ビットコイン急落の理由は何
仮想通貨が注目されるきっかけを作ったのが、ビットコインと言えます。海外ではビットコインで公共料金の支払いなどもできますし、日本でも需要は高まってきています。
仮想通貨市場は自由度が高いところも魅力ですが、順調に見えていた仮想通貨市場がここに来て急落し始めています。
急落の理由を見ていくとともに、これからビットコインの取引に備えて知っておくべきことを解説します。
誕生から現在までのビットコインの価格推移を見てみよう
ビットコインがいつこの世に生まれどのような歴史をたどってきたのか、歴史を振り返るとともに価格推移などもチェックしていきます。
誕生から2011年までの価格推移
ビットコインがこの世に誕生したのは、2008年10月。ただしこの時はまだ論文として発表されただけです。実際に取引が開始されたのは、2009年1月のことでした。
仮想通貨という今までにないスタイルが注目されますが、紙幣や硬貨という形では存在しないため不安の方が大きく、日本ではあまり注目されなかったようです。
しかし海外では多くの投資家たちがビットコインに注目し、2010年5月には世界初となるビットコイン決済も行われます。世界初のビットコイン決死が行われたのは、ピザを購入したラズロ・ハニエツ氏でした。
ピザ2枚で約25ドルだったところを、10,000BTCで購入したのです。実際にビットコインが使えるということを証明する形となりました。これにより当初1BTC=0.8ドルにしか過ぎなかったところが、一気に30ドルにも跳ね上がります。
1人の男性がピザの決済にビットコインを使用したことで、一気に価値が跳ね上がったことでビットコインバブルとも呼ばれていました。
一見順調だと思われていたビットコインですが、2011年6月には世界的にも注目された「マウントゴックス事件」により、1週間もの間取引ができなくなるという事態が起きます。
当時では最大級とも言われたマウントゴックス社という、ビットコイン交換所がハッキングされユーザー情報が漏洩したという事件です。
この事件の影響で、ビットコインの信用は地に落ち、価格も大きく下落してしまいます。ビットコインに注目していた人々からの信用も失います。
2012年から2015年までの価格推移
2012年11月には、それまで50BTCだったマイニング(発掘)報酬が、25BTCと半分まで引き下げられます。これはビットコインでは初めての半減期となります。
2013年に入り、キプロス経済が悪化します。その影響でキプロス中央銀行の信用がガタ落ちとなり、世界中の人と自由に取引できるビットコインに注目するようになります。利用者が急増したことで、低迷気味だったビットコインも徐々に挽回して過去最高の価格を記録するまでになります。
2014年になり、再びマウントゴックス社が悪い意味で注目を集めてしまいます。今度もハッカーにより85万BTC(現金にして約28億円)を盗まれてしまいます。この影響でマウントゴックス社は経営破綻となったのです。やっと回復の兆しを見せ始めたビットコインでしたが、またしてもマウントゴックス社のせいで、信用を失い価格が暴落します。
2015年にはマウントゴックス社以来の大規模取引所として名が知られていた、Bitstampもハッキング被害を受けるという事件が起き、500万ドルという膨大な被害を受けます。
2016年から2017年までの価格推移
2016年3月には、大手のDMMcomやSteamがビットコイン決済に対応するようになります。国内でもビットコインが使える場が増えたこともあり、価格は上昇していきます。
2016年7月には、第2の半減期となりマイニング報酬が25BTCから12.5BTCに下がります。しかし同年8月には、香港の取引所Bitfinexがハッキング被害により12万BTCを盗まれ価格が急落してしまいます。
2017年に入り、国内でも法律を改正し利用者にとってメリットが増えます。2017年8月にはビットコインから分裂したビットコインキャッシュが誕生し、12月には史上最高価格となる1BTC=2,350,517円を記録するなど巻き返します。
世界でも1BTC=19,783ドルまで上昇するも、その後は下落していくことに。
2018年に入ってからの価格推移
2018年1月には、DMMがビットコイン取引所を解説しますが、時期を同じくして世界各国で仮想通貨が規制されるようになると、朝には170万円台を記録していたにもかかわらず、数時間後には120万台まで暴落するという事態が起きます。
この暴落の背景には、中国政府が仮想通貨を禁止にしたことも関係いていると言われています。更に追い打ちをかけるように、Coincheckがハッキング被害を受け580億円とも言われる盗難事件が起きます。
