個人型確定拠出年金の始め方を分かりやすく解説
近頃公的な年金に関して将来、自分が老後となった時、本当に支払われるのか不安という声をよく聞きます。しかし年金に関して深い知識を持っているかというと、実はそれほど詳しくない人も多いです。
しかし現実には公的年金すらいくつからもらえるようになるのか、将来のことは全く分からない状態となっています。少子化が進み、どの業種も働く人材の確保に必死といわれている時代です。この先、公的年金について考えておくこと、また公的年金とは別に、自分で管理、運用できる年金に個人型確定拠出年金に関しても注目してみましょう。
個人型拠出年金は通常の公的年金とはまた違う年金です。まずは日本における年金制度を理解しその上で貯蓄や運用ができる別の年金運用を考えてい苦ことが必要となります。
まずは日本の年金制度の確認
個人型確定拠出年金を知る前に、日本の年金制度はどのようになっているのかを理解しておきましょう。日本の年金制度についてはよくニュースでも取り上げられ、今後少子高齢化が進んでいく中で本当にもらえるのか?と不安視されていることもあります。
また民間企業でも定年の年齢が上げられるなど、今までよりも長く働く人がでてきたことで、年金をいつからもらえるのかという事もニュースに上がってきます。
日本の年金制度の仕組み、どのような形となっているのかその内容を知ることで、自分でも老後に困らない貯蓄を考えておく必要になってきます。公的年金だけでは補うことができないかもしれない老後の生活について考える為にも、日本の年金制度を理解する必要があるでしょう。
3階建の年金制度
日本の年金制度はよく、3階建てなどと表現されることが多いです。この1階部分、土台となっているのが国民年金です。国民年金は自営業の方などが加入する年金制度です。2階部分は会社員や公務員などの年金制度となる厚生年金、さらに3階部分は会社によって独自に行われている企業年金や公務員独自の年金上乗せ制度、年金払い退職給付となります。
このうち、企業独自の年金や公務員独自の上乗せの3階部分を除く、1階と2階部分、国民年金と厚生年金がいわゆる公的年金と呼ばれます。
公的年金の支給開始年齢が65歳になる場合も
公的年金の支給に関してはご存知の通り、支給開始年齢が段階的に引き上げられており、将来、より高齢になってから受け取ることができるようになるのでは?といわれています。
現代でも生年月日によっては公的年金制度の支給開始が65歳となるので、退職が60歳だとしたら65歳までの5年間、年金支給なしでの暮らしを考えなくてはなりません。
定年してからも体が元気なうちは働くことができますが、体が元気じゃなくても暮らしてく術を得ることが必要です。年をとっても余裕をもって生活できるように、年金について詳しく理解することはとても重要なことなのです。
確定拠出年金の仕組みと特徴
公的年金をもらえない間、自分の生活を自分の貯蓄で賄うことを考えなければならない、若しくは企業年金で賄うことになれば、今からでもすぐに、将来に備えた貯蓄をしていきたいと考えます。そこで注目されているのが確定拠出年金です。
効いたことはあるけど、どういう仕組みなのかわからないという方の方が多いと思います。確定拠出年金とは何か、その仕組みや特徴などを理解しましょう。
拠出したお金を運用して資産形成を図る
個人型の確定拠出年金というのは愛称でiDeCoと呼ばれています。この個人型の拠出年金は「自分が拠出した掛金」を自ら運用して老後、将来の資産を作るという年金制度になります。60歳まで掛け金を払い、原則として60歳以降になってから老齢給付金という形で受け取ることができるのです。
資産形成のポイントとしては60歳までにいくらくらいの資産を形成しておきたいのか目標を定めていくこと、またこの目標金額に達するためには、月にどのくらいの掛け金をどのくらい運用していけばいいのか、つまり運用利回りを決定しておくことも必要です。
また資産配分や管理に関して、チェックし必要なら見直しを考える事も大切なことです。運用商品の組み合わせを考えることは重要で、運用に関する成果がこれによって大きく変わってくるといわれています。
個人型と企業型がある
確定拠出年金には個人型、企業型があり、iDeCoは個人型です。企業型は企業が掛け金を拠出、企業で決めた制度の中で運用する年金です。加入の仕方や商品の選択、また納付の方法など、個人型と企業型には違いがあります。
個人型(iDeCo) | 企業型 | |
加入の仕方 | 自分の意思で加入を考える | 会社が退職金制度として導入している場合に加入する |
金融機関選択 | 自分で選択する | 会社が選択する |
掛金の支払い | 自分の支払い | 会社負担 |
商品選択 | 自分の利用する金融機関の商品から選ぶ | 会社が準備した商品から選ぶ |
口座管理費用 | 自分持ち | 会社持ち |
納付方法の選択 | 口座振替(給料天引きの利用もできる) | 会社から納付する |
個人型確定拠出年金のメリットとデメリット
