困った後聞けないトラブルと整備の基礎 バイクはほとんどモデルはエンジンがむき出しです。雨や風や雪、海沿いに駐車していれば塩害などエンジンが劣化する要素がたくさんあります。万が一トラブルが発生した時は自分で解決していきたいものです。 頻出するバイクエンジンのトラブルと対処法 今のバイクのエンジンはほとんど電子制御燃料噴射装置となっております。一昔であればキャブレターが主流でした。電子制御燃料噴射装置であれば配線、センサーなど電子装置関係がトラブルに多く絡んできます。キャブレターでしたらキャブレター本体の精密部品や劣化したガソリンなどが原因に多く絡んできます。 エンストへの対処 エンジンが始動している状態で突然エンジンが止まる場合 点火系統の不具合を確認しましょう。点火系統といえば点火プラグが考えられます。最近の点火プラグは性能が良くなってきていますから、点火プラグ本体のトラブルはほとんどないと考えられませんが、プラグのかぶり、ギャップの過大や電極の損傷などを点検してみましょう。また点火プラグに接続されているスパークプラグキャップが雨などの水分が侵入したことで起こる接触不良や経年劣化など点検が必要です。 エンジンが回っているときに徐々に回転数が下がっていく場合や、急こう配を走行中、コーナー走行中にエンジンが止まる場合 燃料系統の不具合が考えられます。燃料ポンプ本体のつまりや本体の動作不良などを点検してみましょう。しばらくエンジンをかけていなかったり、粗悪なガソリンを入れた場合や水分が混入している場合などポンプ内が固着したり動きが悪くなる場合があります。その場合は、分解清掃や本体を交換などの処置が必要となります。 バイクの燃料ポンプは、電気式が主流になっており、本体につながる配線の不具合も点検しなければなりません。燃料系統のフィルターが詰まる場合があります。水の混入したガソリンを使用した場合や、長くなっていない場合などガソリンは固まってしまうものです。目視で汚れている場合はフィルターを清掃または交換してみるといいでしょう。 アクセルを開けた瞬間、閉じた瞬間エンストする場合 おもにキャブレター使用のバイクに見られる不具合の一つです。キャブレターのスロー系統のつまりや各ジェット類のつまりなどが考えられます。その場合キャブレターを分解清掃するのが一番ですが、分解する前にキャブレタークリーナーなどを使用し、詰りが排除されれば分解の必要はないと考えます。しかし、一回キャブレターの詰りを起こしたキャブレターは、同じところがまた詰りを起こす傾向があります。定期的にエンジンを回してあげることが大切です。 電子制御燃料噴射装置使用車の場合、スロットルポジションセンサーや負圧センサーなど、各種センサー類の不具合が考えられます。電気信号がECUに届かない場合メーカーにもよると思いますが、安全のためエンジンをストップさせていると考えられます。電子制御燃料噴射装置の場合のトラブルシューティングは、専用の点検装置を車両のカプラーに取り付けて、モニターで確認することから始まります。各メーカーのディーラーや機器で点検ができるショップで点検をすることをお勧めします。 エンジンがかからないときすべきこと キルスイッチがOFFになっていないかを確認 よくあることですがキルスイッチがOFFの状態ではエンジンは反応しなく慌ててしまいがちです。初めに確認してみましょう。 バッテリーの点検 バッテリーが電圧低下した状態では、セルモーターが勢いよく回らないためエンジンがかかりません。その場合はバッテリーの充電をしてみましょう。充電しても電圧が上がらない場合は、バッテリーの寿命が考えられます。交換をしてみることをお勧めします。 サイドスタンドスイッチの不具合 最近のバイクは安全のため、サイドスタンドが出た状態で発進しようとするとエンジンが止まる車両があります。スイッチの固着や接触不良などの不具合があると、サイドスタンドがしまわれた状態でもエンジンが止まることがあります。スイッチを点検してみて、場合によって交換や接点復活剤などを使って、エンジンがかかるか点検してみましょう。 クラッチスイッチ、ミッションがニュートラル状態か確認 車両により、クラッチを握った状態でエンジンをかける仕様があります。クラッチについているスイッチの不具合により、常にクラッチが握られていない状態と認識され、エンジンがかからないということが考えられます。スイッチも点検、修理、交換をしてみましょう。また、車両によってミッションがニュートラルでないとかからない仕様もあります。ニュートラルランプが点灯しているか確認してみて、再度セルモーターを回してみるといいでしょう。 