株式投資の基本の言葉「配当性向(はいとうせいこう)」について紹介していきます。配当性向という言葉を聞いたことがありますか?投資家が企業を見る時のひとつの指標となる数字です。
配当性向は、企業が利益のうち株主にどのくらい還元するかということが分かる数字なのです。投資するなら、とても気になる数字と言えますね。
実はある調査では、個人投資家が企業を見る際の指標で、1番目の当期純利益(ROE)に続いて、2番目に配当性向を重要視しているという数字がありますよ。株式を知るためには、配当性向をしっかり知っておきましょう。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格
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株式投資の基本・配当性向とは?
配当性向とは、その期、1年間の純利益から株主に配当金がどのくらい支払われているかをパーセンテージで示したものです。儲けのうち、株主にどのくらい還元するかということが分かる数字なのです。
配当性向は簡単な計算式で求めることができます。
配当性向=(配当金支払額÷当期利益)×100
1株当たりの配当金÷1株当たりの当期純利益×100
・純利益=企業の利益から税金引いた純粋な企業の利益です。
・配当金=企業が株主に利益を分配するお金です。株数に比例して分配されます。
A社の配当性向を計算式で見ていきましょう。
例)当期利益が10億円の企業
株主への配当総額が2億円
配当性向は20%となります。
1株当たりの配当金で計算してみると
1株当たりの配当金20円
1株当たりの当期純利益100円
配当性向は20%となります。
ここで注意したいのが、配当性向が低くても業績が悪いとは一概に言えないことです。配当性向はひとつの指標として見る必要がありますが、これだけで企業の状態はわかりません。
企業のお金の使い方はさまざまです。次年度に新規事業がある、投資するという場合は、株主に配当せずに内部留保することも多いです。急成長の企業であれば、多くの資金を投入して事業拡大をしていく過程にあります。配当性向は低くなる傾向にあります。
長期的な投資計画などもありますから、配当性向は毎年、バランスを取ったパーセンテージになる企業もあります。利益をすべて次の投資に回す場合は配当ナシ、配当性向0%ということもあります。
利益から投資などの内部留保する分を引いた金額から、株主に還元します。内部留保する金額と、配当金は表裏の関係にあるといえますね。
連結配当性向とは?
次に連結配当性向について見ていきましょう。連結がつくとどう違うのでしょうか?企業によっては自社に加えて、子会社を持っている、企業グループとして活動しているところがありますね。このような企業形態をしているところは、連結配当性向が採用されています。
連結配当性向の計算式を見ていきましょう。
連結配当性向(%)=親会社の1株当たりの年配当金÷1株当たりの親会社株主に帰属する当期純利益×100
連結配当性向も企業の指標となります。連結配当性向を採用している企業を見る場合は、子会社やグループ会社から獲得した利益をどれだけ含んでいるかということも検討することが大切です。
また、投資で配当性向を見る場合、その数字が単独なのか?連結なのか?もしっかりと見ておくことが大切ですね。
配当性向と配当利回りの違いとは
次に長期投資において参考にされる指標、配当利回りについて見ていきます。配当利回りとは、購入した株価に対して1年間で配当がどれくらい受け取れるかをパーセントで示したものです。
計算式があります。
配当利回り=1株あたりの年間配当金÷株価×100
購入した株の配当額が大きいのか、小さいのかを知りたい時に便利な指標です。例えば株価2,000円、配当金20円の企業と、株価1,000円、配当金30円の企業では「どちらの配当がいいの?」と思った時です。
例)
A企業の現在の株価2,000円
配当金は年20円の場合
40円÷2,000円×100=配当利回り2%
B企業の現在の株価1,000円
配当金は年30円
30円÷1,000円×100=配当利回り3%
株価が安いB企業の方が配当利回りは良いということがわかります。株価が安くても、配当金が高い銘柄が配当利回りは高いということになります。
配当利回りは良い材料が揃った場合にも高くなります。業績不振や不祥事で株価が下がった時もパーセントは上がります。配当利回りが良いというだけで銘柄を選ぶのは危険です。数字を見る時に注意が必要ですね。
配当性向も配当利回りも配当金額から企業を評価するものです。配当性向は1株当たりの利益に対して、配当利回りは株価に対する指標です。計算式では割る材料(分母)が違うので注意が必要です。
