フルマラソンを完走するために必要な練習
マラソンといっても目標によって走る距離は変わってきますので、トレーニング方法も変わってきます。仮に短い距離を走るにしても、普通に生活をするのとは使う筋肉が違うため少しずつ慣らしていくことが大切です。
初心者がフルマラソンに挑戦するというのは一見無謀にも思えますが、時間をかけてコツコツとトレーニングを続けていけば不可能ではありません。一から始めるフルマラソンへの挑戦についてトレーニング方法や注意点を紹介します。
フルマラソンに向けたトレーニングの方法
初心者がフルマラソンという大きな目標を達成するためには、どういうトレーニングをしたらいいのでしょうか?無理なく始められるトレーニングのコツを紹介します。
走る回数や距離を徐々に増やしていく
いくらフルマラソンに挑戦するからといって、初心者が最初から42.195kmを走るのは無理があります。トレーニングを始めるなら、最初は短い距離から始めましょう。今までの運動量にもよりますが、最初は1kmでも構いません。ポイントは、走ることに体を慣れさせることです。距離は少しずつ増やしていけばOK。
トレーニングというと毎日走らないといけないと考えがちですが、筋肉を使えばダメージを受けますし疲労もたまります。適度に休息を挟みながら調整するといいでしょう。休息は3日以上続けないのもポイントです。
初めのうちは今まで使っていなかった筋肉を使うので、筋肉痛がひどくなります。無理は禁物ですが、痛いからと全く運動をしないのもよくありません。休息日でもストレッチは続けましょう。
12週間分のトレーニングプランを立てる
初めてフルマラソンに挑戦する場合は、大会の日程にもよりますが、理想は12週間のトレーニングができることです。12週間を導入期・改善期・調整期として、4週間ずつトレーニングを続ければ、初めてでも完走できる可能性はあります。
導入期
1週目は30分くらいゆっくりと走るジョギングから始めましょう。週初めは2日休みトレーニングしたら2日休みを入れて、週末は土日とも走るようにします。
2週目は30分のジョギングを少しペースを上げて走り、後は同じメニューにします。3週目は1週目と同じ、4週目は2週目と同じメニューをこなし、4週間で60kmを目標にします。
改善期
基礎体力も付いて走ることにも慣れてきたので、5km~6kmに距離を伸ばしましょう。1kmにつき7分半を目標にペースを調整します。2日休み1日走りまた2日休んだら週末に走るというペースは同じです。
ただし週末の1日目は30分~40分、日曜日は120分くらいにジョギングの時間も増やしましょう。2週目は5km~6kmを8分ペースに調整して、3週目と4週目にパターンも導入期と同じにします。最終的な目標は70km走り込むことです。
調整期
調整期になればかなり体力も筋力も付いてくる頃です。基本的なメニューは改善期と同じですが、そろそろ大会の日も近づいてきているので、週末のジョギングを3本~5本に増やして走る距離を伸ばしましょう。
日曜日は1kmあたり8分を目標にして、ハーフマラソンに挑戦します。2週目以降はペースを上げたり、距離を増やしたりしながら4週目は少しペースを落とします。4週目の日曜日に大会の場合は、2日休み30分のゆっくり目ジョギング、1日休んで金曜日は30分のジョギング、土曜日は30分くらいのウォーキングでいいでしょう。
なるべく毎日走るようにする
ある程度体力や筋力がある人でも、毎日のように走り込んでしまうと筋肉疲労を起こしやすくなります。トレーニングを続けるコツは、適度に休息を挟むことです。ただし休息日でもゴロゴロしていてOKではありません。
何もしないでいると、今までのトレーニング効果がリセットされるからです。休息日でもストレッチや短めのウォーキング、マッサージなど常に体を動かすことを意識してください。休息は3日以上連続させないことも大切です。
ハーフマラソンにチャレンジする
初めてのフルマラソンは、トレーニングを積んでいても想像以上に過酷です。トレーニングでフルマラソンを同じ距離を走るのは難しいので、本番前にハーフマラソンに挑戦してみるといいでしょう。
ベストタイミングは本番の1ヶ月~2週間くらい前、大会直前はNGです。調整期前半にもハーフマラソンと同じ距離を走るので、目標を見極めやすいです。ハーフマラソンでも大会となれば、本気で走りますし、自分の実力を見極めることも可能。
フルマラソンを完走できる体作りのための筋トレ
フルマラソンで完走するには、ある程度の筋力や体力が必要です。初心者がすべき体作りのポイントとおすすめの筋トレを紹介します。
スクワットで下半身を強化する
マラソンは長い距離を走り続けるので、下半身を強化しておくことが大切です。走ることで筋力も付きますが、それ以外に筋トレも取り入れましょう。スクワットは下半身を効率よく鍛えられるのでおすすめです。
下半身を強化することで、走りのパフォーマンスが向上します。他にも強靭な肉体を作ることで、怪我の予防になるというメリットも生まれます。普通のスクワットにプラスして、足を前後に開いた状態で行うスプリットスクワットや、片足で行うシングルレッグスクワットなどアレンジも取り入れましょう。
体幹を鍛えるフロントブリッジ
