仕事が覚えられない人への対策と指導方法を紹介
自信を持って仕事に励むことはとても大事なことですが、職場にはどうしても仕事ができない、覚えられないという人が1人は存在します。会社として、上司として、どのように接したらいいのかと悩みを抱えている方は、適切な対策方法と指導方法について考えてみることを提案します。
1人のために個別に対応していると、非効率的ですし、職場の皆との情報共有も難しくなりますので、人為的ミスが増えてしまうリスクがあります。そこで、仕事が覚えられない人のためにマニュアルを作成しておくと、教える側も楽になりますし、教わる側も確認しやすくなるため、自信をつけて仕事がしやすくなります。
ここでは、仕事が覚えられない人に対する対策法や、仕事の教え方のポイント、モチベーションを上げる方法など紹介します。仕事だけではなく、様々なシーンで使える方法となりますので、ぜひ活用してみてください。
基本的な対策法
なぜ仕事が覚えられないのかと叱責する前に、まずは教育管理の体制づくりについて検討されることをおすすめします。人はタスクをこなしていくと、自信とつけて周りが見えるようになります。逆に、自信がないままでは、確認ができないと不安になり、頭が真っ白になり、パニックになってしまうために、仕事ができないという負の連鎖に陥る可能性があります。そうならないために必要な対策法について紹介します。
業務マニュアルを作っておく
日々追われる業務を確実に、かつ円滑に進行させるためには、業務マニュアルの作成がおすすめです。こんな単純作業のマニュアル作成なんて、それこそ無駄だと軽視する人もいますが、業務マニュアルは、基本的な知識や技能を定着させて仕事の効率化を図り、ノウハウを伝授するためには、どんな会社においても必要不可欠なものです。
業務マニュアルがあることで、何をしたらいいかわからないという人に対して、確認できる安心感を与えることができれば、パニックになるのを防ぐことができます。また業務妨害や会社として、危機的状況に陥るような大きなミスも防ぐことに繋がります。
まずは簡単な仕事から
仕事が覚えられない人に必要なことは、業務を遂行したという達成感です。まずは、簡単な仕事を任せてみてください。定められた目標を達成する経験は、次にさらに難しくなっていったとしても、自分はできるという自信に繋がります。簡単でも、仕事をこなして成功体験を得ることができれば、自分はやればできるんだと、自信と向上心を培うことができるようになります。
タスク管理を行ってもらう
タスク管理は、ある程度仕事の流れを考えたり、必要な時間などを考慮するスキルを必要とします。それぞれのタスクに優先順位をつけて、どの仕事からこなしていくべきかをスケジューリングしてもらいます。まずは、練習を兼ねてシュミレーションを行ってもらうとよいと思います。タスク管理ができない大きな原因は、仕事に優先順位がつけられないことが考えられます。
シュミレーションでは、緊急度や重要度、納期などの観点から、優先順位を自分で考えられるようにスケジューリングまで設定してもらいます。そうすることで、仕事の取り掛かり方を理解でき、メンバーで共有すれば、進捗管理をしながら、遅れているタスクについてフォローできるようになります。
適度な緊張感を与える
仕事に対する緊張感がない相手には、大きなミスを防ぐためにも、適度な緊張感を与える必要があります。その方法とは、「叱る」ことです。誤解しがちなのは、「怒る」ことではないという点です。緊張感のない部下には、しっかり「叱る」ことで、自分のミスにより会社が被る影響について理解してもらい、責任感を培うことを目的としています。怒ることは感情的になることですので、部下には愛情をもって叱ることを意識します。
伝わりやすい教え方のポイント
次に、伝わりやすい教え方のポイントについて紹介します。部下の指導と教育は上司の役目となります。指導していても理解されないという場合は、伝え方に問題がある可能性があります。部下はできる上司の背中を見ながら自分で学んでいきます。
尊敬できる上司であれば、自分から前のめりになって話を聞き、成長したいとモチベーションを高めていくものです。部下を育てるためには、尊敬できる上司になることもポイントとなりますので、覚えておいてください。
信頼関係の構築
新しく入った人は、仕事に対する知識はほとんどありません。最初は不安な気持ちが強いので、新人社員の不安を取り除いてあげることが大切です。指導の前に、新人社員と信頼関係を築くことは、相手を安心させることに繋がります。新人社員の心が安定した状態の方が、指導内容が入りやすくなります。また、新人は上司の背中を見て育ちますので、尊敬する上司でいることが何よりも大切です。
仕事の意味づけをする
指導の仕方として「これをやっといて」とただ仕事を割り振っているだけではNGです。部下のやる気を起こさせながら、仕事を覚えてもらうには、どのような仕事で、なぜそれをする必要があるのか、最初に仕事への意味づけをきちんと説明をして、心の準備をしてもらうことが大切です。