ガソリンの残量点検、燃料フィルターの詰りの点検 ガソリンは自然に揮発し、冬の長期の放置や長年の放置でなくなるものです。燃料メーターを確認して、残量の確認をしてみるか、タンクキャップを外し、直接、残量を確認してみましょう。また、燃料フィルターはガソリンの劣化や水分の混入でガソリンそのものが固くなり、つまりの原因となります。フィルターを取り外し、詰りを点検し、パーツクリーナやガソリンで洗浄してみるか、場合によって交換などしてみるのもいいでしょう。 ヒューズの点検 過大な電流の流入や電装品のショートなどで、ヒューズが切れてしますことがあります。また経年劣化や、何らかの理由で突然切れてしまうことがあります。ヒューズを抜いてみてボディーが黒く焼けていないか直接見て切れていないかを確認します。 プラグの点検 プラグを外し、プラグとプラグキャップを取り付けた状態でプラグをエンジンに接地します。その状態でセルを回してみて、火花が飛ぶか確認します。もし火花が飛ばない場合は、点火コイルの不具合やコードの断線、アースの接地面の錆びつき、接触不良などを点検します。場合によってコードの交換や各端子や、接地面の接点回復などをしてみて、再度火花が飛ぶか確認してみるといいでしょう。 異音が鳴ったときすべきこと エンジンが回っている状態でガタガタとけたたましい音がしたら、エンジンの焼き付きを疑ってみます。エンジンオイルの残量を点検し、もしエンジンオイルがなかった場合、即時にエンジンを停止しお店に連絡をして、車両を運んで点検をすることをお勧めします。応急的にオイルを足してお店まで自走するということもできますがエンジンを完全に壊してします可能性がありますのでお勧めしません。 軽度な異音な場合、バルブクリアランスの過大やボルトナットの緩み、エンジンへの他の装置の干渉など考えられます。ボルトナットの緩みやエンジンに何か当たっている場合は、増し締めやステーなどの追加で干渉を防ぐ対策ができますが、バルブクリアランス調整などはプロのメカニックの方に任せた方が良いので、お店やメカに詳しい方にお任せしましょう。 オイル漏れへの対処 バイクのエンジンは車両にむき出しになっている関係上、常にパッキン類の劣化が早い傾向があります。タペットカバーのパッキンや、チェンジシャフト付け根のオイルシールなど劣化する部品が多数あります。オイルがなくなった場合、エンジンの焼き付きやエンジン部品の過度の摩耗、ギアの損傷など様々な弊害が発生します。 タペットカバーのパッキンの交換など、比較的簡単に交換できる箇所は自分で交換するのもいいかもしれません。しかし、エンジンの内部や内部の手が届かない箇所の部品の交換などは、プロのメカニックにお任せした方がより安全です。オイル漏れが確認された場合は早めに修理しましょう。 万が一、オイルがタイヤなどに付着した場合、転倒の危険性があり大変危険です。また、オイルがエンジンの熱で炎上する可能性も考えられ、自分自身も危険にさらされるばかりか他の走行車両や歩行者などに危害が及ぶ可能性があります。早めの点検修理が必要です。 転倒した際のエンジントラブル 万が一バイクを転倒させたら、エンジンが損傷しオイルやガソリンが漏れ出る可能性があります。燃料タンクからエンジンへつながる燃料ホースの折損や、ガソリンタンク本体が損傷しガソリンが漏れる可能性があります。その場合は、火気を避け消防車を呼び火災を防ぐことが大切です。応急的な修理は困難です。 また転倒した場合、クラッチカバーやオルタネーターカバーが損傷し、エンジンオイルが漏れ出すことが考えられます。エンジンオイルが過度に漏れ出している場合は、エンジンの始動はしないほうが良いでしょう。エンジンの焼き付きなどが発生する場合があります。ショップでオイル漏れを修理した後、エンジンの点検をし、それからエンジンをかけるようにしましょう。 一回の転倒でもライダー自身も怪我のリスクを負います。車両にも多大なダメージを負うことになります。もし、ご自分の車両にオプションや社外品のエンジンガードなどがあれば、事前に装着することをお勧めします。エンジンガードはファッショナブルな製品もあるので、かっこよくドレスアップされ、スタイリッシュになります。 バイクエンジンのメンテナンス バイクのメンテナンスはこまめに行うことが大切です。小さなトラブルも大きくならないうちに、対処をすれば費用も損害も最小限に済みます。 また、バイクをメンテナンスすることはバイクを愛することと同義です。バイクを愛するようにメンテナンスをしましょう。 メンテナンスが必要なエンジンの部品 現在のバイクのエンジンはほとんどが4サイクル方式です。