配当性向は、株価を1株当たりの利益で割った株価収益率(PER)配当利回りでも出すことができます。
配当性向と配当率の違いとは
では、配当率と配当性向はどうでしょうか?配当率とは別名で株式資本配当率(DOE)とも呼ばれています。
配当率には2つの計算式があり、どちらでも求められます。
配当金総額÷株主資本
配当性向×株主資本利益率
配当性向は当期純利益をもとに見た数字なので、この1年など短期について見るのに有効です。配当性向はその年の当期純利益によって数字が大きく変動します。
なので、赤字の場合は、配当性向を見ても仕方がないのですね。赤字でも配当する場合、内部保留している株主資本からどれくらい、配当に支払えるかを「配当率」で見ることが求められるのです。
配当率も純利益に対しての配当を見ます。配当性向と配当率は見る期間は違いますが志向は同じと言えます。
配当性向と総還元性向の違い
企業が株主還元に対してどのような姿勢を示しているかを配当性向から見られると紹介しました。株主への還元に関してもう一つ、指標となる数字が「総還元性向」です。「総配分性向」「株主還元性向」とも呼ばれています。
総還元性向の計算式があります。
総還元性向=(配当総額+自社株買いの総金額)÷純利益
自社株買いとは、上場企業が自ら発行した株式をマーケットから買い戻すことです。買い戻すメリットは、自己株式数が発行済株式数より差し引かれた計算となるので、1株当たりの利益を増やすことができるのです。これで株価を高くすることができます。
では、配当性向と総還元性向とはどう違うのでしょうか?配当性向はその期の純利益から、どのくらい配当金が支払われているかの指標でした。配当金の割合については、配当性向のパーセントを見れば、すぐにわかりますね。
総還元性向は、配当と自社株の総金額から、株主にどれくらい還元するかがわかる数字です。配当性向が高くても、総還元性向が低ければ、その企業は株主還元に、力を入れていないということになります。
企業は株価を安定させ、株主を増やす目的のため、総還元性向を高めることを経営の数値目標としているところも増えてきています。投資をする際、配当性向はもちろん、総還元性向を見ることがとても大切です。
キャッシュフロー配当性向とは
キャッシュフロー配当性向は、企業の事業活動による、実際のお金の流れであるキャッシュフローから、どれくらいが配当に支払われているかを示した指標です。
キャッシュフローの配当性向の計算式は
配当支払い額÷キャッシュフロー×100
企業は事業や資産で生み出したお金から、将来に必要な資金や投資部分などを除きます。残った余剰金をフリーキャッシュフローといいます。このお金がどの位発生しているのか、ないのかという状況がわかります。
キャッシュフローの配当性向を見ることで、企業の状態がわかります。設立当初で投資している最中の企業は、キャッシュフリーのほとんどを投資に回さなくてはいけませんよね。
ある程度成長してきた企業は、残った余剰金フリーキャッシュフローが安定してきます。
さらに企業が成熟していけば、余剰金は預貯金として次の投資や事業に充てる計画を立てるか、株主に還元すべきということになりますね。
具体的な企業の懐具合がキャッシュフローを見るとよくわかりということになります。この実際のお金の流れが、配当性向や総還元性向にも大きく影響しています。
配当性向と株価の関係
では、配当性向の数字が、株価にどう影響しているのでしょうか?投資をする際、1株当たりの利益(EPS)が上昇するかということを投資家は見ています。配当性向を100%にするなど、株主への還元に力を入れると発表した企業に、投資家が注目して、買いが集中して株価が大幅に上がる例がありますよ。
配当金があるかないかということは、株価にはあまり関係していません。配当がなくても1株当たりの利益(EPS)は上昇している企業もありますし、反対に配当金は出ていますが、1株当たりの利益は下がっているという場合もあります。
投資家は配当が増える増配、配当金が復活する復配は好材料にして見ています。配当性向を引き上げ、配当を復活させるという情報を出した企業に株価が上がるというケースもあります。
反対に配当性向が高い企業でも、業績縮小があれば、内部留保していた余剰金で配当性向を維持して、株価の下落を防ごうとします。1株当たりの利益(EPS)が100円のA社の配当性向が50%とすると、1株配当は年間50円になります。
次の年、A社のEPSが50円に下落すると、配当性向は100%となりますね。利益が少ない場合、無理して還元していると配当性向は高くなります。この高低だけで、その企業が良い、悪いという判断にはなりません。また、成長が見込めない場合は配当金として株主に還元しようとするケースが増えます。
