株主優待の新設情報をチェックするためのポイントを解説

株主優待の新設情報をチェックするためのポイントを解説

2019.02.04

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株主優待に関する最新情報をチェックする方法を解説

株式投資を始めるきっかけは人によってさまざまですが、デイトレーダーのように頻繁に株を売買して利益を得る人とは別に企業が提供する株主優待を目当てに銘柄を選ぶ人もいます。

株主優待の内容は投資判断の材料にもなるため、内容次第で株価が大きく変動することも珍しくありません。企業は頻繁に株主優待に関する情報を発信しており、株主優待 新設・変更・廃止などの最新情報をチェックする必要があります。どのようにしてチェックすればいいのかそのノウハウについてまとめました。

株主優待は貴重な投資の判断材料

株式投資では、株価が安いときに購入し値上がりした時点で売却することによって得られる利益や空売りによる利益などのキャピタルゲインが有名です。それとは別に、株を保有しているだけで得られる利益であるインカムゲインもあります。株主優待はインカムゲインの1つで、企業が自社株を購入してくれた株主に対して自社商品や各種サービスなどの優待品を贈るものです。

株主優待制度は任意であるため上場企業全てが実施しているわけではありません。しかし、商品券などの金券やカタログギフトなど、バリエーションに富んだ優待品目当てに株を選ぶ投資家が多いのは事実です。株主優待の内容によって株価が大きく変動することもあるため、貴重な投資の判断材料となっています。

株主優待の新設情報や変更情報を調べる方法

株主優待 新設・変更などの情報は、株式投資の重要な判断材料にもなるためいち早くチェックしたいところです。遅れをとって株価が跳ね上がった状態で購入しなくて済むようにするには、どのような方法で株主優待の情報を調べればいいのでしょうか。

企業のディスクロージャー

上場企業は投資家に対して重要な会社情報の開示が義務付けられています。これは金融商品取引法に定められている「ディスクロージャー制度(企業内容等開示制度)」によるものです。一般投資家が十分に投資判断を行うことができるような資料には、有価証券届出書をはじめとする各種書類のほか、企業の業績、財務や業務の状況なども含まれています。過去に優良企業が大規模な不正会計処理を行ったことも一因となって、現在では投資家に向けた企業の説明責任が一層求められています。

企業のホームページに「IR情報」として、投資家向けにPRや業績などの会社情報資料を掲載していることも珍しくありません。適時開示されるそのような情報のなかには株主優待の最新情報も含まれています。株主優待 新設・変更などの情報に対する投資家の関心は特に高いものとなっているようです。

適時開示情報閲覧サービスを活用する

株主優待の内容は投資家の投資判断を大きく左右するものになるため企業も軽視することはできません。最近では業績の良い企業が配当金や株主優待などで株主に還元しないことに対する批判も強く、企業は利益の一部を積極的に株主に還元する傾向も強くなっています。

株式優待 新設・変更は比較的頻繁に行われるためその情報をいち早くキャッチしないと買いが先行して知らない間に株価が跳ね上がっていることもあります。また、株主優待が提供される時期も企業によってまちまちです。情報を上手く利用すれば、限られた資金で複数の株主優待を受けることも可能となります。株主優待の最新で正確な情報を入手するには適時開示情報閲覧サービスを活用することをおすすめします。

上場企業の適時開示を時系列に閲覧できる

企業に関する重要な情報は、日本取引所グループのホームページ「適時開示情報閲覧サービス」を活用すればいつでも確認することが可能です。東京・名古屋・福岡・札幌の各証券取引所に上場している会社は投資判断に重要とされる情報を適時開示しています。情報は開示された月日別に時系列で閲覧することができるため、企業の現況を知る上でも貴重な情報となります。

ETF銘柄の現況報告、人事情報、工場の火災発生状況など、株価に影響すると判断される情報はほぼ全て開示されているので、投資家は保有する株に関連する企業情報を逐一チェックする必要があるでしょう。もちろん、適時開示情報のなかには株主優待の情報も含まれています。

