バイクの レーサー車とは|レーサーレプリカでGPライダー気分に

バイクの レーサー車とは|レーサーレプリカでGPライダー気分に

2018.07.09

競技専用車両とはなにか、レーサーレプリカとなにかを説明していきます。また、レーサーとレーサーレプリカとの違いを詳しく説明していきます。今レース界で大注目の日本人レーサーの詳細や、現在脚光を浴びている女性ライダーを詳しく紹介して行きます。

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レーサーには2つの種類がある

バイクの「レーサー」は大きく分けて2種類があります。1つはサーキットを走る競技専用車両。もう1つは競技専用車両を公道向けに馬力や保安部品をつけて競技専用車両そっくりなスタイルにして販売した“レーサーレプリカ”というものがあります。 ここでは競技専用車両やレーサーレプリカなどを詳しく説明していきます。

レーサーという車種について

レーサーとは一般的に競技専用車両を指し、公道は走行不可です。エンジンやマフラーは保安基準は満たしておらず、保安部品も取り付けられていません。

競技専用車両として使われるバイクを指す

オートバイのレースは大きく分けて「オンロード」、「オフロード」、「トラックレーシング」、「トライアル」の4つに分けられます。 「オンロード」レースはアスファルトで舗装された「サーキット」と呼ばれるレース場や、一般公道をレース開催期間中に限定的に閉鎖しサーキットとして設定される競走路などがあります。
「オフロード」、「トラックレース」、「トライアル」は未舗装のコースや高低差や傾斜がついたコースで競技を行うものです。 競技場は一般車両や歩行者が入れない閉鎖された場所や一時的に閉鎖した公道、または山岳道を仕様して行うため、公道を走るために必要な保安部品を必要としません。見た目のデザインは各競技に合わせて流線型であったり、未舗装道路走れるように車高が高かったりします。

公道も走ることを想定した「レーサーレプリカ」

「レーサーレプリカ」とは各オートバイメーカーがレース活動で得た技術一般向けオートバイにフィードバックして販売した、スタイルやデザインがレーサーにそっくりな車両といいます。乗車姿勢はレーサーほど窮屈ではなくレースのイメージを一般車両向けに販売した、メーカーの販売戦略に用いた車両ともいえます。 エンジンは一般車両向けに設計されており、レーサーよりも抑えられています。馬力も国内、海外の法律に則って設計がなられています。

ロードレース、モトクロスなどの専用車種

ロードレース、モトクロスのレース専用車両は保安部品がついていません。サーキットや競技専用コースを走行するため道路交通法が適用されないためです。 レース専用車両は競技に特化したデザインをしているので、例えばロードレースの専用車両はスピードを出せるように流線型をしていて、風の抵抗を避けるデザインがなされています。 モトクロスのレース専用車両は凸凹の激しい路面や岩や川などを走行するため、路面からできるだけ高い位置にフレームがつくような設計がなされています。また、タイヤも大きな径のホイールが装着なされていて、路面とのクリアランス確保と衝撃吸収の両方の機能を担っています。

オーバーホールのサイクルが短い

レース専用車両は一般車両と違い、過酷な状況下で使用されています。ロードレースなどではエンジンを常に高回転させているので、エンジン内部部品の摩耗が一般車両と違いとても激しいです。 またレース専用車両は軽量化やオーバーホールを前提で組み込まれているので、各部品は一般車両の部品より摩耗しやすいと考えられます。フレーム関係も軽量化が最優先のため、耐久性は一般車両と比べ低いと考えられています。フレーム関係もやはりオーバーホールと部品交換が前提となります。 レース専用車両に使用するエンジンオイルも一般に販売されているオイルとは違い、低粘度のものが使用されています。これはなるべくフリクションロスを少なくしエンジン回転を高回転まで回すことを目的として開発されているためです。そのためエンジンのピストンやピストンリングには厳しい状況となり、摩耗も早まりオーバーホールのサイクルも早くなります。

人気のレーサーバイク

ロードレースやオフロードのレース界ではメーカー同士の熾烈な開発競争が繰り広げられています。メーカーの技術力がレース結果へと直接反映されるからです。 ライダーも早いマシンへ適応すべく、思い日々トレーニングを続けています。

