変動金利型住宅ローンのメリットとデメリットを知りたい
住宅を購入する際、ほとんどの方が住宅ローンを組むことになると思います。この時比較検討しなければならないのが金利です。金利は大きく分けると固定金利型と変動金利型があり、いずれもメリット、デメリットがあるのです。
変動金利型は金利が安い時には特になる、しかし金利が上昇すれば金利も上昇し、住宅ローンの月々の支払額が高くなります。メリット、デメリットを理解した上でどのプランでいくか、慎重に決めていくことが必要です。
半数以上の人が変動金利型住宅ローンを選んでいる
固定金利型は変動金利とは違いもしも金利が上昇した場合でも、金利が変わることなく支払いは一定です。安定した支払をしていきたいという人に向いているといえます。しかし2017年の10月から2018年の3月に新規で住宅ローンを開始した人のアンケートでは、変動型を選んだという回答が56.5%、前回は50.4%という数字なので半数の人が変動型を選んでいます。
固定金利型はどうなのかというと、30.1%、前回を見ると36.9%なので減少しています。全期間固定を選択した人は住宅ローンを新規で組んだ人の1割くらいという回答です。半数以上の方が住宅ローンを組む時に変動金利型を選択しているということになります。
変動金利型住宅ローンの特徴
住宅ローンを新たに組んだ方々の半数以上が変動金利型を選択したとなると、非常に魅力あるプランなのだと感じます。変動型金利の住宅ローンにはどのような特徴があり、何が人気となっているのかも理解しておきましょう。
経済の状況により金利が変動する
固定金利型の場合、住宅ローンの契約時、変動金利型よりも利息が高めに設定されています。しかしその後はたとえ金利が上昇しても固定されているので返済計画は安定しますが、金利が下がった時にも固定なのでその恩恵を受けることができません。
変動金利型は景気が悪い時には金利が低くなり、景気がいい時には金利が高くなります。変動金利型といっても住宅ローンの金利見直しは5年に1度です。しかしその時に金利が下がっていれば5年間は低金利のままになるので、金利が下がった時にはメリットの高いプランとなります。
ただし金利が上昇している事もあるため、金利が高くなるかもしれないというリスクを承知していなければなりません。
固定金利型より金利が低い
住宅ローンを組む時、一般的に固定金利型は変動金利型よりも金利が高く設定されています。契約する時に変動金利型の金利が低く、変動金利型を選択したとき、次の見直しまで固定金利型よりも返済金額は低くなるのです。
その後、景気が上昇せず金利も低いまま、若しくは契約時よりも低くなれば、固定金利型よりも総返済額が低くなるというメリットがあります。ただし、変動金利型の見直し時、金利が固定金利型よりも金利が高くなる恐れもあり、魅力あるプランといえるけれどリスクがあるということを理解しておく必要があるのです。
返済総額が増えるリスクがある
鍋底景気は底をうち、景気が上昇傾向にあると政府が伝えてから、景気が上向きになっていることを感じる業者もいれば、感じない業者もいます。消費者にとってはあまり景気の良さを感じませんし、災害などが多発し食料品などの値上がりが続き、景気の良さを感じにくい状況ではあります。
しかし今後景気が上昇すれば金利も上昇します。すると変動金利型を選択している場合、金利が上昇し返済金額が増える可能性もあるのです。変動金利型を選択されている方、また新規契約時に変動金利型が多くなっているところを見ると、現状、住宅ローンの金利は低めとわかります。
この先、現状維持の金利が高くなれば金利が上昇するリスクがあることを理解し、新規住宅ローンのタイプを選択すべきです。
125%ルールが設定されている
景気がよくなると金利が上がるというリスクを持っている変動金利型ですが、金利が一気に上昇するということはありません。変動金利型の見直しは5年に1度というルールがあり、また直前の返済額の1.25倍をこえてはならないという125%ルールがあるのです。
