個人投資家になることは難しくない
株の売買というと、ある程度の資金を持っている人が、その一部の資金を使って売買を行っているようなイメージがあるかと思います。しかし、ある調査では「約47%が個人年収300万円以下」という結果が出ています。
個人投資家の主な収入源は、「給与所得」もしくは「年金」と回答している方が多いそうです。自分の稼いだお金を元手にして、少しでも余裕のある生活をしようと考えている人も少なくないでしょう。
そういう場合は、株式や話題のビットコインなどに投資をして、収入を増やそうと考えることは、資産運用の初心者としてよい選択なのかもしれません。
「株の魅力」って何ですか
資産運用としていろいろな方法がありますが、「株式投資」も選択肢の一つでしょう。株式の魅力といえば、どんなものがあるのでしょうか。
株式投資の3つの魅力
株式投資では、3種類のリターンがあります。まずは株の売却益(キャピタルゲイン)。株式を安く買って、株価が高くなったときに売却した際に得られる利益のことです。つぎに配当金(インカムゲイン)。企業が利益を上げて株主に分配する場合に、配当金として受け取ることができます。
そして最後は株主優待。持ち株数に応じて、企業の配布する自社製品や優待券などを受け取れる制度です。これらが、株式投資を行う際に得られるリターンとして覚えておきましょう。
【参照リンク:http://www.nomura.co.jp/retail/stock/beginner_stock/5_minute.html】
株主優待でお得に生活
さきほどのリターンの中でも、「株主優待」は株の初心者でも扱いやすく、お得なことが多いので人気があります。「株主優待」とは、株式公開会社が株主に対し、持ち株数に応じて優待券や割引券などのサービスなどを提供することで、株主への保有安定化策として行われている制度です。
企業にとっては、自社のサービスや製品の知名度向上、そして株主にとっては楽しめる利益の還元となり、お互いにメリットのあるものとなっているようです。
株主優待を実施している企業が増えている
株式投資をする際に、株主優待をしているかどうかを目安にして、企業の銘柄を選ぶ人もいるかと思います。最近では、株主優待を実施する企業が増えているようです。
株式投資できる上場企業は約3500社
株式投資できる上場企業は、現在約3500社ほどあります。証券取引所に上場している企業は、株取引が可能です。
株券の所有者、つまり株主になると、会社の成長に応じた値上がり益や、配当金を得ることができます。そのほかにも、株主総会での議決権が与えられたり、会社解散時には残余財産の分配を受け取ったりする権利もあります。
【参照リンク:https://www.jpx.co.jp/listing/co/index.html】
株主優待を実施してるのは上場企業の約3割
実際に、株主優待を実施している企業数ですが、株式上場企業数(全市場)3723 社中1368社が実施しています。実施企業は少しずつ増加しており、全上場企業数に対する優待実施率は36.7%となっています。上場企業の約3割が実施しているという結果になります。
5年前に比べて約300社増えている
安定株主づくりのための有効な施策として、2018年に株主優待制度の導入を発表した企業は、94社あります。BtoB(Business to Businessの略で、企業を相手にして事業や商取引を行う会社のこと)業種を中心に、積極的な導入姿勢がみられます。
株主優待を行っている企業は、5年前に比べると約300社も増えているということです。(*2018年時点で)
株主優待にはどんなものがあるか
では、実際に株主優待には、どんなものがあるのかを見ていきましょう。
ジャンル別の株主優待
株主優待のジャンルを大きく分けると、飲食料品・食事券・衣料品・生活関連・デパート・スーパー・家電電機・レジャー・住宅関連・宿泊関連・交通関連などに分けられます。こうしてみると、いろいろな業態の企業によって行われていることがわかります。
株主優待を実施している有名企業
