個人向け国債は手軽に安心して投資できる
債券は企業や団体に資金的援助をするための商品で、国債は国に投資をするために発行・販売をする債券です。特に個人投資家が投資の有効な商品として人気のあるのが個人向け国債です。国債は1年に2回定期的に利子が支払われ、満期には元本を受け取ることができます。
国が販売している金融商品ですので、価格が下落して利子が支払われなくなったり満期に受けとる元本が値下がりし損をすることもありません。一般の投資目的の金融商品の場合は、企業などの経営状況や社会状況の影響を大きく受けてしまうため、元本割りということもあります。
これに対し国債は国が運営していますので、国が独自で設けている保証制度により守られているため大きな損失はありません。この点が誰もが安心して投資できる大きな理由です。
個人投資家に選ばれる個人向け国債の魅力
個人向け国債は、安定性のある金融商品として以前から人気があります。その魅力は安定性があるだけではなく、他にもいろいろな面で多くの利点があるからです。ここでは、その利点についていくつか取り上げてみます。
元本割れの心配がいらない
国債は国が販売している金融商品ですので、いう心配はありません。通常の会社の株などの金融商品でしたら、取り扱う「会社」の経営悪化もしくは倒産などに大きく影響されて、利子配当がなかったり、最悪の場合元本割れになる、もっと最悪な場合元本も戻ってこない可能性もあります。しかし、国債はたとえ社会状況が悪化しても、国が定めた基準利率や最低保証金利などの制度により、購入時より価格が下がるといったように「元本割れ」になる可能性はほぼないと考えてもいいでしょう。
1万円から購入できる
個人向け国債は最低1万円から1万円単位で購入することができます。金融機関では独自で価格設定をして販売しているタイプの国債もありますが、購入できる最低額が5万円であったり購入できる上限額が決まっている場合が多いようです。
それにくらべ国債は、一度に購入できる上限額や購入できる回数、購入者側の年齢や収入などの制限は一切ありませんので、言ってしまえば最低1万円あればだれでも自由に購入することができますので、誰にでも気軽に買える点が人気のある要因です。ただし、購入できる期間はあらかじめ決められていますので、購入するタイミングは事前に確認し、債券用の口座を事前に用意するなど行ってください。
国が発行しているから安心できる
投資も目的とした金融商品は金融機関が販売しているものが多数ありますが、金融機関も一企業ですので会社の経営状況により利子配当額に増減があったり、元本割れをする場合があり得ます。その点、国債は国という揺らがない会社が発行していますので、金利の変動に対してさほど大きな影響を受けず、たとえ金利が下落しても国が定める0.05%の最低金利が保証されているため、大損をする心配はなく最低購入時の額をそのままリターンされますので、安心して購入・投資することができます。
中途換金も1万円からできる
個人向け国債を中途換金するというのは、分かりやすくいえば「債権を手放す」ということです。発行後1年以上経過すると、額面1万円単位で換金することができます。手数料はかかりませんが、次のようなペナルティ(違約金)がかかります。これを「中途換金調整額」といいます。
中途換金調整額=額面の額+経過利子相当額-直前2回分のそれぞれの利子相当額×0.79685(税金) |
ちなみに、上の式にある「経過利子相当額」とは、前回利子を受け取った日から今回中途換金する日までの間の利子を日割り計算した金額です。このお金には税金は課せられません。
中途換金調整額を支払っても元本割れにはなりません。なお、特例として災害救助法の適用となった自然災害で被害に遭われた場合、あるいは国債を所有する人が死亡した場合などは、1年未満でも換金することができます。
でも中途換金は損をする
比較的金利の高い定期預金などは、途中で解約(換金)する場合全額を解約しなければいけませんが、国債は購入した中から一部だけを解約(換金)することができます。そういう点では定期預金や他の金融商品などより使い勝手はかなりいい商品といえるでしょう。また、中途換金を行っても、その日までに受け取った利子や換金日まで正確に日割り計算をするので、損はしないようにも見えます。