企業は利益を配当せず、利益を内部留保にすることもありますし、株主に配当金として還元することもあります。電気、水道、ガス、などインフラ関連の企業は安定しているので、株主に還元するところが多いです。
内部留保して次の新規事業を計画している、研究開発費に充てる場合、業績が向上して株価上昇につながることが考えられますね。1株当たりの利益(EPS)が上昇するかということを投資家は見ています。
また、成長が見込めない場合、配当金として株主に還元しようとするケースが増えます。投資家は企業の配当性向の引き上げ、配当性向の維持にも敏感に反応していますし、株価に影響を与えています。
配当性向は配当金目的で投資する際に参考にすべき指標
配当金を目的で投資する際、企業に安定した利益があるかどうかは、最も大切なことですね。必ず投資する企業の配当性向をチェックしておくことが大切です。投資する際は、配当性向30~50%を目安にするのがいいと言われています。
配当性向は企業が当期利益からどれだけ配当金に充てているかを示す指標でした。配当性向が高い企業は、多くを配当に充てますので、余力がなくなることが考えられます。また「来期は大丈夫なのか」という配当金の継続に不安が出ることもあります。
配当性向が低い場合は、余力があることはわかります。低く感じる場合は、「株主に還元するのに問題があるの?」という課題も浮かびますね。
配当性向の平均を確認してみる
日本の上場企業の配当性向は2016年度、平均で35%程度と言われています。アメリカの平均約30~40%前後で、比べると日本の方が低めに推移しています。
2015年、2016年度の決算から、日本の東証一部、二部企業の配当性向を見ておきます。
配当性向 | 2016年度 | 2015年度 |
全企業 | 32.79% | 34.65% |
製造業 | 35.39% | 36.89% |
非製造業 | 29.75% | 31.73% |
金融業を含む全社 | 32.45% | 33.19% |
2015年以前の数字を紹介すると、全企業の配当性向は2011~2012年には40~50%と高めでしたが、2014年以降は30%代で推移しています。
上場企業の動向はわかりましたが、非上場の中小企業の配当性向はどうでしょうか?中小企業の配当性向は約10%もあれば優良企業と言われていますが、残念ながら指針となるような数字はありません。これには中小企業ならではの理由があります。
中小企業はオーナー企業が多く、同族株主が多いことや、余剰利益については配当に回すか、会社の内部保留に残すかは自由に決められます。中小企業の配当性向はいかようにでも、できることが考えられますね。配当性向が高い場合は、無理がないかとも考えなくてはいけません。
配当性向の推移を確認してみる
全産業を対象に財務省が行う「法人企業統計調査」で、配当性向の推移を見ることができます。2000年以降の配当金と当期純利益の数字の推移を見ておきましょう。
配当金は2002年度から2006年度まで大きく増加してピークを迎え、それ以降は減少に転じています。2008年に一度、底をついた後、再び増加傾向に転じています。
これに対して当期純利益は、2001年度まで多少の増減があっても、これに呼応して配当金額の増減は見られませんでした。2002年度以降は、当期純利益が増加すると、配当金額も増加するという傾向がみられています。
当期純利益と配当金が連動する傾向にあるようです。配当性向は10%~30%の範囲にある企業が多く、大企業は30%代で推移してきています。
配当性向の決め方例
では、企業は実際には、どのようにして配当性向を決めているのでしょうか?企業によって決め方もいろいろな方法があります。例を挙げてみていきましょう。まずは、数値目標を掲げてそれを目途にしている企業です。食品や飲料メーカー大手のアサヒグループホールディングスは配当性向の目途を30%としています。(2015年度12月期までの中期経営計画から)。
中期経営計画は5年ごとの事業計画を策定したものです。配当性向は当期純利益をもとに配当を決めるので、単年度で純利益が減額した場合、減配額も大きくなることが予想されます。高い配当性向を示すリスクを避けて、安定した30%を目途としています。
また、企業独自の計算式のもとで、配当性向を決めているところもあります。ラジコンなどの小型モーターの大手マブチモーターは、年60円の配当をベースにすることを決めています。これを原則にして純利益の20%を配当するという計算法にしています。
当年度の純利益に決まったパーセントを掛けることで、その年度によって臨機応変な配当ができます。株主からみても、安定した配当性向が見いだせます。
配当性向は不況時に高くなる?低くなる?
