職場の嫌がらせの対処方法を知りたい
企業であれば仕事は仲間でするモノであり、仲間がいなければ仕事にならないこともあるのです。協力してくれるはずの同僚が全く協力してくれない、嫌がらせをされるといったことから精神的に追いやられ病院に通っている人も少なくありません。
職場で受ける嫌がらせは「生活していくために働かざるを得ない」状況で「退職できない」という人もいるため、非常に苦しい状況に追いやられている現状があるのです。
厚生労働省がパワハラ防止に向けて企業に義務化を提唱
職場での嫌がらせ、いじめの問題が年々大きくなり、最悪のケースでは命を絶つというケースに発展してしまうことも複数報告されています。国としても職場内のいじめ、パワハラに関して積極的な取り組みを始めているのです。
2018年11月16日、厚生労働省は職場のパワーハラスメントの対策を打ち立てました。企業に対し防止措置を義務付ける方針を固めたのです
。
この先、さらにセクハラに関する対策の強化、中小企業で進んでいない女性の活躍を促進するなど様々な法案を通していく予定とされています。
こうした企業のパワハラ、セクハラ、そのほかの問題に国が介入しないとどうにもならない状態となっていることを、企業の代表、また従業員を守る立場にある部署、人は真摯に受け取り、対策を考えて実行する義務があるのです。
厚生労働省がパワハラなどについて防止措置を義務付けしたことなどから、次第に職場内のいじめが深刻化している事を深く理解し、労働者を守る意識を高めていくことが必要だと強く訴えるようになってきています。
職場のハラスメントで多い悩み
実際に職場のハラスメントでどのような悩みが多いのか、意識調査を元に紹介していきます。
意識調査でわかるハラスメントの傾向
今回保険クリニックが実施した意識調査が発表されています。この意識調査はハラスメントに関する意識調査の結果からどのような種類の嫌がらせが多いのかを発表しています。男性、女性ともにハラスメント被害で最も多いのは「パワハラ」権力による精神的な暴力被害です。
ハラスメントの結果は男性の1位がパワハラ、次いでモラハラ、3位がセクハラです。女性は1位がパワハラ、2位がセクハラ、3位がモラハラ、男女ともにパワーハラスメント被害が最も多いことがわかります。
参考:https://www.hoken-clinic.com/teach/expedition/detail29.html
力関係の嫌がらせのパワハラ
調査で男女ともに最も多いハラスメント被害はパワーハラスメントです。パワーハラスメントは同じ職場、部署などで働く人に対して、立場が上の者が部下に対し業務上の範囲を超えた身体的・肉体的苦痛を与える行為を言います。はっきりといじめてやろうという意識を持って行う場合と、これくらいは仕事の範囲として行うのが通常という間違った考え方から起こることもあります。
仕事の量がどんなに頑張っても追いつかない量だったり、ある人に対し集中的に仕事を与える、人が多い場所で叱咤するなど、目に見える行為だけにとどまりません。
精神的嫌がらせのモラハラ
特定の人に対して冷たい態度を取ったり、職場の飲み会にあえて呼ばないなど、精神的な攻撃を行うのがモラルハラスメントです。相手が傷つくようなことを人にわからないようにその人だけ罵倒したり、周囲の人に気が付かれることがないように嫌がらせをすることが多いです。
しかしひどい場合は、職場の人間全員が無視したり仲間外れにするなど、あからさまの職場として精神的なハラスメントを行う事もあります。
性的嫌がらせのセクハラ
男性から女性に多かったセクシャルハラスメントですが、近頃は女性から男性へのセクハラも問題となっています。女性上司が仕事の中で男性の後輩職員に対しセクハラをしたり、自分の側から離さないなどセクハラの方法もいろいろです。
男性から女性へのセクハラは挨拶といっては体に触れてきたり、深夜の残業で二人きりの場面を作られるなど、身の危険を感じることも多いです。男性も女性もしている方がセクハラと感じていないことも多いのですが、相手や周囲の人が不快な気持ちになればそれはセクハラとされます。するつもりがなかったといっても現代では通らないのでセクハラについて知識をもち、お互いに気持ちよく仕事ができるようにすべきです。