ホンダCRF250R

CRF250Rはホンダが開発したモトクロス競技専用車です。「モトクロスレースで勝つこと」を目標に、エンジンを従来のユニカムバルブトレインからフィンガーロッカーアーム付きのDOHC4バルブエンジンへ新設計をしています。 ホイールベースもイングアームを従来の588mmから573mmに変更し、リアのトラクションアップと軽快なハンドリングを実現しています。始動方式はキックスターターからセルフスターターと変更し、キックスタートの煩雑さをなくしてレース中の再始動のタイムロスを最小限に抑えます。 軽量でコンパクトなリチウムイオンバッテリーもセルスターターの採用に一役買っていて、燃料タンクも従来の樹脂製から軽量なチタン製へと変更し、軽量化を実現しています。

ヤマハ YZ250F

YZ250Fはヤマハが開発した「The Ultimate YZ’DNA」を具現化した競技専用4サイクルオフロードマシンです。YZ250Fは2002年、AMAスーパークロス選手権125cc東地区でチャンピオンに輝くなど歴史ある戦闘力あるヤマハモトクロスマシンです。 エンジンは徹底して新気フロー追求を追求し、よりダウンドラフトに近い新気フローを実現するためシリンダーヘッド新規設計しています。コンロッドは強度に優れるニッケル・クロモリ鋼を採用しています。吸排カムプロフィールも最適化し、優れた低中速性能と中高速域での粘り強いパワーとパワーフィーリングを両立させています。 フレームにはアルミ製バイラテラルビーム・フレームを採用しています。良好なショック吸収性が特徴で、ライダーにとって把握し易いマシン挙動をもたらします。

ヤマハ YZ125

YZ125はヤマハが開発した2サイクルモトクロッサーです。2サイクルのパワーと軽量な車両重量、大人が楽しめるフルサイズのボディが魅力となります。現在のオフロードレーサーの主流は4サイクルエンジンですが、まだまだ2サイクルエンジンを搭載したYZ125は現在も健在です。 特徴として、優れた剛性バランスを備えた、軽量アルミ製セミダブルクレードルフレームや直径270㎜の大径フロントディスクブレーキ、4ストロークYZ400F譲りの倒立式フロントサスペンションなどが挙げられます。シート高も975mmと高くなり、排気量は125ccと小ぶりですが、車体は本格的なオフローダーとなります。

KTM 250EXC

250EXCはオーストリアのオートバイメーカー「KTM」が開発したオフロードレーサーです。このバイクの最大の特徴はフューエルインジェクション式2サイクルエンジンを搭載していることです。 2サイクルエンジンは長らくインジェクション化は不可能とされてきましたが、世界で初めて燃料噴射システムを成功させています。2サイクルエンジンは部品点数が少ないうえ、軽快な吹け上がりが特徴です。 キャブレター式2サイクルエンジンは環境への配慮や燃費などの問題から製造メーカーが減ってきましたが、KTMは燃費と軽快な吹け上がりを両立したエンジンを作りあげてきました。エキゾースト音も甲高い2サイクルエンジン特有の音ではなく、低音が効いた4サイクルエンジンと変わらないエキゾースト音となります。

ホンダ CRF125F

CRF125Fはホンダが開発した空冷4サイクルオフロードレーサーです。スタイルはCRFシリーズのトップモデルでもあるCRF450Rの流れを汲んでいます。CRF125Fはオフロードレーサーでは珍しいセルフスターターを搭載していて、オフロード初心者や女性、子供にも扱いやすいモデルとなっています。 エンジン特性は前身のCRF100Fの特性を維持しながら排気量を125ccに拡大した事で、低中速域の粘りある出力特性を実現しました。バルブタイミングも変更してあり、低回転よりフラットなエンジン特性としています。 足回りはフロントサスペンションにインナーチューブ径31mmのテレスコピック式フロントサスペンションを採用し、より路面追従性を向上させています。リヤサスペンションのプロリンク部は、ニードルベアリング方式へと変更し、作動性を向上させています。

