ボルダリングを攻略しやすくするコツや基本姿勢について 最近テレビや雑誌などで取り上げられる機会も多い「ボルダリング」。さまざまなメディアを通じて、軽装で断崖絶壁を登っている人の姿を目にしたことがある人も多いでしょう。 ボルダリングは、靴屋やチョークなどの最低限の装備で岩谷崖などを登るスポーツです。身に付けるのは最低限の装備なので、自分の体の筋肉を最大限活用しないと登ることはできません。そのため、始めてみたもののなかなか上達しないことに頭を悩ませる人も多くいます。 自分の体の筋肉で上を目指さなければいけないボルダリングを攻略しやすくするには、いくつかのコツがあります。ボルダリングの基本姿勢と上達するコツを知り、ボルダリングを楽しいと感じられる領域を目指しましょう。 ボルダリングの基本姿勢 ボルダリングはむやみやたらに岩や崖を登ればいいというスポーツではありません。なんの知識もない状態で挑んでしまうと大ケガの基となります。基本姿勢を知り、攻略への第一歩を踏み出しましょう。 最初は脱力姿勢を覚える まずは「脱力姿勢」を身に付けることから始めましょう。「脱力姿勢」とは腕を伸ばして足を曲げ、腰を落とす姿勢のことを意味します。この姿勢をとることで、腕を曲げることによる筋肉の負担を軽減することができます。 ボルダリングに慣れていない人は、とにかくホールドにしがみつこうと必死になります。そのため腕を動かさなくていいときも常に腕に力が入った状態となり腕の筋肉を酷使してしまう傾向にあります。しかし、実際にはホールドに常にしがみついている必要はありません。壁につかまっている状態で腕を伸ばし、壁にぶら下がった姿勢をとってみましょう。こんなに腕に力を入れていたのかと驚くほど脱力することができます。 そのとき、足を曲げ腰は落とすことで体全体のバランスが保ちやすくなります。この姿勢では今度は足がつらくなるのではないかと心配する人もいるでしょう。しかし、人間の足の筋肉は腕の筋肉の数倍あり、全身の筋肉の約70%が足に集中しているといわれています。足にかかる負荷を心配するよりも、腕にかかる負荷を軽減した方がボルダリングの上達への近道といえます。 伸ばす手と上げる足は同じ方 基本となる「脱力姿勢」をマスターしたら、次は動き方の基本を押さえましょう。ボルダリングの動きの基本は「伸ばす手と上げる足は同じ」。つまり、右腕を伸ばしたいときには右足を上げる、左腕を伸ばしたいときには左足を上げることが鉄則です。 なぜ同じ側の手と足を動かさなければいけないのか、その理由は体の重心に関係しています。人間の体は重心がある方に回転しようとする性質を持っています。例えば左足を上に上げた状態で右手を上に伸ばそうとしたとします。すると、右手を離した瞬間に左足が体の重心となり、体全体が左側に回転しようとします。その体勢で右手を上に伸ばしてホールドをつかむにはかなりの労力を必要とします。 ボルダリングの移動をスムーズに行うためには、手を伸ばしたい側の足に体の重心を持っていくことが重要です。 足を伸ばしてから手を伸ばす ボルダリングの移動の際にもうひとつ重要なのは、手より足を先に動かすこと。右上部にあるホールドと狙うときには、右手でホールドとつかみに行く前に、右足を上げてから体を上に持ち上げる準備をしてから右腕を伸ばすようにしましょう。 手を先に動かしてしまうと、腕の力で体全体を引き上げなければならず、腕に大きな負荷がかかります。足を先に上げておけば、脚力を利用できるので、腕の負担は最小限に抑えられます。足はいつも体全体を支えているくらい強い存在です。腕の負荷は足に分散させましょう。 腕の握力を温存するよう心掛ける ボルダリングを攻略する最大のカギは「腕の握力を温存しておく」こと。どんなに脚力を利用しても、最後に上に引き上げる役割を担うのは腕(手)です。足に分散できるところは脚力に頼り、腕の力は極力温存しておくことで、ボルダリングのゴールはぐっと近づきます。 また、握力を使いすぎてしまっていると、ホールドをうまくつかめず、落下してしまうことも。ケガや事故を防ぐためにも、できるだけ重心を足にかけて、腕に力は入り過ぎないように心がけましょう。 ボルダリングのよくない姿勢 よい姿勢もあれば、ボルダリングには向いていない悪い姿勢もあります。ボルダリングの上達を妨げる姿勢についても押さえておきましょう。 腕も足も伸ばしてしまう 基本姿勢である脱力姿勢をするときには腕を伸ばします。腕を伸ばすことによって、腕の疲労を抑えることができるためです。しかし、そのときに足も伸ばしてしまうとどうなるでしょうか。体が壁から離れているため、重力が体を引き離す方向へと働きます。この状態から移動しようとすると、腕の筋肉で体を引き寄せる他ありません。 腕の疲労感を強くすることにつながるので、腕を伸ばした姿勢をとるときには足は曲げて、壁と体が離れないよう意識しましょう。 