職場で多いハラスメント | 第1位 パワーハラスメント | 第2位 モラルハラスメント | 第3位 セクシャルハラスメント |
ハラスメントの内容 | 特定の人だけ仕事の量を増やす 残業で帰宅できないようにする 立場、地位を利用した嫌がらせ・いじめ | その人が嫌がるようなことを口にする 人のコンプレックスを見つけて言葉で攻撃する 容姿などについて言葉で攻撃する | いやらしいことを言う 身体を触る 仕事に恋愛を組み込んでくる 体のことについて指摘してくる |
職場の嫌がらせに関する相談先
職場で嫌がらせを受けると家族にも友人にも相談できない状況となる人も少なくありません。しかしそこで我慢していることで一人苦しみ、最悪精神的にどうにもならなくなり仕事も生活もできなくなることがあります。実際に、職場での嫌がらせで精神的な病気になり鬱などで入院する人も多いのです。
一人で悩まない、同じことで悩む人がたくさんいるのだと理解し、相談できるところにどんどん相談します。どんなに小さい事でもいいので、嫌だなと思うことがある時、迷わず吐き出しましょう。操舵できる場所は今、非常に多くなっています。自分の味方になってくれる人は家族や身近な人以外、専門家の中にも多いのです。
法務省のみんなの人権110番
パワハラに関して被害が多くなっていることを受け、法務省も様々な取り組みを行っています。その中に、法務省のみんなの人権110番があります。パワーハラスメント、差別、虐待など人対人の問題に関して相談ができるところです。仮に相談内容がパワハラではないとしても、まず連絡してみましょう。
電話をすると最寄りの法務局、地方法務局と繋がり、ここで法務局職員や人権擁護委員が対応してくれます。面談による相談もできるところがあるのでまずは電話してみることです。
参考:http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html
厚生労働省の総合労働相談コーナー
嫌がらせやパワハラ、セクハラなど様々な職場での悩みを相談できるのが厚生労働省の総合労働相談コーナーです。ここでは専門の相談員が電話や面談によって相談に乗ってくれます。
精神的な攻撃は周囲の人にわからないように行われることもあり、同僚に相談しても「あの人がそんなことするわけがない」と取り合ってくれなったり逆に「悪口を言っている」といわれることもあります。そのため、こうした職場での問題は外部の人に相談する方がいい場合も多いのです。
参考:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/annai.html
労働者の相談に応えるNPO法人 労働相談センター
NPO法人 労働相談センターは労働問題に対する様々な問題を相談できるところです。職場内でのいじめ、嫌がらせ、また労働時間についてやサービス残業についてなどハラスメント以外の相談もできるところなので困った時頼りになります。労働問題の知識が深い専門の方が相談に乗ってくれるので安心です。
労働時間をその人だけ長くするとか、その人だけサービス残業になっているなど、職場によっては個人攻撃をしているところもあります。黙っていれば自分以外の被害者も増える可能性があるのです。いじめなどの粗悪な環境になっていることをしっかり相談し、対応を一緒に考えてもらいましょう。
参考:http://www.rodosodan.org/center/annai/centertoha.htm
社内の労働組合
自分が勤めている企業に労働組合などがあるようなら、そこに相談してみるのもひとつの方法です。労組というのは賃金労働者の労働環境を維持するためにある組織です。いじめを受けている事を解決するために、ハラスメント改善の処置を具体的に考え実行している可能性が強いです。
企業が大きい時には部署を完全に変える、違う支店に移動できるように企業に相談してくれることもあるようです。個人で動くよりも労働組合が動く方がハラスメントなどに関しても改善に動く可能性が高いといわれています。
医療機関
