ロードバイクで体を引き締める
「効率的なシェイプアップ」と聞いて、皆さんならどのようなアプローチを思い浮かべるでしょうか。筋トレ、ストレッチ、パンプアップ。初心者の方は筋肉をひたすら鍛えれば痩せやすくなると思いがちですが、無理な筋トレをつづけていたのでは筋肉を傷めるばかりで、かえって逆効果になります。
有酸素運動として注目され、忙しい合間でも無理なくつづけられると評判のロードバイクの効果とメカニズム、より効率的に筋肉をつけるための注意点について詳しく解説していきます。
ロードバイクの消費カロリーはMetsで計算
ロードバイクの効率を推し測るパラメータとしてMetsが知られています。Metsの意味と役割を詳しく把握することによって、ロードバイクの活用が理にかなっているかどうかをチェックすることができ、また、より効率的なトレーニングメソッドの組み立てにもつなげることができます。
Metsの基本的な考え方と指標の活用法について具体的に見ていきましょう。
Metsとは運動強度の指標
Metsは「その運動を行った場合にかかる体への負担」を表し、運動効率や消費カロリーを推し測るためのパラメータとして活用されています。Metsを利用した消費カロリーは、(Mets×運動時間×体重(Kg)×1.05)という公式によって導き出すことができます。
Metsの表し方は、たとえば、ウォーキング=3Mets、サイクリング=4Mets、ランニング=5Metsという風に、数字が大きくなるほど短い時間でも体にかかる負担が大きくなると言われています。
通勤によるロードバイクでの消費カロリー
健康ブームの影響もあり、毎日の通勤でロードバイクに乗る人が増えています。ここでは一般的なケースとして、「体重70kgの男性が往復1時間のロードバイク通勤をつづける場合」について具体的にシミュレーションしていきます。
ひとつの運動による消費カロリーは、(Mets×運動時間×体重(Kg)×1.05)という公式で算出できます。早見表によると、ロードバイクによる運動は8Metsとされていますから、上記の公式に運動時間と体重を代入した場合以下のような計算になります。
消費カロリー=8Mets×1×70×1.05 |
ちなみに、通勤時間を2時間にすると消費カロリーが2倍になりますが、シンプルに(長く運動するほど効率が上がる)というわけではなく、特に初心者の場合はいきなり強い負荷をかけすぎると筋肉組織を傷めてしまう場合がありますので、そのあたりのバランスに注意しながら運動メニューを組み立てるようにしましょう。
ロードバイクで山登りをするときの消費カロリー
通勤よりもカロリーの消費効率が高い運動として山登りがあります。体重60kgの男性が比較的ゆっくりしたペース(時速8km~9km程度)でロードバイクに乗り1時間の登山を行った場合、どの程度のカロリー消費量が期待できるのでしょうか。消費カロリーの計算式にあてはめてみましょう。なお、この場合のMets数は3.5とします。
60×3.5×1×1.05=221 |
次に、平均的なペース(時速16km~19km程度)の場合、Mets数は8.5となり、消費カロリーは、
60×8.5×1×1.05=536 |
と算出できます。このことからも、運動効率は運動強度と時間に比例することがわかります。
レースで走る場合の消費カロリー
趣味のサイクリングと本格的なロードレースでは、1時間あたりの消費カロリーに大きな違いがあります。大まかな目安として、坂道ありのロードレースの場合、1時間あたりおよそ1,000キロカロリーが消費されると言われています。2時間を超えるロードレースでは、事前のエネルギー補給がより重要になります。
ロードレースのような持続的な運動では体内のグリコーゲンが大量に消費され、不足するとエネルギー不足や筋肉組織の破壊につながっていきます。レース当日はエネルギーの補給効率を意識した朝食を摂り、レース中の補給食のタイミングも緻密に計算しつつレース運びをコントロールしましょう。
ロードバイク以外との消費カロリーの違い
ロードバイク以外にも、短時間で効率よくカロリーを消費できる運動はいくつか知られています。一般的に知られている運動と消費カロリーの関係についてまとめました。
- ママチャリ(5.8Mets)=365
- マウンテンバイク(6.8Mets)=428