ライダーの意味のレーサー

レーサーはバイクの車体だけではありません。バイクに乗るオートバイのライダーも“レーサー”といいます。ここでは今も活躍しているレーサーや過去の日本人ライダー、今注目の女性レーサーをご紹介いたします。

グランプリで世界チャンピオンとなった日本人

原田哲也選手は1981年にポケバイレースデビューして以来、数々のロードレースタイトルを獲得してきました。1992年は全日本ロードレース選手権国際A級250ccクラスチャンピオン、翌年1993年にはロードレース世界選手権GP250ccクラスチャンピオンを獲得しています。 また、1999年にはロードレース世界選手権P500ccルーキーオブザイヤーを獲得しています。まさに輝かしい戦歴の持ち主といって過言ではありません。 坂田和人選手は125ccクラスでは国内、海外で素晴らしい戦歴を誇っています。1990年は全日本ロードレース選手権国際A級125ccクラスチャンピオン、1994年はWGP・GP125ccクラスチャンピオン、1998年にはWGP・GP125ccクラスチャンピオンに輝くなど世界ロードレース選手権を2度チャンピオンを獲得しています。まさに125ccクラスの先駆者といっていいでしょう。 青山博一選手は5歳でポケバイに乗り始めて以来、輝かしい戦歴を残しています。2002年は全日本ロードレース選手権GP250ccクラスランキング2位、2003年は全日本ロードレース選手権GP250ccクラスチャンピオン、2009年にはロードレース世界選手権250ccクラス年間チャンピオンを獲得しています。250ccクラス最後のチャンピオンということもあって、青山博一選手を“最後のチャンピオン”と呼ぶ人もいます。

若手のレーサー

中上貴晶選手は現在MOTOGPクラスに参戦している唯一の日本人選手です。中上選手は1997年にポケバイレースでデビューして以来数々のタイトルを獲得しています。2006年は全日本ロードレース選手権GP125ccクラスシリーズチャンピオン、2011年は全日本ロードレース選手権J-GP2クラスシリーズチャンピオンを獲得しています。 2012年からロードレース世界選手権Moto2クラスに参戦していて、世界選手権の参戦はかなりの戦歴を誇っています。2018年からはLCR ホンダ イデミツからMOTOGPクラスへ参戦を開始しており、最高峰クラス唯一の日本人として期待されています。 尾野弘樹選手は鈴鹿サーキットの地方選手権2006年シリーズチャンピオンを経てから数々の数々の選手権を戦ってきました。全日本ロードレース選手権はもちろんのこと、スペインロードレース選手権、イタリアロードレース選手権、ロードレース世界選手権など海外のレース参戦歴も豊富でまだまだ活躍が見込まれる選手です。 2018年はミクニテリーアンドカリーレーシングから国内全日本J-GP2選手権に参戦しています。今年の全日本J-GP2選手権の尾野選手から、目が離せませんね。

女子高生のレーサーもいる

国内のロードレース選手権には女子高校生レーサーも参戦しています。橋本翼選手は当時高校3年、17歳当時「51garageチームイワキ」に所属していましたが、大学での勉強を優先させたいとのことでロードレースからは一線を引いています。いつかまた戻ってきて、熱い走りを見せて欲しいですね。 石井千優選手は中学3年からは本格的に250ccクラスにステップアップし、高校2年の時は、筑波ロードレースJP250クラスで好成績を残している実力派ライダーです。彼女のコメントには哲学的な要素があり、謙虚な姿勢が好感を持てます。ぜひとも活躍をしてもらいたいものです。 中原美海選手は小学5年生でポケバイを始めました。中学1年でMFJレディースロードレースに出場後、第2戦で初優勝、年間ランキングは3位に入った実力の持ち主です。将来的は「1度でいいから海外のレースを走りたい」という将来有望な選手です。

バイクレースを楽しもう

いかがでしたでしょか。レーサーについていろいろ説明してみましたが、バイクとしての「レーサー」と人間としての「レーサー」の両方とも奥行きが深く、極めれば極めるほど面白味が増してくるかと思います。 ぜひ週末はサーキットへお出かけになり、生の“レーサー”を見に行ってはいかがでしょうか。

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