現在の仕事に疲れたとき、もしくは新しいことを始めてみたくなったとき、仕事を辞めたいと思うことがあります。人が転職するきっかけとなるのは、どのようなことなのでしょうか。仕事を辞めたときに生じるメリット、デメリットを含め、みていきましょう。
仕事内容への不満
思っていた仕事と違いすぎる
仕事というのは、現場に飛び込んで実際に働いてみないとわからないことがたくさんあります。とくに若いときには、誰もが憧れるような華々しい仕事についてみたいと考えるでしょう。しかし、イメージする仕事と現実は乖離していることが多いのです。
会社は花形の部署だけで動いているわけではありません。むしろそのような花形を支えるような、地味な仕事や事務的な仕事のほうが多いのです。そのような部署に回されたときに、花形の部署で格好良く働いているという自分のイメージと、現実のギャップに不満を抱き、仕事を辞めたくなるかもしれません。
毎日同じことの繰り返し
自分で仕事を創意工夫するよりも、ルーチンワークを好む人もいます。しかし、多くの人は誰でもできるような代わり映えのしない仕事には心を惹かれません。
毎日が同じことの繰り返しということは、数年先の自分の姿も同じということ。その部署にいても成長することがない自分の姿がわかってしまいます。向上心のある人ほど、そのような職場環境に耐えられなくなります。
重圧に耐えられない
自分の能力を超えた職務についてしまった場合、仕事の重圧に苦しむことになります。
たとえば看護士。彼らは人の生死に関わる、ミスの許されない現場で働いています。そのため精神的な重圧も大きく、多くの人が仕事を辞めることでその重圧から逃れようとします。
重圧を感じるということは、それだけ期待されているということでもあります。そのため、人によっては辛さよりもやりがいを感じます。耐えられないほどの重圧か、それともやりがいか。それはその職場での向き不向きにかかってくることが多いでしょう。
給与などの金銭的な不満
給与がカットされた
給与がカットされるには、さまざまな理由があると思います。たとえば会社の業績。自分だけではなく、多くの従業員が同時に給与カットされている場合です。その場合には、会社に対する将来の不安や、このままここで働き続けても給与が上がるのかという不信感が生まれることでしょう。
または、査定により自己評価と会社側の評価に差があり、給与が下がった場合です。その場合、従業員は「これほど頑張っているのに、会社は評価してくれない」と不満を持ちます。給与カットは、従業員のやる気を大きく失なわせます。
仕事量の割に給与が低い
正社員の場合アルバイトのように時給制ではないので、一時間あたりの時給を意識することは少ないかもしれません。しかし、仕事ができる人ほど自分の仕事量を時給換算して考えます。
管理職などは、収入が多くても残業代や休日出勤手当が出ないことが。その場合、仕事量が増えるほど一時間あたりの収入は減ってしまうのです。
実際に計算してみた場合に、パートの方と比較して唖然とすることがあります。簡単な事務作業をして、定時にはきっちりと上がるパートの時給と、自分の時給が大きくは変わらないと知ったときに、本当にここで働いていてよいのかと、思わず悩んでしまうかもしれません。
手当てが少ない
他者に務めている友人や知り合いから、会社からもらっている手当の話などを聞いてしまうと、思わず自分の現状と比べてしまいます。残業代が認められるかどうかも大きいです。
ボーナスに関しては、それこそ会社によります。正社員で働いていても10万円も出ない会社から、100万円ほど出るところまでさまざまです。
他にも交通費や家族手当、家賃補助やその他の福利厚生など、手当は会社によってさまざまな特色が現れます。それは会社が従業員をどの程度大切に思っているかの指標ともなり得ます。比べてしまったときに、自分の会社の環境がそれほどよくないことに気がついてしまうこともあるでしょう。
人間関係への不満
上司と合わない
仕事内容が自分に合っていても、人間関係がうまくいかないと仕事への想いはしだいに薄れていってしまいます。とくに上司と合わない場合は、日常の些細なことがストレスになる可能性が。
