株式投資のベーシックな始め方|初心者が利益を得るポイント集

株式投資のベーシックな始め方|初心者が利益を得るポイント集

2018.11.11

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初心者が株を始める際の基礎知識と注意点について

「株は儲かるらしい」「一晩で無一文になるらしいから株は怖い」など、どちらももっともだと言えます。しかしそれらは同時に、株式投資の一面を見ているだけの推論でしかありません。株式投資にはメリットとデメリットがあります。 必要な考え方や知識を手に入れ、準備と注意を怠らなければ、初心者でも株式投資で利益を得ることはできます。そのための大切なポイントを見ていきます。

株式投資の仕組み

テレビや雑誌などで見て株式投資を始めようと思っても、「難しそうだから」と始められない人も多いようです。そんな初心者のために、まずは株そのものについてや、株を買うことの意味を1つずつ見てみましょう。

企業が事業を行うための資金調達方法のひとつが株

企業が事業を行うためには、商品の仕入れや人件費、細かくいえば交通費や事務用品費といったさまざまな資金が必要です。その事業に賛同し、資金を提供してくれる人を募ってそれと引き換えに証拠として渡す証券のことを「株券」または「株」と呼びます。 株を買う人が多ければ多いほど多額の資金を調達でき、より大きな利益を出すことが可能になります。出資者は、その見返りとして「配当」という利益を得ることができます。

株券を買う事で個人オーナーの権利が手に入る

株とは「会社の一部である」といえます。株を買うということは会社の一部を買うということ、一部とはいえ「会社のオーナーの1人」になることと同じです。 2005年にあったライブドアとフジテレビの一件は、株を持つことの威力を広く見せつけました。あれほど多くの株を買い占めることはないとしても、株を買うことは個人がオーナーとして権利を持つことであり、経営に一定の影響力を持つことは間違いありません。それは決して軽いものではないのです。

値上がった株を売る事で株主に利益が生まれる

株には値段がついています。なんでも同じですが、欲しがる人が多ければ値段は上がりますし、数に限りがあればなおさらです。もともと5,000円で1株買ったとします。そのあと欲しがる人が増え、たくさんの人が「私は6,000円で買う」「こっちは7,000円で」といったように、自分に売ってもらうために支払うお金を増やしていきます。 売る方はできるだけ高く売りたいのが普通ですから、この場合は7,000円の値段をつけた人に売ることになります。差額の2,000円は「利益」となります。このように、ある値段で買った株を上がった値段で売って株主は利益を得ます。

株主優待という利益もあり

株式投資で得られる利益は、値上がりによる利益だけではありません。特定の日に株主でいると、その企業から物や金券・割引券などが送られてくる場合があります。それは株主への利益還元の一つで「株主優待」と呼ばれます。 株主優待で生活している有名人がテレビで特集されたことで一気に知名度が上がり、今や上場企業の3分の1以上が実施しているといわれています。 株主優待の情報は、株式取引に関する情報サイトや証券会社のホームページ、株主優待ファンが作ったブログなどで詳しく見ることができます。株主優待の使い勝手やお得さなどをそれぞれが評価するなど見るだけでも楽しいものばかりです。株主優待を目当てに株式投資を始めた人もきっと多いことでしょう。

株式投資の基本的な流れ

それでは、おおまかに株式投資の基本的な流れを見てみましょう。昔は大手証券会社に大金を用意して出向かなくてはなりませんでしたが、最近ではずっと簡単に始めやすくなっています。

資金を準備する

まず始めるための資金ですが、今は5万円でもさまざまな企業に投資することができます。全上場企業のうち500社を超える企業は5万円以内の予算で投資できるといわれ、有名な企業では「ヤフー」や「みずほフィナンシャル・グループ」などがそれにあたります。 もっと少額で投資したいという人には、「単元未満株」という500円から投資する方法もあります。例えば株価1,000円で1,000株単位で取引されている場合は最低でも100万円が必要ですが、もしこれが単元未満株であれば1株1,000円から買えるのです。これなら「100万円は無理だけど1,000円なら」という人も始めやすい株式投資になるはずです。

