株価チャートの動きに一喜一憂しながら投資を行っている方も多いですが、突然前触れもなく暴落すると慌てて売ってしまい、後悔する人も少なくありません。
このように慌てて売る行為を「狼狽売り(ろうばいうり)」といいますが、投資を成功させるためにはむやみに狼狽売りを繰り返さないことが大切です。
そこでこの記事では、狼狽売りのメリットやデメリット、投資における狼狽売りのリスクや注意点などを詳しく紹介します。
とくに初心者は株価の暴落により狼狽売りをしやすい傾向がありますので、この記事を参考にして狼狽売りを繰り返さないように気をつけましょう。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
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狼狽売りとは
投資を成功させるには売買のタイミングを見極めるのが難しいものですが、株価の動きによって生じやすい狼狽売りとはどのような状況なのか確認しておきましょう。
狼狽売りの意味
「狼狽=うろたえる、慌てふためく」という日本語の意味のとおり、狼狽売りとは予想に反して株価が急落したことに慌てて株を売却してしまうことをいいます。
株価は常に変動するものだとわかっていても、順調に推移して大きく変動することはないだろうと考えていた銘柄がある日突然急落すると、株式投資に慣れていない初心者だけでなく、中級者以上の方でも慌てて狼狽売りをする例も少なくありません。
狼狽売りのメリット
狼狽売りは慌てて株を売ってしまう行為だとしてあまり良くないイメージを持っている方も多いですが、株を売って手にしたお金を確保しておけば株価の下落が止まって反転した段階で買い直しもできます。
下がり続ける株をずっと持っているだけでは現金化できないため、気持ちが落ち着かなくて冷静な判断ができなくなる可能性があるため、早い段階で売ってしまった方が後々冷静な判断ができるという前向きな考え方もできます。
早めに損切りをしておいた方が大きな損失を防げる可能性もあると考えることも大切です。
どんな投資であっても毎回必ず利益を得られるものではなく、損失が生じることも覚悟で臨まなければいけませんが、損失が大きくならないうちに決断した方が長い目で考えると大きな利益につながる可能性もあります。
狼狽売りのデメリット
株価は投資家の心理状況によって変動しやすいものですが、狼狽売りを繰り返しているといつまでも高い時に買って安い時に売ってしまうことの繰り返しになり、確実に損失を出す負けパターンになりがちです。
狼狽売りした時の価格よりも安く買わなければいけないと、買い戻しのタイミングを見計らっていても、なかなか難しい面もあります。
狼狽売りをしてしまいやすい人の特徴
狼狽売りは大きな損失を出す前に冷静な判断ができる状況を作るという面ではメリットになりますが、慣れていない方にとっては損失を繰り返すだけの失敗例になりやすいので注意が必要です。
とくに気をつけたいのは、流行に流されやすい人です。
売りのトレンドになっているチャートを見て「自分もこの流れに乗らなければ!」と、慌てて売ってしまった結果、損失を出してしまう人も少なくありません。
ほんの少しでも損をするのは嫌だと考えている人も、株価が下がり始めたのががまんできずにすぐ売ってしまうのを繰り返すため、なかなか利益を得られない可能性もあります。
株価がなぜ急落したのか、どんな原因があってすぐに反転する可能性があるのかなどの分析を全く行っていないと、株価が下がったのを見てこれ以上損をするのは嫌だと考える方も多いです。
また、複数の銘柄に分散投資するのでなく、特定の銘柄だけに固執している人も狼狽売りしやすい傾向があるので注意しましょう。
狼狽売りと損切りの違い
含み損がある株式を売って損失を確定する行為として考えると、狼狽売りと損切りは同じことといえますが、実は大きく異なる点があります。
損切りとの違いをよく考えることが、狼狽売りを防ぐためにも重要なのでぜひ確認しておきましょう。
実行するときの精神状態
狼狽売りは慌てて売る、損切りは損失を覚悟して売るという行動の違いからもわかるように、それぞれ実行するときの精神状態が全く異なるものです。
狼狽売りの場合は、予想に反して価格が下がり続けて「こんなはずではなかったのに!」と慌てふためいて売るもので、感情的になって実行するのが特徴です。
対して損切りは、「損失がこれ以上大きくならない今のうちに確定しておこう」と冷静に判断して機械的に行うのが特徴です。
当然ながら、狼狽売りのは感情に流されて行動していることから正常な判断ができないため、後悔する可能性もあります。
計画性の有無
狼狽売りと損切りのもう一つの大きな違いは計画性の有無にあります。
狼狽売りは、突然株価が暴落するなど予想していなかったことがきっかけで慌てて売るため、計画性は皆無といってもよいほどの行為です。