そのため無制限にどんどん金利が上がってしまうのではないかという心配はなく、最悪でも上限125%は越えることがないということも覚えておきましょう。
変動金利型を選択する際には、今後、金利がどのように変動していくのか、経済状況など情報をつかみ、ある程度勉強しておくと安心です。
メリット | デメリット | |
変動金利型 | ・固定金利型よりも契約時金利が低い ・金利が下がれば返済金額が低くなる ・最悪でも直前の返済額の125%を超えないルールがある(見直しは5年に1度) | ・景気が上がると金利が高くなる ・金利の変動によって月々の返済金額が変わるので返済計画が安定しない |
変動金利型の金利はネットで確認可能
現在の経済状態、金利はどうなっているのか、ある程度経済と金利について情報を持っている事が重要です。経済状態は経済新聞等を確認することで勉強することができます。しかし金利についてはどうやって調べたらいいのか、迷う方も多いでしょう。
住宅ローンの変動金利型の金利情報はインターネットで得ることができます。ネット銀行と主要都市銀行では金利の動きが異なるのでよく調べておくほうが安心です。
2018年1月から主要都市銀行の住宅ローン変動金利型の金利に関しては、最高金利に変化がありません。平均金利と最低金利については少し下がっているようです。ネット銀行はどうなのかというと、ほぼ動きがみられない一定している状態です。ネット銀行と主要都市銀行を比較すると、主要都市銀行の方が少しだけ金利が低めとなっています。
変動金利型の返済額について
変動金利型の返済額についても変動による特徴があります。固定金利型は住宅ローン契約時からずっと金利が一定で、支払い金額も一定となるので返済契約を立てやすいところが特徴です。変動金利型の特徴を理解することで固定金利型の特徴と比較し、どちらを利用するか考えることができるでしょう。
金利が変わらなければ返済額が少ない
変動金利型は契約当初、固定金利型よりも金利が低めに設定されているという点も特徴の一つです。金利がこの先、それほど変動しないということなら、固定金利型よりも返済額が少なくなります。
例えば住宅ローンの借入金額が3000万、返済期間が35年というシミュレーションした場合を見てみましょう。
変動金利型の契約時金利が0.5%、固定金利型の金利が2.45%と仮定し変動がないとします。変動金利型で試算すると返済総額は37,707,560円です。支払い利息の総額を見ると2,707,560円となります。
固定金利型の場合は支払い総額が44,707,167円、支払い金利総額は1000万を超え、14,707,167円となるのです。これはあくまでも当初金利から変動がない場合を過程した試算です。
この先、もしも金利が下がればこの固定金利型と変動金利型の支払い総額の差、支払い利息総額の差はより大きくなります。変動金利型は景気がよくなると金利も上昇するというリスクがありますが、この金額の差を見ると固定金利型の方がだいぶ損をしていると考える事も出来るのです。
金利が上昇するとかなり増える
固定金利型は当初の金利が高く一定なので、変動金利型の金利が上がらない限り支払総額が固定金利型よりも高くなることはありません。しかし、変動金利型は5年に1度、金利の見直しがあります。その時にもしも金利が上がっていたら?支払い総額は大きくなります。
3000万を35年ローン、変動金利型で組んだ場合、当初の金利が0.5%、これが5年に1度の見直しの際、1%上がっていたとなると、変動以前の79,544円の月々返済額が一気に月102,760円に上がります。
変動金利型はこんな人におすすめ
リスクもあるけれど住宅ローンの返済総額を低く抑えることができるかもしれない、住宅ローンな中では魅力も大きくリスクもある金利型といえるのが変動金利型です。安定を求める方はやはり固定金利型を選択されますが、変動金利型はどのような人にお勧めできる金利プランなのか見てみましょう。
借入額が少なく返済に余裕がある