これまで優待を実施していなかった企業が新設したり、業績が好調で優待内容を大きく拡充したりするなどの情報を最新の状態で確認できます。株主優待の情報は投資する前の判断資料として重視されることが多いようです。

期間を指定して検索

株主優待 新設や拡充変更の情報は株の情報雑誌に掲載されてからでは、既に株価が上昇していて手が出せないことも少なくありません。日本取引所グループの適時開示情報閲覧サービスを活用して最新の情報を入手することが重要です。優待情報を確認したい場合は、検索期間とともにキーワードに優待と入力すれば検索できます。

検索すると「株主優待制度の新設に関するお知らせ」などのタイトルが出てきます。タイトルをクリックすると「何月何日現在で株主名簿に記載、登録されていて、何株以上保有する株主にどのような優待が新しく実施されるのか」ということを確認することができます。

最近では単元株式数が1,000株から100株に変更される傾向があるため、これに伴う株主優待内容の変更も多いようです。株主優待を受けるためには、権利付最終日、権利落ち日、権利確定日などの知識が必要ですが、情報を上手に活用すれば1年間で複数の株主優待を受けることも可能です。

2018年11月に株主優待を新設した企業一覧

株主優待の内容は企業の業績や経営方針などによって新設・変更されることがよくあります。なかには定期的な株主優待をしていないのに記念・限定として株主優待を実施することもあり、いかに早く新設情報を入手するかが重要となります。参考までに2018年11月に株主優待を新設した企業を一覧にしてみました。

ケア21の株主優待

ケア21は大阪に本社を置き、関西を中心に高齢者介護施設事業や福祉器具のレンタル・販売などの在宅介護事業を展開している企業です。11月20日に株主優待 新設情報を発表しました。その内容は100株以上保有する株主に、QUOカード1,000円分を贈呈するというものです。

権利確定は10月末となっており、2019年10月からの優待となるので注意が必要です。ケア21の配当利回りは2.88%と比較的高く、100株保有時の配当と優待利回り0.88%をプラスすると3.76%の高利回りになるため今後注目を集めることでしょう。

エス・ディー・エス バイオテックの記念優待

エス・ディー・エス バイオテックは殺菌剤を製造する会社として設立され、野菜などを病害虫から守る「ダニコール1000」で有名です。11月19日に株主優待 新設情報を発表しました。その内容は2019年3月限定の記念優待で100株以上保有する株主に、QUOカード1,000円分を贈呈するというものです。

アジアを中心に殺菌剤の世界的な需要が伸びていることによる優待であると考えられます。定期的な優待ではなく期間限定の記念優待であるため、注目されることになるでしょう。

ティビィシィ・スキヤツトの記念優待

ティビィシィ・スキヤツトは美容サロン向けにPOSレジ顧客管理システム、Web予約システムなどを提供し、さまざまな視点から経営をサポートする企業です。11月13日に株主優待 新設情報を発表しました。その内容は、これまで100株以上保有する株主への優待として贈呈されていたQUOカード1,000円分を2019年4月に限り、記念優待としてさらに追加するというものです。

100株保有で1年に2回の株主優待を受けられるため、長期保有を目的とする人だけでなく、権利確定日を挟んで短期で年2回売買する人も増えるでしょう。

ワールドの株主優待

ワールドは百貨店やショッピングセンターなどを対象に衣料や雑貨ブランドを展開する大手アパレルメーカーです。11月13日に株式優待 新設情報を発表しました。その内容は、ワールドの直営店舗・ECサイトで使用できる株主優待券を3月、9月の年2回贈呈するというものです。

100株保有で1,500円相当、300株保有で5,000円相当の優待券を年2回受けられるため、300株保有であれば年に10,000円相当のショッピングが可能となります。なお、9月期の優待については株式の6ヵ月以上の継続保有が条件となります。

兼松サステックの株主優待

兼松サステックは地盤改良や木材の防腐・防蟻処理、セキュリティなど、住まいの安全を守る事業を展開している企業です。特に防腐・防蟻処理技術の高さには定評があり、個人向けの住宅だけでなく公園や橋などの多くの建造物に採用されています。

