MRF(Money Reserve Fund)は、簡単に言えば証券会社にある普通預金講座です。証券口座を開設する際に、MRFの申込みを行っておくことで、証券総合口座に入金を行うと自動的に証券会社がMRFを買い付けてくれます。
MRFは、安全性の高い公社債などで運用される投資信託であるため、投資家からの人気が非常に高い金融商品でした。しかし、最近ではマイナス金利の導入によって、MRFの人気にも陰りが出てきています。
せっかくMRFに投資しても金利効果が得られないのであれば、投資しても仕方ないと考えていませんか?
MRFを上手く活用すれば、相続税や贈与税などに伴う面倒な手続きが簡便になるなど、金利以外にもメリットを享受することができます。
この記事ではそんなMRFについて、仕組みから運用方法、そして取り扱っている金融機関を詳しく説明した上で、MRFの活用方法を紹介していきます。
この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希 | |
プロフィール・所持資格 | 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。 |
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MRFって何?マネー・リザーブ・ファンドの意味とは?運用方法や仕組みをわかりやすく解説
マネー・リザーブ・ファンド(Money Reserve Fund:MRF)とは、公社債投資信託の一種です。超短期の債券によって運用されている投資信託のことを言います。
超短期債券によって運用されていることから、非常に換金性と流動性が高い公共債型投資信託の一種です。MRFは高格付けの公社債の他、CDやCPなどの短期金融商品で運用されているので、株式に投資されることはありません。
MRFは元本保証がされているわけではありませんが、原則として元本割れしないように極めて安全に配慮された上で運用されている投資信託です。
そのため、MRFは普通預金に近い商品であり、1円以上1円単位で購入及び即時解約が可能な商品です。購入手数料も不要であるため、ほとんど普通預金と同じように活用することができます。
さらに、MRFは投資信託の一種であるため分配金が生じます。分配金は自動的にMRFに対して再投資されることから、複利効果も得られます。
MRFとMMFの違いとは?安全性などを比較してみた
MRFと似たような投資信託として、MMF(money management fund:MMF)があります。MRFはマネー・リザーブ、つまりお金を蓄えていくための商品です。そのため、証券会社の口座を開設して入金を行うことで自動的に買付けが行われるようになります。
証券口座も銀行と同じようにお金を入金しておけば、利息に相当する分配金を受取ることが可能です。そのためMRFは証券会社にお金を預けているので「普通預金」と同じようなものです。
一方、MMFはマネーマネジメントであるため、資産運用の一種と言えます。そのため、証券会社にMMFの買付けを申し出なければなりません。MMFは資産運用の一形態であることから、MRFよりもリスクの高い商品です。そのため、MRFよりもMMFの方が利回りは若干高めに設定されています。
商品名 | MRF | MMF |
申込み | 自動買付・解約 証券会社版の普通預金 |
買付・解約の手続きが必要 証券会社版の定期預金 |
ペナルティ | なし | 30日以内の解約に限って0.1%程度の 信託財産留保額(手数料)が発生する。 |
利回り | 普通預金よりもやや高い | MRFよりも若干高い |
MRFとMMFのどっちがおすすめ?
MRFとMMF換金性を重視するのであれば、MRFの方が有利です。MMFの場合、買付から1ヶ月以内に解約すれば手数料が必要となることから費用かかってしまいます。
しかし、利回りを重視する場合には、MMFの方が有利と言えます。MMFは買付・解約に意思表示が必要ですが、MRFよりも利回りは良くなっていることが特徴です。
MRFのメリットとデメリットとは?
MRFのメリットは、普通預金と比較して金利が高いということです。銀行に普通預金として預けるよりも金利は高く設定されているため、将来的に多くの資金を受け取れるようになります。
一方で、MRFのデメリットは銀行の普通預金と比較すると、元本割れのリスクがあるということです。MRFは投資信託であるため、低リスクの金融商品で運用されていると言っても元本が保証されているわけではないことをきちんと認識しておく必要があります。
MRFと預かり金の違いとは?