頭金をしっかり貯めて支払うことができれば、ローンを組む残債は少なくなります。
変動金利型は住宅ローン額が少なく、返済にある程度余裕がある人に向いています。住宅ローンの支払い金額が少なく期間も短いのであれば、金利の大きな変動もそれほどないことが予測されますし、契約当初は固定金利型よりも利息が低く月々の支払金額も少なくなります。
仮に金利が高くなっても支払える範囲、余裕があるということなら変動金利型をお勧めできます。
経済の動向にくわしく自分で対処できる
経済についてある程度の知識を持っている、経済情報誌や新聞などを読み常に経済の動向を理解しているという方は景気がどう傾くのか、ある程度理解できます。景気がよくなれば金利が上昇、悪くなれば減少する事がわかっていれば、金利見直しの前に繰り上げ編成や借り換えなどを考慮できます。
しかし経済や金利のことにそれほど詳しくないという人は、固定金利型で安定した支払をしていくほうがいいでしょう。景気を読むことができ、金融商品にも明るいという人なら、リスクとなる前に手をうつことができるので、変動金利型はおすすめです。
未払利息のリスクを認識しておくこと
変動金利型のリスクの中であまり知られていないリスクがあります。それが未払いリスクです。借入額が3000万、現在の金利が1%、変動金利型の35年元利均等、ボーナス払い無という住宅ローンで考えてみます。
当初返済額は85,000円くらい、2年経過し24回返済した時、利息分は24回支払った分の残額×0.01(金利1%)÷12ヶ月となるので計算するとだいたい24000円弱くらいの利息金額です。毎月の支払額は85000円くらいなのでそこから24000円の利息分を引いた61000円が元本の支払いとなります。
金利が上昇し仮に4%まで上昇するとどうなるのか同じように計算してみると利息亜が90000円を超えます。つまり月々の返済額85000円を超えてしまうので、足りない分の利息90000円-85000円=15000円、この分が残高に「未払い利息」として上乗せとなります。
約定通りに返済をしているのに残高が増えていくという状況になってしまうのです。ただし、現在日本の経済状態でここまで金利が一気に上昇していくことは考えにくいといわれています。ただ過去には1年に2%金利が上昇した、3年で3%にもなった、ということがなくはないので、未払い利息のリスクも理解する事が必要なのです。
おすすめの変動金利型住宅ローンの紹介
リスクはあるけれど総返済金額が固定金利型よりもかなり減少するかもしれない魅力を持っているのが変動金利型です。リスクも頭に置きながら経済の状態を理解し利息についても情報を得ておくことで、借り換え、繰り上げ返済なども模索しておけばかなり魅力的なプランです。
変動金利型の住宅ローンも金融機関によって様々なタイプがあるので、商品特徴などをつかみ、自分、家族の経済状態にあったものを選択しましょう。
じぶん銀行の全期間引下げプラン
じぶん銀行の住宅ローンは、手続きをインターネット上で完結できるということで人気となっています。原則、契約書への記入や捺印が必要なく、申し込みから契約までの期間も、最短10日くらいと、今までの住宅ローンでは考えられないほど短くなりました。
じぶん銀行の全期間引下げプランは、新規でも借り換えでも利用できる魅力ある住宅ローン商品です。変動金利は現在0.4%から0.5%くらいを推移しているようです。じぶん銀行の住宅ローンは固定金利型も他と比較して金利が安いので人気があります。
住信SBIネット銀行のネット専用全疾病保障付住宅ローン
住信SBIネット銀行、こちらの住宅ローンも人気です。特にネット専用全疾病保障付住宅ローンは、低金利の団体信用生命保険にプラスし、全疾病保障の保険料が無料です。女性の場合も、8疾病保障、がん診断給付金特約を付帯できるようになっています。
また通常繰り上げ返済する場合、手数料がかかりますが、こちら、無料でまた何度でも1円から利用できるのです。これは非常に大きな魅力でしょう。
イオン銀行の住宅ローン 金利プラン 手数料定率型