4サイクルエンジンはピストンが1往復目のピストンが下がるとき「吸入」、ピストンが上昇するとき「圧縮」2往復目のピストンが下がるとき「燃焼」、ピストンが上昇するとき「排気」と、2往復で「吸入→圧縮→燃焼→排気」を完結します。 このようにピストン内でガソリンが燃焼することで動力を生み出す「レシプロエンジン」はシリンダー内にガソリンの“燃えカス”が少しずつ溜まります。溜まった“燃えカス”はバイクの出力低下を招くだけではなく燃費も悪くします。“燃えカス”は燃焼室のカーボンであり、スラッジともいいます。カーボンはできるだけは早く取り除けばエンジンの本来の性能を取り戻すことができます。 燃焼室のカーボン除去はエンジン洗浄剤を使用して行われます。エンジン洗浄剤の種類はいろいろあり、エンジンオイルに洗浄剤を混ぜ、次のエンジンオイル交換時期に、カーボンが混ざったオイルを丸ごと交換するタイプや、専用洗浄液をエンジンに規定量入れたのち、しばらくエンジンを回し洗浄液を抜き取り、その後新しいオイルを入れる方法などさまざまな方法があります。予算や汚れ具合によって使い分けるとよいでしょう。 バイクエンジンの寿命 バイクエンジンの寿命は距離数に比例するといってよいでしょう。50ccから250ccクラスは、おおむね50,000キロくらい、400ccからリッタークラスのバイクだと、おおよそ80,000キロくらいが目安といわれています。これはあくまでも目安で、メンテナンスや保管状況で伸びたり少なくなったりします。 650ccのバイクで40,000キロを超えてても、まだまだエンジンは快調ということもあります。またホンダカブなどは10万キロを超えた車両はたくさんあり、車種や使い方などでだいぶ開きがあるようです。メンテナンスをすることで、愛車の寿命は格段に延びます。愛をもってメンテナンスをすることをお勧めします。 オーバーホールが必要なタイミング エンジンのオーバーホールの時期は厳格には決まっていません。エンジンのコンディションによって決まるといえます。おおむね30,000キロから50,000キロが目安といわれ、エンジンの出力が落ちたと感じてきたらエンジンをバラし、オーバーホールしたほうがいいでしょう。 ただ、こまめにオイル交換をしている車両や、年式が古い車両でも走行距離が少ない車両は、年式にとらわれずにエンジンの様子を見てオーバーホールをしてみるのもいいかもしれません。「オイル漏れが激しい」、「最近振動が多くなってきた」、「馬力が落ちた」、「燃費が悪くなってきた」などの症状が出てきた場合は年式、走行距離問わず一回エンジンをオーバーホールに出したほうがいいでしょう。 エンジンオイルのメンテナンス エンジンオイルの基本はこまめな交換です。オイルの定期的な交換はエンジンの寿命を延ばし、出力を安定させ燃費向上を向上させます。 また自分で交換することでエンジンのコンディションが分かり、エンジンの回し具合を自分で判断することができます。 エンジンオイルの交換のメリット エンジンオイルの役割は「潤滑」「密封」「洗浄」「冷却」「防錆」を担っています。エンジンオイルはそのまま交換しないでいると、オイル内にカーボンが混ざり、ピストンとシリンダーの抵抗となります。ピストンとシリンダーの抵抗は、出力低下の原因となり、エンジンの寿命を著しく低下させます。 オイルは潤滑だけではなく、エンジンを“冷やす”役目もあります。新しいエンジンオイルは熱の伝導も良好で素早く放熱してくれます。オイルはピストンとシリンダーの隙間を埋める役目もあり、高密封で圧縮された空気は高出力を生み出します。 エンジンオイルの交換は、エンジンのコンディションを好調に保ち、経年低下する燃費や出力、トルクの低下レベルを緩やかにするメリットがあるといえます。 エンジンオイルの選び方 エンジンオイルの種類は大きく分けて「鉱物油」「化学合成油」「部分合成油」と3つあります。鉱物油は原油を蒸留したもっともスタンダードなベースオイル。一般に普及している汎用的なオイルです。高回転型エンジンには不向きですが、単気筒エンジンや旧車など、あまり過酷にエンジンを使用しないユーザー向けオイルといえます。 化学合成油は、鉱物油から不純物を取り除き、耐熱性や潤滑性を向上させたハイパフォーマンスオイルです。高回転型エンジンやスーパースポーツ、リッターバイクなどに使用が向いています。 部分合成油は、鉱物油と化学合成油を配合させた。両方の良いところを使用したオイルとなります。性能面や価格面など、鉱物油と化学合成油の中間的なバランスの良いオイルとなります。 オイルには「粘度」の指数があり使用条件などに使い分けられています。現在はマルチグレードのオイルが主流となり、シングルグレードのオイルは主に、旧車やビンテージのハーレーなどに使用されて傾向があります。 