MRFと預り金(預金)の違いは、証券会社がそのお金を運用するか否かの違いです。MRFでは預かったお金を運用することによってお金を増やします。
そのため、元本割れのリスクがあります。一方で、預り金(預金)の場合は、お金を預けるだけなので、預けたお金が運用されるということはありません。
MRFのキャッシング制度とは
MRFを利用してキャッシュを借りることができます。MRFは解約が比較的容易で、キャッシング制度によって、簡単に預けているMRFからお金を引き出すことができます。
ただし、解約代金相当額の支払いについて即日対応していない金融機関も存在することから注意が必要です。
MRFは投資信託なのに1口1円に固定されている理由は?
MRFは投資信託であるにもかかわらず、1口1円に固定されています。その理由は、MRFの運用先が公社債であるからです。公社債は利率固定・元本償還が基本となっています。
そのため、債券を発行している母体が無くならない限り、基本的に金利停止・元本割れが起こることはありません。結果として、投資信託であっても1口1円に固定することができます。
MRFの自動スイープとは
MRFは、証券会社版の普通預金であると説明しました。証券会社は預かったお金を無駄なく運用するために、預り金を自動で買付け・売却を行っています。これを自動スイープといいます。
結果として、MRFを取り扱っている金融機関にお金を預ければ、ほとんどの場合、自動スイープで預り金の運用がなされます。
なぜマイナス金利適用外に?MRFやMMFに与える影響・元本割れのリスクは大丈夫?
マイナス金利が適用されたことによって、MMF・FFF・中期国債ファンドなどの多くが新規募集を停止されました。
現在、新規買付けを行うことはできませんが、すでに買付けを行っている分を解約することは可能です。実際、一部の運用会社はMMFなどの繰上償還を行っているところもあります。結果として、将来的にMMFはマイナス金利が導入されたことによって運用が難しくなっている状態です。
一方、MRFの金利も軒並み0.0000%となっていることから実質金利がつかない状態となっています。つまり、MRFに投資をしても、金利を受取ることはできないのです。
MRFと普通預金・定期預金の金利はどっちがお得?
以上の理由からMRFはあまり有利な投資先と言えなくなっています。そのため、昔はMRFが有利と言われていたものの、現在では、銀行の普通預金・定期預金の金利の方が有利となっています。
MRFの残高推移状況は?
2017年12月のMRFの状況は12兆6974億円となっています。15年5月に12兆3774億円を上回って、過去最高を更新しています。MRFは株式や投資信託の売却資金を一時的に預ける場として、個人投資家に広くされているものです。
MRFは17年に入ってから上昇相場に一服感が出ており停滞した状態となっています。
基本的な仕組みとしてMRFは銀行預金よりもおすすめできた理由
MRFは基本的な仕組みとして銀行預金よりもおすすめです。MRFは従来から無リスク運用マネーとして考えられてきました。投資家がMRFに入金したお金で、信託会社に運用してもらうことによって、その運用で得られた利益がMRFに分配されて、それを受取る仕組みです。
MRFが銀行預金よりもおすすめな理由は、MRFは投資信託であるため、しっかりと分散投資がなされているのでリスク管理がきちんとなされているからです。それによって、もしも一部が元本割れするような事態となっても、損害は小さいといえるでしょう。
MRFはインフレ対策になる?
MRFはインフレ対策にもなります。このことは、MRFではなく普通預金・定期預金と対比して考えてみるとよくわかります。長期のものほど運用には気をつけなければなりません。なぜなら、インフレによって定期預金や国債は基本的に決められた期間の間は金利は固定となります。
そのため物価が高くなってしまえば、額面上元本は損をしないにもかかわらず、実質元本が減っている状態となります。
しかし、MRFのように時々の金利によって利回りが変わる商品は、インフレとなった場合でも金利が上がる可能性が高いことから、インフレ対策に有効という議論が成り立ちます。
MRFはペイオフ対策になる?
