薄毛に効く育毛剤、どうやって選べばいい?
薄毛を改善するには2つ方法があります。ひとつは専門クリニックにかかること。高度な治療が期待できますが、相当なお金がかかります。それなりの出費で対策をしたいときは、やはり育毛剤を買って使うことになるでしょう。 しかし、現代では目まいがするほどたくさんの育毛剤が売られています。なにをどういう基準で選べばよいのか、薄毛の原因と育毛剤の効能を整理しつつ、自分に合った育毛剤を探してみましょう。育毛剤には「効能」によって種類がある
現代で人気になっている育毛剤の多くは、複数の効能を組み合わせた総合的な育毛剤ですが、育毛剤によっては製品会社が力を入れて成分を配合しており、効能にも違いがあります。 どの育毛剤がどの効能に力を入れているか、それを知る簡単な方法は公式サイトに行って商品説明を読むこと。そこでトップに書かれ強調されている効能が、その育毛剤の特色と考えてよいでしょう。ここでは5種類に分けて育毛剤の効能やタイプを解説します。頭皮の血行を改善する血行促進系
頭皮というのは人間の体の中でも、血液が供給されにくい場所です。一番高いところにあるので血を運ぶのも大変であり、常に安定して血液供給をしなくてはいけない「脳」という最重要部位がすぐそばにあるため、優先順位も低いのです。 頭髪は頭皮の中にある毛母細胞という細胞が働くことで生まれます。そして細胞が働くためには必ず血液が必要です。よって、頭皮の血行をよくしてあげることはそのまま毛母細胞の活発化につながり、髪が伸びるパワーを増加させます。 血行がよくなると頭皮の栄養不足が改善され、蓄積した老廃物もきれいになります。育毛剤の中には、この頭皮の血行促進を重視したものがたくさんあります。男性ホルモンをコントロールするホルモン抑制系
血行促進系と並ぶ育毛剤の2大効能といえるのが、男性ホルモン抑制系です。中年男性の薄毛の多くは、実はAGA(AAndrogenetic Alopecia)という病気が原因。強い男性ホルモンが過剰に分泌されるようになるもので、このホルモンが髪を根絶やしにしてしまうのです。 AGAを防ぐにはこの特定の男性ホルモンの分泌を抑制する必要があります。男性ホルモン自体は健康な生活のために絶対に必要なものなので、髪に悪さをするホルモンだけを狙い撃ちで抑えなくてはなりません。頭皮の脂を抑える皮脂分泌抑制系
中年になると、頭皮が脂っぽくなり髪がベタベタするようになる人が増えていきます。これはホルモンバランスの変化が原因だといわれています。 「頭皮に脂がたまれば、さぞ髪に悪いだろう」と思われがちですが、ほとんどの場合、皮脂分泌と薄毛には直接的な結びつきが確認されていません。皮脂がなければよいという考えは逆に危険で、皮脂が頭皮から全くなくなってしまうとかえって毛母細胞に悪影響をおよぼします。 とはいえ、極端な脂症の場合は薄毛の大きな原因にも。実際、女性の薄毛の何割かは皮脂分泌の異常から来るといわれています。また皮脂が多すぎると髪の匂いもきつくなり、加齢臭も強くなるため、自分の髪はベタベタして不快だと感じる人は、皮脂分泌を抑制してくれる成分が入った育毛剤を選ぶとよいでしょう。頭皮や髪に栄養を与える栄養補給系
毛母細胞を活発化させるためには、以下の2つの方法があります。- 1.頭皮の血管を拡げて血行をよくし、血液という栄養がいきわたるようにする方法
- 2.直接毛母細胞に栄養を与えることで活性化をはかる方法
頭皮の乾燥を防ぐ保湿系
頭皮というのは、考えてみれば過酷な場所の1つです。いちばん日光に晒される部位であり、日光を防ぐために帽子をかぶると今度は蒸れてしまい、しかも命の綱である血液も滞りがち。ろくにケアもしなければ、男性の頭皮は、ときとして肌荒れやカサカサに乾きます。皮脂分泌過剰の逆のパターンです。 皮脂分泌過剰もよくありませんが、髪にとって危険なのはむしろ乾燥のほうです。というのも、頭皮のバランスを保っているのは、頭皮に住んでいる常在菌という細菌だからです。乾燥でカビが繁殖し、頭皮環境を悪化させる
常在菌が乾燥によって減ってしまうと、マラセチア菌というカビの一種がかわって繁殖し、頭皮環境をめちゃくちゃに荒らしてしまいます。当然、毛母細胞にも大きな悪影響が出ます。 そういったわけで、現在ほとんどの育毛剤には保湿成分が含まれています。もし大量のフケが出たり、常にかゆみがあったりするときは、保湿成分に力を入れている育毛剤を選ぶとよいでしょう。原因別に見る育毛剤の選び方
