グランビルの法則とは?インジゲーター設定の方法とシグナルの見方

投資を行う際に重要なのは、なんと言ってもエントリーやエグジットのタイミング。

しかしこうしたタイミングを正確に計るのは難しく、ついつい何となくで決めてしまうことも多いのではないでしょうか?

そこで、相場の本質を突いた法則を学んでおけば理論的にタイミングの判断もできるようになるはず。

今回解説する「グランビルの法則」は、まさに取引タイミングを見極めるのに有効な法則。

これをマスターすれば、これまで取り逃していた利益も得られるようになったり、損切りが遅れるといったミスも確実に減らせるようになります。

この記事を読んで、是非とも「グランビルの法則」を使いこなしていきましょう!

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

グランビルの法則とは

「グランビルの法則」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

まずは、その基本的な考え方や使い方を解説いたします。

ジョセフ・グランビルが考案したグランビルの法則

グランビルの法則とは米国の証券アナリストだったジョセフ・グランビル氏が1960年代に編み出したとされる法則です。

グランビル氏は移動平均法という統計学の理論んを株価の分析に活用しようとし、様々な検証を重ねた結果、200日移動平均線が一番信頼できるとしたことがグランビルの法則の始まりと言われています。

売買のタイミングを判断する法則のこと

「グランビルの法則」とは、移動平均線とレートの関係性から売買のタイミングを判断する法則。

200日移動平均線を使えば、その移動平均線の傾きから、現在は上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、長期トレンドを判断できるというものです。

先ほども紹介したように、アメリカの証券アナリスト、J.Eグランビルが考案したのでその名前が取られています。

ダウ理論と並んで有名な株式手法であるため、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。

発表された1960年代から半世紀以上経った今も使われ続けているのは、グランビルの法則が投資の本質を突いているためでしょう。

そのため当時に比べて大きくトレードの環境が変わった現在の相場でも、変わることなくグランビルの法則は活用できるのです。

構成の要素は8つ

グランビルの法則を構成しているのは、買いのタイミングの4つと売りのタイミングの4つ、計8つの要素です。

具体的には、以下のようになります。

【買い】
①移動平均線を下から追い抜くゴールデンクロス
②平均移動線を上から下に追い抜くデッドクロス
③株価が再び上昇した場合の買い増し
④自動反発を狙う短期の買い場

