リートの魅力は
投資家から集めた資金を基にして、商業施設やマンションなどの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する「リート」。資産運用の一環として不動産投資を検討している人は、一度は「リート」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「リート」は不動産投資信託との呼ばれ、長期的に安定した収入(賃料)を生む不動産を投資の対象としているため、一般的な株式よりも収益予想がつきやすく、安定した分配金を得ることができます。
実際に不動産を購入するとなると高額な資金が必要ですが、リートであれば証券化された不動産に投資するので少額からでもスタートが可能です。投資の初心者でも始めやすいリートの選び方やおすすめの銘柄を知り、効果的な資産運用に役立てましょう。
リートの選び方
リートにはさまざまな種類や銘柄があるので、何を基準に選んでよいか迷ってしまいます。投資する対象を選ぶときのポイントについて詳しくみていきましょう。
銘柄ごとの指標の数値を目安に選ぶ
リートを選ぶ際に指標となる数値がいくつかあります。数値化されている指標は初心者で分かりやすので、選ぶときの参考にしやすいです。銘柄ごとの指標の数値を目安に選ぶのも1つの手段です。
NOI利回りが4〜6%のもの
リートの資産効率を示す指標「NOI利回り」。NOIは「Net Operating Income」の略称で、賃料の収益から管理運営に係る費用を差し引いた純営業利益を意味します。NOI(純営業利益)を不動産の取得価格で割ったものをNOI利回りと呼び、不動産が持つ収益力を示す指標です。
NOI利回りが低い場合、収益が少ないので分配金も少なくなりますが、裏を返せば不動産自体の価格が高いことを意味しています。
反対に利回りが高い物件は、収益力が高く魅力的に見えますが、不動産としての価格が低いということなので、リスクを抱えている可能性があります。NOI利回りは4〜6%前後のものを選ぶとよいでしょう。
NAV倍率が1以下のもの
「NAV倍率」のNAVは「Net Asset Value」の略称で、不動産の資産価値に対して、リートが割安かどうかを示す指標です。リートの市場価格÷1口当たりのNAV(資産−負債)の計算式で求めることができ、1より大きくなる場合にはリートは割高、1より小さい場合には割安と判断することができます。
割高なリートに挑むよりは、NAV倍率が1以下で不動産の価値に対して割安なリートを選ぶ方がリスクは少ないでしょう。
LTVが50%以下
借入金比率を意味する「LTV(Loan To Value)」は、有利子負債率とも呼ばれ、有利子負債÷総資産の計算式で算出することができます。LTVが高いということは、有利子で借り入れている負債が多いということ。借入金が多いという点は、資本効率は高いという見方もできますが、やはり財務の健全性には不安が残ります。
LTVが高すぎると倒産のリスクも高まります。LTVは50%以下を目安とした方がよいでしょう。
銘柄の種類を選ぶ
リートの銘柄にはさまざまな種類があります。それぞれの特徴を理解し、興味があるものについての知識を深めましょう。
景気の影響をあまり受けない住宅特化型
住居として利用している住宅に特化した「住宅特化型」は、入居者が多くいるため、長期的に安定した収益を受け取ることができます。景気の影響もあまり受けないので、長期的に安定した分配金を求める人に向いているでしょう。
ハイリスクハイリターンのオフィスビル特化型
オフィスビルに特化している「オフィスビル特化型」は、景気の影響を受けやすいので安定性には欠けるというデメリットも。しかし、オフィスの規模や立地によっては高い収益が期待できるので、ハイリスクハイリターンのリートといえます。
優待が受けられるホテルリゾート型
ホテルやリゾート施設などに特化した「ホテルリゾート型」は、運営会社の業績に左右させるので、安定しているとはいえません。会社の業績には景気も影響するので、ハイリターンの可能性もありますが、リスクも大きいもの。ただし、株主優待券がもらえるという特典はうれしいメリットです。
高い安定性の物流特化型
物流の関連施設にのみ特化した「物流特化型」は、テナントの入れ替わりが少なく、景気の影響も受けにくいので、安定性が高いリート。ただし、腫瘍のテナントが撤退したときなどは収益が大きく下がる可能性もあるので注意が必要です。
リスクの分散ができる複合型
1つの種類に絞るには不安があるという人には、複数の不動産に投資する「複合型」という選択肢もあります。安定性が高いものと少しリスクを抱えるものなど、異なる種類のリートを組み合わせることでリスクを分散することが可能です。
安定性の高い総合型
複合型と同様、複数の不動産に投資する「総合型」。複合型との違いは、3つ以上を組み合わせて用途を限定しないこと。住宅とオフィスビルとリゾート施設、などといったようにさまざまな種類を組み合わせることで、安定性を高めることにつながります。
運用状況の把握をする
リートの運用状況を把握しておくもの重要なポイントです。次のようなポイントを意識して下調べしましょう。
信頼できる企業のスポンサーか
リートが成長を続けるには、有力なスポンサーが必要です。どんなスポンサー企業がバックアップしてくれているかは押さえておきましょう。またそのスポンサー企業の規模や信頼性、将来性などの情報も調べられる範囲でかまいませんが、必ず下調べしておきましょう。
運用会社は健全な運用をしているか
