288GTOが「最も美しい幻のフェラーリ」といわれる秘密に迫る

288GTOが「最も美しい幻のフェラーリ」といわれる秘密に迫る

2018.03.26

288GTOは、イタリアの高級車ブランドフェラーリが製造した「幻のフェラーリ」という異名をもつ伝説のシリーズです。本記事では誕生秘話や時代背景などを参考に、今も衰えない288GTOの人気の秘密に迫ります。

Share :

イタリアの宝と言われた最高峰のフェラーリ

誰もが一度は「高級車に乗りたい」と憧れたことがあるのではないでしょうか。 イタリアの自動車メーカー「フェラーリ」が製造した288GTOも高級車の1つです。 しかし、288GTOが他の高級車と違うのは、性能の高さと奇抜なデザイン、そして歴史的背景から醸し出される圧倒的な存在感ではないでしょうか。ただの高級車ではなく、独自性の高い高級車を選ぶことで、一味違った男性の魅力を演出してみましょう。

288GTOの魅力

競技で戦うために産まれたリアルスポーツ

1984年の発売当初は、自動車レースなどで使用する競技向け車両として生産されていました。 同じフェラーリの高級車である308GTBをベースに設計されていますが、出力の大きいエンジンを搭載していたり、ボディの素材を鋼鉄からカーボン樹脂にかえたりしています。 このように、競技車両の規定に合うように軽量化をはかっていたりするなど、スポーツカーとして大幅に改造されているのが特徴です。そのため、競技自動車のカテゴリー区分では、スポーツカーと乗用車の中間に位置する、グループBに分類されます。 しかし、グループBの廃止に伴い288GTOは生産が中止されてしまいました。そのため、総生産台数は272台と、現存する個体数は非常に少ないことが分かります。

当時最高峰のロードカー

288GTOは発売当時、ロードカーの中でも最高の地位を誇っていました。 最高速度300km/hというスピードは、それまでのフェラーリシリーズにおいて最速であり、スポーツカーの中でもトップクラスのスピードでした。 さらに、高速の走行でもキックバックを起こしにくく、なめらかなハンドル操作が可能なステアリング機能の高さにも定評があります。また、競技自動車としての規定をクリアするため、車両重量が1100kg前後におさめられているのも乗用車にはない魅力の1つです。 このようにスポーツカーとして高いスペックを持った288GTOが、一般乗用車として公道を走れるという両面性を併せ持つことにより、当時最高峰のロードカーとして世間一般に浸透していったと考えられます。

色褪せる事の無い優美な外装

288GTOは、運動性や機能性に優れているだけでなく、人の目を惹きつける優美な外観も魅力の1つです。車体のデザインは、イタリアを代表するデザイン企業「ピニンファリーナ」が考案しました。全長42.9mというコンパクトなボディに加え、後部のディフェンダーはアヒルの尻尾をイメージしたダックテール形状を呈し、スタイリッシュな印象をより引き立てます。 また、左右にルーバー(空気孔)を3本加えることで、GTOシリーズ独自の高級感を演出しています。 さらに、当時は高級車の象徴であった格納式ヘッドライトが圧倒的な存在感を放ち、288GTOはピニンファリーナが手がけた作品の中でも、最高傑作の1つという高い評価を得ています。

スポーツ性能を支えるエンジン

288GTOのスポーツ性能の高さは、緻密に設計されたエンジン装備により発揮されます。 まず、エンジンはグループCに相当する3000ccの排気量を2885ccにマネジメントして、最大出力が400馬力となるように改良されました。さらに、かつて使用していたV12エンジンよりも、重量が軽くパワーが強いV8エンジンを搭載することで、より強力なパワーを発揮します。 また、ターボチャージャーを2つ装備するツインターボにより、少ない排気ガスでも効率よくエネルギーを得ることができます。 このようなエンジンの出力向上に特化した緻密な設計により、ブランドを象徴する綺麗なエンジン音「フェラーリサウンド」が完成するのです。

今なお衰えない人気

288GTOは、製造から30年以上たった今でも根強い人気を誇っています。 それは、フェラーリシリーズの中でも特に、当時の最高技術を盛り込んだ性能の高さと、製造期間が短く世界に272台しかないという希少性の高さが人気の秘密です。 日本に、正規のルートで輸入された台数は1台のみという逸話が残っているなど、発売当時から入手困難であったことが分かります。現在でも競売やオークションに出品されることは非常に珍しく、仮に出品された場合の推定落札額は、2〜3億円が相場だと言われています。目にできる機会が少なく非常に高額であるため、コレクターの間でも「幻」と呼び声の高い代物です。

