股関節の筋肉の動きを学ぼう|筋肉の役割と効果的な鍛え方も公開

股関節の筋肉の動きを学ぼう|筋肉の役割と効果的な鍛え方も公開

2019.02.27

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股関節を鍛え体を安定させる

股関節を以前に痛めた経験があったり股関節に不調を感じる人が、日常生活をする上で大切にすべきことは、股関節周辺の筋肉を鍛えることです。そして股関節に負担をかけない方法で行うことも大切です。

ただ安静にして体を動かさないだけでは、体全体の筋力が低下し、逆に股関節への負担が増えてしまうことになります。そこで股関節周辺の筋肉を鍛えるということが重要になってきます。関節周りの筋肉を鍛えると、立った歩いたりという日常の動きが楽に行えるようになります。

股関節に痛みが出て、歩くのが大変となると日常生活が大変不便になってしまいます。しっかりと股関節を鍛える方法を知り、少しずつ実行してみましょう。

股関節にある筋肉群について

股関節につながっている周辺の筋肉には、どのような種類があり、その働きはどのようになっているのでしょうか。その名称や主な働きなどについて、理解しておきましょう。

外転筋群は4つの筋肉からなる

外転筋群(がいてんきんぐん)とは、足の大腿部を外側に上げる動作(外転)のときに関わる複数の筋肉のことを指します。主な外転筋群は、中臀筋(ちゅうでんきん)、小臀筋(しょうでんきん)、大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、大臀筋(だいでんきん)の4つから成り立っています。

股関節を使って外転させるときには、これらの外転筋群は外転筋のハムストリングのような働きをします。つまり、片足で立ったときに左右のバランスをとる働きを担っている、とても大切な筋肉なのです。

内転筋群の主な筋肉は5つ

内転という動作は足を外転(足の大腿部を外側に上げる動作)した大腿部を元の状態に戻すことをいいます。内転をするときに関わる代表的な複数の筋肉を内転筋群(ないてんきんぐん)と呼びます。

内転筋群の主な筋肉は、大内転筋(だいないてんきん)、長内転筋(ちょうないてんきん)、短内転筋(たんないてんきん)、恥骨筋(ちこつきん)、薄筋(はっきん)などです。

これらの筋肉は拮抗筋(きっこうきん)として、体の左右のバランスをとる大切な働きをしています。拮抗筋とは、互いに相反している動きをする筋肉群のことです。違う働きをする筋肉がお互いの働きを補い、円滑に体を動かすときに大事な働きをします。

股関節外転筋が体に与える影響

股関節外転筋(こかんせつがいてんきん)の働きが悪くなり筋肉が弱くなると、具体的に体にはどのような影響が出てくるのでしょうか。その仕組みと詳細についてみていきましょう。

筋力が弱まると体が不安定になる

股関節外転筋群(かんせつがいてんきんぐん)は、骨盤を正常な水平位置に保つことに役立っています。外転筋には速筋(短瞬発筋・長瞬発筋)と遅筋がありますが、速筋の筋力が低下すると歩くときに体が横にぶれてしまうようになります。

つまり、関節外転筋群(かんせつがいてんきんぐん)は、骨盤を安定させるために重要な働きを担っているのです。もしこの筋肉の働きが低下すると、変形性股関節症や股関節症の原因になることもあります。

硬くなると股関節の可動域が狭くなる

股関節外転が硬くなってしまうと、どのような影響があるのでしょうか。まず、この部分の筋肉の柔軟性がなくなると、股関節の可動域が狭くなるということが挙げられます。股関節は、体の上半身と下半身を繋ぐという重要な役割があります。

また、ふくらはぎや大腿の裏などにも影響がでてきます。股関節周辺の筋肉が硬いと、血行が悪くなりいろいろな動作にも支障が出てきます。また、血行が悪いと体内の老廃物が上手く排出できに、脚が浮腫んで体が冷えやすくなります。

その結果、代謝が悪くなりますのでダイエットをしてもなかなか痩せず、太りやすい体になってしまうのです。加齢だけでなく、若い年代の人でもデスクワークなどで日頃同じ姿勢をずっとしている人は、股関節の筋肉が固まりやすいので、注意が必要です。

股関節内転筋が体に与える影響

股関節内転筋(こかんせつないてんきん)が固くなってしまったり、筋肉の力が弱くなると日常生活にどのような影響が出てくるのでしょうか。自分では気がつかないうちに、症状が出ていないかどうかについて、ここで自己チェックしてみましょう。

筋力が弱まると歩行に支障がでる

内転筋の筋力が衰えると次のような影響が出てきます。まず、股関節にかかる負担が大きくなることで、歩行などの動作にも支障をきたすようになります。また股関節や周辺の痛みがでることも。つまり、日常の動作に支障をきたしてしまうのです。