他の仮想通貨も盗難されるという事件が重なり、2018年の始めは順調に見えたかに思われたビットの価格は、半年後には3分の1まで下落してしまいます。
ビットコインの値動きが激しい理由
なぜビットコインは注目されていたにもかかわらず、ここまで変動が激しいのでしょうか?その理由はいくつか考えられますが、一番の理由は仮想通貨という特殊な存在ならではというところにあります。
ビットコインのような仮想通貨は、全てネット上で取引されます。自由度はあるものの、銀行のような建物もなく、紙幣や硬貨も存在していません。全てはデータでやり取りすること、まだ歴史も浅く変更なども多く不安定な面があるのも否めません。
注目度は高いものの不名誉なニュースが多いことから、情報に左右されやすいのも価格変動を激しくしてしまう理由となっています。
ビットコインが急落する原因
ビットコインが急落した原因は大きく分けて5つあります。それぞれの原因を詳しく解説します。
技術の未熟さ
ビットコインは仮想通貨という今までになかった、新しいスタイルの通貨です。世界中で取引されていますが、新しい故に技術が未熟な部分があるのも否めません。世界中の人が自由に取引できるのは魅力ですが、大勢の人が利用する性能は間に合っていないというのが現状です。
実際2017年5月には、技術面での不安が露呈する形となり、利用者の信用を失いその結果、価格が暴落してしまったのです。
例えば1秒間に7件の取引をする場合、それを処理するのに10時間以上かかってしまうことになります。送金に時間がかかりすぎるだけでなく、送金手数料が高いのも新規ユーザーには敷居が高く利用者を増やせない原因となっています。
取引所のハッキング
ビットコインが急落する原因のひとつに、ハッキング被害に遭いやすいというのがあります。ビットコインの登場から、他にもいくつかの仮想通貨が誕生していますが、いずれも仮想であり実際い紙幣や硬貨という形では存在していません。
全てはネット上でデータのやり取りをしています。セキュリティ対策をしていても、隙があるためハッカー達が狙いやすいのでしょう。
取る引き所には多くの仮想通貨が保管されているので、被害に遭うと金額も大きくなってしまうのです。不正に大量のビットコインが流出するので、価格の急落を止めるのが難しくなります。
国の法律や規制の影響
ビットコインが誕生した当初のは、管理者がいないことの自由度が高く、誰でも気軽に取引出来るところが魅力とされていました。実際にビットコインを取り締まる法律もありませんでしたし、日本のみならず世界中でも、ビットコインに関する法律はないに等しい状態でした。
しかしある意味無法地帯となりつつあったビットコインに危機感を覚え、世界中で次々と仮想通貨に対する規制がかかるようになります。
中国が仮想通貨を禁止したことに始まり、世界各国でも仮想通貨を規制する動きが高まりつつあります。規制の影響もビットコインの価格を下落させる要因と言っていいでしょう。
クジラによる売却
クジラというのは、大口投資家のこと。大口投資家がビットコインを売却すると、その影響で暴落が起きます。必然的にビットコインの価格は下がりますので、そこを狙ってクジラは大量のビットコインを買い戻すのです。
あえて暴落させ、価格が下がったところに大量買いをすれば、買い戻した際に利益が出ます。これによりクジラは、ただ保有しているよりも効率よく利益を得られるのです。
しかし一般ユーザーは、大きなマイナスとなってもそれを取り戻すことができません。それどころかロスカットになれば、資産を失い最悪損失を出せば、その分をかぶることになります。
利害関係による政治闘争の影響
ビットコインの価格が上がれば、それを喜ぶ人もいます。仮想通貨でも利害関係が生じると、複雑化しやすく、やがては政治闘争にまで発展してしまうことも珍しくなくなってきています。
実際に2017年7月には、ビットコインが分裂して新たに、ビットコインキャッシュが誕生しています。この分裂による利害関係もあって、影響を受けると価格が暴落するという事態が起きます。
ビットコインの急落に備えて取るべき対策
すでにビットコインを保有しており、急落した場合にはどのような対策をとればいいのか?リスクを最小限に抑えるために役立つ知識を紹介します。
リスクをしっかり学んでおく
ビットコインは価格が高騰することもあれば、急に大暴落することもあります。世界中で取引できるという魅力があっても、仮想通貨という存在である以上リスクは伴います。特にネット上でデータとして扱われることから、ハッキングや詐欺関連のリスクはかなり高めです。
ビットコインに関する情報収集を怠らない人でも、目が行くのはメリットになる情報ではないでしょうか?