腕を極限まで曲げてしまう 前述したとおり、腕を曲げた姿勢は腕に力が入り、必要以上に上での筋肉を使います。しかもこのときに使用する筋肉は上腕二頭筋であり、その裏側にある上腕三頭筋と比べて小さい筋肉です。この小さい筋肉はすぐに疲れ果ててしまい、壁を登ることが続けられなくなります。 腕を伸ばした姿勢を基本とするのはもちろんのこと、腕を曲げる場面でも極限まで腕を曲げることは避け、できるだけ浅く曲げることで腕の負担を軽減しましょう。 ボルダリングを更に攻略するコツ 基本姿勢を押さえただけでは、ボルダリングの攻略までは到達できません。さらに上を目指すためにはボルダリングのコツをつかむことが大切です。コツをつかんで、ボルダリングの攻略に挑みましょう。 全体的に梯子を登るようなイメージで行う ボルダリングで登るのは岩は崖、もしくは壁ですが、梯子を登るときのことを想像するとイメージがつきやすいかもしれません。足を先に上げ、腕を伸ばして手を引っかけたあとは、脚力を利用して上へ上へと昇っていきます。 足を使うことを忘れ、腕の力だけでよじ登ろうとすると、早々に腕が限界に達し、ゴールにたどり着くことはできません。ボルダリングにおける腕の役割は体重を支えること。ただそれだけと考えましょう。あとは足の力をうまく使うことで攻略に近づくことができるでしょう 腕を伸ばした状態でホールドを掴む ホールドをつかんでいるときは、極力腕を伸ばした姿勢を保ちましょう。腕の力を消費しなくていいというだけでなく、腕を伸ばした姿勢をとることで、視野を広く持つことができます。 腕を曲げた姿勢では周りを見渡すことができません。視野を広げることで、次の動作さらに先の動作までをイメージしやすくなります。次の展開を予測するのもボルダリングの攻略においては重要なポイントです。腕の力を温存しながら、先を読んで移動していきましょう。 ホールドには足のつま先だけで立つ 初心者は、ホールドに足を置くときには、足のつま先を付けることを意識しましょう。足の親指はもっとも力を入れやすい場所です。その親指をホールドに接地させることで、接地面が少なくても安定して立つことができます。初心者は足の裏をホールドに付ける傾向にありますが、つま先が浮いていると逆に不安定になるので注意が必要です。 また、つま先だけを付けておくことで、体の向きを変えやすく、可動範囲が広がります。スピーディーな移動にもつながるので、体力を極力消費しないように移動していくために大きな役割を果たします。 足に意識を向け足元に注意しながら登る 腕ではなく足の力で登ることから、足に意識を向けることがポイントになりますが、体重を支えることができる適当なホールドに足を乗せられないと、体のバランスが崩れて大変危険です。足に力を込められるよう、足元には十分に注意しながら戻りましょう。 足場が悪いところに足を置いてしまうと、足に力が入らず、結局は腕の力を消耗することにつながってしまいます。はじめは下を見るのが怖いと感じるかもしれませんが、足を置く場所をキープできないと危険であるという意識は常にもっておきましょう。 ホールドを掴む手は握り込まず引っ掛けるようにする ホールドを強く握ってしまうと、手の握力を使います。腕の握力はできるだけ温存しておきたいので、消耗しないようにすることが重要です。そのためホールドは「握る」というよりも「引っかける」ことをイメージすることで、腕に余計な力が入るのを防ぎます。 引っかけ方にはさまざまな種類があります。基本となる「クリンプ」や「バーミング」、親指と他の4本の指でもつ「ピンチ」に穴が空いているホールドに指を引っかける「ポケット」、親指を上に向けた状態で横向きに手をかけて内側に引っ張る「サイドプル」など。それぞれの引っかけ方が適している場面を見極め、使い分けていきましょう。 ホールドが遠い場合は体を回転させる 手を伸ばしても届かないと思われる位置にホールドがあることもあります。遠いホールドを狙う場合には、腰をひねって体を回転させてみましょう。腰をひねることで動作範囲が広がり、そのまま手を伸ばしても届かないところにあるホールドにも手が届くようになります。 うまく腰をひねるためには、ホールドにつま先で立っていることが必要になります。足の裏で立っていると体の向きをうまく変えられないので注意しましょう。 ホールドが遠い場合は高い位置のホールドへ足をかける ホールドの位置が遠いときには、体を回転させる以外に、より高い位置のホールドに足をかけるという方法もあります。高い位置のホールドに足をおくことで、体の重心が高くなり、腕もさらに高く伸ばせるようになります。 足を上げ過ぎることに不安を感じるかもしれませんが、うまく足が置けていれば、腕の力をそれほど使わずに体重移動をすることができます。つま先をしっかり置ける位置にあるホールドを狙いましょう。 全身で勢いをつけて遠くのホールドを掴む 勢いをつけて体を動かすことで、遠くのホールドをつかむ方法もあります。