MRFはペイオフ対策になるという議論があります。預金先の金融機関が破綻したときに預金の1,000万円を超える部分についてはリスクに曝され、返ってこない可能性があります。
外貨預金はペイオフの対象外であるため、そもそも1000万円までの保護はなくその全額がリスクに曝された状態です。MRFは主に残存期間の短い国債を中心に投資しています。
一部は高格付けの社債やCD・CPなどの短期金融商品にも投資しています。外貨預金と同じように、MRFにも元本保証はなく、ペイオフの対象ともならないのでペイオフ対策としてMRFを活用することは有用とは言えません。
各証券会社で取り扱っているMRFについて
各証券会社にはそれぞれ様々なMRFの取り扱いがあります。
近年では、マイナス金利が導入されたことを背景として、ほぼすべてのMRFの金利は0%となっているため、各証券会社によって運用している純資産額は異なっているものの、会社のMRFの違いはほとんどありません。
MRFを取り扱っているネット証券会社
MRFを取り扱っている証券会社としては、SBI証券・マネックス証券・楽天証券・丸三証券・岩井コスモ証券・エイチエス証券などを挙げることができます。
カブドットコム・GMOクリック証券・松井証券・むさし証券などもかつてはMRFを取り扱っていましたが、マイナス金利が導入されて以降、MRFの取り扱いを終了したり、廃止したりする金融機関が相次ぎました。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のMRFについて
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では4つのMRFの取り扱いがあります。国際MRF・三菱UFJ MRF・三菱MRF・ダイワMRFの4つです。
前から4つのMRFは三菱UFJ国際投信が設定・運用を行っていますが、最後の一つは提携している大和証券投資信託委託が設定・運用を行っています。いずれのMRFも、2018年10月現在、金利は0%となっています。
マネックス証券のMRFについて
マネックス証券では日興MRFとダイワMRFという2種類のMRFの取り扱いがあります。どちらの平均利回りも2018年10月現在0%となっています。
マネックス証券で取り扱いのあるダイワMRFは、2005年4月以前にマネックス証券で開設された口座、および2010年4月以前にオリックス証券で開設された口座でのみ利用が可能です。
みずほ証券のMRFについて
みずほ証券では、アセットマネジメントoneが運用会社を務める新光MRFとMHAMのMRFというMRFの取り扱いがあります。どちらのMRFも現在の利回りは0%となっています。
岡三証券のMRFについて
岡三証券にもMRFの取扱いがあります。岡三証券のMRFは、内外の公社債及びCPを中心に投資を行い、安定した収益の確保を目的として安定運用を目的としたものです。
私募によって発行された有価証券、および取得時において償還金等が不確定な仕組債等には投資は行わないことを特色としています。
野村證券のMRFについて
野村證券はMRFを取り扱っており、元本の安全性の確保を目指した金融商品の運用を行っています。
他の金融機関のMRFと同様に、毎日決算を行って原則として信託財産から生じた利益の全額を毎日分配しています。マイナス金利の導入によって、現在の年間利回りについては0.000%となっているため、金利はつかない状態となっています。
岩井コスモ証券のMRFについて
岩井コスモ証券のMEFは、信用度の高い内外の公社債等を中心に運用する公社債投資信託の一つです。
総合口座を開設した後、岩井コスモ証券にお金を信託するとMRFで自動的に運用されます。MRFは、株式や投資信託などの買い付けると自動的に解約され、買付け代金に充当される等無駄のない資産の運用が可能です。
三井住友アセットマネジメントのMRFについて
三井住友アセットマネジメントのMRFは、2018年10月現在、29,462百万円の純資産総額を運用しています。他の金融機関のMRFと同様に、マイナス金利の導入によって、年換算利回りも分配金単価も0円となっています。
大和証券のMRFについて
大和証券のMRFは2018年10月現在、12,391億円の純資産総額を運用しています。
他の金融機関のMRFと同様に、マイナス金利の導入によって、年換算利回りも分配金単価も0円となっています。