マルチグレードのオイルは10W-40や5W-30などの指数があり“10W”は冬の「Winter」の頭文字で低温時の粘度を表示しています。“40”は高温時の粘度を表しています。右側の数字が大きいほど、高温時の粘度が保たれるオイルとなります。国内メーカー純正オイルは現在10W-30や10W-40が主流です。よほど過酷にエンジンを回す使用方法や、サーキット走行を想定したエンジンの使い方でない限り、部分合成油の10W-30や10W-40でよいでしょう。 エンジンオイルの交換時期 バイクのオイル交換時期として、一般的に3,000kmから5,000kmが目安といえます。これはあくまでも目安で常に高回転でエンジンを回すユーザーは3000kmより早く交換した方がよくまた、寒冷地などで寒暖の差が激しい地域にバイクを置いているユーザーはエンジン内部に水滴などが発生しオイル劣化の原因となり早めの交換が推奨されます。 またオイルの量も、多ければよいというものでもありません。多すぎるとチェンジシャフトや、サイドパッキンなどからオイルのにじみや、漏れが発生し、オイル漏れの原因となります。オイルの量はレベルウインドウのレベル位置規定量になるように入れるのがベストです。 エンジンを美しく保つメンテナンス バイクのエンジンは工業製品の機能美です。エンジン内部をきれいにすることも大事ですが、エンジン外部もきれいにすることでバイク全体が美しく見えるものです。 エンジンの磨き方 バイクのエンジンの汚れの落とし方の基本として、初めに大雑把に水をかけながら柔らかい馬毛ブラシを使用して、エンジンのフィンやタペットカバーの隙間などを、優しくブラッシングしながら汚れを落としていきます。あまり固いブラシを使用すると、逆に傷をつける可能性がありますので注意が必要です。そのほかに強い水圧で水をかけると、電装関係に水が侵入し、トラブルの原因になります。あまり強い水圧での洗車は注意が必要です。 そのあと、スチールウールなどを使用し、特に頑固な汚れを落としていきます。メッキ部分には傷がついてしまいますので、使用しないほうが良いです。フィンとフィンの間は細いブラシを使用するか、1000番以上の耐水ペーパーを使用し、水をかけながら隙間の汚れをきれいに落としていきます。 褪せた色を蘇らせる塗装 タペットカバーや、サイドのアルミ製のカバーなどは傷つきやすいので、固いブラシでの清掃は注意が必要です。始めに600番から1000番くらいの耐水サンドペーパーで、浮き出た錆を落としていきます。次に、台所用のホーロー磨きパッドなどで、ペーパー傷を目立たなくなるまで磨いていいきます。そのあと「ピカール」などのメタルコンパウンドケミカルで、輝きがでるまで磨いていきます。仕上げに、耐熱塗料やトップヒートなどで水分や汚れをはじく塗装をして完成です。 アルミの錆を落とすには、いったんアルミの下地に傷をつけてしまいますので、再度コンパウンドで磨き上げ傷を目立たさないようにすることが重要となります。 エンジンの錆取り エンジンサイドのフィンにできた「白錆」は柔らかいブラシで汚れを落とした後、1000番以上の耐水サンドペーパーで磨きます。あまり番数の低い耐水サンドペーパーだと、エンジンのブラックの塗装が削られる可能性があるので使用しないほうがいいです。 また、スプレー式の潤滑剤を吹き付け、柔らかい布などで磨いても白錆は落ちます。その際、布は厚手のものを使用しましょう。アルミブロックより布の方が当然弱く、布が徐々に破れてきて指先などが損傷する恐れがありますので注意が必要です。「白錆」は意外と落ちにくいので、根気よく磨くことが大切です。 磨き終わった後は、耐熱ワックスなどを吹き付けると輝きが長持ちします。 メンテナンスと知識でトラブルを退ける バイクは4輪の乗用車と違い、トラブルが起きると自走不能になる可能性が高い乗り物です。一旦走れなくなると、押して帰るかロードサービスなどを呼ぶ必要があり、高額な出費が必要となります。そうなる前に愛車をいたわるようなメンテナンスをしていきたいものです。 メンテナンスは愛車への“愛”です。愛情が愛車を長持ちさせます。自分、家族、恋人を愛するようにバイクも愛情を注ぐようにメンテナンスを行う、とそれにこたえて長生きしてくれますよ。 RELATED POSTS 関連記事一覧 筋トレ効果が出始める期間を知ろう|筋トレの目的別効果も大公開 | 2020.04.06 人気の「ダンベルスクワット」で鍛えよう。正しいフォームや効果とは | 2020.04.06 男性用の白髪染め初めての方は必見|どこから見ても隙のない男へ | 2019.09.05