損切りは、あらかじめ自分のルールとして「この価格まで下がったら損切りラインと考えて売ろう」と考えておくものなので、しっかり計画を立てて行う行為です。
そのため、損切りをしても大きな損失になりにくいのに対し、無計画で行う狼狽売りを繰り返すと大きな損失になりやすいので注意が必要です。
狼狽売りで後悔しないための対策
狼狽売りを何度も繰り返していると、どんどん損失が膨らむ可能性があるため、しっかり対策を行うことが大切です。
狼狽売りで後悔しないために気をつけたいポイントを紹介します。
資産は分散して保有する
株式投資の場合は一つの銘柄に絞らない、株式投資以外にも投資信託や仮想通貨など他の投資方法も検討するなど、あらかじめ分散して資産を保有することを検討しましょう。
どうしても一つの資産に集中して投資すると、暴落した時に慌てて狼狽売りに走る可能性が高くなりますし、損失額も大きくなる可能性もあります。
ある程度株式投資に慣れてきたら、複数の銘柄への投資や違う投資方法も検討することをおすすめします。
損切りのラインを決めておく
狼狽売りを防ぐためにも、あらかじめ損切りラインを決めて計画的に投資を行うことが大切です。
損切りラインさえ決めておけば、感情的にならず冷静に行動できるので、大きな損失を出すことなく最小限に抑えられるメリットがあります。
機械的に損切りできるようになることが投資を成功させるためには必須なので、ぜひ感情に流されずに冷静に行動することを意識しましょう。
銘柄が下落している理由を見つける
株価が暴落する様子を見ると驚いて狼狽売りに走ってしまいそうな時は、いったん心を落ち着かせて暴落した原因を探ってみましょう。
株価が暴落する原因として考えられるのは企業の不祥事や事件があった場合などが考えられますので、企業のホームページやニュースサイト、Twitterなどの口コミを確認してください。
その銘柄を保有している投資家が集まるインターネット掲示板を確認してみると、より詳しい情報が見つかる可能性があります。
とにかく早く情報を掴むことが大切なので、慌てて売る前に情報収集を行ってください。
心に余裕を持てる範囲で投資を行う
ある程度株式投資に慣れてくると投資額も大きくなってくるため、損失が出そうな状況になると焦って狼狽売りをする方も少なくありません。
投資は必ず成功するものではなく、時には損失が出るものだと考えておくことが大切です。
株価は常に変動するものですが、状況によっては3割ほど値下がりすることもありますし、逆に3割以上値上がりする場合もあります。
どのような状況になっても余裕を持って冷静に行動できるように、「少なくても株価が3割まで下がったとしてもまだ余裕!」と思える投資額に抑えておくことが大切です。
狼狽売りに関する注意点
狼狽売りを何度も繰り返していると損失が膨らむ可能性はありますが、必ずしも悪いものだと言い切れない面もあります。
とはいえ、「このような局面では狼狽売りした方が良いのでは・・・?いや、やっぱりやめておくべきか?」と、状況によっては判断に迷う場合もあると思いますので、以下のポイントを抑えておきましょう。
ストップオーダーは変更しない
損切りラインを決める際に使われるストップオーダー(逆指値注文。この価格以下になったら売る・この価格以上になったら買う)を設定したら、簡単に変更しないことが大切です。
ストップオーダーの設定値は個々の投資家によって状況が違うものですが、刻々と変化する株価に合わせてストップオーダーを変えてしまうと失敗して後悔するケースが多いのです。
そのためにも、ストップオーダーを設定する際には許容できる投資額の範囲や、ご自身の投資スタイルなどをよく考慮して決めましょう。
悪いことだと思わないようにする
狼狽売りを何度も繰り返すのは損失を大きくする原因にもなるためおすすめできませんが、状況によっては有効な手段として考えることもできます。
予想もしなかった株価の暴落は簡単に回復しない可能性が高いため、これ以上大きな損失を出さないためにも素早く損切りしておくという意味で有効になるでしょう。
ただし、あくまでも非常時のリスク回避の有効な手段の一つとして考えるべきであり、毎回狼狽売りを繰り返す行為は避けてください。
冷静な判断で狼狽売りによる失敗を回避しよう
株価は常に変動しているものですが、前触れもなく暴落すると慌てて狼狽売りする投資家も少なくありません。
狼狽売りは大きな損失を防ぐために有効な場合もありますが、何度も繰り返していると損失が膨らむ可能性もあるため、状況をよく見極めて冷静に判断することが大切です。
何度も狼狽売りを繰り返して後悔しないためにも、しっかり損切りラインを決めておき、むやみにルールを変えないなどの対策を行い、冷静な判断で狼狽売りでの失敗を防ぐように心がけましょう。
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