証券口座を開設する

株式投資をする場合必要になるのが「証券口座」です。現金の出し入れ・保管を取り扱う口座が現金を取り扱う金融機関の口座だとすると、証券口座は「証券の出し入れ・保管を取り扱う口座」です。ネット証券会社の場合は口座開設費用・維持管理費用ともに無料で、始めやすくなっています。 ネット証券ではパソコンやスマートフォンで口座開設を申し込みますが、手続きにかかる時間はおよそ5分から10分程度。申し込み後口座開設完了まで早ければ3営業日ほどしかかかりません。クレジットカード審査のように厳しい審査があるわけでもなく誰でも気軽に開設できます。

証券口座にはすぐに入金した方が良い

株式投資では、いつどれほどお得な株を手に入れられるか、売却するチャンスが訪れるかわからないためタイミングが大きな意味を持ちます。もともと気をつけていた会社の株が急落し、すぐに買おうとしても証券口座に資金がなければ買うことはできません。資金移動でもたついている間にチャンスを失うこともあり得るのです。 現在ネット証券ではほとんどの場合、指定されて銀行口座にお金を振り込めばそのお金が自動的に自分の証券口座に入金されます。チャンスを逃さないためにすぐに入金することをおすすめします。

取引できる時間を確認

直接株取引をできる時間帯は平日の朝9時から11時30分まで(前場)と12時30分から15時まで(後場)です。ただし、注文だけならネット証券会社を使えば24時間365日好きな時に出すことができます。 例えば月曜日の19時に買い注文を出したとします。すでに取引所が閉まっている時間ですから、その注文は翌日「火曜日の朝9時」に回されます。時間になって誰かが出した売り注文とマッチすれば買い注文は取引成立となります。

購入する株を選ぶ

「どの株を選ぶか」は、世界中のすべての株式投資家に共通する難題です。証券アナリストや他の投資家が「これだ」という選び方はあっても、それが正解とは限りません。ネット証券に口座を解説すれば無料で選び方を教えてもらえますが、その通りに投資しても思う通りに利益が得られるわけではありません。結局は自分で調べて選ぶしかないのです。

銘柄は身近なものから選ぶのが良い

株を選ぶとき、まずは「身近なお店や商品に着目する」ことから始めましょう。気になる新製品や気になるお店・サービス、よく利用するフランチャイズなどを思い出し、そこから関連する会社を調べ、気になる理由を整理してみます。それが、企業の強みや力が実際にどのように株価に影響しているかを探るきっかけになるのです。 しかし、あまりに情報を集めすぎるとかえって混乱してしまいます。情報は適度な量にとどめ、上質なものを取捨選択するよう心がけましょう。

企業の概要を詳しく調べる

気になる銘柄を定めたら、会社四季報や日経会社情報で会社の概要を調べます。会社の数字を見て売上高や従業員・店舗数の規模を測り、利益の額や売上に占める割合、借り入れ額などをチェックします。 それには「会社四季報」や「日経会社情報」が最適です。どちらも全上場企業の主要財務データをコンパクトにまとめてある上、年4回刊行され書店で買える便利な役立つ参考書になります。また多くのネット証券が自社のWebサイト上で口座保有者が無料で会社四季報を閲覧できるようにしていますから、それを利用するのもよいでしょう。

企業の利益が将来的に何倍になるか見極める

会社四季報や日経会社情報には、2年先までの業績予想が掲載されています。企業へのインタビューやアンケートを実施し、それらを参考にして予想しているため非常に参考にはなりますが、外れることもあります。 そこで大切になるのが、自分なりの「イメージ」です。その会社で注目している商品やサービスが普及していったら会社全体の売上高や利益の水準が大きく変わるかどうか、大まかでもよいのでイメージしてください。 たとえば、ある新興のピザチェーンがあるとします。近所にできたので食べたみたらとてもおいしかった。そのピザ屋の数が増えるほどその企業の業績は伸びます。5年後にそのピザ屋の店舗数が5倍に増えるとしたら、今の売上高や利益も5倍になると考えて間違いないはずです。きっと株価は上がるに違いありません。 しかしそれがもし、すでに牛丼やイタリアンなどを経営している大手総合飲食チェーンの一部門だったら、少しくらいピザ屋で成功しても企業全体に与えるインパクトは限定的で、売上高や利益はそれほど劇的には変わらず、株価にはあまり影響がないかもしれません。 大切なのは「大局観」です。このように業績を捉えた上で売上高や利益が2倍・3倍になる会社を見つけたらしめたものです。