東海東京証券のMRFについて
東海東京証券には複数の種類のMRFの取扱があります。
日興アセットマネジメント株式会社が運用している日興MRF・三菱UFJ国際投信株式会社が運用している東海MRF・三井住友アセットマネジメント株式会社が運用している三井住友MRFの取扱いがあります。外貨建てMMFについても取扱いがあります。
SMBC日興証券のMRFについて
SMBC日興証券のMRFは2018年6月現在、2兆6,338億円の純資産総額があります。2016年6月にマイナス金利が導入されて以降、現在も利回りは0%が続いています。
MRFの取り扱いを終了・廃止した証券会社
上で説明したように、マイナス金利が導入されてから、MRFの取り扱いを終了・廃止した金融機関が相次いでいます。
現在、MRFを終了・廃止している金融機関としては松井証券・楽天証券・ライブスター証券・SBI証券を挙げることができます。なお、SBI証券はMRFの代わりとして「SBIハイブリッド預金」を推奨しています。
MRFやMMFなどの公社債投資信託の税金について
MRFやMMFなどの公社債投資信託は税法上「債券」という扱いとなります。そのため、金融所得一体型の課税対象となる特定公社債等に該当するものです。結果として、MRFやMMFによって何らかの利益を得た場合には、課税対象となります。
MRFを確定申告で会計処理する場合の勘定科目(売却時・分配金)
MRFを確定申告で会計処理する場合の勘定科目としては、有価証券となります。MRFは1年以内に満期の到来する有価証券として分類されるからです。基本的に、MRFから得られた収入については証券会社が源泉徴収を行ってくれますが、源泉徴収がなされていない場合には自分で確定申告を行って税金を納めなければなりません。
また、売却益があった場合や分配益を受け取った場合には売却益と分配益についても記帳を行わなければなりません。売却益や分配益に対しても当然税金がかかります。
MRFの生前贈与の活用や相続税評価の方法について
MRFを使って生前贈与を行えば、その資金を使って子どもがNISA講座で投資を行い、贈与資金の資産管理を証券会社に任せることができます。そのため、MRFを使えば、面倒な生前贈与の手続を簡単にすることができます。
贈与契約書の内容について証券会社が作成してくれるので、日付や氏名などの重要な箇所に記名捺印するだけで契約書の作成が可能です。
また、MRFを相続した場合の評価方法については比較的簡単です。なぜなら、財産評価基本通達において、財産の種類ごとに評価方法が定められているからです。
MRFのような証券投資信託は、
(一口当たりの基準金額)×口数+(再投資されていない未収分配金)−(源泉徴収されるべき所得税等相当額)−(信託財産留保額および解約手数料)
によって相続税が決定されます。
MRFの換金方法・換金代金支払い日の目安
MRFのような投資信託は原則としていつでも換金の申込みが可能です。日々決算型銘柄(MRF・MMF)のような投資信託は、通常換金申込み日の翌営業日に支払われます。
ただし、MRFの場合、キャッシングを利用することによって、解約代金相当額を申し込み当日に受取ることも可能です。
MRFの解約方法は?
MRFは比較的簡単に解約することが可能です。MMFとは違い、MRFは解約手数料がかかりません。金融機関にもよりますが、ウェブページで解約手続きを行うことも可能です。解約手続きは通常2〜3営業日程度で完了します。
まとめ
MRFは、従来、小さなリスクで大きな投資効果が得られるものと言われてきました。
MRFは安全性が高く普通預金よりも利回りが良いことから投資家に非常に人気のある投資対象でした。
しかしながら、マイナス金利が導入されたことを背景としてMRFは不安要素が多くなっていることも事実です。投資を行う際には、きちんとリスクを管理しなければなりません。
この意味では、MRFは従来よりもお得な金融資産ではなくなっているので、きちんとリスク管理をしていかなければなりません。今後はMRF以外の金融資産にも投資対象を広げ、きちんとポートフォリオを組んで分散投資をするなど、広い視野を持って安心して投資できる商品を探していくことが大切です。
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