中途換金はあくまでも満期に満たない時期での解約ですので、その分に必ず「中途換金調整額」がかかり、元本割れはしないまでも若干損をしてしまいますので、やはり満期まで換金しないに越したことはありません。
そういう点では、購入時に「よりお得感があるから」といって「変動10」にすると、いざお金が必要になり換金しなければいけなくなった時に、それなりにお得感は目減りしてしまいますので、購入時にはそういうことも考えて、欲張らずに短期のタイプにしておくこと大切です。
国が0.05%の最低金利保証をしてくれる
金利は年に2回変わりますが、いずれの状態でも「基準金利×0.66」で計算されますので、金利が0.05%を下回っても金利は0.05%以下にはなりません。この利率が「最低金利保証」といい、この利率がさらに下がることはありませんので、これ以上に利益が減ることもありませんし、元本がマイナスになることもありません。この点が、国債が多くの個人投資家に支持されている理由の一つでもあります。
年間12回毎月発行している
個人向け国債の購入期間は決められており、年12回、毎月5日前後から末日まで募集をし、翌月の15日ごろに発行されます。購入する人はこの期間に金融機関などで購入することになります。購入する回数や上限などはありませんので自分なりの方法で購入することができます。
つまり、毎月定期的に買うこともできますし、年2回更新される金利の動向を見て買うこともできます。国債の金利は銀行や財務省のHPで調べることができますし、毎月、新聞や広報誌などで個人向け国債の募集記事や広告が出ますので、その記事を参考にするといいでしょう。
購入できる期間がほぼ1か月間で年に12回ありますので買いそびれるという心配はありません。財務省HPでは、国債発行スケジュールも公表していますので、計画的に購入しようと考えている人はそちらも参考にされるのがいいでしょう。
個人向け国債の金利の種類
個人向け国債には金利のタイプの違いにより「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類の国債が発行されます。
半年毎に金利の見直しがある変更金利
3種類ある個人向け国債のうち「変動10年」は、満期10年の変動金利型で、2018年11月現在の金利は0.09%と、3種類の国債の中でも一番金利の高い商品です。変動型金利は、半年ごとに金利を見直しますので、よほどの社会状況の悪化がない限り金利が大幅に下がることがありません。たとえ金利が下落しても、0.05%の最低保証金利が適用されるため、元本を下回ることはありません。
ここで、実際にシミュレーションをしてみます。「変動10年」を一括で100万円購入したとします。利子として10年間、年2回250円(税引前)ずつ受け取り、10年後の満期時に元本100万円を受け取ります。よって、100万円購入した10年後には
100万円+5000円(税引前)=1,005,000円(税引前) |
と、10年で5,000円の利子が付きます。この利率は最低保証金利を適用した場合の金額なので「変動10年」は10年の間に利率が上昇するとその期間の利子も増えますので、上記の金額は受け取る最低額ということになります。
購入時の金利が満期まで続く固定金利
3種類のうち「固定5年」と「固定3年」は固定金利型の商品です。「固定5年」は満期が5年で、2018年11月現在の金利は0.05%、「固定3年」は満期が3年で金利は「固定5年」と同じ0.05%です。この二つの商品は国が適用する最低金利保証の0.05%と同率なので、これ以上金利が下がることはありません。また、固定金利型は発行された時点の金利が満期まで変わることがないので、満期時の受取金を知ってから購入することができます。
期間 | 金利 |
固定3年 | 0.05% |
固定5年 | 0.05% |
個人向け国債の商品選びのポイント
個人向け国債には常時「変動10」「固定5」「固定3」の3種類の国債が発行されますが、それぞれの投資目的やお金の使い道などによってもおススメできる国債が変わります。
将来の予定に合わせた期間の商品を選ぶ
