信用買残(しんようかいざん)とはなに?用語の意味と活用方法をわかりやすく解説!

市場に参加して信用取引を行っている投資家たちがどのようなポジションをとっているのかについては、残高というかたちで誰でも確認することができます。

この残高は信用取引残高(信用残)と呼ばれます。信用残高は、その銘柄の将来の値動きを予測するために非常に重要となる値です。この記事では、そんな信用残高についてわかりやすく解説していきます。

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

信用買残の意味とは?

信用買残(しんようかいざん)とは、正式には「信用買い残り残高」と言います。信用買残は、信用取引において、信用買い(空買いと言われることもあります)をされたまま依然として決済されずに残っている株式の残高(株数)を意味する言葉です。

逆に、信用売残とは、信用取引において、信用売り(空売りと言われることもあります)をされたまま、依然として決済されずに残っている株式の残高(株数)を意味します。

信用取引は証券会社から一定期間お金を借りることによって成立しています。信用取引は現金がない状態で株を購入したり、株を持っていない状態で株を売却したりすることになるので、買残が多いということは、株価が上がると考えている投資家が多いことがわかりますし、売残が多いということは、株価が下がると考えている投資家が多いことがわかります。

信用買残が多い場合の株価への影響は?

信用買残・信用売残は信用取引と密接に関わり合っています。信用取引を行った場合、6ヶ月後には反対売買をしなければなりません。つまり、買残・売残は将来的に必ず反対売買が行われることを意味しています。

したがって、信用買残が多いということは、将来的に強い売り圧力が予測されますし、信用売残が多いということは、将来的に強い買い圧力が予測されます。

信用買残が減る「買い残減少率」とは

信用買残は、信用買いを行いまだ返済売りが行われずに残っている株数を表します。そのため、買い残が減少するということは、まだ返済売りが行われず残っている株数が少なくなっていることを意味します。

つまり、買い残減少率とは、信用買い残高が少なくなる割合を意味するものです。したがって、買い残減少率が大きいほうが、戻り売りは少ないと考えられので、一気に株価が上昇しやすい銘柄と言うことができます。

信用買残データの単位とは

信用買残データは信用取引全体の買い残・売り残の株数を表示するものなので、単位は「株数」です。

信用買残の最新情報が更新される曜日とは

信用買残の最新情報が更新されるのは毎週火曜日です。
証券取引所が発表しています。

信用買残の日々公表銘柄とは

信用買残の日々公表銘柄とは、東京証券取引所・名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所が信用取引残高の公表を毎日行っている銘柄のことです。

各証券取引所は、信用取引残高の公表を日々行うことによって投資者が行う信用取引の利用に際して注意をうながすためのものです。

各証券取引所に上場されている銘柄のうち、信用取引に売買が加熱している銘柄について、取引の過度な利用を未然に防止することを目的として公表されています。

信用買残と裁定買い残の違いとは

裁定残とは、正確な名前を裁定残高と言い、裁定取引に伴って売買される現物株でまだ決済が終わっていない残高のことです。

裁定取引とは、主に先物売り、現物買いをセットで取引して、先物と現物の間にある価格差から利益を出そうとする取引のことを言います。
裁定残のうち、現物買いの残高は裁定買い残、現物売りの残高は裁定売り残と呼ばれます。

裁定残は裁定取引に伴って売買される現物株のうちまだ決済されていない残高を意味しており、信用残は信用取引に伴って売買される現物株のうちまだ決済されていない残高を意味しています。

信用倍率と貸借倍率の違い

ここまで説明したように、一般信用取引と制度信用取引を合計した信用取引全体は信用残と呼ばれ、そのうち信用買いが残っているものを信用買残、信用売りが残っているものを新方売残と言います。

信用買残と信用売残がわかれば信用倍率を求めることができます。信用倍率とは、信用取引の取り組み(需給の良し悪し)を示す倍率で、前週末時点でどれくらい信用取引が行われたのかを示しています。