バックアップしてくれるスポンサーだけでなく、資産を運用している運用会社についての情報を入手しておくことも大切です。これまでの経歴や会社の能力、健全な運用を行なっている会社かどうかなど、できる限りの情報を集めて判断材料にしましょう。
2018年リートオススメ銘柄ランキング
選ぶポイントを聞いても、いまいちどの銘柄を選んでよいか分からないという人のためにおすすめの銘柄ランキングを作成しました。リートを始める際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
スターツプロシード投資法人
スターツコーポレーションをスポンサーとする住居特化型の「スターツプロシード投資法人」は、NAV倍率ランキングで1位のリートです。J-REIT・JCRから「A-」という格付を取得しています。
【参考URL:https://www.sp-inv.co.jp/】
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
三井不動産をスポンサーとする物流施設主体型の「三井不動産路地ティクスパーク投資法人」は、借入金比率(LTV)ランキングで1位のリートです。J-REIT・JCRから「AA-」という高い格付を取得しています。
【参考URL:http://www.mflp-r.co.jp/】
森トラスト総合リート投資法人
「森トラスト総合リート投資法人」のメインスポンサーは森トラスト。借入金比率(LTV)の適正水準を意識した財務戦略・JCRからJ-REITの中でも高い水準の格付であるAAを取得しています。
【参考URL:http://www.mt-reit.jp/】
SBI証券おすすめの人気ETF
「ETF(上場投資信託)」は、「Exchange Traded Fund」の略称で、証券取引所で取引される投資信託を指します。日経平均株価などの動きに連動して運用されることから、投資の判断がしやすく、初めての投資に向いている商品です。SBI証券で人気の高いETF(上場投資信託)には次のようなものがあります。
NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信
野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は、通称で「日経平均レバレッジ」や日経レバ」とも呼ばれます。売買単位は1株から可能で、信託報酬は0.8%。短い期間で高い利益を上げたい人におすすめのETFです。
【参考URL:https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETsiR001Control/WPLETsiR001Ilst10/getDetailOfStockPriceJP?OutSide=on&getFlg=on&stock_sec_code_mul=1570&exchange_code=TKY】
NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信
同じく野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」は、日経平均株価の前日比変動率の-2倍となるように計算された「日経平均ダブルインバース・インデックス」に連動するETF。
売買単位は1株から可能で、信託報酬は0.8%となっています。短い期間で高い利益を上げたい人向けの商品です。
【参考URL:https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETsiR001Control/WPLETsiR001Ilst10/getDetailOfStockPriceJP?OutSide=on&getFlg=on&stock_sec_code_mul=1357&exchange_code=TKY】
国内海外リートファンドおすすめ
リートファンドには、「国内リート型」と「海外リート型」が存在します。それぞれのおすすめのファンドについてみていきましょう。
ニッセイJリートインデックスファンド・東証REIT指数の動きに連動
主に国内の金融証券取引所に上場している不動産投資信託証券に分散して投資ができる「国内リート型」。おすすめなのは東証REITの動きに連動する「ニッセイJリートインデックスファンド」です。購入・換金手数料は無料なので低コストで始められます。
【参考URL:https://www.nam.co.jp/fundinfo/njrif/outline.html】
ニッセイグローバルリートインデックスファンド
日本を除く世界各国に上場している不動産投資信託証券に分散投資ができる「海外リート型」。なかでもおすすめなのは、S&Pグローバルリートインデックスに連動する「ニッセイグローバルリートインデックスファンド」です。こちらも購入・換金手数料はかかりません。
【参考URL:https://www.nam.co.jp/fundinfo/ngrif/main.html】
リートをするならまずはしっかりと下調べを
不動産の投資信託「リート」。少額から始められるとはいえ、投資にはリスクがつきものです。まずはリートがどのように運用されているものなのか、その仕組みなしっかりと押さえておきましょう。
リートには安定性の高いものから、ハイリスクハイリターンのものまでさまざまな種類があります。自分の目的と予算に見合ったものを探し、しっかりを下調べしたうえで投資する対象を選択するようにしましょう。