思い入れのあるバイクのエンジン。古くなった塗装を新しくする方法

思い入れのあるバイクのエンジン。古くなった塗装を新しくする方法

2018.04.11

長年バイクに乗っていると熱・風雨・飛び跳ねた小石などで、エンジン部分の塗装が悲惨な状態になっていませんか?愛着あるバイクなので、業者に塗装を頼んでもよいですが、自分で塗装することも一つの手です。今回は、自分で塗装する方法やコツを解説します。

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塗料のはがれたバイクエンジンをピカピカに

エンジンと言うのは常に人に見られているもの。いつも綺麗にしていたいものですが時間と労力もかかります。ですので、せめてすべての負担の少ないような自家塗装という方法を考えました。 自分で綺麗にしてあげれば愛車にも愛着わきます。コツを覚えれば簡単にできますので、それなりの労力と時間はかけ、経済的負担はなるべくかからないように工夫することが大切です。塗料がはがれたエンジンは見栄えのいいものではありません。以下を参考にしてみてください。

塗装前の下地作り

エンジンを下ろす

一番最初にすることは、手袋と保護メガネの準備です。ここではまだ使いませんが、はじめに用意しておくとよいでしょう。 エンジンが乗るぐらいの大きさの板とキャスターをいくつか購入し、板にキャスターを取り付けて、エンジン置きに使います。エンジンはなるべく軽くなるように、外せる部品はすべて外しておきましょう。 次にエンジンの吸排気の穴にゴミが入らないように、ガムテープやウエスなど、穴をふさげるものでふさいでおきます。それからエンジンの下に先ほどの板を置いて、フレームとエンジン3カ所をつないでいるボルトをすべて外します。 ボルトを外すときには、片側はメガネレンチで、もう片側はソケットレンチ・ラジオペンチを使うとよいでしょう。 エンジンを抜こうとするときにエンジンヘッドが当たる場合がありますが、そんなときは少しずらしてみるとよいです。エンジンは自力で持ってもよいですが、エンジンは結構な重さがあるため、心しておきましょう。可能であればチェーンブロックを準備しておくと効率よく作業が進められます。

古い塗装を落とす

エンジンは高温になるため、しっかりと塗装したいものです。その前の段階として古い塗装や錆を落とすことから始めますが、まずはホームセンター等で売っている剥離剤とシンナーをを用意します。 剥離剤はガスケット周囲には無効なので、ガスケット周囲に有効なシンナーと、エンジンに有効な剥離剤の併用をおすすめします。 剥離剤を何度かエンジンに塗って古い塗料をはがしたら、剥離剤を落とすために水で洗い流し、そのまま水分が飛ぶまで自然乾燥させましょう。

ゴミ取りと脱脂

パーツクリーナー・サンドペーパー・ブラシ等を使ってゴミを取りますが、最初はサンドペーパーで力を軽く入れて削ります。特に腐食しやすいボルトなどは念入りに行いましょう。 パーツクリーナーで、同じくゴミ取りついでに脱脂をします。その際は塗装前の下準備をしっかりするために、細かい場所などにはブラシを使用するなどして念入りに行ってください。 作業する日に注意したいことですが、その日の環境も大事です。ゴミ取りや塗装の吹き付けは、風のない日に行うようにしたいもの。風があると当然ゴミや塗料が飛ぶので、そんな日は避けるようにしましょう。また、いろいろな薬品を扱うので、手袋と保護メガネの装着を忘れずに使用してください。

エンジン塗装の手順

マスキングをする

何か商品を購入したときなどに入っている段ボール箱の中の緩衝材である紙などを使用しましょう。新聞紙でも良いのでとにかくいらない紙を使うと捨てるときに経済的。とくに紙にこだわらずラップやビニールなどでも可能です。すでにエンジンは降ろし、熱はもっていませんので気にせずマスキングを行いましょう。 細かいところはガムテープを使用するのもいいでしょう。おおまかなところは紙、細かいところはガムテープでマスキングします。ねじ穴・開口部など砂や塗装が入り込む部分はしっかりマスキングして塞ぐようにしてください。

フィンの隙間から塗装する

フィンのような細かい隙間は、当然スプレーしても届かないので耐熱塗料をカップ等別容器に取り入れて、刷毛で塗ります。 そのあとエンジンを全体的にスプレー缶を吹き付けて塗りますが、そのスプレー缶も耐熱塗料にしましょう。バイクエンジン塗料として有名なトップヒートというものがあるのでそれを使います。フィンの奥もすでに塗ってあるので、エンジン全体をトップヒートのスプレー缶で塗るとよいでしょう。 トップヒートは大阪の業者が通信販売しているので、エンジン塗装の際はぜひ購入しておくことをおすすめします。

全体の塗装

マスキングをしたらいよいよ全体の塗装ですが、あまり厚塗りせず薄くシュッとスプレーするだけ。中にはイチネンケミカルズの耐熱塗料がありますが、塗り方はたいして変わりません。 その後乾燥するまでスプレーメーカーによって時間が違いますので一概に言えないのですが、数分から数時間というところでしょう。ただスプレーは、必ず耐熱・耐油性のあるものを選びます。 エンジンとは過酷な条件で動いています。熱をもちエンジン内部にオイルが入っていて、外部から小石が跳ねたり雨にさらされたり、海の近くの走行なら塩害も考えなくてはいけません。 すでにフィンなど手の届かない所も塗ってあるので、エンジン全体もそれに合わせるような濃さで塗るようにしてください。あくまでも薄く、1度に厚く塗らないようにするのが基本です。せいぜい塗装にスプレー缶1本を目安にしましょう。