信用倍率と似たものとして、貸借倍率というものがあります。制度信用取引の仕組みの中で、証券会社と証券金融会社の間の取引は賃借取引と呼ばれます。

証券会社は一定の担保金を証券金融会社に差し出すことによって、資金や株券を調達しています。証券会社は、ここで調達した資金や株券を投資家に提供しているのです。

証券金融会社が存在することによって大量の信用取引のニーズに対応することができ、賃借取引の存在が信用取引の仕組みがサポートされているのです。

したがって、賃貸倍率は制度信用取引の仕組みの中で証券会社と証券金融会社の間の賃貸取引の取り組みを示す倍率となっています。

つまり、信用倍率は一般信用取引と制度信用取引を合計した信用取引全体の取り組みを示す比率である一方で、賃借倍率は制度信用取引の中の賃借取引の取り組みを示す比率です。

信用買残評価損益率と日経平均比較チャート

信用取引においては、建玉を保有している間も株価の変動によって利益額、もしくは損失額は日々変動しています。これを評価損益と言います。

信用買をしている投資家がどれくらいの損益になっているのかを示したものは「評価損益率」と呼ばれ、この比率によって相場の天井と底を知ることができます。

損益率が−3%である場合、相場が天井圏にあると判断され株価の下落が見込まれます。損益率が−10%である場合、追証が発生し始め個人の投げ売りによる急落が発生する可能性があると判断されます。

さらに、損益率が−15%〜20%となっている場合、相場は底値圏にあると判断され、株価の上昇を見込むことができます。日経平均比較チャートとこの信用買残評価損益率を確認することでより正確に相場の状況を知ることができるので便利です。

日経平均株価と信用買残評価損益率には一定の相関関係があるからです。ただし、この信用買残評価損益は、前週の信用取引残高を元にして算出されており、発表が週をまたいでしまうことからタイムラグが大きくなってしまいます。

そこで便利なのが、タイムラグの少ない松井証券のネットストック投資指標です。ネットストック投資指標は、松井証券利用者の取引データをもとにして、信用取引残高と信用買残評価損益率を日々更新しています。

信用買残の増加ランキング一覧サイト

信用買残の増加ランキングを一覧できる代表的なサイトと言えば、Kabutan(https://kabutan.jp/warning/?mode=7_2)です。Kabutanを使えば、初心者でも簡単に信用買残の増加ランキングを確認できます。

信用買残の推移で判断できること

信用買残の推移を確認することによって、将来相場がどのようになるかの予測に役立てることができます。例えば、信用買残が増えれば、信用取引を行って株を購入したいという人が増えているということを意味しているので、目先の相場は上昇すると予想することができます。

しかし、信用取引で買ったものについては返済しなければならないことから、将来的には売り圧力が強くなると予測することができます。信用買残の推移を公表しているサイトもあるので、そのサイトをみれば誰でも簡単に信用買い残の推移を確認できます。

仕手株と信用買残の関係

投資市場には「仕手筋」と呼ばれる人為的に作った相場で短期間に利益をあげようとする集団が存在します。そんな仕手筋が投資を行っている銘柄は仕手株と呼ばれ、仕手株は特に原因もなく株価が急騰したり急落したりします。仕手筋も制度信用取引ができる銘柄でれば当然信用取引を行っています。

そのため、仕手筋によって操作されている仕手株によって信用取引の取り組みも影響を受けることになります。例えば、仕手筋が「空売り」という所持していない株を売ることによって、信用売残が増えると、一般投資家は将来の買いが増えると判断して買いを行います。

その結果、株価が上がっていくことになります。そのタイミングで仕手筋が株を売られてしまうと、株価が急落する可能性があります。そのため、信用買残があまりにも多すぎると判断されるような場合には、慎重に投資判断を行わなければなりません。