安定した走りを維持するには、体幹を鍛えることも大切です。体幹を鍛えておくと軸がブレないので、ランニングパフォーマンスもアップします。軸がブレると無駄な動きが多くなり、バランスが悪く体力をロスしてしまいます。
体幹を鍛えるにはフロントブリッジがおすすめです。うつ伏せになり肘とつま先で体を支えるイメージです。腕立て伏せのような体型を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。両腕とつま先だけで体を支え、つま先から頭までを1本の線になるようまっすぐにしてキープします。
やってみるとかなりきついので、最初は20秒くらいから始めて最終的に1分間キープできるようにしていきます。
腹筋を鍛えるロールダウン
走るときは腹筋がポイントになるので、腹筋を鍛えるロールダウンも取り入れましょう。ロールダウンは鍛えにくいインナーマッスルを鍛えるので、より軸が安定しやすくなります。
体育座りをして腹筋を意識できるよう、みぞおちあたりに両手を当てておきます。お腹を見るようにして少し背中を丸めたら、ゆっくりと体を倒しますが、頭は付けず肩甲骨がつく程度でOKです。肩甲骨が付いたところで体を起こしましょう。
起き上がるとき最初は反動を使ってもOKですが、慣れてきたら腹筋を使うよう意識してください。10回を1セットにします。
マラソンのトレーニング中に適した食事
フルマラソンに向けた体作りは、トレーニングだけでは不十分です。食事から摂る栄養も大切。トレーニング中の食事について見ていきましょう。
走る前は糖質を中心に摂取する
トレーニングをするとなった場合、走ることだけに意識が集中してしまいがちです。目標を立てて走るには、体を走れる状態にしておくことが大切。走るとエネルギーを消耗しますので、空腹のまま走ると低血糖を起こしやすいです。
トレーニング中に倒れて怪我をする可能性があるので、走る1時間前くらいに糖質を摂るようにしましょう。ただしガッツリ食事をするのはNG、バナナやチョコレートなど軽めで効率よくエネルギーに変換できるものがおすすめです。糖質を摂ると太るというイメージですが、マラソンはエネルギーを消耗するので糖質を補充しておきましょう。
たんぱく質を多めに摂る
理想の走りを可能にするには、しっかりとした筋肉を付ける必要があります。筋トレやジョギングをすると、筋肉組織はダメージを受けます。たんぱく質は筋肉を作るサポートもしますが、傷ついた組織を回復させるときにも必要です。
筋肉をつけさらに鍛えるためには、良質のたんぱく質を積極的に補うようにしましょう。たんぱく質は多くの食材に含まれていますが、栄養バランスも考えて肉や魚、大豆などいろいろな食材から摂ってください。
トレーニング中はたんぱく質を多く必要とするので、少し多めに摂取することをおすすめします。
糖質とたんぱく質を摂取する
トレーニング中はたんぱく質も必要ですが、エネルギー源となる糖質も必要です。糖質にも種類があるので、筋グリコーゲンの回復をサポートする、高GI値の糖質を手軽に摂取できるおにぎりがおすすめです。おにぎりが難しい場合は、エネルギーをチャージできる飲むゼリーでもいいでしょう。
プロテインは糖質もたんぱく質も両方含まれているので便利です。トレーニング後30分以内に飲むようにします。運動直後はグリコーゲンが極端に減少するので、運動後できるだけ早いタイミングで摂取するのがポイントです。
トレーニングでケガをしないための注意点
フルマラソン完走という目標があると、気持ちも上がります。トレーニングをきついと感じることはあっても充実した毎日を過ごせるでしょう。しかし無理して怪我をすればトレーニングはできなくなってしまいます。怪我をしないために注意すべきことを知っておいてください。
走り込みすぎない
トレーニングは量が多い方が記録も伸びやすいと思われがちですが、やりすぎはNGです。特に大会直前は、十分にトレーニング出来ているかどうか不安になりやすい時期です。もっとトレーニングしておけばよかったと、直前に無理をして走り込みをすると怪我をしやすくなります。
無理をして疲労をためたまま本番に望んでも、いい結果は望めないでしょう。オーバートレーニングは体に負担をかけます。ある程度走ったら、休息をはさんで筋肉を休ませ回復させることを重視してください。
音楽を聴きながら走るのはNG
トレーニング中のテンションをあげるために、お気に入りの音楽を聴きながら走るというのもいいのですが、時と場合によります。マラソンコースがある大きい公園ならいかもしれませんが、交通量の多い道路を走るような場合は、周囲の音が聞こえないので思わぬ事故につながる恐れがあります。
音楽を聴いているとどうしても注意が散漫になるので、交通量の多い道路を走るような場合は、音楽ではなく景色を見て気分を高めるといいでしょう。公園のマラソンコースや、あまり人がいない景色のいい広い場所なら音楽を聴いてもOKです。
入念な準備でフルマラソンの完走を目指そう
フルマラソンというとハードルが高いイメージですが、初心者でも念入りな準備をすれば完走を目指せます。その道のりは決して楽ではありませんが、走りきったときの達成感は相当なものとなるでしょう。
トレーニング方法にはいくつかポイントがありますが、無理をして怪我をすれば本末転倒です。筋トレや走り込みだけでなく食事管理も取り入れながら、ゆっくりと時間をかけてフルマラソンに向けた体作りをしていってください。