値動きが少なく高分配金のリート
資産の運用を考えるのであれば、リスクが低く利回りの良いものに投資したいと考える人は多いでしょう。投資商品はさまざまなものがありますが、その中でもおすすめなのがリートです。リートは値動きが少なく、かつ高分配金という特徴があり、インカムゲインを狙う投資家に注目されています。リートについての知識を深め、利回りの良さや魅力を知りましょう。
低ボラティリティと高分配金利回りがリートの魅力
リートは、複数の投資家が不動産へ投資し、集まった資金で購入した不動産の家賃収入や売上利益などを、投資家に分配するというものです。通常不動産を買うとなれば、多額の資金が必要ですが、リートは複数の投資家が少額ずつ資金を出し合って不動産の購入資金をつくります。
現物不動産を小口で購入できる仕組みがリートであり、不動産を少額で購入できると考えればイメージしやすいでしょう。リートでは住宅だけでなく、商業施設や倉庫、ホテル、介護施設にも投資できます。現物株式と比較すれば、リートは分配金が多く値動きが少ないのが大きな特徴です。
値動きが少ないためキャピタルゲインを得るには不向きですが、インカムゲインを増やすには最適と言えます。ファンドが保有する物件からの賃料が分配金の原資となるため、月々の変動が少なく、現物不動産と違いすぐに売却できるのが特徴です。
Jリートの平均分配金利回り
Jリートの平均分配金利回りは、現在では4%程度をキープしています。一時期は8%近い数値があり、投資商品としても大きな魅力がありましたが、現在では全盛期の半分程度の水準に落ち込んでいます。しかし、一時期の盛り上がりには及びませんが、4%程度は常にキープしており、これは東証1部上場企業の平均の倍以上です。利回りとしては非常に高いと言え、投資する価値は十分にあるでしょう。
直近15年の東証リート指数の推移
直近15年の東証リート指数の推移をTOPIXと比較すると、ボラティリティは半分程度であることが分かります。ボラティリティとは簡単に言えば値動き率であり、これが大きいほど高リスクです。もちろん、リスクが高い分、配当なども高額になる可能性はありますが、反対に反動も大きいため常に市場をチェックしておかなければなりません。
リートの場合、ボラティリティが低いため、瞬間的に大きく値が変動することはなく、比較的余裕を持った取引が可能です。
他国のリートについて
リートは日本だけではなく、海外でも投資商品として売り出されています。リートは他国のものでも投資できますし、日本とはどのような違いがあるのかを知っておくことも大切です。
他国リートの値動きと分配金に着目する
日本のリートの特徴は、値動きの少なさと分配金の多さですが、海外では地域ごとに特徴が違っています。海外リートに投資するメリットとしては、日本より経済の拡大が見込める地域に投資できることが挙げられます。
発展途上国など、経済成長が著しい国に投資すれば、高い利益を獲得することも可能です。成長力の高い国ほど値動きが高いため、同時にリスクがあることは理解しておきましょう。また海外リートの場合、為替差益によって価値向上分を相殺される可能性があります。為替差益による影響も考えた上で、購入、売却を考えることが大切です。
他国リートを入手する方法
海外のリートは日本にはない魅力があるため、他国のリートを購入しようと考える人は多いです。他国のリートを入手する方法は、大きく2つに分けられます。国内での投資とは、勝手が違いますので、正しい入手方法を知っておきましょう。
投資信託を利用する
他国のリートを入手する方法としては、投資信託を利用が挙げられます。投資信託であれば、少額投資が可能が可能であり、毎月の積み立て投資もできます。信託報酬が高く、リートの入手方法としてはおすすめです。
ETFを利用する
ETFの利用も他国リートの入手方法のひとつであり、現物リートのように売買できるのが大きな特徴です。売買の方法がシンプルで分かりやすいですが、信託報酬が安いので注意しましょう。
Jリート分配金利回りランキング
リートはボラティリティの低さや利回りの高さが特徴ですが、実際に投資しようと思えば、投資先を決めきれず困っているという人も多いでしょう。いくら利回りが良いといっても、すべての場合で得をするわけではありません。
