懸垂下降は登山に絶対必要な技術|初心者でも身につけておこう

懸垂下降は登山に絶対必要な技術|初心者でも身につけておこう

2019.02.27

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懸垂下降なしで急峻な崖を降りるのは難しい

登山やトレッキングを楽しむ上で、垂直に近い急峻な崖を降りるには、懸垂下降なしでは難しいです。安全・確実に降下するには、懸垂下降がベストです。

懸垂下降は覚えれば、子どもでもスルスルと上手に降りられます。近年は下降器もさまざまな種類が登場し、ブレーキやロック機能のついたタイプも登場しています。教わる中で自分に使いやすい下降器を選びましょう。

また、ロープの扱い方や各種道具の扱い方、姿勢など気をつける点がいくつかあります。懸垂下降は高さによっては、失敗すると大けがをしたり、最悪死に至ります。十分に注意し、トレーニングを受けて練習を重ねてから挑みましょう。

懸垂下降の基礎知識

ここでは懸垂下降の基本的な知識について説明していきます。

ロープを使って高所から下降する

懸垂下降は高所からロープと特殊な道具である下降器を使って、下降する技術です。ロープには人間の重さに十分耐えられる登山ロープを用意します。特殊な道具には下降器やカラビナ、ハーネス(安全帯)があります。

懸垂下降する際には、ロープにセットされた下降器を用いて、ロープと懸垂下降器のフリクション(摩擦)を緩めながら、後ろ歩きの要領で下降します。できるだけ壁と垂直に歩くように、ロープに身体を預けるようにして降ります。

懸垂下降の手順がある

懸垂下降には手順があります。準備から次の方への引き継ぎを説明していきます。

懸垂下降の準備

懸垂下降の準備では、ロープ、ハーネス(安全帯)、下降器、カラビナ、ヘルメット、プロテクターを揃えて、まずは装備を身に着けます。身体を預けるロープを確実に固定し、降下に備えます。この時、滑落による事故が多いので、命綱を確保し、安全に作業を進めましょう。

2本のロープをつなぎ合わせる時には必ず二重のオーバーハンドノット(二重固結び)でつなぎます。以前は、エイトノット(八の字結び)での接続が一般的でしたが、開き方向の強度が弱いことが分かってきており、実際に死亡事故も起きているのでオーバーハンドノットで結びましょう。

懸垂下降器のセット

ロープと下降器を正しくセットし、確認します。下降器にはエイト環などさまざまな種類が発売されているので、自身にあった道具を揃えましょう。そして製品の扱い方を正しく覚えてスムーズに扱えるようにしましょう。次にロープへバックアップ用の下降器を装着し、確認します。準備が整ったら再度、全てを確認をしましょう。

下降開始

下降を開始したら、慌てずゆっくり同じ速度で降下しましょう。壁に対して垂直になるようにできるだけ体を倒して進みましょう。映畫のようにトントンと跳ねながら降りるのは、ロープに負荷が架かるので、危険です。はじめのうちは恐怖心があるかもしれませんが、ロープに身体を預け、足場を確保しながらゆっくり降りていきます。

下降地点到着後、回収

着地後は、下降器とバックアップを解除して、回収します。回収側のロープを1mほど引き戻して、回収可能なことを確認し、相手にも視認させます。可能か確認出来たら「どうぞ」とコールをだして次の人の下降を開始します。

技術を講習会で習得するのが安心

クライミングを楽しむためには安全性の高い懸垂下降技術を確実に身に付ける事が大切です。その為には、講習会に参加しましょう。

講習会で学べる内容例としては、懸垂下降の危険と注意点、懸垂下降のシステム構築、懸垂支点についての知識と技術、懸垂下降途中からの登り返しなどです。正しい指導を受けて、楽しみましょう。

懸垂下降は重大事故につながる事がある

道具を揃え、正しい手順を踏めば、安全に降りられる懸垂下降ですが、一歩間違えば重大な事故につながることがあります。懸垂下降の危険な点について説明しましょう。

下降中のミスは命を落とす危険が高い

クライミング中の死亡事故ワースト1は懸垂下降技術。本来は安全に下るための技術のはずですが、わずかなケアレスミスなどで死亡事故につながってしまう事があります。

懸垂下降を開始する時には、まず最初にセルフビレイ*を行いましょう。懸垂下降における死亡事故で一番多いのは、懸垂下降の準備を行っている最中の転落です。

セルフビレイ・・・登山で、自己の安全を確保すること。また、その姿勢、自己確保。

懸垂下降による事故の事例がある

懸垂下降の事故では、最も多いのが準備中の滑落です。準備をする前にしっかり命綱で自身を固定しましょう。その他に、支点が壊れる、支点を間違う、ロープが正しく結ばれておらず抜け落ちた、すっぽぬけ、衣類などの巻き込み、ロープの通し間違い、カラビナのゲートオープンなどによる墜落事故があります。

確認によって避けられる事故が多いのがわかります。懸垂下降を行う際は正しい装着を行い、相互に確認し合って、油断せずに降りていきましょう。

懸垂下降による事故を防ぐには

では、懸垂下降による事故を防ぐにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。懸垂下降の注意点を説明しましょう。

確認不足や油断は禁物

最も大切なことは、手順をしっかり確認する事。装備自体は複雑なものはなく、きちんと手順を踏んで挑めば問題ありません。確実に行ったか、指差し確認と油断をしないことが命を守る為に大切です。

懸垂下降における事故の多くはケアレスミスや確認ミスからきている程に、きちんと装備されていれば安全な技術です。それだけに油断は大敵です。

バックアップシステムを設ける

必ずバックアップシステムをつけることは安全性の高い懸垂下降システムと言えます。1つのミスが即重大な事故に繋がらないようにすることが大事です。バックアップシステムにはさまざまありますが、下降器を通したロープに、カラビナを通し、ハーネスと繋いでおく方法もあります。

また、下降器の下にシャントを設ける方法もあります。シャントによるバックアップは下降器の下につけるのが大切です。下降器がロックした場合に、シャントで降りることも考えられます。

登り返し技術も身に付ける

もしも、懸垂下降していて、まだ着地まで数mあるのに、ロープが足りなくなる。そんな場合、登り直しが必要になります。

登り返し技術の習得が必要

懸垂下降を開始する支点箇所から、下ろしたロープの末端が確認できないことが多くあります。長距離の懸垂下降中にロープが地面に届いていない場合には、ロープを登り返して別の支点を設ける登り返し技術の習得が必要です。

ロープにぶら下がった状態で新しいロープを継ぎ足し、バックアップと下降器を付け替え、さらに下へ降りていきます。他にも注意点があるので、必ず講習で登り返しの訓練を受けて、トレーニングして挑みましょう。

登り返し技術がない場合のリスク

懸垂下降の途中でロープが地面に届いていないことに気付いて、宙吊りのまま身動きが取れなくなることがあります。救助された時には、長時間の宙吊り状態になってしまう事例があります。

場合によっては下腿に溜まった血中毒素が一気に開放され、ショックを起こして死亡することもあります。

懸垂下降技術を習得して登山の幅を広げよう

懸垂下降ができると登山の幅が広がります。足場の悪い傾斜地や、急斜面でも、懸垂下降ができれば前へ進めます。正しい懸垂下降技術を習得して、いざというときに落ち着いた対応が取れるようトレーニングしておきましょう。

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