大きく分けると、薄毛の原因は2つに分かれます。つまり、AGAであるか、そうでないかです。AGAである場合は、AGAに効く育毛剤を使うことが必須。そうでない場合は、生活習慣などから薄毛を招いている場合があります。栄養補給や保湿などに力をいれた育毛剤がベストです。遺伝による薄毛の場合は男性ホルモン抑制系
例えば、自分の実父や祖父も薄毛で悩んでいたなら、高い確率で薄毛は遺伝性のものと考えたほうがよいでしょう。そして、遺伝する薄毛というのはほぼ間違いなくAGA、すなわち男性ホルモンに起因する病気です。 この場合、育毛剤は「男性ホルモン抑制」の効能があるものを選ぶのがベスト。病気の根本的な原因を最優先にしてアプローチしなくてはいけません。期待できる効能として、オウゴンエキス、ダイズエキス、ヒオウギ抽出液、ビワ葉エキスなど、いろいろな成分がホルモン抑制成分として育毛剤に配合されています。頭頂部や生え際が気になる方も男性ホルモン抑制系
親が薄毛でない場合でも、もし薄毛になっている部分が頭頂部だったり額の生え際だったりする場合は、高い確率でAGAだといわれています。その場合は「男性ホルモン抑制」の成分が配合された育毛剤を選びましょう。 また、AGAには「血行促進系」の効能も大きな力を発揮することが知られています。できれば、ホルモン抑制と血行促進の2つの効能を併せ持つ育毛剤が望ましいでしょう。実際、AGAに効くことを謳う人気育毛剤の多くが、この2つの効能を兼ね備えています。生活習慣の乱れの場合は栄養補給系
遺伝でもなく、頭頂部や額の生え際がハゲるパターンでもない薄毛は、AGA以外の原因による薄毛と考えられます。ほとんどの場合、偏った食生活や睡眠不足、それにストレスが加わることなどが原因となり、生活習慣病で起こりうる現象です。 AGA以外のこういった薄毛に有効なのは、毛母細胞に直接栄養を届けるタイプの育毛剤です。栄養補給系の育毛剤には、保湿効果や皮脂抑制効果がセットで配合されているので、不健康な生活が生む髪のベタベタ、フケやかゆみなどにも効果が期待できます。 ただし、生活習慣から来る薄毛の場合、育毛剤を使えば万事解決とはなりません。食生活の見直しや睡眠時間の確保など生活の改善が必ず必要です。頭がベタベタする人は皮脂分泌抑制系
生活習慣から来る薄毛のなかでも、頭皮が極端にベタベタするタイプの人は、皮脂分泌を抑制する力がある育毛剤を選ぶとよいでしょう。具体的には、イソフラボンやドクダミエキス、それにアスコルビン酸などのビタミンC誘導体(不安定なビタミンCを安定させ効果を高めた成分)が配合されたものです。 薄毛に効くことはもちろんですが、頭髪のにおいやかゆみを抑えることができるので、快適な生活を送りたい方や、他人に不快なにおいで迷惑をかけたくない方などにおすすめできます。運動不足で血行不良に陥っている人は血行促進系
頭皮の血管を拡張する血行促進系の成分は、AGAだけでなく、薄毛全般に効果があります。とくに、運動不足や肥満などから来る薄毛には大きな効果が出るでしょう。 というのは、運動不足は頭皮の血行不良につながるからです。ただでさえ頭皮には血がいきにくいのに、全身の血行を悪くする運動不足はそれに拍車をかけます。 「あまり動かない生活をしてしまっている」という自覚のある人は、血行促進に重きをおいた育毛剤を選びましょう。また、タバコは血管を収縮させ血行を悪くするので、タバコを吸う人も血行促進を重視したほうがいいでしょう。育毛剤を選ぶ際の注意点
育毛剤のおすすめをタイプ別・原因別で選ぶことができても、注意しなければいけないことがあります。具体的に育毛剤を選ぶときに、どんなことに注意すべきなのでしょうか。副作用がないか
薄毛、特にAGAについては、文字通り「特効薬」と呼べる強力な成分が2つあります。 ● 男性ホルモン抑制:フィナステリド● 血行促進効果:ミノキシジル この2つの成分は、副作用が強く、わずかな例外をのぞいて専門医の診断なしでは入手することができません。人間の体が自然に作るホルモンを抑制し、優先順位の低い頭皮の血行を強引に改善するというのは、それだけの犠牲を払うことでもあるのです。 フィナステリドやミノキシジルに近い効能を持ちつつ、より体に優しい成分を求めて、各メーカーは試行錯誤を続けてきました。その結果、自然由来のさまざまな成分を混ぜ合わせて副作用の高い育毛剤が作られるようになりましたが、それでもやはり育毛剤と副作用は縁が切れません。