エンジンのオーバーホール基本知識を知ろう。愛車の整備は自分の手で

エンジンのオーバーホール基本知識を知ろう。愛車の整備は自分の手で

2018.05.21

最近どうも車の調子がおかしい、エンジンの回転数があまりあがらない気がするしなんだか排気ガスが白いと感じたことはありませんか。そんなとき自分でエンジンのオーバーホールが簡単にできたらよいでしょう。これからオーバーホールの目的を見てみましょう。

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オーバーホールについて知ろう

エンジンのオーバーホールの目的って何なのでしょう。少し調子のおかしくなったエンジンを新しいエンジンのように生まれ変わらせることを言います。エンジンの部品を外して新しい部品に取り替えたり、汚れなどを落としたりします。 クランクやピストンなどバランス調整をしてエンジンの動きがよくなるようにし、少しでも長くエンジンがもつようにするのがオーバーホールをするということなのです。

オーバーホールによる3つの効果

エンジンの寿命を延ばせる

通常エンジンの寿命は20万〜50万km程度と言われています。多くのユーザーからしてみればまだそんなに走っていないと思われるかも知れないが走行距離はあくまで目安の数字。オイル交換や定期的なメンテナンスを怠っていると、エンジン内の金属が摩耗や変形していきます。そうなると他のパーツにも負荷がかかり、寿命年数よりも早く故障・修理が不可能な状態にまで劣化してしまったということも。 反対にメンテナンスを怠らずに部品などを定期的に交換していけば快適に走り続けることができ、更には寿命を伸ばすことも可能なのです。

最新の部品を取り付けられる

オーバーホールは消耗した部品の交換やグレードアップも可能。アメリカ車は現行でなくても純正・社外パーツが豊富で純正の状態以上の大幅な性能向上も可能です。パワーを上げたい、スピードを出したい等の要望も叶えられるというわけです。

内部の見えない所まで点検できる

エンジンは多くの細かい部品によって形成され、エンジンルームを覗いただけでは不具合は確認できない場合が多いです。ピストンリングやガスケットなどは経年劣化しやすく定期的な交換が必要となるが、それらの確認は一度エンジンを車から下ろしたり、カバーを外してそれぞれのパーツに分解しないと確認できない場合が多い。 外から見えない分メンテナンスを怠りがちになるが、放っておくと修理にとんでもない金額がかかり最悪事故にも繋がってしまう事もあります。エンジンに不具合が見られる場合や過去の整備から時間が経っている場合は専門の業者に一度確認してもらいましょう。

オーバーホールするタイミング

エンジンオイルの消費が早いとき

エンジンオイルの消耗が早い際はピストンリングが劣化しオイルリングの張力が失われ、部品の間に隙間ができてオイルが漏れ出ている可能性が高いです。目安として1,000km走行して1L以上減った際はオイルが漏れている可能性があります。 オイルをあまり交換しない人もオイル自体の劣化(オイルの燃えカスなどが溜まりそれが循環し続ける状態)によりエンジン内で不具合が発生している場合があるので、最寄りの店舗で一度オイル点検を依頼し状態を確認してもらいましょう。

排気ガスが白いとき

マフラーから白煙が上がっている車をたまに目にすることも。これはエンジンオイルが部品の劣化により漏れ出し、エンジン内の燃焼室へ侵入しガソリンと共に燃焼してしまっている際に発生します。冬場では確認し辛いが、暖気後や急加速した際にこの白煙が出ることがあります。 運転中は確認が難しいが、酷いものはルームミラーなどでも確認できます。明らかにオイルが漏れてしまっている状態の印なので早めに点検を心がけましょう。この状態を放置するとエンジン内に不純物が溜まり、部品の深刻な劣化に繋がり修理不可能な状態にまで陥ってしまう場合もある為、安易に放置してはいけないのです。

エンジンの調子が極端に悪いとき

走行中に確認できるエンジンの不具合は、燃費の異常な低下やノッキングによる異常音(キンキン、カタカタという金属を強く叩くような音)が挙げられます。これはガソリンが順序よく吸気・圧縮・点火・爆発ができない場合にこのような現象が起り、ピストンが上手く連続して回ることができずエンジンに大きな負荷がかかっている状態。 よってパワー不足でガソリンを余分に消費したり、内部で異音が起こったりするのです。この状態が続くと内部の部品が熱で変形したり、深刻な故障に繋がることが多いので注意が必要です。