国債は確実に貯蓄ができる金融商品ですので、満期時に償還される元本を何に使うかによって国債のタイプを選ぶのもいいでしょう。何かを購入するのでしたら、購入代金や満期から逆算して国債を選ぶのがいいでしょう。1万円単位で一括して購入してもいいですし、特別な用途目的がない場合や老後のためのたくわえとしてでしたら、定期的に少しずつ買い足していくという方法も可能です。
将来の金利変動に備えられる商品を選ぶ
国債は金利が下落しても0.05%の最低金利保証がされますので損をすることはゼッタイありません。逆に金利が上昇した時のことを考えた場合、「固定5」や「固定3」の場合は購入時の金利が確定されていますので金利が上昇しても何ら反映されませんが、金利の動きが左右される変動型の「変動10年」でしたら高金利の額で受け取ることができますので有利です。
ただし、満期は10年タイプしか発行されませんので、10年以内にお金が必要になった場合は利益が減ることも念頭に置いてください。10年のつもりで購入しても、途中何らかの事情でお金が必要になった場合は、途中換金ができる1年が超えていても途中換金扱いになりますので、マイナスにはならなくても、必ず違約金が発生してしまいます。どうしても、10年以内にお金にしたいと考えている場合は、「固定5年」や「固定3年」の方がいいでしょう。
商品を組み合せて金利変動に対応しやすくする
国債は最低1万円から1万円単位で、上限額がなく何回でも購入することができるので、一度につぎ込むのではなく金利の状況を見ながら分割して購入するのもいいでしょう。また、ただ、分割するのではなく、金利の低い時には固定型の短期満期の商品である「固定3年」や金利変動型の「変動10年」を、金利の高い時には金利が変動しない「固定5年」がいいでしょう。
金利の変動や先の動向を見極めるのは初心者にはなかなかできることではありませんので、毎月金利を見て固定型と変動型を買い分けるのがいいでしょう。また、定期的に購入する予定があるのなら、残りの資金を比較的金利の高く、満期までの期間が短い(国債を購入しやすいように短期にします)定期預金などを利用して常に効率的にお金を増やしていくのがいいでしょう。
インフレに強い商品を選ぶ
価格の変動は社会状況や景気動向などに大きく影響されます。国債は比較的安定した金融商品ですが、それでも若干の変動の可能性はあります。国債ならインフレの状況に合わせた買い方が可能です。
「変動10年」は金利が変動するからインフレに強い
国債は、企業の株などのように景気に左右されないので「固定5年」や「固定3年」は安定した金利で取引ができます。ただし、固定型は途中で金利が上昇しても全く関係がないのでそれ以上得をすることがありません。金利上昇も考えた国債でしたら、インフレで金利が上昇すると上昇した金利が適用される「変動10年」がおススメです。
物価連動国債を選ぶ
国債には物価連動方というのもあります。これは、社会の経済状況に合わせて価格が増減するものです。このシステムですと、大きなプラスはないものの損は絶対にない、安定した利益が得られるとして販売前から注目を浴びている商品でした、というのも、現在の経済状況からみてインフレ期待が薄く、マイナス金利の導入により今後も金利の低い状態が続くだろうという予測から販売を延期しています。今後いつ販売を開始されるかも決まっていません。
個人向け国債は譲渡や相続ができる
中途換金はいくらか違約金を支払わなければいけませんが、正式な解約手続きをせずに損をしない方法として個人間の取引があります。通常、国債は売買取引が禁止されていますが個人間の売買は行うことができます。この場合でしたら実際に換金しないでそのまま債権を譲渡・相続できますので、手数料や違約金も発生しません。
個人に売却することで中途換金調整額を自分で計算し代金を受け取るだけで済みます。なお、詳細な金額に関しては相互の話し合いにより決定できます。この個人間の取引は高い信頼性が必要ですので、他人よりも家族や親せきなどに対してこの方法をとる人が多いようです。
ちなみに、受け取る側も債権を管理するための金融機関の口座を持つことが条件ですので、必ず口座を用意してください(手数料はかかりませんし、譲る側の金融機関と別のところでもかまいません)。
個人向け国債への投資に向いているのは