【売り】
①長期間上昇後のデッドクロス
②一時的なリバウンド
③移動平均線にタッチせずに再下降
④移動平均線を大きく上抜けた場合の戻り売り

これらについては後ほど詳しく解説させていただきますので、ぜひとも参考にしてください。

グランビルの法則の考え方

ではまず、グランビルの法則における基本的な考え方をご説明します。

グランビルの法則では移動平均線の200日線に対して、株価がどの位置にいるかを考えるのが基本。

そしてトレンドの向きや値動きの行き過ぎといった面に注目し、法則に当てはめて将来の動きを予測していきます。

ここで、なぜ200日平均線を使うかと疑問に感じられたかもしれません。

その理由は、数ある移動平均線からさまざまな数値を試した結果、200日平均線が最も信頼できると判断されたためです。

グランビルの法則を使用するメリット

グランビルの法則を使用することで、さまざまなメリットがあります。

有利なタイミングでエントリーしやすくなるのはもちろん、トレンド反転を予測して最大限に利益を伸ばしたところで利益確定することも可能。

空売りにも有効であり、その他すでに持っている銘柄でも、買い増しやつなぎ売りのタイミングを計ることができるようになるのです。

また、一度身に付ければさまざまな投資において使えるのも魅力。

株式投資をはじめFX・仮想通貨など、複数の投資を行う際に強い味方となるはずですよ。

グランビルの法則のインジケーター設定

グランビルの法則で分析する際に重要なのが、ツールのインジケーター設定をどのような数値にするかということ。

多くのツールでは幅広い数値の中から自由に設定できるようになっていますが、基本的には「20」にするのがおすすめ。

理由としてはほとんどの投資家が20に設定しているため、彼らと同じタイミングでエントリーしやすくなれば、より有利にトレードを進められるためです。

ちなみに、アメリカでは「50」を利用している人が多いとされています。

なのでアメリカ株のトレードは50に設定するといったように、各投資において柔軟に設定を変えると良いでしょう。

グランビルの法則による4つの買いのタイミング

グランビルの法則の中から、4つの買いタイミングをご紹介。

これを知っておけば、これから上がる値動きに対しいち早くエントリーできるようになりますよ。

移動平均線を下から追い抜くゴールデンクロス

価格の値動きが、移動平均線を下から追い抜く状態を「ゴールデンクロス」と言います。

ゴールデンクロスとなった場合、この先株価が上昇し始める兆候となるケースが多いため、買いでエントリーするチャンス。

グランビルの法則の中でも、積極的に狙っていけるタイミングとなります。

平均移動線を上から下に追い抜くデッドクロス

先ほどとは逆に、価格の値動きが移動平均線を上から下に追い抜く状態を「デッドクロス」と言います。

デッドクロスはこの先株価が下落し始める兆候とされているものの、必ずしも一直線に下がるわけではなく何度かリバウンドするケースもしばしば。

それを狙い、弱い買いシグナルと考えて押し目買いのポイントとして判断。もし移動平均線が本格的に下降しだしたら損切りすると良いでしょう。

株価が再び上昇した場合の買い増し

上昇中の移動平均線の上に位置する価格が、一旦下がっても移動平均線を割らずに再び上昇することがあります。

そうした場合には、そこから再び上を目指して値動きするケースも多くあるもの。

すでにエントリー済であれば、さらなる買い増しのタイミングとするのがおすすめです。

自動反発を狙う短期の買い場

相場が下落トレンドの最中、下降中の移動平均線からさらに大きく乖離して、価格の方が下落することがあります。

移動平均線と価格の位置関係は、いったん離れても最終的には収束する法則があるため、こうした場合も買いのチャンス。

収束による一時的な反発を狙い、短期的に買いエントリーしてみるのが面白いでしょう。

グランビルの法則による4つの売りのタイミング

次に、グランビルの法則による4つの売りタイミングについても学んでおきましょう。

暴落前に素早く損切りができるようになったり、空売りで利益を出せるようになります。

長期間上昇後のデッドクロス

先ほどは買いタイミングとして触れた「デッドクロス」。

しかし長期間にわたり移動平均線の上昇が起きた後で、価格が横ばいか下降となった時に発生したのであれば、売りタイミングとして見るべきです。

そこから本格的な下落トレンドとなることも少なくないのでエントリーしていれば利益確定、また新たに売りエントリーで利益を狙うこともできるでしょう。

一時的なリバウンド

「ゴールデンクロス」が発生したとしても、必ずしも上昇トレンドとなるわけではないことに注意。

それを見分けるのは移動平均線の向きで、たとえゴールデンクロスが起きても移動平均線が下降していたら、せいぜい一時的なリバウンド止まりで再び下落に転じることがしばしば。