企業の現在の株価を確認する

投資したい企業が定まれば、次は株価と投資に必要な金額をチェックします。最低限必要な投資金額は、株価に最小取引単位をかけて算出します。例えば株価が500円で最小取引単位が100株なら、最低投資額は5万円、予算でまかなえるかどうかを確認します。

投資をするか判断する

次に、株価が割高か割安かを判定するため「PER(株価収益率)」を確認します。PERは、株価を1株あたりの利益で割ったもの、つまり「今の株価が今の年間の1株利益の何年分か」を表しています。この1株あたりの利益は「EPS」と呼ばれ、会社の当期純利益を発行済株数で割ったものです。 これらの数値は、ネット証券で提供されている企業データにも掲載されています。また多くの会社はその年の1株あたり利益がいくらになりそうかを予想して発表していますから、一つ一つ計算しなくても確認できます。市場環境によって適正水準は変わるものですが、あえて言えばPERは15年から20年分が平均とされています。 例えば今の株価はそのままに将来の利益が2倍になるとすると、将来のPERは今に比べて半分になります。本来なら20年かかって得られる利益が10年で得られることになります。それだけ業績がよければ株価は上がるはず、つまり会社の価値は上がるといえます。 ここで大切なのは「利益が2倍になる確信をどれだけ得られるか」です。過去のPERの推移や類似した企業のPERを調べるなどしてその会社の強みや魅力を明確にすることが大切になってきます。

購入する株が決まったら買い注文を出す

証券口座へ入金し、どの株を買うかが決まったらいよいよ買い注文を出します。注文に必要な項目は、数量と価格、執行条件です。 買うときに数量はわかるかもしれませんが、「価格」と聞いて疑問に思った人もいるでしょう。株を買うときの価格の指定には「指値(さしね)」と「成行(なりゆき)」の2種類があり、意味が全く違います。 指値とは、「指定した価格で買う」ことで、それより高い売り注文しかなければ買いません。成行とは、今ある売り注文の中から値段を成り行きに任せて指定した株数になるまで買うことです。そしてこの買い注文がいつまで有効かを「執行条件」で指定します。本日中に限るのか、今週中までなのかを選びます。 これらはネット取引が始まる前から変わらない取引の基本ですから、Webやスマホアプリでも同じです。逆にスマホは外出先でも値動きがチェックできるためタイミングを逃しません。そのため今ではほとんどの株式投資家がネットを利用しています。

利益になる株の探し方や見極め方

株式投資の基本的な仕組みがわかると、上手に利益を得るには「利益になる株」を見つけることが大切だとわかります。数千もある銘柄からそんな株を見極めるには見るべきポイントがあります。

身近な企業と自分の日常生活の関連から見極める

今の日本で「RIZAPグループ」といえば、知らない人はいないほどの有名企業です。RAIZAPグループは、2011年から2015年の4年間で、株価は29倍に値上がりしました。 薄型平面レンズのメガネを5,000円以下で販売すると話題になり、その後PC用メガネが爆発的大ヒットとなった「ジェイアイエヌ(格安メガネの「JINS」)」は2009年から2013年の4年間でなんと156倍になりました。 その他、女性向け低価格体操教室「カーブス」を運営する「コシダカホールディングス」や、100円ショップの「セリア」も株価が数十倍に値上がりしています。これらの銘柄に共通するもの、それは「身近な企業である」ということです。 身近ということは誰もが知っているということ、誰もが利用できるということです。そこまで広まったサービスや商品はきっと企業の業績を上げます。そんな日常生活の中で感じる変化が、大成長株の発見に役立つのです。

企業の業績の伸びを常に確認する

企業の業績の伸びを測るには、業績の中でも「営業利益」か「経常利益」を見ます。どちらも一時的な要因の影響を受けにくく、その企業の本来の収益力が現れやすいからです。これらが毎年続けて拡大すれば、今後の成長を期待でき、株の買い注文は増え株価は上がります。 株価が上がるということは、業績の伸びているということです。最新の業績はその企業のホームページのIP・決算情報や、証券会社やネットの銘柄情報などで確認できます。日頃から動きやその原因をチェックしておきたいものです。

売り注文の出し方

自分の持っている株の価格が上がっても、株を売却しなければ利益は確定しません。いくら長期に株を保有する人でもいつかは売却しますから、株を買うことは株を売ることとワンセットで考えるべきです。

