでしょう。カメラマンといえども、営業は大事です。安定した収入を目指すのは、カメラの技術を身につけることよりも大変です
収入が安定しない
カメラマンでも、出版社や新聞社、TV局など会社に雇われているカメラマン通常の社員と同じように給与が出ますが、フリーのカメラマンとして独立して認められてコンスタントに仕事が入ってくるようになるまでにはかなりの努力が必要です。
まず自分がカメラマンであることを周囲に認めさせ、どの分野なら他人より抜きんでているかをアピールすることが重要です。
もといた会社から広告の仕事を貰ってきたり、営業が苦手ならばWebで写真のブログを作ったり、とにかく自分はカメラマンなんだということを知ってもらえないとダメです。いきなり独立するよりは、初めは別の仕事とWワークで、空いている時間に写真の仕事をしたほうが、収入は安定します。
体力を必要とする仕事
カメラマンは、カメラを一台だけ持って仕事するわけではありません。常にバックアップ用、または違うレンズを付けたカメラをもう一台か二台持っています。交換用レンズも何本も持ちます。ネイチャーフォトグラファーやプロスポーツのカメラマンは重い超望遠レンズを持ち運んでいます。三脚もあります。
プロの使うカメラはお手軽なデジカメとは違って、重い一眼レフ式のデジカメです。その場で写真を確認するノートパソコンやタブレットPCなどの重さも馬鹿にできません。それらを一日中まとめて持ち歩いているのです。
ブライダルカメラマンにしても、挙式に遅刻しないように2〜3時間前には会場入りしてほとんど飲み食いせずに仕事が終わるまで頑張るのです。
失敗が許されないというプレッシャー
オリンピックの舞台で、100m走の決勝のゴールを取り損ねたら、そのカメラマンはどう評価されるか、もちろんなにも評価されないです。カメラは一瞬を切り取る力がありますが、その一瞬を撮り損ねたらカメラマンはもう使ってもらえないでしょう。結婚式もそうです。新郎新婦の誓いのキスのシーンを撮り損ねたら、ブライダルカメラマンとして失格です。
今では絶滅したと思われていた動物をネイチャーフォトグラファーが撮り損ねたら、失敗どころかその後の科学の研究や動物保護にも影響をおよぼす可能性があります。それだけカメラマンの仕事は重要で、プレッシャーがかかるものなのです。
カメラマンとして仕事を始める手段
いくら今日から自分はカメラマンだと名乗っても、それで仕事の依頼が来ることは絶対にないです。カメラマンとしての明日につながるようなコネを作ったり、作品を見てもらえる場ができるような機会を作ったりすることが大切です。
カメラマンのアシスタントから仕事を始める
カメラのことを全く知らない人では無理ですが、写真やビデオ撮影の専門学校を卒業した人なら、もしかしたら講師か同級生のコネでプロのカメラマンのアシスタントになることができる可能性があります。または、スタジオで数年間現場経験を積んで、アシスタントになる道もあります。
カメラマンは多分なにも教えてくれないと思いますが、仕事の段取りや技術、心構えを盗むことはできるはずです。特にスタジオカメラマンを目指している人は、スタジオでの現場経験が将来生きてくるはずです。
求人情報を見て応募する
カメラマンの求人も少ないながらあります。一般の求人誌にはあまり載っていないようですが、専門の求人Webサイトなどを探してみれば見つけることができます。大体は履歴書、面接、作品の提出が課題です。経験者優遇なのは、この業界の常として仕方ない部分であり、あきらめずにチャレンジすることが必要です。
YouTubeで動画や写真を紹介
これは、いわゆるYouTuberということでしょう。これで写真や動画を公開してもカメラマンになれるのかな?と考えてしまいます。広告収入に気を取られてばかりで、肝心の写真やビデオの腕を磨くことにはつながらないのでは、と考えててしまいます。
YouTubeに集まるのは小中学生が多くて肝心の顧客をつかまえることにはつながりそうもありません。YouTuberとして生きていくのも大変です。有名なYouTuberなら年収は1億円を超えるそうですが、それはほんの一握りの人です。ほとんどの人は、ほかの人の目にも止まらず消えていきます。
カメラマンに役立つ資格の紹介
カメラマンになるには資格は必要ないと言いましたが、一応、国家資格と民間の検定はあります。資格を持っていないよりは、持っていたほうがアピールになるかも知れません。
国家資格の写真技能士
写真技能士は、フィルム写真についての技能を証明する資格です。実技試験では実際に撮影から現像、引き伸ばしなどの作業をおこないます。写真館のようにフィルムの大判カメラ(ジャバラの付いたカメラ)で撮るには知っておいたほうがよい知識があります。
逆にそれ以外のジャンルでは、ほぼデジタルカメラに移行してしまったので、試験としてはちょっと古くなっています。1級を受けるには、7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験が必要とのことで、今では写真館に長く勤めないと受けるのさえ難しい試験です。
カメラの知識や技能を問うフォトマスター検定
民間団体が主催している試験で、国家資格ではありません。写真が趣味の人や、家電量販店でカメラを売っている人を対象にした試験です。
1級〜3級まであって、筆記試験なのですが、その上にフォトマスターEXという資格があって、これは過去の受賞経歴や作品提出などがあって急に難しくなります。フォトマスターEXは1級合格者でないと、受験できません。
カメラマンは楽な仕事ではないが経験がなくても転職可能
カメラマンの仕事をかいつまんで説明しました。どんな仕事でもそうですが、これだけでご飯を食べていこうと思うと、楽な仕事ではないです。
カメラが好きで、実際に撮るのが上手くても、営業が苦手だとちょっと厳しい状況になりそうですし、逆にカメラの腕はそこそこでも営業が上手い人はまだなんとかなるかもしれません。本当に腕が酷かったら問題外ですが。若い人ならなんとかなるかもしれませんが、40過ぎると非常にきついです。よほど自信が無い限り、趣味にとどめておくか、定年後の副業にとっておくほうがよいでしょう。