個人型確定拠出金は、個人が自分のために、また企業が従業員のために行う年金ということがわかりました。概要だけ知ると非常にいい年金だと感じますが、個人型確定拠出年金にもメリット、デメリットがあります。いい点、悪い点を両方理解し、納得したうえで加入を考えるべきでしょう。
個人型確定拠出年金のメリット
個人型確定拠出年金のメリットとしては税金面での軽減等いくつかあります。メリットを理解してうまく活用することで、将来に向けてしっかりと資産形成を考えていくことができます。
所得税と住民税が軽減される
個人型確定拠出年金は「掛金全額」が「所得控除対象」となるので、所得税や住民税の軽減につながります。自営業者の場合は必要経費を除く所得、会社員の場合、年間給与が基本となり、そこから基礎控除などの各種控除を適用し、それから確定拠出年金の所得控除を計算できます。
例えば自営業の方で必要経費を除いた年間所得が500万で、配偶者ありの場合には、配偶者控除など各種控除を引き、その上で所得控除を計算するとします。確定拠出年金の拠出限度額となる年間816,000円を拠出した場合、所得税と住民税の控除によって25万近くの金額が減少するのです。
つまり、この個人型確定拠出年金は節税効果の高い年金運用方法となります。節税を考える場合も、個人型確定拠出年金はメリットの高い方法です。
運用益と投資利益が非課税
投資に関しては分配金や運用益が課税対象となりますが、個人型確定拠出年金で運用される投資信託の分配金や、定期預金金利の運用益が非課税となります。運用によって得た配当金や売却益をそのまま運用資金として利用できるのは非常に大きなメリットです。
売却益などが出て次の運用を考える場合も、課税対象となる場合、売却益を運用資金に利用するにも課税を考えて次の運用を考えなければなりません。しかし運用益、売却益などが非課税となる個人型確定拠出年金なら、売却益などで得た費用を次の運用にそのまま利用できるのです。
受け取る際にも控除を受けられる
個人型確定拠出年金を年金として受け取る場合は、これも公的年金などと合算し公的年金控除を受けることができます。また一時金として受け取る場合も、退職金との合算ができるため、退職金控除を受けることができるのです。
受けられる控除が多いほど出ていく費用が少ないということですから、個人型確定拠出年金はメリットの高い年金といえるでしょう。
運用コストの低い商品が多い
様々なメリットがある個人型確定拠出年金ですが、運用コストが低い商品が多いということもメリットです。確定拠出年金用に利用する商品は一般的に費用がかからないのです。通常、ファンドなどは購入時手数料がかかることもありますが、商品によってはかかりませんし、かかったとしても安い費用で運用できます。
個人型確定拠出年金のデメリット
メリットが沢山ある個人型確定拠出年金ですが、デメリットが全くないということはありません。どのようなデメリットがあるのかよく理解し、運用を考えていきましょう。
短期運用には向かない
確定拠出年金は貯金とは違い、いつでも利用できるということではなく、原則60歳まで引き出すことができません。そのため、長期にわたる運用を考えておく必要があります。また通産加入期間によって確定拠出金の引き出し可能年齢が変わることもあり、これも注意が必要です。
いきなり使うことができないので支給年齢となるまで動かすことがない資金として考える必要があるのです。それを理解せず、貯蓄と同じように考えていると後悔する事も出てきます。短期運用には向かない特徴を持っていることを理解しておく必要があります。
元割れリスクがある
運用に関しては個人型の場合、自分で考える必要があります。商品を自ら選び掛金を運用していくことになるので運用の仕方が悪いと元本割れを起こす危険性もあるのです。運用の仕方が悪いことで年金額が減ってしまったということもあるので、慎重に運用する事とこのリスクがあることを理解しておく必要があります。
個人型確定拠出年金と個人年金保険を比較
個人型各確定拠出年金と別に個人年金保険という商品があります。これは民間の保険会社が販売するものですが、将来のことを考えて個人年金保険の利用を考えている方も多いです。では個人型確定拠出年金と個人年金保険の違いはどこにあるのか、これも理解しておきましょう。
貯蓄性が高いのが共通点
個人年金保険は民間の保険会社の商品で、様々な保険会社が販売しています。いずれも老後の資金を目的として作られていますが、これらの商品はいずれも貯蓄性が高いという共通点があります。老後の資金形成という点では個人型悪亭拠出年金と共通点があるといえます。
万が一、保険料を支払っている時に亡くなった場合、個人年金保険はご遺族に支払われるので安心度の高い点も特徴です。また個人年金保険は医療保険や生命保険とは別枠で控除対象となるので、この点も個人型確定拠出年金と同じように高いメリットといえるでしょう。
個人型確定拠出年金は税制上のメリットが大きい
貯蓄するという目的は個人型確定拠出年金も個人年金保険も同じですが、税制上に関して扱いが違い、税制上のメリットが高いのは個人型確定拠出年金といえます。個人型確定拠出年金は掛金が全額所得控除対象です。