個人向け国債には「変動10」「固定5」「固定3」の三種類があり、どのタイプも元本割れの心配がありません。しかし、満期後の用途や期間などから適した国債があります。当座の用途目的がない場合や少しでも利益を得たい場合は「変動10」のタイプが向いています。
また、10年以内にお金を必要とする場合や、いざという時のための資金として利用する場合は、「固定5年」や「固定3」のタイプが向いています。「変動10」の方が利率は大きいですが、万が一資金が必要になり途中換金をすることになると、違約金が発生しますので若干利益は減ってしまいます。
いずれも最低1万円から1万円ごとに購入できますので、それぞれの用途や計画に合わせて国債のタイプを選ぶのがいいでしょう。
個人向け国債の購入方法
個人向け国債は国で発行している金融商品ですが、財務省などで直接購入できるわけではありません。全国の金融機関で取り扱っていますので、それぞれ個人で金融機関と取引をすることになります。
国債ですので金額自体はどこの金融機関で購入しても同じですし、どこの金融機関でも自由に購入することができますが、サービスや購入手順、中途換金の際の手続きなど、それぞれに違いますので、購入前に知っておく必要があります。ここで購入に関して知っておくべきポイントを少し詳しくご説明します。
全国の金融機関で購入出来る
個人向け国債は全国の金融機関で購入することができます。購入者側の条件や制限はありませんので、自由に購入できます。どこの金融機関で購入しても最低額1万円から1万円単位で購入します。なお、銀行や証券会社によっては国債の他に、「新型窓口販売方式」で国債を販売している所もあります。
これは、銀行や証券会社が直接国から国債を購入し、独自の価格を付けて一般に販売しているものです。この商品は金融機関ごとに販売しているため価格やサービス内容に大きな違いがあります。購入できる種類の一つとして参考にするのもいいでしょう。
銀行や証券会社などの窓口で購入する
全国の銀行や証券会社などの窓口で購入することができます。現在ではお金に関する取引は「ペーパーレス」化されており、ほとんどの証券関係もお手元のの口座上で証券を管理・保存するところを行っています。ペーパーレス化することにより、金額や現在の状況が明確になり、証券の盗難や偽装、紛失などの心配もなくなりました。
購入の際は必ずその金融機関の口座を持っていなければいけませんので、持っていなければ事前に口座を開設する必要があります。口座を開設するためには身分を証明するもの(運転免許証やパスポートなど)や実印を用意してください。
インターネット販売をしている金融機関を利用する
金融機関の中でも、インターネット上でお金の取引を行っている所でしたら国債を販売しています。インターネット取引はわざわざ銀行などに出向く必要がなく24時間どこからでも手軽に購入できます。
さらにネット銀行ならではの期間限定で国債購入額に合わせてキャッシュバックされるキャンペーンなども行っていますので、銀行などに出向く前にネットで情報を得てから購入方法を考えるのもいいでしょう。なお、ネット銀行も、口座を持っていることが前提になります。
購入の際に準備が必要なもの
個人向け国債を購入する際に必要なものは、銀行や証券会社などに鋼材を開設するために必要な本人の身分を証明する書類(運転免許証やパスポート、健康保険証など)や実印、マイナンバーなどです。マイナンバーは個人で事前申請をして取得しておいてください。初めて購入する人は手順などに戸惑ってしまうかもしれませんので、金融機関の窓口を通して購入することをおススメします。
個人向け国債で金利の変動に備えよう
個人向け国債は国が個人投資家向けに販売している金融商品ですので、他の金融商品に比べると金利の上下幅が少なく、もし金利が下がった場合でも0.05%の最低金利が保証されていますので、絶対に損をすることはありません。
最低金利が保証されているのは国債だけです。そのため、投資商品として個人投資家の人気を集めています。また、最低1万円から1万円ごとに比較的安価で購入できるという点も、個人が手軽に購入できる人気の一つにもなっています。国債はゼッタイ損をしませんので(よほどの国情悪化がないかぎり)、貯蓄感覚で購入方法を工夫すると、自由に自分なりに無理をせず利益を増やすことができます。身の丈に合わせた投資ができる商品です。