ネット証券ならスマホから売り注文が可能

実際に取引できるのは平日昼間だけですが、注文を出すだけならネット証券を使えば24時間・365日可能です。Webと同じで、「口座管理」から売りたい銘柄を選択し、「注文画面」で必要事項を入力、最後に「注文確認」をタップすれば完了です。 ネット証券の中で最も口座開設数の多いSBI証券が提供しているスマホアプリ「HYPER株アプリ」は、利用者も多く使いやすいといわれています。このHYPERアプリで株を売却する際の操作手順を紹介します。

売りたい銘柄を選ぶ

アプリを立ち上げたら、画面下にあるメニューの真ん中にある「口座管理」をタップします。つぎに「保有証券」の一覧が表示されますので、この中から売却したい銘柄を選びます。 銘柄を選ぶと現物取引と信用取引の各メニューが表示されます。「信用取引」は初心者には難しいのでまずは、「現物取引」から始めます。メニューの「現物売」をタップし、次の項目をそれぞれ選択します。
  • 「SOR」:発注する市場を選択します。
  • 「株数」:注文を出す株数を入力します。▲や▼ボタンをタップすると単元株ずつ増減できます。
  • 「指値・成行」「指値入力欄」:価格を指定します。指値の場合は価格を入力欄に入力します。
  • 「執行条件」「期間」:取引の執行条件と発注機関を入力します。
最後に「取引パスワード」を入力して一番下の「確認」をタップすれば注文確認画面に移ります。

執行条件を設定しておく

執行条件の選択肢には、「なし」「寄指(よりさし)」「引指(ひけさし)」「不成(ふなり)」があります。
  • なし:いずれの執行条件もつけない注文方法。
  • 寄指:マーケットが始まった直後(寄付:よりつき)に指値注文が施行される注文方法。
  • 引指:前場・後場が終わる(引け)直前に指値注文が執行される注文方法
  • 不成;寄付と寄付から引けまでの取引時間(ザラバ中)は指値注文とし、約定(取引成立)しなかった場合は引けの成行注文になる注文方法
執行条件を利用した株の売買は、どちらかというと「中級者向け」です。初心者は執行条件を使った複雑な取引はあまり必要ではありません。「こんな注文方法もある」程度に覚えておきましょう。

注文内容を確認して注文する

「注文確認画面」では、各項目に、特に数量や指値をしっかり確認して、間違いなければ「注文発注」ボタンで注文を確定します。「注文受付画面」が表示されますが、きちんと注文が反映されているか「注文照会」画面でも念のため確認しておきましょう。後日取引が成立すれば「約定通知メール」が届きます。これで売却は完了です。

株価チャートを使うとよい理由

「株価チャート」とは、株価の動きを見るためのグラフのことです。これを見れば「まだ下落が続いているな」「この株を買う人が増えてきたな」「上昇基調が崩れ始めたな」といった株の状態がわかります。

株価のトレンドが一目でわかるのが株価チャート

株価チャートは、縦軸が株価、横軸が時間の経過を表しています。左から右になぞるだけで時間ごとの株価のトレンド(上がり下がりの流れ)が一目でわかり、将来の株価の見通しも立てやすくなります。

どんな投資期間でも利用可能

時間を表す横軸は、レンジ(間隔幅のこと:時間ごと、日ごと、週ごとなど)を変えることで、どのような期間の動きを見ることができます。高騰する直前の値動きを見るために時間ごとに表示して細かく、将来の売るタイミングを見極めるために長い目で見たトレンドを確認するには月ごとに表示して意思決定の参考にします。

買いサインや売りサインがわかりやすい

株価チャートで特徴的なのが「ローソク足」です。これは1本で1日や1週間・1カ月の値動きを表すもので、その期間安値で始まり高値で終われば「陽線(白色のローソク)」、逆なら「陰線(黒色のローソク)」で表し、上ヒゲの頂上が高値、下ヒゲの底が安値を表します。 「出来高」は売買高ともいい、その株が売買された取引量を表します。売る側・買う側の双方からたくさんの注文があれば取引は活発化しており、投資家に注目されているといえます。 「移動平均線」は一定期間の平均株価を点で表し、それをつなぎ合わせた折れ線グラフのことです。移動平均線よりも上にローソク足の終値があれば、最近株を買った多くの人は今儲かっている状態だといえます。 このように株価チャートには株価の動きのさまざまなポイントが凝縮されています。意味をきちんと理解しておけば買い時か売り時かのサインを見逃さず利用できるようになります。