11月12日に株主優待 新設情報を発表し、100株以上保有する株主にQUOカード1,000円分を贈呈することとしました。住宅工事関連企業のプリペイドカードの優待は珍しいため、優待目当ての投資家が増えると考えられます。

コーア商事ホールディングスの記念優待

コーア商事ホールディングスは、後発医薬品として有名なジェネリック医薬品の原薬販売を手掛けている企業です。値段が安いだけでなく、効果や飲みやすさの面でも改良が施されたジェネリック医薬品の需要は、年々高まっており業績は好調のようです。

11月9日に株主優待 新設情報を発表し、2018年12月限定で100株以上保有する株主に2,000円分のQUOカードを贈呈することとしました。限定の記念優待であるため2019年以降の実施予定はありません。QUOカードの相場は1,000円が一般的となっているため、人気が集中することが予想されます。

第四北越フィナンシャルグループの株主優待

第四北越フィナンシャルグループは、新潟県の地方銀行である第四銀行、北越銀行の2行が経営統合して生まれた新しい企業です。長年地盤としている新潟県を中心として銀行業を展開しています。

国の超低金利政策によって業績が伸び悩む銀行が多いなか、11月12日に株主優待 新設情報を発表しました。その内容は、2019年3月末は50株以上、2020年3月末は100株以上の保有で、2,500円相当のカタログギフトが贈呈されるというものです。新潟の特産品から好きな商品が選べるため人気を呼びそうです。

フォーライフの株主優待

フォーライフは東急東横線沿線をメインとして、低価格戸建て住宅の提供やリフォームなどを展開している企業です。都会の実情に合った都市型コンパクト住宅を低価格で販売しています。

11月9日に発表された株主優待 新設情報の内容は、100株以上の保有数に応じた株主優待ポイントと分譲住宅購入時に20万円相当、注文住宅購入時に10万円相当のキャッシュバックが受けられるというものです。マイホームを検討している人にとってはまたとないチャンスと言えるでしょう。

各企業の株主優待等一覧

   企業名  株主優待内容配当利回り優待利回り必要単元株数権利確定月
ケア21QUOカード1,000円分 2.88 0.88 100 11月
エス・ディー・エス バイオテックQUOカード1,000円分 3.1 1.24 1002019年3月限定
ティビィシィ・スキヤツトQUOカード1,000円分 1.58 1.58 1004月(限定)・10月
ワールド

株主優待券(100株 1,500円分 300株 5,000円分)

 2.53 1.58 100  

3月・9月

※9月は6ヵ月以上継続保有が必要

兼松サステックQUOカード1,000円分 2.84 0.57 100 3月
コーア商事ホールディングスQUOカード2,000円分 2.15 1.79 1002018年12月限定
第四北越フィナンシャルグループ

50株(2019年) 2,500円相当のカタログギフト

100株(2020年) 2,500円相当のカタログギフト

1,000株 6,000円相当のカタログギフト

   ー 1.37

  100

※2019年3月のみ50株

 3月

※2020年からは1年以上継続保有が必要

フォーライフ

株主優待ポイント(100株 1,000 300株 3,000 500株 5,000)

住宅購入時のキャッシュバック(分譲住宅 20万円 注文住宅 10万円)

 3.93   ー 100 3月

 

株主優待を選ぶ際のポイント

株を保有しているだけで優待品の提供を得られる株主優待は大きな魅力です。しかし、優待内容だけで銘柄を選択すると途中で優待が廃止されたり、株価が下落して大損したりすることもあります。株主優待を選ぶ際のポイントについてまとめました。

配当利回りと優待利回りのバランス

株主優待を選ぶ際には、優待内容だけでなく配当利回りと優待利回りのバランスに注目することが大切です。配当利回りは、1株当たりの配当金を現在の株価で割って100を掛ければパーセンテージで算出することができます。

優待利回りは、優待内容を現金に換算しそれを優待を得るために必要となる金額で割って100を掛けるとパーセンテージで算出することができます。企業ごとに株価や優待内容は異なりますが、配当利回りや優待利回りを比較することで株主優待がお得かどうかがわかるでしょう。どちらかの利回りが高くて全体的なバランスが取れていればおすすめです。