ハラスメント被害で一人悩み苦しみ、自分の体がおかしいと感じる時には迷わずメンタルクリニックなど医療機関に行くべきです。放置しておくと深刻な鬱病などに移行することも多く、現代はこうしたハラスメント被害によって病院に通っている人等も多いのです。
メンタルクリニックは以前入りにくいといわれていましたが、現代は気軽に幅広い年齢層の方が利用しています。精神科の医師が状態を確認し、必要であれば薬を処方してくれますしカウンセリングに通うことで心が楽になることも多いです。
また万が一ハラスメントによって労災の申請を行うとなった時、医療機関に通っていたことが重要になることもあります。労災の申請の際には病院で診断書を出してもらう必要もあるので精神的に不安定だと感じる時には迷わず受診しておく方がいいでしょう。
何も悲しいことがないのに涙が出てくる、職場のこと以外考えられない、朝仕事に行くのが辛い等の症状が起きている人は、精神的に不安定になっている状態です。医療期間で苦しみを吐き出すだけでも楽になります。
身近な家族や親しい友人
会社以外の友人や家族など相談できる人がいれば、話を聞いてもらうだけでもホッとします。ここに話を聞いてくれる「味方」がいるのだと知れば日々が少し楽になるモノです。
身近な人に相談する事で解決の糸口が見えてくることもあります。鬱状態や心が不安定になっている時、自分ではよくわからないことも多いので友人や家族に相談する事は重要です。
人事部や労務部
企業によって従業員が相談できる場所は異なりますが、例えばハラスメントの企業内での相談先には人事、労務などがあります。こういう部署の担当にハラスメント被害を相談する事で、ハラスメントが無くなったという事もあるようです。
ただし、人事、労務に相談したことで被害者自身が左遷、降格となったという事例もあるので相談には注意が必要です。以前にハラスメント被害がありその時毅然と対応した労務、人事なら安心して相談できると思います。どんな感じなのかよく確認してから相談する方がいいでしょう。
紛争のあっせんや法的処置で解決するための相談窓口
職場での嫌がらせで残業代が全く支払われなかったとか、残業時間が改善されず自分だけ常に残業を強いられていたといった場合や、セクハラ、モラハラでうつ病になり働くことができなくなったというばあい、法的処置をとることもあります。ここで黙って仕事を辞めてしまったら自分としては楽になれるかもしれない、しかし第二の自分ができる可能性があるのです。
近頃はセクハラ、モラハラ、パワハラ被害に黙っていない、断固として法的解決を臨むという強い姿勢で臨む方も多くなっています。紛争のあっせん、また法的な解決を臨むときに利用できる相談窓口も覚えておきましょう。
東京労働局
パワハラやモラハラ等によって精神的な苦痛、また仕事ができなくなるなどの状態になった時、その相手を相手取り紛争となることもあります。この時学識ある第三者として間に入り紛争当事者間の調整をしてくれるのが東京労働局です。
東京労働局は当事者同士双方の言い分を確認し、調整、話しあいを促進、それによって円満な解決となるように斡旋します。この紛争のあっせんによって円満な解決となることもあり、被害者の慰謝料請求を受け入れる企業なども多いです。
参考:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/annai.html
法務省かいけつサポート
法務大臣による裁判外紛争外解決手続きの認証制度が「かいけつサポート」です。身の回りで起きる色々な「民事上」のトラブルについて法務大臣が認証を受けた民間事業者がトラブル解決に当たります。
ハラスメントをした相手方に慰謝料請求しても全く支払うつもりがないというときに、このサポートを受けることができます。これによって紛争が解決し企業や個人等が和解金で解決となったという事もあります。裁判等の大事にする前に、まずこうした国のサポートを受けることも考えてみるといいでしょう。
参考:http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/kaiketsu_jirei.html
