部下からダメだと思われてしまう上司はどこの会社にもいます。そうはなりたくないと思うのならば、まずはダメな上司とはどのようなものなのかを知る必要があります。ダメな上司を反面教師に、部下から慕われる素晴らしい上司になりましょう。
ダメな上司の特徴
明確な指示ができない
ダメな上司は、部下への指示が苦手です。部下から案件について質問をされても、質問の答えが曖昧となり具体性がない指示を出してしまいます。
本来上司の仕事は、仕事のゴール像、つまり部下が達成するべき目標を提示すること。しかしそのゴールが明確ではないため、部下は右往左往して、結局上が考えているものと別の答えを持ってきてしまうのです。結果として、目標達成までの道のりが遠回りになったり、プロジェクトの遅延につながります。
部下には、「もっとはっきりと指示を出してくれれば、このようなトラブルはそもそもおこらなかったのに」という不満や、上司に対する不信が残ります。夢や未来、そして仕事のゴールを、部下にイメージさせてあげることができる存在。それが上司なのです。
相手により態度が違う
相手によって違う態度を取る上司は、周りから嫌われます。たとえば自分より上の立場の人間には頭が低いのに、自分より下の地位には横柄でえばり散らすような上司です。
またそれほど露骨でなくても、他部署にはよい顔ばかり見せているのに、自分の部署内では殿様だという上司もいるでしょう。基本的にそういう人は、実力ではなく自分より上の人にゴマをすったり、コネなどで昇格してきた人が多いのかもしれません。
人の上に立つからには、しっかりと実力を磨き、誰からも頼られる存在となりたいものです。そのためには、自分より下のものを守る心意気も必要になります。
仕事や指導を丸投げする
「これやっといて」、「あとよろしく」などと、仕事や指導を丸投げする上司もダメな上司です。上司には、きちんと部下に仕事内容を説明し、また指導する責任があります。その責任を放棄してしまっているからです。
そのような上司の下についてしまった部下は悲惨です。上司から学べることも少なく、まるで会社に飼い殺しにされているような感覚を抱いてしまうかもしれません。
上司の仕事は部下が思っている以上に、大変できついものです。そのために仕事を分散して部下にも受け持ってもらうわけですが、そのことに対する感謝の気持ちを忘れず、部下の成長も考えられる上司を目指しましょう。
部下に無関心
普段から上司と部下の関係が良好なら、ちょっとしたトラブルがあったときにもすぐに相談しやすいものです。部下からトラブルの情報が即座に入れば、傷も軽傷で済みます。
では普段からコミュニケーションが乏しい、上司と部下の場合はどうでしょうか。トラブルがあった際に打ち明けづらいため、報告までに時間がかかってしまい、さらに状況が悪化してしまいます。周りの人間に対する興味がない上司は、部下の仕事に支障をきたすことさえあるのです。
部下を仕事帰りに誘って飲みに行くことだけが、コミュニケーションを良好にする方法ではありません。最近ではそのようなプライベートな時間での交流を嫌がる若者もいます。大事なのは、部下の人間性に無関心にならないことです。
しっかりと部下をみている上司は、少し顔色が優れないときなどに「今日は体調が悪そうだな、仕事がきついのか?」など声をかけることができます。
叱ると褒めるのバランスがとれない
ダメな上司は、部下を叱るのも褒めるのも苦手です。そしてそのような叱れない、褒めない上司の下では部下は成長できません。
上司の仕事の1つに「部下を育てる」というものがあります。人は成長できると思えば、多少無理をしても頑張ることができます。そしてその頑張りをどれだけ引き出せるかが上司の力なのです。
部下のやる気を引き出せない上司は、叱るべきときに叱ることができず、部下にやってはいけないことを教えることができません。また逆に褒めることができない上司の下では、叱られてばかりの部下はやる気をなくし退職に追い込まれてしまったりします。
どちらにしろ、そのような上司は部下をきちんと見ていないといえるでしょう。
自分に甘い
自分に甘く、他人に厳しい上司も嫌われます。そのような上司は、抱えている案件などにトラブルがあったときに保身に走りやすく、部下を守らず切り捨てます。
また、自分がミスしてプロジェクトにトラブルが起きた際にも、間違いを認めないために方向転換ができません。部下からすれば、そのまま先に進んでも納期が間に合わないとか、販売が成功しないと思える状況でも、「自分の判断は間違っていない。うまくいかないのは部下がやるべきことをやっていないからだ」と主張します。
そのような上司のもとでは部下は「なにを言っても変わらない」と、提言を避けるようになってしまい、上司と部下の関係も悪化します。
部下に厳しい
