「決断力とは何か?」判断力との違いから決断に必要なスキルを知る

「決断力とは何か?」判断力との違いから決断に必要なスキルを知る

2018.02.27

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仕事の場面の多くで、決断力は求められます。今ここで決断してくださいというときに、人は何を基準にしてその決断を行っているのかを知ることは、自分の決断力を上げるための一歩です。また、判断力との違いを知っておくことも、大切なことです。

決断力があるとは

何かを実行する前にそれを実行することを決定する力

決断力というのは、実際にその行動に移すのだと決める力のことをいいます。人は行動する前に先立って、その行動をしようという決断を行っています。反射的に行ったこと以外は、自分でそれをやるのだということを決めているのです。 また、決断力はその中にどうしてそうするべきに至ったのか、明確な意志があることでもあります。誰かに説明できる行動理由がある場合、多くの人は、決断力があると評価することでしょう。

決定する意思の力があること

決断力というのは、決定する意思の力そのもののことでもあります。行き当たりばったりや、どちらでもいいから選んだという場合以外では、たとえ理由が自分の勘だったとしても、その人には行動に移すべき明確な理由があります。 ただし、決断力は判断力とは違い、自分がこうするべきだと思えた経験則からくる、直感的な力を行動に移した結果となります。どうしてそう判断したのかを口にせずとも、自分で決定した場合には、そこには理由または、はっきりとした目的がある場合がほとんどなのです。

決める軸及び何が優先事項なのかの基本がしっかりとある

何を理由に決断したのかということが、はっきりしている人ほど決断力があるといえます。決断力のある人は、自分の内側にはっきりとした軸がある人がほとんどです。決める軸および何が優先事項なのかが、過去の経験や直感から自分の中ではっきりとしており、自分の土台や基本として、深くその人の中に根付いています。 それらを基準として決めることができるため、不必要に悩んでしまうこともなく、また成功に導ける決断を行うことができるのです。この軸がない場合、人は不安に駆られ、いつまでも悩んでしまうことや、現状維持を選んでしまいがちになります。

実行する際の指針がある

実際に実行に移す際に、確固たる指針がある場合にも、人は迷わず決断することができます。その指針は、自分自身の考えのみならず、会社の理念や恩師からの言葉など、人によってさまざまです。経験や記憶が、ものごとを決める際の決定打となるのです。 指針は、行動の理由そのものではありません。実際に行動した場合に、どこに向かうべきなのか、そのレールを敷く先にあるもののことをいいます。指針があれば、迷わずにそこに行き着くことができるため、人は自信を持って決断することができるのです。

迷いを吹っ切れる力があること

どれだけ責任を伴う役職についていようとも、さまざまな決断をこなしてきた人であっても、迷いは生じるものです。肝心なことは、その迷いを吹っ切れる力があるのかどうか、ということになります。基準や理由が明確化しているために、迷いを吹っ切れる人もいるでしょう。 自分の力でなんとかするのだという、確固たる意志がその先にあるために、迷いを吹っ切れる人もいます。その決断によって、何を選んでいるのかが明確化されている分、迷う余地を自分に与えていない人も、決断力があるということができます。

失敗する恐れを瞬時に克服し前に進む力のあること

決断が伴う場面では、失敗と成功は五分五分なものです。肝心なことは、失敗するかもしれないという恐れによって、立ち止まらないことです。失敗する想定を多く立て、失敗したとしても乗り切るのだという強い意志を持って、失敗する恐れを瞬時に克服し、前に進む力があるということも、決断力があるということです。 失敗する可能性があったとしても、それよりも大切な目的を選び、動けるだけの実行力を伴うことができれば、それは決断力だという評価を受けることでしょう。

判断力との違い

意思決定や実行と決断することとは違う

決断力というのは、その理由を聞かれたときに、「自身の経験や方針から生み出された未来を信じたから」という説明しかできないものでもあります。未来に対して、どの程度自分の過去や経験から考え方を捻出できたかによって、その決断力は研ぎ澄まされたものとなるからです。 判断力は、何を持って判断したのかという理由がほとんどとなります。自分の方向性ではなく、世の中で普遍的に考えられていることなどから決めたことを、判断力だというため、過去への評価が高いものを選んでしまいがちになります。