投資先を誤れば当然損をしますし、投資先の選定が非常に重要です。投資先を選ぶポイントはいろいろありますが、おすすめなのは利回りの高さをチェックすることです。Jリート分配金利回りランキングを参考にしながら、より良い投資先を見つけましょう。
いちごホテルリート投資法人
いちごホテルリート投資法人は、ホテル物件を所有、賃貸するリートです。訪日外国人環境客の増加によって、ホテル業界は成長傾向にあり、将来性は高いでしょう。今後さらにホテルは増設、収益の拡大が見込まれていますし今が狙い目のリートだと言えます。
また、将来性の見込みがあるだけではなく、北陸・東海、大阪、京都、東京と地域分散が効いていることも大きな特徴です。地域分散によってリスクヘッジができていますし、安定性は高いといえるでしょう。
投資法人みらい
投資法人みらいは、オフィス7割、商業施設2割、ホテル1割の総合型リートです。三井物産と中国系資本の不動産投資会社をスポンサーとしており、今後はスポンサー傘下の施設についても取得していくと予想されています。
ヘルスケア施設やインフラ施設、森林、海外不動産など、取り扱い資産はさらに拡大しますし、今後の変化にも注目が必要なリートでしょう。物件はやや関東に集中していますが、JCRから「A+」の格付を取得していますし、安定性は高いと言えます。
マリモ地方創生リート投資法人
マリモ地方創生リート投資法人は、分譲マンション開発や市街地再開発などに着手している、総合型のリートです。ポートフォリオの約85%が東京圏以外に所在しており、郊外の物件のほうが地代が安く、利回りが高くなる傾向があります。
郊外に投資先を見つけることで、利益の拡大が目指しやすく、高い分配金を狙いたい人にはおすすめです。また、地銀7行が、サポート会社となっていることも大きな特徴です。利回りが高いながらも、安定性はありますし、リスクヘッジにも問題はないでしょう。
さくら総合リート投資法人
さくら総合リート投資法人は、総合型のリートであり、関東にポートフォリオの半数強の物件を持っていることが大きな特徴です。日本管財グループとオーストラリアの独立系不動産会社をスポンサーとしており、元々はオーストラリア証取に上場していました。
しかし、日本市場の成長性の高さから2016年9月に上場取引所を東証に変更したという経緯があり、国内に参入したのはごく最近です。オフィスが約半数を占めていますが、他にも工場やスポーツクラブなども保有をしており、珍しいファンドと言えます。
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、事務所主体のリートであり、物件のほとんどが関東に所在し、大規模物件が多いことが特徴です。外資系の資産運用会社大手インベスコ・グループをスポンサーとしており、JCRから「A+」の格付けを取得しています。規模の大きさから高い利益率を期待しやすく、安定性も高いでしょう。
リートを分析する際に使う指標
リートで上手に資産を運用するためには、市場を分析して投資先を決めることが大切です。いかにボラティリティが低く、利回りが高いといっても、考えなしに投資をしていては利益を得ることは難しいでしょう。インカムゲインを得るためにも、正しい分析の方法を理解することが大切です。
リートの割安感を判断できるNAV倍率
NAV倍率は、リーとの割安、割高を評価する指標です。NAV倍率は数値が低いほど割安となり、1口当たりの資産と1口の株価が1倍を下回るかどうかが判断基準の一つです。1倍を下回れば割安と判断できますので、これをひとつの指標として考えましょう。
リートの安全性が判断できるLTV比率
LTV比率は、総資産中に含まれる有利子負債の比率であり、これはリートの安全性を示したものです。LTV比率は数値が低いほど安全性が高くなりますが、資産効率は低くなります。安全性と資産効率のバランスを見極め、投資先を決定することが大切です。
リートを保有することは気軽に不動産投資を行うこと
リートとは、小口での不動産投資であり、少額での投資が可能なため比較的挑戦しやすいです。値動き率は低く、分配金の利回りが高いことが特徴であり、投資のハードルは低いと言えます。市場を分析しながら上手に投資先を決定し、インカムゲインを得て資産を運用しましょう。