痛みが出てから気付くことが多い股関節の筋力低下ですが、以下のような状況が出たら、筋力低下のサインですのでしっかり覚えておきましょう。

  • 階段を登りづらい(足がスムーズに上げられない)
  • 段差がない平らな場所でつまずく
  • 椅子から立つとき手で支えないと立ちづらい

内転筋が硬くなると痛みが生じる

内転筋が硬くなってくると、股関節に痛みがでてきます。内転筋が硬くなるということは、人が立ち上がったり歩いたりという動作で、股関節がきしむような感じになります。

そこで、内転筋が硬くならないようにケアをすることが必要となりますが、内転筋の体の内側にある部分はマッサージができません。そのようなときに有効な方法が内転筋のストレッチです。ストレッチをすることで内転筋の柔軟性を保つことにつながります。

股関節にある筋肉を鍛えるメリット

股関節はその周辺に多数の筋肉がついています。股関節周辺の筋肉を鍛えると、どのようなメリットが生じるのでしょうか。具体的なメリットについてしっかり学んでおきましょう。

体が安定する

股関節周辺の筋肉を鍛えると、股関節が安定し骨盤や背骨、首、肩、顔、そして頭蓋骨など体全体が安定します。股関節を鍛えることで、体全体のゆがみや姿勢の悪さの改善しますので、結果的に運動をしてもケガをしにくい体になります。

また、日常生活においても脚が前後や左右に大きく開きやすくなることで、脚が上がりやすくなります。そしてこれは、予測外の転倒防止にもつながるのです。また、体全体のバランスが安定すると、自然に姿勢が良くなり、周りの人からの印象もアップすることでしょう。

下半身が引き締まる

股関節周辺の筋肉は、外転筋群(がいてんきんぐん)と下半身に付いている筋肉などです。上半身と下半身をつなぐ役割を担った筋肉でもありますので、この筋肉を鍛えることで気になる下半身をキュッと引き締めることができます。

股関節周りの筋肉を鍛えたりストレッチをすることで、血行やリンパの流れが良くなります。これにより基礎代謝がアップし、老廃物の排出を即してむくみの改善も。下半身に老廃物が溜まると、むくみで脚が太くなり、セルライトもできやすくなります。

下半身太り防止のためにも、股関節の筋肉を鍛えるということは大切なのです。そして、下半身のどの部分を引き締めたいかによって、筋トレの方法が違いますので正しいトレーニング法を選びましょう。

股関節外転筋の鍛え方

股関節外転筋をピンポイントで効果的に鍛える方法には、どのようなトレーニングがあるのでしょうか。主な2つをここで取り上げていきます。

床で行うサイドエルボーブリッジ

まず最初は、床の上で行う「サイドエルボーブリッジ」のトレーニングをご紹介します。その名の通り、自分の腕を使って橋のような形を作るトレーニングです。具体的な方法は下記を参考にしてみてください。

1.横向きに寝ます。 2.前腕を使って上半身を軽く浮かせます。 3.体を持ち上げ、足と前腕だけで体を支えます。使っていない側の腕は、頭の後ろに回します。 4.30秒キープします。インターバルを30秒間おきます。 5.これを交互に行います。       

足の上下運動のトレーニング

以下は足を上下して、中臀筋をメインに鍛えることが可能なトレーニングです。鍛える箇所を意識しながら行ってみましょう。

1.横向きに寝ます。 2.下側の膝は曲げて、上の足を上下に動かします。大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)を効果的に鍛えるためには、足をやや前方に出しながら外に広げるように意識します。

股関節外転筋のストレッチ方法

股関節外転筋(こかんせつがいてんきん)はただ鍛えるというだけでなく、しなやかな状態に保ちケガなどを予防するためにストレッチも並行して行う必要があります。ここでは2種類の股関節外転筋のストレッチ法をみていきましょう。

仰向けで行うストレッチ

以下は、仰向きになって行うストレッチです。トレーニングの前や後にセットで行ってみましょう。

1.床に仰向けになり、かかとをお尻の近くにまで引き寄せます。 2.ゆっくりと息を吐きながら右膝を内側に倒します。 3.ゆっくりと息を吸いながら元の位置に戻し、息を吐きながら左膝を内側に倒します。2.と3.の動作を左右8回ほど繰り返します。