身体を左右に振ることで勢いを付け、飛び移るように遠くのホールドをつかみます。この動作をプロの人が実践している姿をテレビなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。 非常にダイナミックな動きで、ボルダリングをするなら一度はやってみたいと憧れを抱く人もいるでしょう。しかし、ダイナミックなゆえ、危険も伴います。肩にかかる負担も大きいので無理はしないでください。 足をホールド上で入れ替える 例えばつかみたいホールドが左側にあり、左手を伸ばしても届かないとき。左足を置いているホールドに右足を置いてホールドのうえで足を入れ替えることで、左側のホールドに手が届くようになることがあります。 このとき、足はつま先で立っていることが条件になります。つま先で立っていないと足の入れ替えは難しくなります。足の裏を設置させないよう心がけておくことが大切です。 体を壁から離したり近付けたりの繰り返しの反動で登る ボルダリングの基本姿勢が腕を伸ばすことにあるように、壁から体を離した姿勢をとることが基本ではありますが、時には壁に近づかなければいけないこともあります。 壁に近づく際には腕の力を最大限に使ってしまいがちですが、なるべく手の力は使わないようにすることが重要です。足を出すときには壁から身体を離すことを意識し、手を伸ばすときには壁に近づくことを意識しましょう。こうすることで反動がついて、腕の力を使わなくても上に登っていくことができます。 ボルダリングの注意点 ボルダリングを楽しむためには、攻略法を押さえることだけでなく、ルールを守ることも大切です。注意すべきポイントを知り、自分自身も周りの人もケガをしないようにしたいものです。 無理な着地は危険 ゴールしたあとや、腕の疲労によって飛び降りるときには着地の衝撃に注意しましょう。いくら下にマットが敷いてあったとしても、やはり高所から飛び降りるのは危険です。場合によっては脚の関節を痛めたり、筋肉に無駄な衝撃を与えることにもつながります。特に背中から落ちたりすると、後頭部が無防備になるため、大きなケガのリスクもでてきます。 飛び降りる際には、無理のない高さかどうかを確認するようにしましょう。そして周囲に他の人がいないかをよく確かめてから飛び降りるようにしてください。 ホールドの位置を観察してから登る ボルダリングは難易度に合わせてホールドが異なります。しかし、同じ壁に様々な難易度のホールドがあるので、慣れないと混乱してしまいます。登り始める前に自分がどの難易度に挑むのか、そしてその際に掴むホールドはどこにあるのかなどを見極めてから登るようにしましょう。 よく確認せずに登ると、現在の実力に見合わないコースを登ることになったり、迷子になったりしてしまいます。場合によっては既に登っている人の進路妨害にもなることも。そういった事態を防ぐためにも、自分のコースをよく確かめてから登るようにしましょう。 ホールド近くのテープを確認しながら登る ホールドの近くにはピンクや赤など、様々な色のテープが貼られています。これがボルダリングの難易度に対応しており、同じ色でも形が違うテープや数字が書かれたものもあります。色と数字、形が同じテープを追っていけば、迷うことはないでしょう。 最初は壁の上で混乱し、どこが自分の選んだコースのホールドか分からなくなるかも知れませんが、そんな時こそ落ち着いて自分のコースを示すテープを探し、着実に進んでいくようにしましょう。 スタートとゴールを見付けておく 登り始める前に、スタートのホールドとゴールのホールドの位置を確認しておきましょう。挑戦中に行き先を見失ってしまうと、ゴールを探すあいだにも体はどんどん疲労していきます。体の疲労を少しでも抑えるために、どこから出発してどこに向かわなければいけないかを頭に入れておきましょう。 ちなみに「S」と書かれたホールドがスタート、「G」と書かれたホールドがゴールです。登り始める前に探しておきましょう。 基本姿勢をマスターしてボルダリングを楽しもう ボルダリングを攻略するためには、基本姿勢と基本の動作を押さえておくことが重要です。基本姿勢ができていないと、ゴールを目指すことはおろか、まったく進めないまま終わってしまうことになりかねません。まずは基本をマスターし、慣れてきたら少しずつ新しい技を取り入れていくことでボルダリングを楽しむことができます。 ボルダリングにはさまざまなコースがあります。基本を守りながらたくさんのコースを攻略していきましょう。 RELATED POSTS 関連記事一覧 筋トレ効果が出始める期間を知ろう|筋トレの目的別効果も大公開 | 2020.04.06 人気の「ダンベルスクワット」で鍛えよう。正しいフォームや効果とは | 2020.04.06 男性用の白髪染め初めての方は必見|どこから見ても隙のない男へ | 2019.09.05