上司と合わない理由の1つが性格です。たとえば厳しすぎる上司の場合、毎日叱られているうちに自分に自信が持てなくなり小さなミスも恐れるようになってしまうかもしれません。
他部署に配属された同僚などが褒められて伸ばしてもらっているのをみると、環境さえ変われば自分ももっとのびのびと働けるのではないかと考えてしまうでしょう。
性格の不一致は、すぐに問題が解消されることではありません。嫌いな上司から学べるものはそれほどないと考えたとき、それが転職のきっかけとなります。
新卒は甘さが残っていると叱咤される
会社に入ったばかりの入社一年目の頃は、新卒というだけでよく叱咤されるものです。これは新卒の越えなければならない壁のようなものかもしれません。
社会人の先輩である上司は、新卒が見えていないさまざまなものが見えています。そのため、新卒の考えに甘さを見いだしてしまい、早く学生気分を抜けてほしいがあまりに厳しくなってしまうのです。
その厳しさに耐えかねて転職を考えているのならば、少なくとも3年は頑張ってみてください。なぜなら入社一年目で退職してしまった場合、再就職が厳しくなるからです。
礼儀を知らない後輩がいる
会社でも中堅になってくると、自分より後に入ってきた後輩の育成を任されることも出てきます。そのときに気になるのが、後輩の失礼すぎる振る舞いや言葉です。
自分のときを振り返ってみると、もう少し上司を敬い、先輩に追いつこうと頑張っていたような気がするのではないでしょうか。毎日後輩の言動にイライラするうちに、会社に行きたくなくなってしまう。そんなこともあるかもしれません。
しかしイライラしているというのは、それだけ後輩に期待しているということの裏返しでもあります。今どきの若者はこんなものだ、と割り切ってしまえば意外に気持ちが楽になるかもしれません。
女性ばかりで陰口が多い
女性は、男性のようにストレートに言いたいことを直接ぶつけず、陰口をいう傾向が少し強いです。そのため、女性ばかりの職場だと陰口が横行することがあります。
自分の耳に直接入ってこないと、もしかして自分の悪口を言われているのではと気になりだしてしまいます。もしも気になるようなら、話しやすい女性社員を1人でも作り、こっそりと聞いてみてもよいかもしれません。
もしくはこの際、女性社員を味方につけるように努力してみましょう。女性社員はさまざまな情報を教えてくれたり、事務作業も率先してやってくれるなど、これほど強い味方はありません。眉をひそめるだけではなく、できる社員は女性を味方につけます。
相談できる相手がいない
会社で相談できるような親しい人がいないというのは、ストレス発散ができずにつらいものです。朝出勤してからデスクに座り、退社時間になり席を立つ。口を開くときは、業務についての確認のみ。
仕事で失敗したとき、「ちょっと失敗しちゃったよ」という言葉に「よくある、よくある。気にするなよ」など声をかけてもらえればそれだけで気持ちも軽くなるのに、そのような相手がいなければ落ち込んだ気持ちを引きずってしまいます。
相談できる相手がいないということは、会社において居場所がないと感じるきっかけとなってしまいます。
うつ病の症状が出た
倦怠感や不眠、食欲不振、やる気の衰退、便秘など。さまざまな症状に悩まされ、会社に出勤することさえ辛くなってしまうことがあります。そんなときは、一度病院でみてもらうとよいかもしれません。もしかしたらそれはうつ病の症状である可能性も。
病院でもしもうつ病だと診断されたら、診断書を作成してもらいましょう。そしてそれを上司に見せ、今後について相談してください。会社も過労死などの問題が出たら大変ですので、きっと働き方を見直してくれるに違いありません。
仕事上の特別な理由がない
転職したばかりで不安
転職したばかりのときは、その会社の社風や仕事内容になじめるかどうかなど不安がつきません。そんな不安により、再度の転職が頭をちらつくかもしれません。
しかし、それはどの仕事に転職したとしても最初につきまとう不安です。転職したてはこのようなものだと割り切って、しばらくは様子をみてみましょう。新しい会社に早くなじむためには、そこで元から働いている従業員と親しくなり、自分の居場所を作ることです。