メリットが多ければ興味も増えますが、情報収集する際は、ハッキングや詐欺といったネガティブであまり自分には起きて欲しくない情報もチェックしておくことが大切です。ネガティブな情報にも、役立つ情報はあります。
情報収集を怠らない
ビットコインに関するニュースは、世界中に溢れています。情報収集がしやすいのはメリットですが、暴落する前には必ず何らかの兆候が見られます。
兆候を見逃したとしても、今まで起きてきた暴落前に何があったかを知っておけば、ニュースを見て事前に対策が出来ることもあるでしょう。
もし起きてしまっても、対処法を知っておけば冷静に対処して、被害を最小限に食い止められます。ネットだけでなく、新聞や雑誌など情報集手の手段もいくつか持っておくと安心です。
一部を現金に替えて資金を確保しておく
暴落すると損をしたことだけで頭がいっぱいになってしまいがちです。しかし違う角度から見ると、暴落したときに買えば安く購入できるというメリットが生まれます。ビットコインは暴落もしますが、高騰することもあります。
暴落したときに買っておけば、高騰したときに売って利益を得るということも可能。しかし買うにもある程度の資金が必要です。いま保有している仮想通貨を現金化して、いざというときのために使う資金として確保しておくのも賢い選択と言えます。
ただし現金化する際は手数料がかかりますので、レートチェックは欠かせません。
あらかじめ損切りラインを決めておく
損失を防ぐには、損切りラインを決めておくといいでしょう。資産や保有しているビットコイン数によってもラインは変わりますが、売り時があやふやだと損失が大きくなる可能性が高くなってしまいます。
売った直後に価格が上がると損をして後悔しますが、もしも更に急落した場合は売っておいてよかったと思えるでしょう。損切りラインを決めておくと、大暴落したときのダメージを軽減できます。確率は五分五分でも、損失を大きくしないことを優先させましょう。
分散投資でリスクを軽減
ビットコインといえば、仮想通貨人気のきっかけを作ったと言ってもいいくらい有名です。しかし今はビットコイン以外にもたくさんの仮想通貨が誕生しており、世界中で取引されています。
それぞれの仮想通貨は、個別に取引されていてレートや価格の変動も違います。
もしもビットコインが急落しても、他の仮想通貨が安定していればそちらで取引すればリスクを減らせます。ビットコインだけに集中してしまうと、暴落したときのダメージも大きくなってしまうのです。分散投資もリスクを軽減するための対策になります。
全財産をビットコインにつぎ込まない
ビットコインは大暴落することもあれば、高騰して一気に価値を高めることもあります。高騰したときに売れば、かなりの金額になるということから、一攫千金を狙って全財産をビットコインに注ぎ込む人もいます。
見事予想が的中して一攫千金となればいいのですが、仮想通貨はリスクが高いことも覚えておいてください。もしも全財産をつぎ込んだ後に大暴落すれば、一瞬で一文無しになってしまう可能性があるからです。
資金により損失の限界ラインはことなりますので、自分の限界ラインを見極め、それを超えないよう決めておくといいでしょう。
積み立てで購入できるようにする
ビットコインに興味があるけれど、暴落したときのことを考えると不安しかないという人には、積立購入がおすすめです。月々1,000円~始められますし、積立でコツコツと増やしていけば、急落してもそんなに痛手は負いません。
もちろん少ない金額でも自分の資産であることに変わりないので、レートの変動やチェックはこまめにしておきたいところです。暴落を気にせず積立できますし、万一暴落しても買い増しも出来るので、リスクを軽減できます。
ビットコインの急落に備えて取るべき対策 |
リスクをしっかり学んでおく |
情報収集を怠らない |
一部を現金に替えて資金を確保しておく |
あらかじめ損切りラインを決めておく |
分散投資でリスクを軽減 |
積み立てで購入できるようにする |
ビットコインが急落してしまった時の対処法
保有しているビットコインが急落してしまったら…がっかりして落ち込みますが、落ち込んでばかりはいられません。少しでも損失を減らすにはどう対処したらいいかを知っておくことが大切です。
他の仮想通貨の購入も検討する
保有しているビットコインが急落しても、他の仮想通貨で取引をして利益を出せれば、損失をカバーできます。
仮想通貨にもいくつか種類はありますが、買うならビットコインの変動に素早く対応している種類がおすすめです。反応が早いほど利益も早く出るので、ビットコインで損失があっても挽回しやすくなります。1種類だけではなく、いくつか分散しておくのもいいでしょう。他の仮想通貨を活用するのもおすすめです。
売らずに保有し続ける
ビットコインが急落すると、売ってなんとかしようとしてしまいがちです。しかし価格が下がっているときに売っても、利益は出ません。ビットコインは下がると暴落するのも痛いところですが、暴落の後に高騰するのも特徴です。
高騰までは行かないとしても、その後価格が上がる可能性もあります。売ってしまえば高騰したときに後悔するかもしれません。売りたくなってもそのまま保有しておくといいでしょう。売るなら価格が回復するのを待って、損失を少なくするのが賢い方法です。
損切りする
暴落したときの損失を最小限にするには、損切りもひとつの選択肢です。
損切りとは仮想通貨を売って、お金に変えることです。自分なりのラインを決めておいて、それを越える前に損切りすれば、損失を最小限に抑えられます。ただし損切りは課税対象となるので、注意が必要です。
ビットコインの急落にしっかり備えよう
ビットコインの急落により、このままでは資産価値がなくなってしまうのではないか?と不安に思っている人も多いことでしょう。急落した理由が何であれ、全てを売ってしまうのは時期尚早です。
仮想通貨はビットコイン以外にも存在していますので、他の仮想通貨を保有するなどリスクを分散しておくのも対処法のひとつ。形として存在しないものだからこそ、各自がリスクに向けて高い意識を持つことが大切です。