企業の規模や業績

どんなに株主優待の内容が魅力的であっても、株を買った途端に業績が悪化して株価が急落すれば大損することになります。企業の決算時期には大きく株価が変動します。業績に期待していたのに予想外の決算から激しく売られることも珍しくありません。

株式優待の内容は年度途中で変更、廃止されることもあります。業績が急激に悪化して株主優待どころか株価の下落によって資金を失うことがないように、企業の規模や業績飲み込みなどについて事前に分析しておくことが大切です。

自社製品は優待利回りが高い

株主優待にお米券やQUOカードなどの金券を贈る企業も少なくありません。しかし、企業が自社の商品や買い物券などを贈る場合は、他社商品を贈るよりも優待利回りが高くなります。

例えば10万円の投資が必要な株で1万円分の優待を受けられれば優待利回りは10%となります。一方、同じ10万円の投資で5,000円分の優待しか受けられなければ優待利回りは5%となります。自社商品を優待品としている場合は優待利回りが10%を超えることも珍しくありません。

長期保有で優遇される株もある

企業は「時価総額○○円」という言葉で資産状況を評価されることがあります。この資産には株式発行による利益も含まれるため、株価の変動によって資産状況が大きく変化することになります。

売却せずにできるだけ長期保有してもらった方が企業は資産を維持することができます。したがって、長期保有を促すために追加の株主優待を提供するなどの優遇措置を実施している企業を選んで投資すると株主優待の内容にも満足できるでしょう。

株主優待に関する注意点

株主優待は魅力的ですが、優待サービスが受けられる代償として投資金額が目減りする可能性もあります。また、決められた日に株を保有していないと優待を受ける権利も得られません。株主優待に関する注意点をまとめました。

タイミングと買い方に注意

株主優待を受けるためには、企業が定めた決算日に株式を保有し株主名簿に記載されている必要があります。株主優待に関連する重要な日として権利付最終日、権利落ち日、権利確定日の3つを覚えておきましょう。

権利付最終日とはその日までに株を取得しなければ株主として認められなくなる日です。その翌日が権利落ち日と呼ばれ、この日を迎えれば株を売却しても株主としての権利はなくなりません。権利確定日は株主としての権利が確定する日です。買うタイミングとともに株主優待が得られる最低所有株数にも注意が必要です。

権利付き最終日前後の株価に注意

株主優待を得るためには、株主として名簿に記載、登録される権利付最終日までに買い付けなければなりません。長期保有しなくても優待が受けられる企業も多いため、権利付最終日の翌日の権利落ち日に売却して権利だけ得るという人も少なくありません。

株主優待の人気が高いほど権利最終日までに買いが集中して株価が大きく上昇し、翌日に一斉に売却されるため株価が大きく値を下げるのが一般的です。権利最終日近くに高値で買ってもその後大きく下落した状態で売却すれば優待は得られても大きな損をすることになります。

優待内容の変更に注意

株主優待を投資判断の重要な材料と考えている投資家は少なくありません。優待内容が良ければ買いが集中し株価も上昇します。したがって、財務状況や業績の見通しなどに問題があっても株主優待だけで投資家を集めようとする企業もあります。

しかし、企業の状態が悪くなれば優待内容が変更されたり廃止されたりすることもあります。そうなれば優待目的の投資家は一斉に離れて株価が一気に下落するでしょう。優待内容で得られる利益よりも株価暴落で失う損の方が大きくなることを常に意識しておく必要があります。

株主優待の最新情報をチェックしよう

株式投資で大きな利益を得るためには、ある程度の株に関する知識やテクニックが必要です。ハイリスク・ハイリターンな投資であるため、大きな利益が得られる可能性がある一方で大損することもあります。

株主優待は株を保有しているだけで優待を得られるので、優良銘柄の選び方や買うタイミングなどの知識があれば何も難しいことはありません。株式優待 新設・変更などの情報は適時開示されているので、最新情報をチェックしてお得な株主優待をゲットしましょう。

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