配当利回り

儲かる株に投資したいなら、銘柄を選ぶ際に押さえておきたいのが「配当利回り」です。配当利回りが高ければ配当金がたくさんもらえるだけでなく、株式市場全体が悪化しても株価が下がりにくく安心して投資できるからです。

配当とは企業の利益から株主に還元されるお金の事

「配当」とは企業が稼いだ利益を株主に還元する方法の1つで、決算発表の時に業績予想と1株あたりの配当金の予想も発表されます。多くの場合配当は年に1回ですが、2回から4回に分けて支払われる場合もあります。

配当と株価の金額によって決まる

「配当利回り」とは、購入時の株価に対して1年間でいくらの配当をもらうことができるかを表す数値です。
配当利回り=(1株あたり配当額/株価)X100%
上記がその計算式です。配当額が大きく株価が低い方が投資金額あたりもらえる配当額が大きく、配当利回りが高くなります。

増配株ほど配当が安定している

配当は企業が利益を株主に還元するものですから、利益が減ると配当を大幅に減らすことが多く配当利回りは低くなります。逆にいうと配当利回りが高いということは、利益を出し続けているということです。 前期は配当が多かったが、今年は少なくなったという場合、投資家は魅力が下がったと感じて株を売り株価が下がる可能性があります。一方で高い配当を続けている、または配当を増やし続けている株(増配株)は誰も売ろうとは思いませんから売買が活発でなく、安定しています。配当で儲けるなら、減配リスクが少ない増配株がおすすめです。

キャッシュフローにも注目すると良い

企業が配当を継続するにあたり、キャッシュ(現金)が潤沢にあるかどうかも条件として欠かせません。それは「キャッシュフロー」でチェックできます。 キャッシュフローとは企業がどれだけ「現金」を持っているかを示すものです。その中の「現金および現金同等物(簡単に換金が可能な定期預金などの短期投資)」の水準が過去の数値と比べて安定していて十分な金額かどうかをチェックします。キャッシュの水準が高く安定していれば、配当を継続できる条件が整っているということです。

配当性向が50%以下の株が無難

業績に大幅な増減がなく安定しているかどうかも配当を継続するための大切なポイントです。そこで役立つのが「配当性向」です。配当性向とは、利益の中から配当金をどのくらい支払っているかを表してものです。
配当性向=(1株あたり配当金/1株あたり利益)X100%
  上記がその計算式です。日本株の平均配当性向は30%といわれています。中には利益の100%を配当する企業もありますが、そんな企業は業績が悪化したら減配する場合もあり安定しません。業種や財務内容によっても変わりますが、銘柄は配当性向が50%以下の株から選ぶと無難です。

配当金の受け取り

配当金を受け取る方法はもともと2つありましたが、2009年1月に株券電子化が始まったことから新たに2つ増え、4つになりました。

銀行や郵便局で直接受け取る方法

1つめが「配当金領収書方式」です。配当額が決まると、配当を受け取るための「配当金領収書」が株の発行会社から直接、自宅へ送られてきます。必要事項を記入・捺印し、それを持って銀行または郵便局に行けば配当金を直接受け取ることができます。

証券口座から受け取る方法

2つめは、各証券会社で保有している株数の残高に応じて、配当金がそれぞれの証券会社の口座に入金される「株式比例配分方式」です。同じ銘柄を複数の証券会社で持っていたら、それぞれの証券会社の株式保有残高に応じて配当金が入金されます。

銀行口座から受け取る方法

3つめの「登録配当金受領口座方式」は、複数の証券会社に口座があった場合も、指定した1つの金融機関口座へすべての株式の配当金が振り込まれる方法です。

銘柄別に指定の口座へ振り込む方法

4つめは銘柄ごとに配当金を受け取る口座を指定する「個別銘柄指定方式」です。銘柄ごとに振込先口座を指定できるため、配当金を個別に管理したい人にはおすすめです。

初心者は口座に振り込まれる方法がおすすめ

初心者が選ぶとしたら、配当金領収書方式か個別銘柄指定方式のようにわかりやすい方法がよいかもしれません。面倒な受け取り手続きを避けるなら個別銘柄指定方式か登録配当金受領口座方式なら配当金が全て自動的に入金されるので簡単です。 また、配当金を再び投資する資金にしたいなら、株式比例配分方式にして直接証券口座に入金すると便利です。わかりやすいかかんたんか、再投資するために使うかどうかを考えて決めるとよいでしょう。