「株主優待」を実施している企業はたくさんありますが、実際にどんな企業が行っているかまでは、ぴんとこない方もいるかと思います。しかし、有名な企業も「株主優待」を行っているところがたくさんあります。
たとえば、食品関係であれば「日清食品」や「日本ハム」「キユーピー」など、外食関係では「マクドナルド」や「すかいらーくグループ」「ワタミ」など、飲料関係なら「伊藤園」や「ダイドー」「コカ・コーラ」など。
また、意外なところでは「東京ディズニーランド」のオリエンタルランドなども、株主優待を実施している企業です。
株主優待生活の始め方
いろいろな企業が株主優待を行っていることがわかったところで、実際に「株主優待生活」をスタートさせるために、必要な手順などを知っておかなければなりません。株主優待を受けるためには、どうすればよいのかをみていきます。
株を始めるのに必要な流れを押さえよう
株主優待を受けたい場合は、「株取引」を行わなければなりません。そこで、株取引を始めるために必要な流れを簡単に説明していきます。
まずは、証券会社に自分の証券口座を開くことがスタートです。証券会社への口座は、銀行口座のようなもので、これがなければ株取引ができません。最近では、開設するだけでキャッシュバックがあったりするところもあるので、資金がなくてもとりあえず口座は作っておきましょう。
証券会社はいろいろとありますが、取引手数料も安く、店舗に行かなくてもインターネットで取引できる「ネット証券」が、気軽に始められて便利です。口座を開設したあとは、その口座に株を購入するための資金を入金します。銀行や郵便局から入金ができ、証券会社や振り込む銀行によっては、手数料無料のところもあります。
口座に入金が済み、株取引を始める準備が整ったところで、購入したい株を選びます。株を選ぶときは、できれば値上がりする株を選びたいところです。しかし、たくさんあって分からない場合は、まずは自分の身近で使えそうな企業の株を探してみるというのが、初心者であればスタートしやすいでしょう。
買う株が決まったら、証券会社にどの株を何株買うのか注文を出します。株主優待を受けたい場合は、必要に応じて保有数が決まっているので、それに合わせて購入してみましょう。指定した金額で買う方法と、とりあえず現在取引されている金額で買う方法と、二つの取引方法があります。出した注文の取引が成立することで、ようやく自分の株となります。
株主優待生活はいくらから始められるか
株主優待を始めるためには、いくつか条件があります。その条件を見ていきましょう。
株主優待を受ける場合は、企業が決めている権利が確定する日まで、その株を保有していることが条件となっています。「株主優待の権利確定日」というものが企業ごとに決まっていますが、その権利確定の日に、株主としての権利があればよいのです。そのため、極端な話をすると、権利確定の当日に購入して、一日だけ保有して、その後売却しても株主として優待を受けることが可能なのです。
さらに株主優待では、決められている株数で優待を受けられるので、初心者の場合は、最低の株数から始めてみるとよいでしょう。以前よりも株の投資単位が小口化されている現在は、「株主優待付銘柄」は10万円以下のものもあり、買いやすくなっています。
例えば、Aの会社の株価が1,000円として、優待を受けられる最低単位が100株の場合。1,000円×100株=10万円あれば、株主優待の銘柄を購入することが可能になります。もちろん、株価は上下しているので、こまめにチェックすることも必要です。
そして、優待を受けるために必要な株数は、それぞれの企業によって異なりますので、各企業のホームページなどに書かれているので確認してみましょう。
株主優待を探すコツ
株主優待を上手に探すために必要なコツを、いくつかご紹介します。それらを踏まえていると、自分にとってよりよい優待を探すせるでしょう。
株式取引は時間が決まっている
株主優待を探す前に、日中に働いているサラリーマンの方などは、取引が難しいと思われるかもしれませんね。しかし、実はいろいろな注文方法があります。株式取引の注文自体はいつでもできますが、実際に行われる株取引というのは、証券取引所が開いている時間帯に行われているため、時間が決まっています。