すでに買いエントリーをしてしまっているなら、損切りを行うタイミングだと判断するのが無難です。

移動平均線にタッチせずに再下降

下落トレンドの最中、下離れていた価格が戻るように、いったん移動平均線に近づくことがあります。

そうなると上昇トレンドへの転換を期待してしまうところですが、慎重に見分ける必要があります。

見るべきは価格が移動平均線に触れるかどうかで、もしもタッチせずに再下降した場合はその先もしばらく下落トレンドが続くと判断したほうが良いでしょう。

移動平均線を大きく上抜けた場合の戻り売り

買いタイミングの時とは逆に、移動平均線の上昇中に価格が移動平均線を上抜けて大きく離れているケースもあるはず。

そこでも移動平均線と価格が収束する法則は利用できるため、移動平均線の位置に落ちるまで戻り売りで利益を狙うチャンスとなりますよ。

グランビルの法則の使い方

ここまでで、グランビルの法則の基本は頭に入ったことと思われます。

では、さらに詳しくその使い方についても学んでいきましょう。

取り組みやすいものを選ぶ

グランビルの法則を使うのであれば、やはり取り組みやすい状態にあるもので行うと成功しやすくなります。

買いであれば、下落または横ばいの移動平均線が上昇し、ローソク足が移動平均線を上から下に突き抜けたタイミング。

つまり、長期停滞からのゴールデンクロスを狙うのが最も取り組みやすいでしょう。

逆に売りであれば、上昇または横ばいの移動平均線が下落し、ローソク足が上から下に割り込んだタイミング。

長期上昇からのデッドクロスを狙うのがおすすめです。

複数のテクニカル分析を組み合わせる

グランビルの法則は優れた分析方法ですが、必ずしも万能というわけではありません。

そこで、グランビルの法則以外にも複数のテクニカル分析を組み合わせるのがおすすめ。

相性の良いテクニカル分析としては、トレンドラインやダウ理論・ボリンジャーバンド・MACDなどが挙げられるでしょう。

多くのトレードツールでは複数のテクニカル分析を同時に表示できるため、組み合わせでの分析が行いやすくなっていますよ。

グランビルの法則の実践例

グランビルの法則を使ったトレードの実践例もいくつかご紹介します。

この先実際のトレードで同じような状況になるケースも必ずあるはずなので、是非とも注意深く読んでみてください。

20日移動平均線が上向きの場合

まず、20日移動平均線が上向きとなっている場合で考えてみましょう。

ここでは価格は1時間のローソク足を表示し、これが移動平均線を下から上に抜けたらエントリーのチャンスです。

利益確定のタイミングは、ローソク足と移動平均線の関係で計るのがベスト。

具体的には、ローソク足が移動平均線に一度でも触れたら利益確定。

そこから再びチャンスがあればエントリーし、繰り返し利益を狙うことも可能です。

200日移動平均線を利用する場合

200日移動平均線とは、その日数の長さからもわかるように中期~長期投資向け。

このような中期から長期のトレンドは、およそ3ヶ月~6ヶ月の波動で動くようになっています。

なので200日移動平均線を利用する場合は、長い目でじっくりと観察するのが大切。

そこで上昇トレンド入りした場合や、グランビルの法則の買い場になった場合はすかさずエントリーするようにしてください。

しかしエントリー後、なかなか上昇しない場合は長期塩漬けになるリスクを避けるため、早めに損切りを選択して次のチャンスを探すのが賢明です。

グランビルの法則と相性の良いテクニカル分析

グランビルの法則は単体でも有効ですが、他のテクニカル分析と併せて使うことでさらに効力を発揮します。

そのような、相性の良いテクニカル分析もご紹介します。

テクニカル分析の基礎であるダウ理論

19世紀末という、はるか以前よりテクニカル分析の基礎として使われてきたのが「ダウ理論」。

アメリカの証券アナリスト、チャールズ・ダウにより提唱されました。

ダウ理論を構成するのは、以下の6つの基本原則です。

①「価格は全ての事象を織り込む」
②「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」
③「主要なトレンドは3つの段階から形成される」
④「価格は相互に確認される必要がある」
⑤「トレンドは出来高でも確認されなければならない」
⑥「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」

グランビルの法則と一緒に使えば、エントリーの理由に裏付けが取れるため相性は抜群。

ダウ理論を理解することで、相場を分析するための基本的な考え方が身につくので学んでおいて損はありません。

相場の変動幅を表しているボリンジャーバンド

ローソク足を囲むようなバンドを表示することで、一目で相場の変動幅を見ることのできる「ボリンジャーバンド」。

-3σ~+3σという6つのバンドからなり、買われすぎ、売られすぎといった価格変動から買いか売りかを判断していきます。

ボリンジャーバンドでは移動平均線も併せて使うことが前提となるため、グランビルの法則とも相性はピッタリです。

基本的には逆張りトレード向きですが、それだけでなく順張りのトレードにも活用できるため幅広いスタイルに対応が可能となっています。

【スクイーズ】

【エクスパンション】

【バンドウォーク】


グランビルの法則を使うときの注意点

グランビルの法則では、注意しなければならない点もいくつかあります。

最後にそうした注意点も頭に入れ、確実にトレードを成功させられるようにしましょう。

初心者は他のテクニカル指標と組み合わせない

先ほどはグランビルの法則と相性の良いテクニカル指標をご紹介しましたが、いきなり複数を組み合わせてしまうのはNGです。

慣れないうちに多くの情報が混在してしまうと、かえってわかりづらくなってしまいトレードの失敗に繋がりかねません。

なので、初心者のうちはグランビルの法則だけにするなどわかりやすい表示を選び、ある程度慣れてきたら他のテクニカル指標を組み合わせてみるのが良いでしょう。

短期間の値動きには適さない

基本的にインジケーターの設定を「20」とするとご説明したように、グランビルの法則では基本的に長期的な動きを捉えるのに向いています。

1日の動きで判断する、デイトレードやスキャルピングのような短期の値動きを見るには適さない点に注意してください。

なので最低でも週足、長期であれば月足や年足など、長めの期間の足を使って取引するのがおすすめです。

必ず全ての売買のタイミングが出るわけではない

相場の本質を突いたグランビルの法則ですが、必ずしもその通りに市場が動くわけではありません。

突発的なニュースなど予期せぬ事態が発生するなどで、法則外の値動きとなってしまうケースもしばしば起こりえます。
また、1つのチャートの中にグランビルの法則の全ての売買タイミングが出るわけではありません。

そうした面も踏まえ、最終的な売買のタイミングは自分で見極める必要があることを頭に入れておいてください。

まとめ

今回は「グランビルの法則」について解説してまいりました。

8つの法則から将来の相場における値動きを予測できるグランビルの法則は、身に付けていれば必ず大きな武器となります。
ただし決して万能ではないので、予想外の値動きへの対応策を準備することや、他のテクニカル分析と組み合わせて使うよう意識してください。

非常に便利なグランビルの法則、是非とも理解して勝率を上げていきましょう!

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