経済の変化の中で企業はいつでも、安定した配当性向を続けることは難しいですよね。不況で多くの企業は業績が悪化しますね。このような場合、配当性向はどうなるのでしょうか?
利益は減ってしまうので、配当性向は高くなります。不況時、企業は努力をして配当性向を一定に保っておきたいと思っています。企業は不況時には、株価が下がるのを防ぎたいと考えます。配当性向を高くしておきたいですよね。企業は好況のときは、多くの資金を備えておきたいと内部留保を多くします。
大企業の場合、大株主は金融機関であることが多いです。金融機関は債権者なので、企業の担保や投資の価値も見ています。好況、不況によっても配当に関しての重要度は多少変化するようです。
配当性向がマイナスとはどういう意味?
配当性向がマイナスという場合も見受けられます。このような場合はどのようなことがわかるのでしょうか?配当性向のマイナスは、当期は赤字だけれども、配当金は出しますよということがわかります。
配当性向の計算を見てみましょう。
例)
当期利益が10億円の企業
株主への配当総額が12億円
配当性向は120%となります。
このような場合、企業は好況時に内部留保しておいた資金から、配当金を出すことができます。
配当性向が決まっているメリットとデメリット
配当性向が決まっている企業は、株主や投資家にとって、企業の利益が増えれば収入が増えることになります。成長が見込める企業であれば、さらに投資家には魅力のある企業ということができます。
しかし、企業が経営不振で赤字になったら、配当金はゼロになってしまいます。配当金がでない企業は株主にとっては魅力がありません。投資家も離れて株価は下がります。配当性向が決まっているがためのデメリットです。
配当性向が高い(100%以上)の安定配当が期待できる会社・おすすめ銘柄
配当性向が高い企業では、配当性向が100%というところもあります。1株当たりの当期純利益がそのまま1株当たりの配当金になるということですね。
大企業などには当期は赤字だけれど、昨年の配当性向100%と同様にしたいと、内部保留の資金から一部を取り崩しして配当金に充て、配当性向を100%とするケースもあります。株主への利益還元を積極的に行う企業もあり、投資家の注目を集めています。
配当性向の目標値100%を掲げて、株主にアピールする企業や、株主優待などをつける企業など、株主の利益優先を打ち出している企業は注目度も高いですね。配当性向100%以上、前年よりも増配する企業は期待が持てますね。
株主還元に積極的に取り組む銘柄をランキング形式でベスト5を紹介します。いずれも有名な企業ばかりです。
1位 大東建託
賃貸住宅の建設と、土地オーナーの節税対策を提案するメーカーで、相続税の改正による節税対策で建築需要の増加という背景を受けて、増配を続けています。今期もすでに増配を発表していて、8期連続で過去最高益の更新となる予想です。配当性向は50%を目標にしています。
2位 UTホールディングス
製造業への人材派遣を行う会社で、人手不足の深刻化などを受けて好調な経営を続けています。前期は自社株買いによって無配を発表していましたが、復配の可能性が大きいことから注目されています。総還元性向50%を目標としています。
3位 積水ハウス
大手住宅メーカーです。建設業は好調な企業が多く、建築需要の増加から増配を続けています。なかでも積水ハウスは配当性向40%、総還元性向60%を目標としています。
4位 アマダホールディングス
金属加工機械の企業で、業界トップクラスの業績を誇っています。利益は株主にお返ししたい!と配当性向50%、総還元性向100%を目標値に掲げています。
5位 菱用エレクトロ
半導体とコンピューター製品の商社で、スマホ向けの液晶が好調な売り上げを見せています。企業の利益の指標となる株主資本利益率(ROE)5%達成を掲げていて、このため総還元性向100%を目標にしています。
適正な配当性向とは?高すぎても良くないという考え方
株主や投資家にとって、配当性向は高いことが望ましいように感じますが、配当性向が高すぎても実はあまり良いとはいえません。企業は利益を株主に還元してばかりでは成長できません。成長中の企業は設備投資や事業拡大のために内部保留も必要ですよね。