イオン銀行の住宅ローン、金利プラン 手数料低率型は一部繰り上げ返済や手数料が無料でお得です。イオン銀行インストアブランチ、インターネットなどを利用して住宅ローンの相談、質問、また申し込みもできます。
金利を少し上乗せすることで8疾病保障、がん保障特約などを受けることもできます。現在の変動金利は0.5%くらい、金利も安くお得です。この保険い契約することでイオンで買い物の際、「毎日」5%オフというのも人気の秘訣です。
変動金利型住宅ローンを借り換するときの注意点
変動金利型住宅ローンはうまく活用すれば住宅ローンの返済総額を減らすことができ、非常にメリットのあるローンといえます。新規契約の際にも、今は金利が低い状態もあるため変動金利型を選択する方が多い状態です。また変動金利型は住宅ローンの借り換えにも魅力ある住宅ローン商品といわれています。
ただし借り換えに変動金利型を利用する場合、注意すべき点もあるのです。借り換えにもよいといわれていますが、注意点をよく理解して判断する必要があります。
審査がある
住宅ローンの借り換えを行う場合には、変動金利型でも固定金利型でも、新規ローンを組む時同様に審査を受けます。新規の時に審査と同じように審査が通らない場合もあります。借り換えの審査は新規借り入れの時よりも審査が厳しくなるといわれているので注意が必要です。
住宅ローンを新規で契約したときと状況が変化している人、返済遅延を起こしている場合には借り換えに慎重になるべきでしょう。新規の時と同じ会社ではないとなれば勤続勤務年数が短い場合もあります。また健康状態に不安がある場合も審査に関係します。
中でも著しい遅延があり個人信用情報に傷がある場合などは審査を通過しないことが予測されます。審査が厳しいということを考え、現在の状況を考慮する事が必要です。
借り換えの理由に返済が難しくなり月々の返済金額を下げたいという理由がありますが、この場合もできる限り遅延を起こさないこと、起こす前に借り換えを考える必要があるでしょう。
手数料や手続きが必要
借り換えを行ない今の支払いよりも利息が低いところで借り換えできれば、月々の返済金額が下がり返済が楽になります。しかし、手数料などの費用がかかることも考えておく必要があります。
新規で住宅ローンを契約したときにも、保証料や事務手数料、抵当権設定費用、印紙税などをローンに組み込んだと思いますが、借り換えの際にもこうした費用が改めて必要となります。借り換えの時にもローンに組み込むことができるので持ち出し費用なしで利用できますが、返済額がその分上がります。
返済額を減らしたいと思って借り換えしたのに、結果的に返済額が少なくならないのでは意味がありません。手数料は30万から80万くらいかかるのでしっかり試算する事が必要です。
またもちろん手続きが必要となり、住民票や所得証明を取得したり自宅を購入した時の物件資料なども用意することになります。その準備が面倒ということも借り換えに関して理解しておくべきです。
手続きに時間がかかる
住宅ローンの借り換えには金融機関へ相談に行き、審査、申し込みに必要な書類を準備、それから審査があり支払いなどの手続きを行うなど、手続きにかなりの時間がかかります。すぐに借り換えしたいといっても時間がかなりかかるので手続きが面倒で時間がかかるということも理解が必要です。
手続きを楽に、またなるべく早くしたいということならネット銀行系の住宅ローン借り換えがいいでしょう。手間がかからず時間も短縮できます。
借入額が少ない場合は変動金利型がおすすめ
変動金利型は金利が低い状態で利用すれば住宅ローンの総返済額をかなり減らすことができるプランとなります。しかし金利が高くなればデメリットの方が強くなる可能性もあり、選ぶ場合には注意が必要です。
借入額が少ない方、また返済期間が短い方にとっては魅力的な住宅ローン商品となります。変動金利型のメリット・デメリットをよく理解し、自分が利用する住宅ローン金利として損がないかどうか、じっくり考えて利用しましょう。