スマホアプリやインターネットで、24時間売買予約が可能になっており、例えば通勤時間帯などにスマホから取引予約を済ませれば、あとはその時間帯で処理されます。
時間がない人はスマホで検索
じっくりと探す時間のない方は、インターネットなどでも調べられます。どんな優待があるのかを調べるのに、検索サイトを活用してみましょう。株主優待の企業をまとめたサイトなどもあるので、そこから探して見てもよいでしょう。
時間がある人は書籍でじっくり
じっくりと考えながら探してみたい方は、書籍などで情報収集するというのもよいでしょう。『株主優待ガイド 』には、株式に関する情報誌や上場企業のさまざまな情報の載っていて参考になります。
ほかにも、投資家のバイブルと呼ばれる「四季報」や株式コンサルタント会社が発刊しているものなど、書籍はいろいろと出ています。それらを参考にして、じっくりと分析してみることもよいかもしれません。
株主優待でライフスタイルを充実させる
実際に、株主優待を受けて自分のライフスタイルが充実したらよいですね。自分の生活の中で使える株主優待には、どんなものがあるのか一例を見ていきましょう。
働きながら使える株主優待
仕事をしながら使える優待として、通勤時間帯や待ち合わせのときにカフェで使える優待や、会社で利用できる文房具をもらえる優待があります。カフェであれば「ドトールコーヒー」や「コメダ珈琲」などの喫茶店、文房具メーカーであれば「ナカバヤシ」や「キングジム」などがあります。
休日におススメの株主優待
休日に使える株主優待もあります。休日に家族や友人などと遊びたいときなどは、レジャー施設で使える優待が便利です。ボウリングの「ラウンドワン」やカラオケの「シダックス」、映画を見たいときは「東宝」や「東映」などの映画館で使える優待もあります。
また、飲食したいときは「マクドナルド」や「すかいらーくグループ」、居酒屋の「コロワイド」など、休日でも使う機会が多い優待はたくさんあります。
趣味やライフスタイルを豊かにする優待
自分の趣味やライフスタイルを充実させられる優待もあります。旅行好きの方なら「全日空」や「日本航空」などの航空会社や、各「鉄道会社」など。
また、遊園地であれば、東京ディズニーリゾートのある「オリエンタルランド」や「サンリオ」など、野球観戦であれば「オリックス」や「近鉄」などもあり、こちらも楽しめる優待がたくさんあります。
優待選びで迷ったときのクオカード
優待がたくさんありすぎて迷ってしまう、そんなときには金券を株主優待として出している企業を選んでみましょう。特定の優待券では、近所に店舗がなくて使えないということもありますが、金券だったらどこでも、何にでも使えるので安心です。
企業によって金券の種類もさまざまです。図書カードやギフトカードを出している企業もありますが、金券を出している株主優待の中でもっとも多いのは、実はクオカードなんです。コンビニで使えるほか、ファミリーレストランやドラッグストア、そしてガソリンスタンドやホテル、書店などでも使える店舗があります。
クオカードは非常に使い勝手がいいカードなので、優待品として選ばれていることが多いです。さらに、必要なければ金券ショップなどで換金もできるので、優待選びで迷った場合は、まずはクオカードを出している企業を選んでみましょう。
ただし、優待を出す企業側にとっては、金券での株主優待はコストがかかるため、業績悪化などで株主優待廃止となるリスクも少なくありません。金券を選ぶ際には、業績が良い企業なのかを事前に調べておくことも大切です。
まずは気に入った銘柄を楽しもう
いろいろな企業で「株主優待」を行っていますが、優待品にも、優待券や飲料、食品、実用的な図書券やクオカードなど、企業によってさまざまなものがあります。ただし、株は大きな金額の動くものであり、企業の業績悪化等により、場合によっては優待の廃止や購入時よりも損をすることもあります。
それを踏まえたうえで株を購入する場合は、気になっているまたは、身近に感じている銘柄から選んでみるというのが株主へのスタートになります。自分のライフスタイルに合った優待が、きっと見つかるはずです。