- クロスバイク(6.8Mets)=428
- ロードバイク(12.0Mets)=756
- 電動アシスト自転車(3.0Mets)=189
ここで注意したいのは、Mets数と運動効率は必ずしも一致しない、ということです。Mets数が大きい運動を無理してつづけて短時間で終わるよりも、Mets数の低い運動を無理なく長時間つづけるほうが消費カロリーが大きくなりますし、体への負担を最小限におさえることができます。
消費カロリーを高めるポイント
ただたんに、Mets数を上げるだけでは、本当の意味で効率の良いカロリー消費にはつながりません。運動中の姿勢や心拍数など、ロードバイクをつづけるうえ重視すべきポイントについてまとめました。
負荷のかかる前傾姿勢で乗る
脚の筋肉はもちろん、腕などの全身の筋肉をまんべんなく使えるというところにロードバイクのメリットがあります。
特に、サドルの位置を低めにしたり、ハンドルの下側を握るだけでも普段の運動では使わない腕まわりの筋肉をきたえることができますので、初級編の簡単なメニューが物足りなくなってきたら自分なりにフォームを工夫してみましょう。
心拍数を把握して有酸素運動をキープ
ロードバイクにかぎらず、カロリーの消費効率を高めるためには有酸素運動がポイントになります。無酸素運動は、筋肉を瞬間的にきたえるうえでは有効ですが、長い時間にわたってカロリーの消費しやすくするためには、有酸素運動が必要となります。
ロードバイクでも、心拍数を把握しつつ有酸素運動の状態を長くキープすることで効率アップにつながります。心拍数はスマートウォッチやサイクルコンピュータなどのツールと連動させることでチェックできますので、IoTも活用しつつ効率的なシェイプアップに取り組みましょう。
ローラー台を使い理想の状態で運動
「ロードバイクでどこかに出かけたいけれど、そのためにわざわざ外に出るのは面倒くさい」という方にはローラー台がおすすめです。
室内でも運動ができるローラー台であれば天候や気温に左右されずカロリーを消費でき、モチベーションをキープしやすいと言えます。自分の運動レベルに合わせてスピードを自在に調整できるのも、ローラー台の大きな長所です。
ロードバイクで運動する注意点
ロードバイクは正しいメソッドのもとで使用すれば非常に効果の高いシェイプアップ法と言えますが、自己流で安易につづけているとかえって逆効果になる場合もあります。初心者の方はまず、ロードバイクの注意点からしっかり把握しておきましょう。
食事はしっかりとりハンガーノックを避ける
ロードバイクにかぎらず、ある程度負荷のかかる運動を行ううえでまず注意すべきなのはハンガーノックです。短時間のうちに急激なペースでカロリーを消費すると脳に供給されるエネルギーが不足してしまい、脳の機能が急速にダウンしてしまいます。
最悪の場合、ハンガーノックによって昏倒状態に陥ることもありますので、日頃からエネルギー効率を考えた食事を心がけ、特に朝食についてはしっかりと摂取するようにしましょう。
ウォームアップとクールダウンを怠らない
ウォームアップとクールダウンは運動の基本中の基本です。ウォームアップには全身の筋肉をほぐす以外に心拍数を段階的に上げ、運動のスイッチを入れる役割がありますし、クールダウンには筋肉の疲労を速やかに回復させ、運動モードに入った心拍数を徐々に落ち着かせる効果があります。
ウォームアップとクールダウンを怠るとケガや心筋梗塞などにつながる可能性があるため、必ず正しいメソッドを把握したうえでロードバイクに乗るようにしましょう。
効率よくロードバイクでカロリーを消費
ロードバイクを上手に活用すれば、通常の筋トレやサイクリングよりも効率的にカロリーを消費でき、迅速なシェイプアップにつなげることができます。ウォームアップやクールダウン、日頃の栄養バランスなども考慮に入れたうえで、体型やライフスタイルに合ったシェイプアップメニューを組み立てましょう。
数式にするとわかりにくく感じられるかもしれませんが、要するに(運動強度の大きい運動を長時間、体重の重い人が行うほど負担が大きくなる)ということであり、私たちの実感で考えてもさほどのずれがありません。
簡単な目安として、4Metsの運動あたりから少しずつきつく感じられますので、初心者のうちはまず無理なくつづけやすい3Metsあたりからはじめてみると良いでしょう。