そもそも株主優待とは何か
「株主優待」とは、企業が一定以上の株式を保有する株主に対して、自社の割引券などを贈呈する、一種の利益還元制度のことです。企業にとっては、「個人投資家にできるだけ多くの株式を保有してもらうこと」が目的で、優待の品も主に飲料や食品、食事券や割引券、一部ではQUOカードや図書カードなど、さまざまな優待があります。
最近では、保有株式数の多い株主だけでなく、保有期間の長い株主(長期投資家)に対しても、優待を手厚くする企業が増えており、長期にわたって持ち続けてもメリットのあるものとなっています。
株主優待のメリット
「株主優待」は、株式投資としては比較的メリットの多い資産運用の方法となっています。どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
利回りが高い
株主優待のメリットとして、まずは「高い利回り」が挙げられます。「利回り」とは、銀行でいう利息のようなものです。
よく外食をする人が、飲食系の企業の株主となって食事券を株主優待でもらった場合は、優待で出ている額の分を無料で飲食することが可能です。もしも、食事券を使わずに転売したとしても、現金収入となるのでどちらにしてもお得になります。
それを考えた場合、できるだけ「利回り」の高い銘柄を選んでおくことが、ひとつの目安となります。銘柄によっては、利回り10%以上となるものもあったりします。さらに優待券とは別に、配当金を受けることもできるので、収益としてはダブルでお得になります。
株の売買のタイミングがつかみやすい
企業によって「株主優待」のある企業とない企業があります。もしも、株主優待の株を選んだ場合は、保有している株の売買のタイミングが、つかみやすいということもひとつのメリットです。
優待を受けるためには、「権利確定日」という特定の日に株を保有している必要があります。そのため、その日が近づくと、優待を受けたい人が株を購入することが多いので、株価が上がりやすい傾向があります。
そして、優待の権利が受けられる「権利確定日」が過ぎると、株を売却することが可能になります。それを「権利落ち」といい、権利落ちのあたりは売却する株主もいるので株価が下がりやすくなる傾向があります。
株主優待のある企業の株を購入したい場合は、このように株価の上下が比較的わかりやすく、売買のタイミングがつかみやすいので、購入を考えている初心者にはうってつけではないでしょうか。
株主優待の選び方のポイント
「株主優待」を目的に銘柄を選ぶとしても、いろいろな企業があり、初心者にとってはどの銘柄を選んだらよいのかわかりません。そこで、優待銘柄を選ぶ際のポイントをいくつか挙げていきます。
配当利回りと優待利回りのバランス
まずは、「配当の利回り」と「優待の利回り」がよいものを選ぶことがポイントです。どちらかでも極端に低い場合は、損をしてしまう可能性があるので注意が必要です。
配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標です。 一株当たりの年間配当金を、現在の株価で割って求めるものです。優待利回りは「株主優待の利回り」で、投資金額に対する株主優待(収益)の割合が、優待利回りとなります。
銘柄によっては、配当利回りが良くても優待利回りが低かったり、逆に優待利回りがよくても配当の利回りが悪かったりします。そのため、受けたい優待と配当へのバランスを考えながら、どちらをメインに考えるかが目安となります。
企業の業績が好調か安定している
株主優待の制度は、企業の業績がある程度安定してるものを、銘柄として選ぶこともポイントです。いくら優待の内容が良くても、企業の業績の悪化などによって株式の下落がおこると、優待制度が廃止になり、株主優待が受けられなくなることもあります。
それも踏まえたうえで、銘柄選びは「できるだけ業績の好調なもの・安定しているもの」を選ぶとよいでしょう。
長期保有優遇制度があるか
企業の中には、長期保有している株主に対して、優遇する制度を持っているところもあります。たとえば、一定期間の保有によって、優待額が倍になるものがあったり、もらえる商品の数が増えたりします。
長期間の保有を考えている方は、「長期保有による優遇制度」がある企業かどうかで選んでみることも、目安のひとつでしょう。
セレブに人気の株主優待食事券のおすすめ5つ
株主優待の種類にもさまざまなものがありますが、株主優待で得られる「お食事券」で、セレブな気分を味わえると人気の優待があります。そんなお食事券のおすすめ銘柄をご紹介します。
<選定基準として>
- 業績が安定している
- 配当利回りと優待利回りのバランスが良く合計利回りが高い
- おしゃれな高級レストランで使える