所得税と住民税が軽減されること、また年金として受け取る場合にも控除対象となるため、税制上でとてもメリットの高い方法となります。
貯蓄するということを考える場合、個人年金保険の方が貯蓄性が高くなりますが、節税、また運用に関するコスト面を考える場合、個人型確定拠出年金を主軸にして余裕があれば個人年金を追加という形で考えるといいでしょう。
個人型確定拠出年金を始める手順
個人型確定拠出年金を始める場合、申し込みなどを行う必要があります。またこの個人型確定拠出年金には加入条件などもありますので、まずは加入条件の確認をして、その後の手順を理解しておきましょう。
加入条件を確認
以前は自営業者、勤務先企業で企業年金制度がない会社員以外利用できませんでした。しかし現在は法改正によって公務員、企業年金加入の会社員、さらに専業主婦も加入できるようになりました。それによってこの個人型確定拠出年金は、広く知られるようになったのです。加入できる条件が幅広くなったことで自分も将来のためにとこの個人確定型拠出年金への加入を考える人も多くなりました。
ただし、国民年金保険料の免除を受けている方、農業者年金に加入している人に関しては個人型確定拠出年金に加入できません。これ以外の方は加入を考えることができます。
申し込む金融機関の手数料を比較
個人型確定拠出年金の場合、自分で利用する金融機関、商品を選ぶことになります。利用にはサービス提供の金融機関で申し込みが必要です。また申し込みの前に、各金融機関の手数料を確認しておく必要があります。
手数料は管理にかかる手数料でどの金融機関でもかかる手数料として国民年金基金連合会に対して支払う手数料、資産管理手数料が毎月167円かかります。それ以外に、証券会社、銀行などの金融機関では運用機関手数料がかかり、これを理解する必要があるのです。
月に数百円くらいと思うかもしれませんが、個人型確定拠出年金は長い期間、運用するものとなるので、積もり積もっていくとかなりの金額になります。金融機関の手数料も加入の際、比較検討が必要なのです。金融機関によって運用機関手数料がいくらかかるのか比較し、その上でどの金融機関を利用するか考えます。
資料請求をする
どの金融機関を利用するか決まったら、金融機関に依頼し資料請求する必要があります。金融機関で個人型確定拠出年金の積立口座を開設する必要があり、そのためにも資料請求が必要となります。
資料請求はインターネット請求とコールセンターへ連絡して請求する方法があります。インターネット請求は24時間受付しているので、仕事で忙しいという方も利用できる便利な方法です。
インターネットが面倒、また商品について詳しく聞いてみたいという時に便利なのがコールセンターです。資料を取り寄せると同時に疑問点など詳しく説明してくれるので、疑問がある方はコールセンターの方がいいかもしれません。
申し込み書類を返送する
資料を請求して書類が手元につくまでにだいたい数日です。その間に、申し込みに必要な準備をしておきます。基礎年金番号が必要となるので基礎年金番号を確認しましょう。これは年金手帳、年金定期便などで確認可能です。サラリーマンの方など会社勤めの方は会社の総務に確認すればわかります。
申し込みには本人確認書類が必要となります。運転免許証や住民票の写し、健康保険証の写しなどを準備しておくと安心です。また商品の中には住民票とともに印鑑証明が必要な場合もあります。
利用する金融機関に必要書類など確認しておくと、書類が届くまでに準備でき申し込みがスムーズです。この申し込み書類に必要な添付書類などは保険商品によって違いがあるので必ず確認しましょう。
掛金に関しても決めておく必要がありますが、この掛金額は年に1回変更ができます。必要書類が届き記入し、必要な添付書類がそろったら書類を返送します。書類には振り返元の銀行情報も必要となるので、口座番号や届出印に関しても準備が必要です。
加入確認通知書を受け取る
必要書類を返送するとだいたい2週間程度で書類が送られ口座開設完了となります。返送してくる書類の中には自分の年金情報が確認できるID、パスワードなどが書かれている大切な書類、また個人型確定拠出年金の加入通知書が入っています。
IDとパスワードを利用して自分の年金資金をいつでも確認ができ、どうやって資産運y法すればいいかなどの指示なども見ることができます。11月上旬くらいになると小規模共済掛金払い込み証明書も送られてきます。これはサラリーマンなら年末調整、自営業者なら確定申告に利用する、掛金の証明書となるので大切に保管し利用します。
もし紛失してしまった場合には、年末調整や確定申告に間に合うように再発行してもらうことが必要です。
個人型確定拠出年金で老後に備えよう
今後、さらに少子化が進むと公的年金についてもより不安要素が多くなることが予想されます。寿命が延びたとはいえ、高齢になってからずっと働くというのは肉体的にもしんどいことです。
老後、安定した生活を送るためにも、公的年金以外、個人型確定拠出年金や個人年金保険など、将来に活かせる貯蓄や運用を考えるべきでしょう。今できることから賢く行っていくことが必要なのです。