株価上昇中で気になる銘柄
芸能人の激的なダイエットのビフォーアフターCMや、「結果にコミット」というインパクトのあるコピーで話題の「ライザップ」。最近ではダイエットだけではなく、英会話教室や高齢者の健康づくりのサポートなど、さまざまなジャンルの事業を展開しています。
株取引に興味があり、ライザップグループの株の購入を考えている人もいるのではないでしょうか。ライザップグループの株価の推移などを調べてみました。
ライザップグループの株価上昇の理由を考える
ライザップグループは、札幌証券取引所が開設する新興企業向けの株式市場であるアンビシャスに上場しています。前社名は「健康コーポレーション」といい、豆乳クッキーダイエットを大ヒットさせ、2006年5月30日に札幌アンビシャスに上場しました。
ライザップの会員数が増加中
RIZAP会員数現在、10万人を突破しています。2013年には10店舗しかありませんでしたが、2018年3月期時点で149店舗まで増加しました。2018年10月時点でも京都河原町店など、新店舗オープンが発表されています。
利用者層については、中高年層の問い合わせが大きく増加し、男女問わず中高年層市場も開拓しつつあるようです。従来はダイエットといえば若い女性のイメージから20〜40代が中心でしたが、最近は比較的高年齢のタレントをCMに起用するなどの取り組みをすることで、変化してきました。
また、法人向けのプログラムや「健康と美容にコミットするランチ」のフード事業も行っています。さらに自治体との取り組みでは、医療費削減を目的として「体年齢が若返った人数によってライザップに報酬を払う」という新しい仕組みも開発されています。
ライザップ会員の環境作りで会員数が減らない
2〜3カ月という短期間で大幅なダイエット(体重の減量)と体型の改善ができるところが大きな魅力のライザップのパーソナルトレーニングです。
でも、ジムの事業的に見たら、ダイエットが成功したら会員は退会してしまうのではないかと考えてしまうかもしれません。しかし、短期間のダイエット終了後のプログラムとして、2017年に開始された「ボディマネジメントプログラム」が開発されました。
このプログラムは減量した後の体型維持、カラダを維持し続けることに特化した生活習慣を改善するためのサービスです。このサービスが始まってからは、ダイエット終了後もジムに通い続ける人が増えてきているようです。
M&Aをしている
一方、この企業はジム運営以外の事業についても、活発な動きがあります。ライザップグループは2017年以降、他業種とのM&A (会社の吸収合併)を多数行っています。アパレル関連や住関連ライフスタイル、エンターテイメントと幅広い業種で行っています。
上場しているグループ企業は2018年現在9社あり、フリーペーパー発行の「ぱど」、アパレル(ジーンズ販売)の「ジーンズメイト」、レディースアパレルの「夢展望」などがあります。これらの事業はライザップの健康事業とは一見無関係のように見えますが、ライザップ事業とのシナジー効果(広告宣伝ノウハウの共有や、ライザップとのコラボ商品の投入)によって業績が急速に改善しています。
2018年3月期のRIZAPグループの業績は6期連続増収、5期連続の増益となり、2019年3月期はさらに大幅な増収増益が見込まれています。
株主分割を行った
株主分割とは株価の高い株を分割することで、1株あたりの株価を下げることで購入しやすい価格にし流動性(売り買いのしやすさ)を高め、株主を増やすことができる方法です。
ライザップグループでは、2001年5月に3分割、2003年6月に10分割、2003年12月に100分割、2005年6月に10分割を行いました。つまり、最初の1株が30,000株になった計算になります。
決算説明会が分かりやすくなった
2017年5月を境に、ライザップグループの株価は大きく上がりました。4月に700円台だったのが、5月以降急騰し7月4日に2297円の高値をつけました。これは上記のM&Aなどの効果もあると思われますが、5月17日にライザップグループ各社合同で行った決算説明会もその一因になっていると言われています。
- 営業利益の内訳を明確にした。
- 今期計画の増益要因の内訳をわかりやすく出した
- 事業内容などが一般人にもオープンになった。
M&Aなどで複雑化する経営状態や、今後の展望などを、広くわかりやすく示す決算説明会が評価されたと言えます。
株主優待が魅力的に
2018年度のライザップグループ株主優待は商品数がなんと300以上、ポイント制で複数の送付先にも対応しています。3月末権利で、WEBサイト及び電話から申し込めます。送付先は別住所へ送付(贈答など)、及び分割しての申込みも可能です。
M&Aによってグループ企業の増加し、それに伴って選択できる商品数が増えました。ジムトレーニング優待以外にも、ライザップブランドの健康食品・低糖質食品など、またライザップコラボの各種家電やアパレルアイテムなど、非常に多彩な商品があります。
特に保有株数の多い株主への優待として、グレードアップや「プレミアムクラス」が設定されており、プレミアムクラスでは、ベルマーレの特別観戦チケット(限定10組20名)が10,000ポイントとなっています。2018年にライザップはサッカーJリーグ1部(J1)湘南ベルマーレの経営権を取得しています。
今後の動向は
現在好調なライザップグループの株価ですが、今後の動向はどうでしょうか。考えられる今後の動きをまとめました。
東証一部に鞍替えの可能性
現在、札幌アンビシャス市場のみで上場しているライザップグループの株ですが、より大きな東証1部への鞍替えが期待されており、実際に鞍替えが実現すれば、これまで以上に取引が増えることが期待されています。RIZAPグループは6月24日、定時株主総会にて今期中に東証一部に上場できる見通しを明らかにしました。8月29日に東証一部への鞍替えを名言しました。
上昇中で数値がいいが一過性の可能性も
現在まで、主力のパーソナルジム事業・健康事業もM&Aも好調で、非常に勢いのあるライザップグループ。全てが右肩上がりに見えますが、劇的に成長しているのはここ数年なので、その勢いが今後も長期に続く保証はありません。
中期計画で結果を出せるかどうかによる
買収を重ねて短期間に急激に株価が上昇したことで、ネットではかつてのライブドアと比較されるような見方もあります。東証2部上場の和装卸、堀田丸正を買収すると発表した2017年5月には、1カ月で株価が2倍に高騰した後に乱高下しました。
ライザップグループの好調が短いバブルに終わってしまうかどうかは、同社が中期計画でコミットする「21年3月期に売上高3,000億円、営業利益350億円」を達成できるかどうかが重要だと見られています。
ライザップグループの株主になるには
ライザップグループが上場しているのは札幌アンビシャス市場のみのため、株主になるためには、札幌アンビシャス市場で取引できる証券会社を探さなければなりません。インターネット証券大手でも、以下の証券では札幌アンビシャス市場を取り扱わないため、ライザップグループの株取引ができません。
札幌アンビシャス市場の取引が出来るインターネット証券は下記の通りです。
- マネックス証券
- 松井証券
- カブドットコム証券
- SBI証券
取引の利便性でも、東証一部への鞍替えが期待されます。
ライザップの動向は注意して見ておこう
株取引の対象としてのライザップグループの魅力と、注意点などについて詳しくみてきました。絶好調の成長、充実した株主優待と、とても魅力的な要素が目白押しの反面、取引が東証一部でなく札幌アンビシャスというデメリットや、今後の業績の維持を疑問視する見方もあります。
高齢化が進む現在を、得意分野である「生涯価値(LTV)」という軸で考えて、一見関係のない他業種をM&Aで取り込み、マーケティングと顧客基盤を活用する戦略で経営を再建し、グループ全体の成長につなげようとしています。ライザップグループの今後の東証一部への鞍替えも含めて、経過を追っていくべき銘柄の一つだと言えるのではないでしょうか。