以上の点から選んでみました。どんな企業の優待があるのか見ていきましょう。
株式会社ひらまつ
保有株数に応じた優待カードを発行し、レストランでの飲食代やホテルにおける宿泊代と飲食代の割引に利用できます。また、婚礼における飲食代の割引や、株主フェア(年に数回、1単元以上保有の株主を対象とした有償フェア)、通信販売におけるワイン代の割引などもあり、とてもお得です。
優待の対象レストランと飲食店は、「国立新美術館カフェ」「カフェ・デ・プレ」「カフェ・ミケランジェロ」「レストランひらまつ パリ」「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」など、いろいろなところで利用可能です。
【参照リンク:https://www.hiramatsu.co.jp/ir/benefit.html】
ツカダ・グローバルホールディングス
保有株数単元によって、グループで使えるレストラン等の飲食代金優待割引、またはホテルの宿泊料金の優待割引を行う、株主優待券やクオカードの配布などがあります。株主優待対象レストランの一例として、ヴィーノ・ボーノ・インターコンチネンタル東京ベイの「ニューヨークラウンジ」や「分とく山」などがあります。
東京のほか、神奈川・千葉・埼玉・名古屋でも利用できるレストランがあります。
【参照リンク:http://www.tsukada-global.holdings/ir/stock/incentives.html】
リゾートトラスト株式会社 リゾートトラスト
所有株数により、「3割引または5割引の優待割引券」が発行される優待内容となっています。また、2016年3月末を最初の起算日として、1000株(10単元)以上、且つ3年以上継続して保有されている株主向けに、株主優待券の5割引券が1枚追加となる、「長期保有株主向け優待制度」を導入しています。
株主優待対象レストランの一例として、「イタリア料理レストラン OZIO(東京ベイコート倶楽部内)」など、エクシブやサンメンバーズでのレストランが対象となり、東海北陸地区や関西地区も対象の店舗があります。
【参照リンク:https://www.resorttrust.co.jp/ir/stock/benefit/】
株式会社 うかい
高級料亭のうかいでも優待を行っており、所有株数に応じて1枚3,000円の優待券の枚数が決まります。たとえば、100株所有で1枚、300株所有で3枚となっており、優待券はグループ内のうかいでの飲食に利用できます。
あわせて、100株所有で「箱根ガラスの森」の飲食付入場招待券が5枚もらえます。また、500株以上所有の場合は、「料亭のうかい」での飲食、または「うかい特選牛」のいずれかを選択できます。
【参照リンク:http://www.ukai.co.jp/corporate/ir/benefit.html】
ワイズ テーブル コーポレーション
レストランのチェーン展開をしている「ワイズ テーブル コーポレーション」の優待は、100株以上の所有で株主優待券1,000円券5枚を受け取れます。優待券は店舗での利用、もしくは特別ギフトとの引換えが可能となっています。
株主優待対象レストランの一例として、「毛利SalvatoreCuomo」「炭火焼肉An」「XEXATGOGREENHILLS」などがあります。また、特別ギフトは「黒毛和牛ギフト」や「黒毛和牛のハンバーグ&メンチカツセット」「アイスクリームギフト」のいずれか1点と引き換え可能となっています。
こちらの企業でも長期保有株主優待として、「100株以上所有の株主で、3年以上継続して保有している株主」を対象に、年1回株主向けのメンバーとしてカードが送付されます。こちらは利用代金の支払いの際に、会員証の提示によって、会計料金の10%の割引が適用されます。
【参照リンク:http://www.ystable.co.jp/corporate/ir/yutai.html】
株主優待食事券で素敵なディナーを
さまざまな企業で、「株主優待」によって得られる食事券があります。高級料亭やレストラン、バーなど利用できる店舗もいろいろあり、優待を選ぶ際の選ぶポイントのひとつとして、とても大きな制度になるのではないでしょうか?
ただし、株は大きな金額が動くものでもあります。加えて、企業の業績悪化等により場合によっては優待の廃止や購入時よりも損をすることもありえます。
長期保有者向けの優待を行っている企業もありますので、長期で保有するというスタンスで考えておくとよいかもしれません。ただし、途中で優待内容が変わってくることもあるのでこまめにチェックすることも必要です。株を購入する場合は、慎重に選んでお得に優待を利用してリッチな気分を味わいたいものです。