配当性向が高くなる場合に考えられることは
・配当金額が上がった
・純利益が下がった
という2つ、そして両方とも、ということも考えられるのです。
配当性向が低くても業績が悪いとは言えません。数値が低いのは余裕がある企業で、安定性が高いといえますね。
例)
A社 利益300億円があり配当性向は30%
B社 利益30億円があり配当性向は60%
2つの会社を比べてみると配当性向が低いA社の方が配当額は大きいですよね。
では、配当性向が20%、80%の2つの銘柄がある場合、どちらの企業に投資しますか?80%の方が魅力に感じたかもしれませんね。でも、80%の銘柄がいいかというとそうでもないのです。
20%の銘柄の方は増配の期待が持てますが、80%の銘柄には増配の見込みがありません。上場企業の配当性向の平均は30%ほどでしたね。
80%と高い配当性向の場合は、自己資本がないのに配当を出している場合もあります。余力があるかないかが大切です。配当性向のほかに利益や自己資本も見ておくことが大切です。
大企業や成熟した企業は、安定した配当性向を続けている場合が多いです。成長企業は配当性向を優先できないことも多いです。投資家が注目するのはやはり20%の安定した配当性向です。
配当性向と合わせて確認したい優先株
次に株の種類について少し触れておきます。株には種類があります。
通常の株式は普通株と言われます。これに対して「優先株」呼ばれる株があるのをご存知ですか?優先株について紹介します。普通株と優先株は違いがあります。
優先株は、普通株に比べて優先的に配当金を受け取れる株式です。企業が解散して、残余財産を分配する場合などに、普通株よりも優先して権利が得られます。
普通株を持っている株主は、株式総会の議決権で参加できるなど、基本的には経営に参加する権利がありますが、優先株にはそれがありません。
優先株の株主にはメリット
・普通株に比べて、優先して配当が受けられる。
・普通株よりも高利回りの配当が受け取られる
優先株の企業側のメリット
・議決権がないので、経営には口出しされない
・株の買い占めや乗っ取りの心配がない
・必要な資本を増やすことができる
では、優先株が欲しい場合は、どうしたらいいのでしょうか?実は優先株は通常あまり発行されません。発行される場合は、企業が事業拡大などで資金を調達したいという時や、資金調達がなかなか難しい時に発行されます。
優先株には、内容によって異なる種類があります。例えば今季、配当金が不足した場合、優先配当を受け取らなかった場合です。不足分は次年度以降、優先的に配当されるかどうかの有無で種類があります。
・累積的優先株式 今季の未払い分を時期以降に繰り越して受け取ることができます。
・非累積的優先株式 今季の未払い分は繰り越せません。
企業が優先配当を行ってもまだ、配当金が残った場合、普通株式と一緒に配当が受けられるかの有無によっても種類があります。
・参加的優先株式 普通株と一緒に受け取ることができます。
・非参加型優先株式 普通株と一緒に受け取ることができません。
まとめ
株投資をする場合、株主のことをきちんと考えている企業なのかどうかをみることはとても大切です。配当性向は企業がどれだけ、株主のことを考えているかを見る大切な指標です。
このほかに株主還元に対しての姿勢を見るには総還元性向、企業のお金の流れキャッシュフロー配当性向を見ることも大切です。企業は株主への配当も大切ですが、次の成長のために内部留保したり、投資したりすることも必要です。
大企業など上場企業の配当性向は、約30%台に多く推移しています。これを一つの指針にして見ていくのもいいですね。配当性向の決め方も企業によって異なります。配当性向が高い、低いだけを見て企業の業績や株価を判断してはいけません。
投資をする場合、配当性向はもちろん、さまざまな指標となる数字、事業内容を見て、総合的にどのような企業か、経営状態はどうかを判断することが大切です。
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