幻のモデルEvoluzione

288GTOEvoluzioneの誕生

288GTOEvoluzioneは、288GTOよりもさらに高性能を追求し、レースで活躍できるコンペティションマシンとして大会出場を目指していたシリーズです しかし、そのベースとなる288GTOは実戦の段階で事故が多発し、それ以降の大会出場が困難な状況にありました。さらに、この事態を受けてグループBが廃止されてしまい、288GTOがレースで活躍できる機会が失われてしまったのです。 それでも開発元であるフェラーリは、GTOシリーズのスポーツカーとしての可能性を諦めきれませんでした。誰もが大会出場は難しいと考える逆境の中で、製作者のかすかな期待と希望を背負って誕生したのがEvoluzioneです。

フェラーリ史上最も希少な1台

大会出場を目指していたEvoluzioneですが、実戦段階までは及ばなかったため、総生産台数はわずか8台といわれています。このうち、288GTOをベ−スに作られたのは1台のみで、試作品として作成されたカーモデルであるため、市場に出回っていません。残りの7台は試作品から得られたデータなどをもとに改良されており、そのうち1台は過去に日本のコレクターが所有していたようです。 現在は売却され、「ビンゴスポーツ」というカーショップにおいて販売されています。値段は公表されていませんが、公式HPから商品情報を確認することができます。 ビンゴスポーツ
【参照:http://www.bingosports.co.jp/】 【画像URL引用: http://www.carsensor.net/】

今288GTOを手に入れるには

288GTOの中古市場

288GTOは、1986年のグループB廃止に伴い生産が終了してしまいました。そのため、入手できるとしたら、1度誰かが所有した中古車を譲り受けることになります。 先程、オークションでの相場が2〜3億円だと述べましたが、中古車の相場はだいたい1億円前後だといわれています。一般的に、年式の古い車ほど安くなる傾向があるようです。 しかし、製造から時間が経っているほど、品質の劣化や故障が起こりやすいということも頭に入れておきましょう。

購入の際チェックしたいポイント

288GTOは、製造から30年以上が経っているため、購入前には車の状態をチェックしておくことをおすすめします。 チェックしたいポイントは、大きく分けて3つあります。
  • フェンダーとディフェンダー
  • エンジン音
  • 乗り心地
1つ目は、車の前後に当たるフェンダーとディフェンダーの部分です。 もし、車体が歪んでいたりボディに傷がついていたりする場合は、何かに衝突した可能性があります。style=”font-weight: 2つ目は、エンジン音です。 ブランドの象徴ともいえるフェラーリサウンドが鳴るかを確認します。また、実際にボンネットを開けてエンジンにサビや変色がないか、目視で確認するのもいいでしょう。 3つ目は、乗り心地です。実際に試乗してステアリングやブレーキの利き具合に違和感がないかを確かめましょう。

意外な魅力を持つレプリカの世界

本物の288GTOには敵いませんが、できる限り似せて作ったレプリカが存在することをご存知でしょうか。 このレプリカが、イギリスのネットオークションe-bayで出品され話題になりましたが、2018年現在は取引が終了しているようです。 トヨタのMR2をベースに、合金ホイールやステンレスなどで特徴的なボディを見事に再現。 さらに、内部は革製のハンドルや劣化が起こりにくい本革素材を使用することで、高級感を演出しています。 エンジンは排気量3000ccのV6ツインターボで、ステアリングの位置は右ハンドルという若干の相違点はありますが、製作者の愛着が感じられる完成度となっています。中古の相場が数億円であることを考えると、比較的リーズナブルにフェラーリの世界が体感できるレプリカだといえるでしょう。 【画像URL引用: https://www.carscoops.com/2017/10/toyota-based-ferrari-288-gto-replica/】

圧倒的な個性を誇るフェラーリの世界

一口に「フェラーリ」といっても、車種によってデザインやエンジン装備、機能性はさまざまです。それぞれの特徴や個性などを理解していなければ、本当にその車が乗りこなせているとはいえません。 288GTOは、当時スポーツカーの最高峰と謳われ、レーシング界に大きな影響を及ぼした他にはない特色を持つ貴重なシリーズ。ただの高級車やスポーツカーではなく、独自性や個性のある車をお探しの方は、一味違った魅力をもつ288GTOを検討されてみてはいかがでしょうか。

category

記事カテゴリー