逆日々と信用買残の関係

証券会社は信用取引を行いたいと考えている投資家に対して株を貸与します。これが株の信用取引です。しかし、証券会社が貸与できる株式数にも限りがあります。

もし信用取引によって株を買付けて残っている売残が、信用売りされたまま決済されずに残っている買残を上回ってしまうと、貸与している株が不足した状態になります。

このような場合、証券金融会社から投資家に対して貸与するための株を調達して来なければなりません。ところが、貸与するための株がどんどん増えてしまうことで、証券金融会社も証券会社に株を貸与することができなくなってしまいます。

最終的に、目当ての株を大量に保有している金融機関などの機関投資家からも貸与を受ける場合があります。

株の貸与を受けるわけなので、機関投資家にはその株を借りるためのコストを支払わなければなりません。

このコストは証券会社としては、投資家が株を貸して欲しいというから借りているわけなので、投資家がこのコストを負担しなければなりません。これが逆日歩と呼ばれるものです。

この時、信用買残の変動を確認すれば、日々の買い手と売り手の動向を把握することができます。信用買残が多い場合、多くの人が株を借りた状態となるので逆日歩が発生しやすくなります。

信用取引のメリットと信用買残の関係

信用取引ができることで、投資家は様々なメリットを享受しています。
例えば、信用取引を活用すれば、自己資金が少なくても大きな利益を得られる可能性があります。

信用取引ができれば、委託保証金の3倍までなら資金を増やして取引を行うことが可能だからです。さらに、現物取引しかない場合、一般投資家は買いからしか取引を始めることができませんが、信用取引を活用すれば売りからでも取引を行えるようになります。

一般投資家の投資の選択肢が増えるのです。このように、信用取引には様々なメリットがあります。

主要銘柄の信用買残を確認

この章では、主要銘柄の11月9日時点での信用買残をまとめていきます。なお、信用買残については、日本経済新聞オンラインで確認できます。

アクロディア

エスケーエレクトロニクス

セイコーエプソン

カルナバイオサイエンス

コロプラ

システムソフト

シャープ

NEW ART(シーマ)

そーせいグループ

ソフトフロントホールディングス

ソフトバンクグループ

ソディック

双日

タカラバイオ

ナノキャリア

フィックスターズ

SUBARU(富士重)

マーベラス

マークラインズ

マツダ

松井証券

ミクシィ

ユナイテッドアローズ

ラオックス

楽天

ラック

リプロセル

リミックスポイント

レオパレス21

ローツェ

ガーラ

ガンホー・オンライン・エンターテイメント

デジタルガレージ

ブロードメディア

ブロッコリー

プロスペクト

KLab

SBIホールディングス

東芝

トヨタ自動車

日本通信

日立製作所

信用買残の見方と使い方

信用買残をみれば、将来の相場の動向を判断する手がかりとすることができます。例えば、株価の上昇を伴って信用買残が増加している場合には、個人投資家が積極的に投資に参加していると判断することができます。

一方、株価の上昇を伴っているものの、信用買残の増加が少ない場合には、個人投資家より機関投資家・証券会社が積極的に投資に参加していると判断することができます。

株価が下がる割に買残が減少していない場合には、株価は底入れせずに徐々に減少していくと判断することもできます。一方、株価が下がり続けているものの、信用買残が徐々に増えていく場合、やがて相場は上昇すると考えることができます。

信用買残が減少している注目銘柄の探し方例

信用買残が減少しているということは、目先は株価が下落しますが、将来的には株価の上昇が起きると判断することができます。信用買残が減少している注目銘柄を探すためには、信用倍率に着目するのが便利です。

信用倍率は個々の銘柄の信用買残を信用売残で割った数字です。信用買い残が前週に比べて減少しており、この信用倍率が1倍を割っている銘柄は目先の株価は上がりませんが、将来的には株価の上昇を期待することができます。

まとめ

信用買残や信用売残は株価に大きな影響を与える可能性があることから、投資銘柄を探す際には必ずチェックしておきたい項目です。信用買残や信用売残をみれば、その相場が将来的にどのように動くのかを予測することができます。

ただし、信用買残や信用売残をみて投資判断をする場合には、複数の銘柄の残高がどのように推移しているのかをきちんと確認することが大切です。

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