なにごともやりすぎる上司はよくありません。部下をきちんと叱ることができるのは素晴らしいですが、欠点しか見ないでミスをとことん批判するような上司は、ダメな上司です。
毎日叱られている部下の気持ちは、次第に萎縮し、なにをしても自信を持つことができなくなります。上司の意見がすべてになってしまい、自分の意見を述べることもなくなってしまいます。そして仕事に対して創意工夫をするといった、「仕事が楽しい」と思う気持ちを根こそぎ上司に刈り取られてしまうのです。
厳しさに耐えられる部下ばかりではありません。メンタルの弱い部下だと、鬱病になったり自殺に追い込まれたりするケースもあります。部下のよいところもしっかりと見つめ、伸ばしてあげましょう。
不平や不満が多い
部下は、上司からの不平や不満など聞きたくありません。特に新人で会社に入ってきたばかりの若手など、夢や希望をまだ会社に対して抱いています。不平や不満が多い上司は、それらの若手社員のやる気を削いでいるのです。
若手は、自分の数年後の未来を上司に見いだします。上司が憧れの存在となることができれば、その若手はつらいことがあっても乗り切ることができるでしょう。
しかし、不平不満ばかりいう上司のもとではどうでしょうか。この会社で頑張っても、数年後には自分もああやって文句を言っているのだろう。格好悪い社会人になりたくはない、と考えるのではないでしょうか。その結果、優秀な部下が会社を去って行ってしまいます。上司は、部下に格好良い社会人の姿を見せるべきなのです。
柔軟な対応ができない
規則重視の上司は、良さそうに見えて実はダメな上司です。なぜなら、仕事というものは常に変化をしていて、規則に乗っ取ってやっているだけでは成果が出せないことが多いからです。
規則重視の対応では、柔軟な対応ができません。クレームを考えてみてください。大切なのは、クレームをしてきた人の気持ちに添ってまずは対応をすることです。
しかし、マニュアルを棒読みにしたような調子で「規則ですから」といわれたらどうでしょうか。ちょっとしたクレームも、お客様のいらだちと共に大きなクレームへと育ってしまいます。
仕事もそれと同じで、柔軟な対応ができないと小さなトラブルも大きなトラブルへと育ちます。規則重視の上司は、その方針を部下にも押しつけてくることが多いので、頭が柔軟な部下はやりきれない思いを多々するでしょう。
良い上司になるためには
部下のことをきちんと考える
良い上司になるためのポイントの1つは、部下のことをきちんと考えることです。部下がどのような思いで仕事に取り組んでいるのか。悩んでいることはないか、苦手なことはなにか、優れた点はなにか、そのような情報を知ろうとしてくれることです。
部下の得手不得手を知ることは、仕事を割り振る際の参考にもなります。得意なところは伸びる可能性が高いので、しっかりと褒めるべきです。そして仕事に支障をきたしそうなミスは、しっかりと叱ることが重要です。
上司が部下のことをしっかりと考えていれば、部下は厳しく叱られてもそれが自分の為なのだとわかります。関係がそのように良好になってくれば、指導もスムーズにいき部下の成長を促すでしょう。
部下とのコミュニケーションを大事にする
飲みに行くだけがコミュニケーションではありません。最近の若者は、プライベートの時間を上司と過ごしたくないと考えている人も多いものです。
大切なのは、日々の業務でのコミュニケーションです。顔色、髪型、持ち物、表情、それらの情報すべてから会話の糸口は見つけることができるはずです。「最近顔色が優れないぞ。なにか困っていることはないか」とか、「髪型かえたな」などちょっとした一言でも、みてくれているという安心感を部下に与えることができます。
また、ちょっとした会話を積み重ねることで重要なのは、部下からの意見やトラブルの報告が上がりやすくなるということです。情報交換が盛んな部署の成績は、良いのが常です。
仕事は部下に責任は自分
上司の仕事の1つは、責任を持つことです。そもそも、プロジェクトなどの仕事は1人で回すことが難しいので上司が部下に仕事を割り振っているのです。そのため、トラブルなどがあった際には部下を守り、自分が矢面に立つ覚悟で仕事に取り組んでください。
その姿勢は、自然と部下にも伝わるものです。守られているという安心感と、失敗したら上司に迷惑をかけてしまうかもしれないというほどよい緊張感が、仕事をスムーズに進めます。トラブルが起きた際にも、部下が自分で抱え込まずに、責任者である上司に即座に連絡をしてくれるでしょう。
部下から慕われる良い上司になろう
部下に嫌われる上司。頼られない上司。それはとても格好が悪い社会人だと思いませんか。せっかく部下を持つことができたのなら、慕われる良い上司になりたいものです。
そのためにはダメな上司の特徴を知り、反面教師としましょう。部下に慕われるということは、甘やかすということではありません。数年後にこうありたいという理想の上司像を提示することなのです。