正しいかそうでないかを見極める力

判断力は、過去の経験や普遍的なものごとが基準となるため、正しいのかそうでないかということが、評価の基準になることが多いです。正しさを引き合いに出すよりも、成功に導けるほうを取ることをよい判断だというためです。判断とは、何か比較があった上で行われます。 良いか悪いか、またはより良いものを選ぶためのものが判断となるのです。決断はそういう意味では、正しさなどがそのタイミングでは、はっきりしていない場合があります。決断は基準よりも、そうするべきだという意思が優っていることが多いからです。

やるべきか時期尚早かを見極める力

判断には比較が含まれるため、未来予測にもその比較が持ち込まれます。その判断したものごとを、今やるべきか時期尚早なのかを見極めることも、判断力の成せる技です。この判断の基準ももちろん、過去の経験や成功率が基準となります。 より成功率があがる時期の分析を、過去から引き合いに出し、どう判断するべきなのかを委ねるのです。決断力では、そのときに行うべきだという強固な意志があるために、こういった判断は二の次になっている場合があります。

その判断が正しいと判断力があるという

過去の経験を踏まえて決定されているだけに、判断力はものごとの認識力や、評価する能力を伴っています。過去を引き合いに出せるということは、正しさや失敗から行動をより分けることができるということです。そのため、判断が行われた段階で、ある程度の正しさなどは説明することができることが、判断力の特徴です。 決断力は、決して正しいものごとのみに使われる言葉というわけではありません。その場で瞬時に決められる、明確化された意志のことを決断力と呼ぶために、結果が出るまでは、正しいかどうかがわからない場合も多いといえます。

逆に決断力がないとはどういうことか

考えすぎる

決断力がないという場面において、多くの人が陥ることが、考えすぎてしまった結果、身動きがとれなくなることです。本当にその決断が正しいのか、時期は今なのか、失敗はしないのかなど、確かに決断する際には、ある程度まとまった考えや根拠、自信は必要となります。しかし、それも考えすぎると、うまく一歩を踏み出せない原因になってしまいがちです。 考えることは大切ですが、考えすぎてしまった場合には、進展を決断できずに現状維持を選んでしまい、決断力に欠ける答えを出してしまいがちです。結果的には判断に負けて、決断ができずに終わってしまうことなります。

石橋をたたきすぎる

考えすぎることと似ていますが、いかに失敗せずに安全に物事を成せるかを考えた結果、石橋をたたきすぎる人も中にはいます。石橋をたたきすぎた結果、安全策に囚われすぎて、考えが保守的になり、ほとんど進展のない結果を生み出した場合、そこには決断力があったとは誰からも評価されないことでしょう。 もちろん結果を残すためには、失敗しないことは大切です。しかし、英断という言葉があるように、すぐれた決断には思い切りが必要であるため、保守的に走りすぎた選択は、周囲から決断だとは判断されません。

正しいのかやるべきなのかの判断力がない

決断をするときに、それが正しいことなのかどうかを、必要以上に考えてしまう人がいます。正しさと、それをやるかどうかは別のことである場合も多いですが、判断をする上で、正しさはどうしても比較として現れてしまいます。 まずは行動に移してみなければ、物事は動かないものです。また、結末については、それをどういったように感じさせるかで、正しい方向に持ち込めることも確かです。その手前で正しさや、やるべきなのかを考えていると、いつまでたっても行動に移せず、決断力がないと思われてしまうようになります。 また、決断力には思い切りの良さは必要ですが、決断して実行したあとのことまで想定した上で、決断は行うべきです。いくつもの想定があった上で動き始めることが、結果的によい決断だったといわしめるための手となります。ただただ無作為に決めていただけでは、周囲から良い決断だったと評価されることはないでしょう。

まわりの意見に振り回される

決断力がない人は、結果的にまわりの意見に振り回されがちです。たとえそれが直接いわれたことではなくとも、相手のことを思いやりすぎて、決定的な行動が欠けた場合、それは決断だとはいわれません。もちろん周りから聞こえてくる意見を鵜呑みにしすぎても、決断力があるとはいえません。 決断をするときには、ある程度自分が、相手を振り回す覚悟を持っておかなければいけません。その決断に周りを巻き込むことこそが、決断力のある状態だったといえるからです。