もっと資格を生かしたい
仕事で生かすために資格を取得したのに、それを生かすことができないと、まるで今の職場が自分に合っていないような気がすることがあります。資格が生かせる、よりよい場所が自分にはあるのでは。そんな気持ちが芽生えると、なかなか消えることはありません。
転職により、スキルアップや、給与アップにつながるような資格ならば、転職活動を水面下で開始してみてもよいかもしれません。しかし、よほど専門性の高い資格でなければ、現状以上の条件改善は難しいのが現状です。転職活動に加え、現在働いている場所でのスキルアップも同時並行して行いましょう。
自分を見つめ直したい
とくに入社して3年目までの、第二新卒といわれる若手に多いのが「自分を見つめ直したい」などの理由による退職です。彼らは転職の経験がないため、新卒で入社した会社がすべてであり、比べることができません。
そのため新しい環境に自分の身をおくことで、本当に選んだ職業が自分に向いていたのかなどを再確認したいと考えます。すぐに転職をするだけではなく、旅に出たいなどの理由で、退職後に海外へ長期旅行に行ったりするのが特徴です。
何もしたくなくなった
朝起きると、会社に行くのが非常に辛い。そのようにやる気が起きないという状況になることがあります。うつ病などの始まりも意欲の減少が見られるので注意が必要ですが、ただ単に仕事で気持ちがすり減ってしまっていることも考えられます。
もしも有給休暇などが残っているようなら、上司に相談してしばらくお休みをいただくこともよいかもしれません。体が資本です。心だけではなく体の病になる前に、休養を取る必要もあります。
結婚して主婦になりたい
女性にとっての最大の逃げ道ともいえるのが「結婚」です。ただ単に仕事が嫌になっただけなら、なかなか会社を辞める踏ん切りがつきませんが、結婚退職の場合は、周囲から祝福されながらの明るい退職をすることができます。
しかし、最近は共稼ぎが主です。結婚を考えている人がいるのならば、一度結婚後の女性の仕事について彼の意見を聞いておきましょう。また一度退職した場合、ブランクがあると再就職が困難になります。これまで培ってきた社会人としての経験をリセットしてしまってよいのか、真剣に考える必要があります。
仕事を辞めるメリットとデメリット
お金の不安定さ
現在の仕事が、給与面で不安があるようなら、転職を考えても良いかもしれません。しかし転職により給与面がアップすることは、まずまれだと考えておいてください。
再就職で会社を選ぶ際ポイントとなるのは、給与の額ではなく長期的に見たシステムです。たとえ最初の給与が少なくても、キャリアアップとともに給料が上がるような仕組みがしっかりと整っているのか、そしてボーナスの金額が高いかなどを重視しましょう。
新しい人間関係
転職した場合に問題となるのが、新しい人間関係の築き直しです。それまの会社で培ってきた同僚との友情はありません。愚痴を言える相手もいなければ、自分の良いところを知っている人もいないのです。
転職先には、自分に対して関心のない人たちも多くいます。その中に自分から飛び込み、コミュニケーションを図って自分を知ってもらわなければなりません。
しかし、新しい人間関係を築くことは素晴らしいことでもあります。自分の成長にもつながるので転職が決まったならば、頑張ってみましょう。
次の仕事場の希望
新しい環境というのは、とても新鮮さがあります。転職を考えたからには、前の会社にやる気を阻害するようなマイナス面があったに違いありません。新しい仕事場はどのような場所かまだわかりませんが、白紙だからこそ期待があります。
不安や恐れもあるかもしれませんが、なにより自分の可能性を信じて希望を持って飛び込むことが大切です。
辞めてからの生活も考えておこう
会社を簡単に辞めて後悔する人たちは大勢います。そうならないためには、感情や思いつきで退職をせず、しっかりと情報を集めたり、転職活動を水面下で行ってみて判断する必要があります。
また、退職する際には1年間無職でもやっていけるだけの貯金が必要です。それらを含め、会社を辞めてからの生活も考えておきましょう。