仕事の意味がわかれば、作業への理解が深まり、仕事を課せられた自分の存在価値を見出し、仕事への責任感を持つようになり、モチベーションアップにも繋がります。上司から見ればわざわざこんなことまで言わなくても、という内容でも、部下や新人社員にとっては初のことだらけです。わかりやすく、ポイントや注意点もしっかりと教えてあげることが上司の勤めとなります。
教える量は相手の力量に合わせる
新人社員が自分と同じようにできるはずがありません。応用が効くほどのスキルもないため、1度にたくさんのことを教えても、ただパニックを起こすだけになります。一度に教えるのは1つと決めて、手本を見せながら具体的に説明すると、新人社員は確実にこなせるようになっていきます。
たくさんのことを教えたくなる気持ちもわかりますが、それでミスを誘発し、自信をなくしてしまうと本末転倒です。必ず、相手の力量を見ながら、それに合わせた仕事量、仕事内容を与えることが大切です。
できるまで繰り返し実践
人は、何度も同じことを繰り返すことで自信をつけ、成長していきます。そのため、新人社員の指導をする際には、1つのことをしっかり身につけるまで、できるまで繰り返しやらせるようにします。下地ができていない状態で次の仕事をさせても覚えられませんので、自分でどうしたらいいかを考えさせながら、仕事をさせてみてください。
失敗から学べるようにフォローする
指導を行う時は、できていない点を指摘するのではなく、どうすればベストだったのか、具体的な改善点を伝えることを意識します。あれもダメ、これもダメと人格を否定するような言葉は、相手のモチベーションを下げるだけではなく、今後の仕事にも悪い影響を与えますので絶対にNGとなります。
質問には真摯に向き合う
部下が話しやすい雰囲気作りも上司の仕事です。日頃から、質問をしやすい関係性の構築や雰囲気を作っておくと、話をお互いにしやすくなります。部下の質問に対して、適当な返事をしていると、上司への信用が失われます。ただし、何でもかんでも答えることがいい訳ではありません。質問の時間帯を決めておく、または相手に考える余地を残しておくなどの工夫が必要です。
上手なメモの取り方を教える
なんでもかんでもメモをとっている新人社員がいますが、非効率的ですので、きちんと指導してあげる必要があります。上手なメモの取り方を知っていると、後に大いに役立ちますので、NGな方法、正しいメモの取り方の両方しっかり説明をしてあげてください。
NGなメモの取り方
上司の言う指示を、一言一句聞き漏らすまいと全部メモをとる人がいますが、これはNGな取り方です。メモを取ることだけに必死で、内容について全く理解できなくなるためです。後でそのメモを見ても、おそらく何がポイントなのか分からなくなってしまいます。また、取ることに満足をして、本当に大事なポイントは抜けているということも起こる可能性があります。
要点を押さえてわかりやすくまとめる
上司の話をメモに取る場合は、全てを丸写しにするのではなく、要点だけを後で見てもわかるようにまとめることがポイントです。重要なワード、確認事項、やるべき内容、そのタスクの納期などに分けてまとめます。要点を抜き出すためには、話の意図を気にしながらメモを取ることが大切です。知らない単語が出てきた場合も、自分でできるだけ調べるようにすると、理解を深めるために役立ちます。
三色ボールペンで用途を分ける
メモを取るのに便利なアイテムとして、三色ボールペンがおすすめです。使用方法としては、重要度を色別に使い分け、パッと見て視覚的にすぐわかるようにしておくと、用途が分けやすくなります。例えば、最重要タスクは赤色、その次に重要なものは緑色、納期は青色など、色分けをしたメモ作りができます。そうすることで、たくさんのタスクが重なった時でも、重要度によって管理ができるようになります。
見直しやすいノートで見直す習慣を
手書きメモの場合、そのメモをいつとったか、パソコンのように作成日で並べ替えができません。そのため、いくつもの案件が同じノートに書いてあると、ごちゃごちゃになり後でわからなくなります。後から確認しやすいように、メモ取りの時は日付を書くことと、1件につき1ページと決めておくと探しやすくなります。
見出しの付箋を貼っておく工夫も大切です。また、メモはインプットだけではなく、アウトプットもできるよう、見直す習慣をつけることも教えます。
やる気を引き出すフィードバック術
部下や新人社員を指導する際、やる気を引き出すフィードバック術について紹介します。フィードバックとは、終わった仕事・現実に対する、意見や観察を述べることを指します。この場合、プラスとマイナスどちらも含みます。分析したことをフィードバックすることで、次の仕事に繋げてもらうための方法となります。
1人の人間として愛情を持って接する
部下は1人1人、会社にとって大切な人材となります。ミスをしたからと言って、人間性を否定するような言葉で傷つけたり、嫌みを言うようなフィードバックをしてしまうと、部下との関係も悪くなり、時間をかけて育てた新人が辞める場合には、フィードバック方法を見直す必要があります。
まずは部下を1人の人間として、人間性を重視して、存在意義を感じられるようなフィードバック術を身につけることが大切です。部下の性格や考え方を尊重して伝えると、確執をうまずに済みます。