オーバーホールのやり方と作業内容

エンジンを分解する

エンジンは細かい部品も合わせ多くのパーツが組み合わさってできています。その為分解は専門知識と高い技術力が求められます。専門的な工具や機械・場所も必要になり、それぞれ分解した物もとても重量があります。 パーツを傷つけないように分解することも重要。箇所によってはあまり直接触れてはいけない程に繊細な作業が必要な部品も。GT-Rなど車種によってはメーカーの専門整備士以外が触ると保証の対象外になる車もある為、無理に自分で触らずに必ず専門業者に依頼をしましょう。

部品をきれいにする

エンジンオイルの交換を怠っていたり、部品の劣化が激しい状態で乗り続けたりすると、エンジン内は固着したオイルやスラッジ(固まったオイルのカス)でベタベタのドロドロに。それが内部を循環し続けるのであるからパーツのほとんどが同じ状態になります。外した部品は一つ一つ手間をかけて洗浄、固着した不純物を研磨して落とすことで、これ以上摩耗の原因にならないようにしましょう。

使えない部品を新しく交換する

ピストンリングやガスケット等、劣化・損傷が激しい箇所の部品は交換が必要となります。専門業者に在庫がなくとも現行であれば殆どのパーツがメーカーから取り寄せ可能です。オーバーホールの際は整備中でないと交換部品に必要な部品を全て把握できないため、外車や現行でない車種は部品の取り寄せに通常より期間がかかってしまう場合があるので、現行の国産車でない場合はあらかじめ専門業者に問い合わせてみましょう。

部品を組み立てる

一つ一つパーツを手入れし、交換部品を揃えたら元通りに組み上げていきます。ただ組み上げればよいという訳ではなく、分解の際と同じく高い技術力と正確性が求められます。ネジ一つでも過度に締め付けをしてしまえば破損に繋がり、取れた部品が隙間に入って走行中にエンジンが故障ということも絶対に起らない訳ではないです。人の命に関わることなので、これにおいても必ずプロにお任せしましょう。

オーバーホールする必要性の見極め方

現実的な費用か調べてみよう

相場はピンキリとなり車種によっても大きく異なるため、まず最初に自分の予算を一度出してみましょう。そして専門業者にエンジンの状態(異音についてやマフラーの白煙、燃費やオイルの異常な減りなど)を細かく説明し見積もりを出してもらい、自分の予算と比較してみます。 オーバーホールには高い技術力や専門的な工具、それを行える場所などが必要となり、技術者も少ないようです。精密に作業を行うのであれば、部品の摩耗具合やゆがみなどを機械でしっかりと計測しそれを一つ一つの丁寧に修正、調整していきます。 それには時間も勿論、料金もかかります。「交換部品」+「時間がかかることにより人件費も増えるということ」を考えると現実的な金額でなくなる場合も多いようです。オーバーホール以外の選択として、専門業者からエンジンの載せ替え(エンジン丸ごと交換)もおすすめされた場合は、そちらの方が予算を抑えられる場合も少なくありません。 よほど貴重な車種で愛着もこだわりも有り、この車以外考えられない、載せ替えのエンジンも手に入らないということでもなければ、載せ替えという選択肢も同時に考えましょう。

どれほど時間がかかるか確認する

専門業者に交換部品の在庫が揃っている場合、作業期間はおよそ1週間程度。しかし交換部品の取り寄せが必要な場合や、オーバーホールができる整備士は貴重な為、作業の順番待ちに時間がかかる事も多いです。更に精密な作業依頼をすれば実際の作業期間と合わせると数ヶ月も期間が開いてしまう場合も。 事前に作業の精度の希望等をしっかりと伝え、交換部品の在庫や予約状況の確認を行ってもらいましょう。長期間かかる場合は早めに代車の手続きなどを行い、車が使えない期間の準備をしておくことが重要です。