乾燥させる

耐熱スプレー乾燥時間の補足として、耐熱スプレーの乾燥時間を詳しく書くと、イチネンケミカルズで5分から10分。トップヒートで1~2日程。ソフト99の耐熱スプレーが自然乾燥で5分。その他のメーカーもそんなに時間かかるものではないのです。 ただここで大事なのは自分の感覚を信じることです。乾燥時間はメーカーの標準的な乾燥時間であって、その時間になってもまだベトついていたりするときがあります。その季節・室内外の温度・湿度によって微妙に変化するものなのです。 乾燥時間はあくまでも参考に。指で触れてもベタつかず、しっかりサラサラと乾燥しているなら大丈夫です。ここでしっかりと自然乾燥させておかないと次の焼き付け塗装がうまくいかないのでしっかりやりましょう。

マスキングを取る

完全に乾かない半乾きのときにマスキングを取るのがベストです。 塗装業者では、エンジンを完全にバラバラにして塗装する為、そもそもマスキングをすると言う概念がありませんので、当然マスキングを外すなどと言う概念も存在しません。 個人で行う場合には、エンジンをフレームから外しエンジンにマスキングするので、業者と違い半乾きのときにマスキングを剥がすということになります。大体塗装後の半乾き状態ですぐ剥がし、マスキングを剥がしたときに余分な塗料がついていたら削り落としましょう。

塗料の焼きつけ

エンジンは熱を加えると熱膨張、冷えると収縮するので、特に空冷エンジンは高温になりやすいため、焼き付けはしっかりとしましょう。

ストーブやオーブン

冬の時期ならストーブの上に上げて焼き付けるという方法があります。しかし夏場などの温かい時期はストーブを出していませんので、オーブン機能付きの電子レンジを使用してみましょう。当然使うのはオーブンのほうなのですが、レンジに入るぐらいの小さいパーツをレンジに入れて焼き付けます。

ホットガン

少しお金はかかるのですが、1,000円程で購入できるホットガンを使用する方法。焼き付け塗装の原則は180度で20分から30分なので、ガンを使用して焼き付けるのが一番良いかもしれません。

ソフト99

説明書によると塗装後完全乾燥したエンジンを車体に組み込み、エンジンをかけ、そこら中走り回るという方法も。その走っている過程でエンジンが熱をもち、焼き付き塗装ができるというものになります。 家にストーブも何もないかたはカセットコンロを使い、その上にステンレスの鍋を置き、バイクエンジンの小さい部品を入れるというものなど、さまざまな方法がありますので自身で行いやすい焼き付けをしましょう。

耐熱ワックスで仕上げ

エンジン・マフラーなど、高温になるところに使用する耐熱ワックスというものがあります。使い方は普通のワックスのように車体につけて磨くだけ。メーカーもさまざまでラベン・デイトナ・ヤマハ・ホンダ等、探せばいろいろと出てくると思います。 また、シリコンスプレーでも可能です。そもそも耐熱ワックスの成分はシリコンやポリマーだったりします。耐熱温度も250度まで対応していて、さらに使いやすいスプレー式です。ガラスコーティング材と比べて、シリコンスプレーは艶・光沢に優れているので、ワックス代わりに使用してみてもいいかもしれません。

エンジンを載せる

エンジンを下ろすときの逆パターンではなく、載せるときは少し違います。まずセンタースタンドを立てる、またはサイドスタンドを立てます。できればレーシングスタンドなどあると便利です。 あとあると便利なのがチェーンブロック。これはエンジンを吊り上げるときに使用する為、センタースタンドがない場合はサイドスタンドでもよいでしょう。 次にフレームを傷つけないようにエンジンを車体に取り付けますが、基本はチェーンブロックを使用します。なければ鍛えるか力の強い友人に頼み、人力で車体に取り付けるのを考えましょう。このとき、配置人員の役割分担をしっかり決めておきましょう。 誰がどんな役割をするかわからず自分勝手な行動すると、エンジン持ち上げても時間がかかり困ることがあります。 エンジンが乗ったらチェーンを取り付けるため、エンジン側のスプロケットと後輪のスプロケットのネジで調整します。そして電装・冷却水のパイプ等を取り付けましょう。最後にキャブ・エアクリーナーを取り付け、プラグ・タンク・サイドカバーを取り付けたら終了です。

手間をかければ一層愛着がわく

業者によっては塗装代が数十万円なんて取られたりするので、そうなると車体代より塗装代のほうが高く付き無駄金のようになります。価値の高いビンテージバイクの塗装に10万円払っても損した気持ちにはならないのですが、ここは割り切ってビンテージバイク以外は自家塗装するのが手だと思います。 また、自分で労力や時間をかけ塗装をすることによって、手間をかければより一層愛着が湧くかもしれません。”

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