日本司法支援センター
民事、刑事を問うことなくどこでも法的なトラブルに対し、解決できるように必要な情報、サービスを提供してくれるのが日本司法支援センターです。相談は1回30分と短い時間となっていますが、法テラスであれば3回まで無料利用できます。
法務省所轄の公的な組織なので、企業内のハラスメント行為について相談できる場所となっています。トラブル解決の情報なども教えてくれるところなので気軽に相談してみましょう。
参考:https://www.houterasu.or.jp
弁護士事務所
社内では到底解決できず、嫌がらせによる精神的被害で仕事に行けなくなった、病院に通わざるを得なかった、最悪、当事者が自ら命を断ってしまった等の状態の時、訴訟を行うときに利用したいのが弁護士事務所です。特に企業内の問題に強い弁護士を選択すると安心です。
損害賠償は一般的に50万から100万くらいといわれています。弁護士費用を自分で払う必要がありますが、職場のハラスメント被害を無くすために公にしたいという方も多く、慰謝料請求を行う方も多くなってきています。
弁護士への相談については1時間当たりで5000円から3万くらいですが、着手金、報酬金が別途かかりこれが大きくなることもあります。費用がどのくらいとなるのか利用する弁護士に確認しておく方がいいでしょう。
職場の嫌がらせに対処する際の注意点
職場の嫌がらせに黙っている事はありません。しかし職場のハラスメント被害を訴えたことで左遷となったり、会社を辞めるように仕向けられたなど、逆にまたひどい状態となることもあるようです。職場、企業に個人がどうやって対応していけばいいか、対応策をしっかり考えることが重要です。
職場に相談して状況が悪化
職場でハラスメント被害にあい、職場に相談したことで状況がさらに悪化したというケースの方が多いとも言われています。
自分がさらに追い込まれる二次被害となるのでは困ります。職場に相談する前に職場の雰囲気、状況などをよく理解して職場に相談するか、第三者に相談すべきか考える方がいいでしょう。
ハラスメントには証拠となる材料が必要
被害を公的機関に持っていき紛争解決に動いてもらう、また最悪訴訟となった場合でも、ハラスメント被害の証拠を持っている方が遊離です。被害者となった場合には写真、動画、音をとるなどして、いじめ、嫌がらせの実態を残しておきます。
嫌がらせのメールも消せないようにとっておく、またセクハラ、モラルハラスメント対策として録音をとるなども有効でしょう。こうした証拠品を持っていることで訴訟に持っていくときにも証拠品をそろえて出廷できます。
ハラスメントについては人にわからなように行われることもあるので、明らかにパワハラだ、セクハラだとわかる事が必要です。明らかにこの行為によって被害をこうむったと相手との因果関係がはっきりわかる証拠を持っておく事、目撃者がいれば集めておくことなどが必要です。
訴訟を起こしても必ず勝訴するとは限らない
セクハラやモラハラ等の訴訟は現在多くなっていますが、証拠がそろっていない事が原因で負けてしまうこともあります。また裁判で思い出したくもないことを明らかにする勇気も必要となり、自身が精神的なダメージを受けることもあります。
しかし勇気をもってこうした被害を明らかにし、決してしてはいけない事だと世間に知らしめることでこの先、セクハラ被害などを減少させることができるのです。ダメージを受けることを自分でもしっかり受け止め、訴訟によって勝訴する事が出来ないことも頭に入れて行動に移すことが必要です。
職場で嫌がらせを受けたら悩まず適切な窓口に相談する
職場で嫌がらせを受けたときには「一人で悩まない」ことが重要です。味方になってくれる人、相談に乗ってくれる人、解決に向けて一緒に動いてくれる機関があるという事を理解してほしいのです。人にわかってもらえない状況でいじめ、嫌がらせを受けているなら証拠を積んでいきましょう。
相談できる窓口はたくさんありますし、今、ハラスメント被害については国も動き出しています。決して一人で悩まず解決のきっかけとなる相談窓口にどんどん相談すべきです。被害者のままでいるのではなく、解決に向けて動くという事も大切なのです。