オーバーホールにかかる費用の考え方

エンジンの状態やサイズで金額が変わる

車のエンジンは車種によって大きさも形も異なります。軽自動車などは比較的安く、反対に大排気量のアメ車やSUVなどは高額になる場合があるようです。珍しい車種や日本で輸入していない外車等は部品が手に入るかなども影響してきます。部品を探す期間や輸入をしなければならない場合もあり、パーツの手に入りやすさなども金額に影響します。 また、前回のオーバーホールからの年月や、新車であれば納車からの走行距離などで状態も変わってくるので、一度ディーラーか専門店で見積もりをしてもらいましょう。 ディーラーにはオーバーホールの精密な調整を行える技術者が在籍していないこともあるため、基本的な消耗品の交換も修理も、揺れや隙間・摩耗などが基準値の範囲内なら簡単な消耗品の交換ですむ場合もあります。新車同様の精度を求めるなら専門業者の方が細かい調整なども対応してくれます。 しっかり整備を行い細かい調整もできる業者を見極めるためにも、車を購入した店舗に聞いたり作業内容をしっかり提示してくれる店舗を探すということが必要になります。

エンジン載せ替えと比較検討する

オーバーホールの見積もりが工賃や部品代合わせて100万円を超えた場合は、同時にエンジンの載せ替えをした場合の見積もりをしてもらいましょう。国産車のエンジンは中古でおよそ100万円?、新品で150万円程?手に入るようです。これに載せ替えの工賃がおよそ50万円程になるので、オーバーホールと載せ替えを2種類見積もってもらい、その2つの料金を他社と比較してみましょう。 状態のよいエンジンが手に入る車種であればそちらの方が安く済む場合もあり、シボレーやフォードなどのアメリカ車は現行の車種でなくても、新品の純正エンジンを丸ごと販売していることも有り比較的安価で手に入る場合もあります。 またそれ以外でも店舗によっては通常より安くエンジンを仕入れることができる事もあり、載せ替えの場合はオーバーホールよりも作業期間を短くできるメリットもあるので、見積もりの金額と合わせて作業にかかる期間も聞いておき、料金と期間両方での比較検討をすることをおすすめします。

中古車購入と比較検討する

現在ではネットなどで全国から目当ての車を探すことができます。しかし、実際に見ても外側から見えない部分の状態は把握しづらく、ネットからでは画像や詳細の記述でしか判断できないため、どうしてもリスクが伴ってしまいます。 また中古車は最低限の整備しかされていないことが多いです。販売側からしたらそれこそ仕入れた車のエンジンをオーバーホールするならば赤字になってしまうなんてこともあるので、ほとんどの中古車は「乗って走ることはできる」という状態までしか整備されていない場合が多いようです。 購入後にすぐ不具合が起きたり故障したりする場合もあるので、車体の販売金額が安くて外身は綺麗に見えていても中身はあまり整備されておらず、購入後にエンジン等に不具合が起きるとまた買い替えかオーバーホールか、載せ替えを検討しなければならない場合もあります。 安い中古車を見つけても、販売金額と納車時にしっかり整備をした際のプラス料金や、交換パーツ料金+工賃、今後考えられる不具合にかかる修理費、などを合算した見積もり料金もふまえて考える必要があるようです。 購入する際には必ず実際に見て、動作が確認できる箇所は異音がないか、動きは鈍くないか必ずチェックし、修理や事故などの履歴も合わせて販売側に確認しましょう。信用できる業者はどれだけ質問や確認をしても心よく答えてくれるので、少々面倒でも時間をかけて判断することも重要なのです。 この点を考えると、状態のよい車を探すことには時間がかかるというデメリットもあり、いま持っている車のエンジンをオーバーホールしたときの料金や期間と比較しましょう。

オーバーホールという選択肢も持てるようになろう

簡単にオーバーホールと言っても高い料金になることを考えたら、なかなかお願いできないもの。しかし、いろいろな整備工場などに話を聞いたりして、オーバーホールをして、一年でも長く自分のお気に入りの愛車に乗っていたいものです。そのためには、日頃の車の調子や、ときにはボンネットを開けて整備することが大事になってきます。

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