株式投資にかかる税金について

株式投資で得られる利益にも税金がかかります。値上がり益にかかる「譲渡益課税」と、配当金にかかる「配当課税」について見てみましょう。

値上がり益にかかる税金を譲渡益課税という

値上がりした株を売却すると、買った時の値段を差し引いても利益が残ります。その利益にかかる税金を「譲渡益課税」といいます。税率は、所得税15.315%+住民税5%の合計20.315%です。この所得税には復興特別税を含みます。大まかに「だいたい20%かかる」と覚えておきましょう。

配当金にかかる税金を配当課税という

企業の配当によって受け取る配当金にも税金がかかります。それを「配当課税」といい、税率は譲渡益課税と同じ20.315%です。 値上がり益や配当金とは別に、株主優待も本来雑所得となり、所得金額に応じて税率が変わりますが課税対象です。会社員の副業であっても、株主優待を含む所得が年間20万円を超える場合は確定申告しなくてはなりません。たくさんの株主優待をもらっている人は注意が必要です。

株式投資の注意点

安易に株式投資を始めて大損する初心者が大勢います。それを避けるには、はじめから「株式投資でやってはいけないこと」を肝に銘じなくてはなりません。

特定の銘柄に固執し続けてはいけない

投資では、自己資金以上のお金を投資しないことが大原則です。どんなに市場が盛り上がっていても、初心者のうちは、信用取引(お金や株を借りておこなう取引)などで自己資金を超える投資は避けるべきです。一夜にして株価が暴落してしまう可能性がゼロではないからです。 その上で、1銘柄あたりの投資金額を一定以上にしないことも大切です。一般的に1銘柄あたりの投資金額は最大でも自己資金の20%程度までに止めるのが望ましいとされており、それはいくら安定企業と思われていた銘柄でも、一時期の東芝や東京電力のように株価が急落することもあり得るからです。 また銘柄に固執するあまり株価が下がっているのに手放さないのも厳禁です。考え抜いて買った銘柄はどれもかわいく、手放すのが惜しくなるものですが、どんな企業でも思わぬ環境の変化などによって予想外の事態が起こり株価が下がることはあり得ます。 そんなとき「また上がるかもしれない」「せめて買値を戻すまで」と持ち続け、値が下がってしまえば今以上の損失を被ることになります。多くのベテラン投資家は、「損切り」と言って一定の値下がりがあったらほぼ無条件に売却します。1つの銘柄に固執しすぎず、広い視野で自分の投資の現状を見極めることが大切です。

シンプルな投資を続けると良い

買った時の理由が安定した高配当だったのに、株価が上昇し株の成長を期待するようになると、高配当を着実に積み重ねる当初の目的から外れてしまい、そのせいで判断を見誤る可能性があります。そうなると、得られるはずだった高配当が得られなくなる可能性が出てきます。 勝ち続けている投資家は、意外とシンプルな方法を繰り返すことで利益を得ています。あれやこれやと色々な投資手法に手を出さず、自分なりのシンプルな方法や法則を見つけ、投資に生かすようにしましょう。

正しい知識を身につけてから株を始めよう

株式投資はある意味では「安く買って高く売る」ごく簡単な取引です。しかし実際に利益を得るには、高くなる銘柄を見極めなくてはなりませんし、それを買うための証券口座や、資金を用意しなくてはなりません。見極めに必要な株式チャートも、なんとなく見ているだけではうまく活かせるはずもありません。 株式投資は現実的に「お金が動く」ものです。捨ててもいいような余った資金で投資するなら問題ありませんが、多くの人は少しでも多くの利益を得たいと考えているはずです。 その上全くの初心者なら、手堅い始め方で1歩目からしっかり利益を確定するため正しい知識を身につけ、万全の備えで望むべきです。そうして地道に力をつけることが、結局は株式投資で成功する自分なりの「セオリー」を実証することになるからです。

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