フィードバックは鮮度が大事
フィードバックは、まだ頭の中に細かい情報が入っている新鮮なうちに、すぐに言うことが鉄則です。時間が経過してからフィードバックしても、効果が薄く、あまり理解してもらえない可能性があるためです。良かった点、あるいは改善点など、情報が新鮮なうちにその場で伝えることが重要となります。後からフィードバックをすると、忘れてしまったり、言ったところで何を言っているのか忘れられている可能性があります。
良かった点を具体的に褒める
ポジティブなフィードバックをする場合には、ただ「いいね」と言うだけでは、適当にあしらわれていると受け取ってしまう部下がいます。相手により伝わりやすくするフィードバック術として、具体的に、なにがどう良かったのかを褒めるようにします。そうすることで、良かった点についての理解が深まり、自己認識することで、向上心がアップします。
さらに、自分のことをちゃんと見てくれているという、上司の愛情を受け取ることで、信頼関係もより深いものにすることができます。
改善点は建設的に伝える
フィードバック術で大切なことは、感情的な要素は不要だという点です。改善点を伝える際に、感情的になるのではなく、より良くするためには今後何をすればいいのか、第三者の意見も取り入れつつ、客観的な事実として意見を伝えます。「褒めておいて改善点」という方法になると、魂胆が見えてしまうため、ちゃんと褒めている部分が頭に入ってこなくなります。
仕事を管理するのに便利なツール
仕事管理に便利なツールについて表にまとめています。
管理ツール | 特徴 |
Googleカレンダー | チームで共有して進捗情報の確認。ToDoリストでタスク管理。 |
Trello | ふせん感覚でタスク管理。学習管理にも使える。 |
backlog | SNSのような感覚で進歩状況を確認。backlog wikiでチーム共有。 |
todoist | どの端末も利用可能。他のアプリと連携して機能拡張ができる。 |
Googleカレンダーで進歩管理
Googleカレンダーは、Googleが提供している時間管理ツールです。スケジュール管理をチームで共有できますので、おのおのの進捗状況を確認することができる便利なツールとなります。多機能でありながら、シンプルなデザインで使いやすいのも魅力です。
To Doリストと合わせればタスク管理も簡単にできます。使用方法としては、まずToDoリストでタスクを書き出し、Googleカレンダーにタスクを割り振ってスケジューリングを行います。
Trelloはふせん感覚でタスク管理ができる
Trello(トレロ)とは、ふせんを使っているように、視覚的にわかりやすくタスク管理ができるツールとなります。タスクを1つずつカードとして登録をすることで、ボード上で管理できます。進捗により、未着手、着手、確認待ちとなるリストに振り分けることでステータス管理を行います。
ひとりはもちろん、チームと共有できますので、ふせん皆でペタペタ貼っていくイメージです。また、学習や宿題のタスク管理としても利用できます。
backlogでコミュニケーションを円滑に
backlog(バックログ)とは、絵文字やいいね機能、キャラクターアイコンなど、SNSを使っているような感覚で、直感的に使用でき、進捗状況を確認できる便利なツールです。backlog wiki画面では、個人メモ、会議の議事録、作業マニュアル、仕様書などもチームで共有できます。backlogは、コミュニケーション機能がとても充実していますので、社内のタスク管理を行うツールとして、楽しく使用することができます。
アプリとの連携ができるtodoist
Todoistは、大企業も利用する、200万人以上のユーザーを抱える人気ツールです。パソコン、スマホ、タブレットどの端末でも使用可能で、他のウェブサービス、アプリと連携させることで、機能拡張やタスクの追加、整理が非常に便利に行えます。
登録も簡単で、直感的に使いやすいデザインが魅力です。ファイルのアップロード、共有、カレンダー、時間管理アプリなど、使いたい機能を連携すれば、1つのツールで全てを凝縮させることができます。
デキる上司は部下の育て方が上手。部下の心を動かす上司になろう!
部下や新人社員など、なかなか仕事が覚えられないという場合は、叱責より前に、まずは信頼関係を築くところから始めます。指導方法については、業務マニュアルの作成がおすすめです。相手の不安を取り除き、大きなミスを防ぐことにもなります。簡単な仕事から繰り返ししてもらい、タスク管理なども徐々に慣れさせます。
なにかを伝える時には、具体的に、その仕事をする意味を理解してもらいながら、できるまで実践で鍛えます。なお、フィードバックを伝える時は、良くも悪くもすぐに伝え、愛情をもって、具体的に意見を述べます。
新人社員は、今後の会社を担う後継者です。大事な人材となりますので、上司として大切に部下を育てて行くことが大切です。感情的に意見を言うのではなく、客観的に、事実としての意見を述べつつ指導・教育を行うように心がけてください。