足を膝にかけて行うストレッチ

以下は、足を膝にかけて伸ばしていく方法です。同時に膝の柔軟性もでるように意識しながら行いましょう。

1.仰向けの姿勢になり、両方の股関節と膝を曲げます。両腕を伸ばし、手の平を上に向け、腕を体に対し  て90°横に開きます。 2.片方の脚を、もう一方の曲げた膝の上の上に掛けクロスさせます。 3.筋肉を伸ばす側のお尻が、床から浮き上がる程度に両脚を左側にゆっくりと倒します。

股関節内転筋の鍛え方

股関節内転筋を重点的に日頃から鍛えるには、どのようにしていけばよいのでしょうか。普段の生活ではとても鍛えにくい箇所ですね。ここでは2つのトレーニング法を取り上げていきます。

ボールを使った内転筋のトレーニング

以下は、身近にあるボールを使って内転筋を鍛えるトレーニング法です。テレビを見ながらでも気軽にできる方法ですので、ぜひチャレンジしてみましょう。

1.ボールを足に挟み内側に押します。ボールがない場合、厚めのタオルなどで代用することも可能です。 2.1.を何度も繰り返します。

足腰も強くなるワイドスタンススクワット

下半身のトレーニングではとておもポピュラーな方法が、スクワットですね。ここで取り上げる「ワイドスタンススクワット」は、足を広く開いて行うスタイルのトレーニング方法です。呼吸法と併せて行うことがポイントです。ぜひ試してみましょう。

1.脚幅を肩幅よりも広くして立ちます。 2.踵をやや外側に向けて、胸を張って背筋を伸ばします。 3.手を前で組みます。 4.息を吐きながら、腰をゆっくりと下ろしていき限界まで下げたら、少しだけキープします。その後、吸いながら素早く戻していきます。 5.この動作を20回繰り返します。インターバル30秒で残り2セット行います。

股関節内転筋のストレッチ方法

股関節外転筋と同様に、股関節内転筋もケガ予防や、トレーニングでの疲れを取るためにもストレッチを並行して行うことをおすすめします。ここでは2種類の股関節内転筋のストレッチ法をピックアップしてみました。

床で簡単にできる合せきのポーズ

以下の股関節内転筋のストレッチは、座るスペースがあればどこでも気軽にできる方法です。内転筋のトレーニングの前後に取り入れてみましょう。

1.左右の足の裏を合わせて座ります。 2.両手をお尻の後ろにつき、手で床を押して背筋を伸ばします。 3.背筋が丸まらないように注意しながら手を前につき、吐く息とともに背筋を伸ばしたまま上半身を前に倒す。頭の力は抜いて、目線は床。5〜10呼吸キープします。 4.息を吸いながら、上半身を起こします。 

踵を膝にかけて行うストレッチ

以下の股関節内転筋のストレッチは、踵を膝に掛けながら行う方法です。膝の柔軟性も必要ですので、自分が痛くない程度まで伸ばして行いましょう。

1.両膝を開いた状態で両手は後ろに置きます。 2.片方の膝を内側に倒し、反対の膝は外に開きます。 3.開いた方の踵を倒した膝の上に乗せて、膝とお尻を引っ張り合う様に伸ばします。注意点は倒した膝と体が真っ直ぐになり、膝がからだより内側に入り過ぎないようにすることです。また、お尻が浮いてこないように、床に体をつけたまま引き合うことが大事です。    

股関節が痛むとき

突然、股関節が痛みだしたならば、日常生活のあらゆる動きにダイレクトに影響が出ます。そしてその痛さと不安から、気持ちの面でも落ち込んでしまうかもしれません。股関節の痛みというのは、ただ単に筋肉痛からきている、という原因ではないことも。

筋肉痛以外で考えられることは、股関節脱臼や変形性股関節症、そして疲労骨折などさまざまなことが考えられます。もし、股関節の痛みが強い場や、痛みがそれほど強くなくてもずっと継続している場合は、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。

歩行が難しいなどの不便さだけでなく、股関節の病気である可能性もありますので、くれぐれも自己判断はしないようにすることが重要です。

股関節を鍛えると体が安定して怪我をしづらくなる

股関節に不安がある人や、以前にケガをした経験がある人は、股関節の周辺にある筋肉の働きと、筋肉を鍛えることによるメリット、そして股関節周辺の筋肉を鍛える方法・ストレッチ法を知っておくことが大切です。

股関節は下半身を動かすだけでなく、体のあらゆる部分を動かすときに影響してきます。股関節周りの筋肉を鍛えたり、ストレッチで柔らかくしなやかな状態に保つことは、将来に渡って体をスムーズに動かす体作りにつながります。

普段の生活では鍛えにくい箇所の「股関節周りの筋肉」を鍛えて、関節を丈夫にしていくことが大切なのです。股関節周りの筋肉を鍛えて体を安定させ、怪我をしにくい体を作り上げていきましょう。

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