上司の指示を仰ぐべきときやまわりの意見を聴くべき時がわからない

決断力のない人には迷いが多く、自分で決めるべき場面と人の意見を聞く場面を、うまく使い分けることができていません。決断は決して、自分の力だけで行われるものではないため、周りの力が必要です。上司の指示を仰ぐことが必要な場合もあれば、周りの意見を聞くべき場合もあります。 その上で、どうするべきなのかを考えて実行できることを、人は決断力と呼びます。独善的過ぎる行動を取ってしまうことや、周囲の意見だけで動いてしまう場合は、決断力とは呼べません。

何が大切か或いは守るべきかの軸がない、またはわからない

決断力には、ある程度の主軸が必要となります。また、どうしてその決断を行ったのかということを、誰もに納得させられるような説明も必要です。その説明において肝心なことは、その決断が何を優先させているのかということです。 優先されている大切なものや、守るべき軸がはっきりとしていない場合、周囲の人の賛同を得ることは難しいでしょう。また、周囲の人と守るべきものや大切な軸がズレていた場合にも、理解が得られずに、よい決断だっという支持は得られないままになってしまうでしょう。

決断力を鍛えるには

とにかく経験する

決断が下されるとき基準になることは、その人の経験や知識が大きく意味を持ちます。今までしてきた経験や失敗が、どういった決断をするべきなのかを決めさせるのです。そのため、偏った経験やワンパターンの成功談では、臨機応変に欠ける決断をしてしまいがちになります。 とにかく、いろいろなことを経験するということによって、決断の幅を広げることができます。判断の基準を増やすということでもあり、いざというときに自分がどうしたいのかを自明にするためにも、多様な経験は必要です。いろいろな物事に対して考え、決断するということを練習することによって、決断力は鍛えることができるでしょう。

優先順位を決めることから始める

決断力の簡単な鍛え方として、優先順位を決めるという方法があります。細かく優先順位を決めていると、どうしてそれを優位に考えるのか、何を切り捨てるのかということを繰り返すようになります。その小さな決定が、段々と決断力の積み重ねとなっていきます。 また、優先順位を決めると、大きな物事を決める際の基準になるため、別の決断をする際にも、経験となって表れることができます。優先順位を決めるということを日常化していくだけで、無駄なものは削ぎ落とされ、決断して残っていくものを、さらに見比べて決断していくという、経験値を上げていくことができるのです。

紙に書き出す

迷っている内容や優先順位を決める際に、紙に書き出すことはよい手法だといえます。紙に書き出して可視化することによって、より具体的な取捨選択ができるからです。この場合には、目的に対して迷っていることや頭に残っていることも、雑多に書き出すことをおすすめします。 書き出した上で、目的に沿うために必要なことと不必要なことを分けていき、必要だと残したものを、優先順位順に書き出していきましょう。自分が何を選び、何を切り捨てたのかを明確化しておくことで、より決断力が研ぎ澄まされることとなります。

日頃からさまざまな人の意見を聴く

相手の考えや経験も、自分の経験の一つとして組み込むことができます。相手に振り回されるわけではなく、あくまでも自分に取り込む意見の一つとして、日頃からさまざまな人の意見を聴いておくことは肝心です。相手個人の意見として聞きながら、一つの経験談として自分の中に落とし込むことで、決断する際の引き出しに加えることができるからです。 重要視していることは、相手の意見ではなく相手の意見を、いかに自分の中に解釈して落とし込めるのかという点です。自分だけでは思い浮かぶことのなかった意見を聞くことで、自分にはなかった考え方や経験を新たな発見として、選択の幅を広げることが可能になるのです。

日々の練習や経験を積むことで決断力は必ず鍛えられる

決断力というのは意識をしていれば、日々どんな小さなことからでも積み上げることができるものです。意識をして日々練習し、経験を積むことで決断力はかならず鍛えられるともいえます。 ただ単に思いつきで決めるのではなく、なぜそうしたのかという理由を明確化し、判断する基準を並べ上げ、優先順位を決めるという流れを自分で把握することが大切です。そうすることで、いざ重要な決断をするときにも、その成果を発揮することができます。決断に慣れていることで、スピード感のある決断力を引き出すことができるのです。

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