決算予想はいつわかる?決算スケジュールと決算シーズンの乗り切り方とは

決算は投資家にとっても非常に重要なイベントで、決算発表後には、その結果を受けて株価が激しく上下します。ですが実は、このような決算後の値動きについては事前の「決算予想」が大きく影響していることをご存知でしょうか?

その影響力は実際の決算結果よりも高いとされるほどで、決算予想についての知識が無ければ、予想外の値動きで決算発表シーズンに大きな損失を出してしまう可能性も。そのため、決算予想について知っておくことは、決算発表シーズンを乗り切るためにとても重要です。

そこで、今回は「決算予想」とは何か、トレードにおける具体的な活用方法も含め解説してまいります。決算予想ではプロの証券アナリストたちによる見解も参考とできるため、株式投資を上達する手助けにもなるはずです。

この記事で「決算予想」への理解を深め、決算のチャンスを活用したトレードで利益を狙えるようになりましょう。

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

決算予想とは

「決算予想」とは、企業が発表する自社の決算についての予想を指します。ここで言う「決算」とは1年間全体の業績を通した決算である「本決算」のことで、日本の企業では主に3月末締めで本決算を行われることが多いと言えるでしょう。

本決算では昨年度の業績が発表されるだけでなく、今年度の業績の予想も同時に発表され、これを「期初予想」と言います。

期初予想は、年度の初めにまだはっきりと事業の見通しが立っていない状況での予想であるため、慎重で控えめな数字が出されるといった特徴があります。

決算予想と業績予想

「決算予想」と混同しやすい株式用語に「業績予想」があります。ネットでの検索結果でも両方が混じって出てくることが多く、紛らわしく感じられるかもしれませんね。ではこの2つの言葉は、どう意味が違うのか見ていきましょう。

まず「決算予想」とは、主に本決算で発表される今年度全体の業績を予想した「期初予想」のことを指しており、一年間を通した業績の予想の意味で使われることが多いです。

一方「業績予想」とは、企業が決算短信などの中で発表する今後の業績見通しのことを指しており、3ヵ月後など決算予想よりも短い期間の業績の予想であることが多いです。

業績予想を発表してから、事業の状況によって発表した予想と異なる新たな予想が算出された場合、企業は過去の業績予想を修正し、新たな業績予想を発表することが義務付けられています。

決算予想はいつ?

株価やその後のトレンドにも大きな影響を与える決算予想ですが、一体いつ行われるのでしょうか?

まず、決算予想では「決算日」と「決算発表日」は異なることを理解しておきましょう。つまり、企業が決算を行った日にすぐ決算が発表されるわけではないのです。

投資家にとって重要なのは、実際に決算結果を知ることのできる「決算発表日」で、この日には決算の速報版である「決算短信」という資料が発表されます。「決算短信」は基本的に決算日から30日以内、遅くとも45日以内に発表するルールになっています。

ちなみに決算短信の発表後、さらに詳しく決算情報を記した「有価証券報告書」も発表されますが、こちらは速報である決算短信に比べるとそこまで株価への影響はありません。

決算情報を知るためには

決算発表日や決算結果を知るためには、企業のホームページにアクセスして調べる方法もありますが、少々手間がかかることが難点です。

そこで以下のような、多くの企業の決算情報が見やすくまとめられている決算予想サイトを利用すると素早く情報を手に入れることができて便利だと思われます。

「株探」
「IFIS株予報」

決算予想サイトの使い方については後ほど詳しく解説いたしますので、そちらも参考にしてみてください。

決算の種類

主な決算には期間ごとに、「月次決算」「四半期決算」「中間決算」「本決算」の4種類があります。

月次決算

主に企業の経営管理のため、毎月行われる決算が「月次決算」です。通常は非公表で株主などの外部に公表されることがなく、月次決算のデータは社内のみで取り扱われます。

四半期決算

年に4回、3ヵ月おきに行われる決算が「四半期決算」です。上場企業であれば、株主を始めとした外部にも公表することが証券取引法で義務付けられています。

四半期決算では、1~3月までを「第一四半期」、4~6月までを「第二四半期」、7~9月までを「第三四半期」、10~12月までを「第四四半期」と呼んで区切っています。

中間決算

1年決算の企業が、事業年度を開始してから6ヵ月後に行われる決算が「中間決算」です。上場企業の場合、中間決算のタイミングで証券取引法に沿って半期報告書を作り、公開することがほとんどです。

例外として、決算期の変更で6ヵ月で本決算がなされる場合には、中間決算は行われません。

本決算

一年に一度、事業年度末に行われる決算が「本決算」です。上場企業であれば、本決算のタイミングで年度ごとの事業内容や企業状況、財務諸表などについてまとめた報告書である「有価証券報告書」を公開することが義務付けられています。

また、本決算では前年度の業績報告と共に、今年度の業績予想を発表する「期初予想」が行われることも特徴です。

本決算の行われる月のことを「決算月(決算期)」と呼びます。

決算月の決め方

本決算の行われる「決算月」は3月の会社がほとんどですが、中には2月や9月などが決算月となっている会社もあり、疑問を感じることがあるかもしれません。

これはなぜかと言えば、実のところ決算月をいつにするかは自由に決めることができるため、それぞれの会社によって都合の良い月を決算月に設定しているのです。

では、会社は決算月をどのように決めているのでしょうか?

基本的に決算月は繁忙期とずらす

決算月を決める基本的な考え方としては、「繁忙期とずらす」ことが挙げられます。繁忙期には会社の売上げが最も高く推移しますが、その分普段に比べて利益額の変動も激しく、事前に予測が立てづらいといった面があります。

そのため繁忙期と決算月が重なっていると、

・予想以上の売上となった場合、節税対策が間に合わず多くの税金を払うことに

・予想以下の売上に落ち込んだ場合、本決算までに業績回復をする時間の余裕が無く、赤字の本決算となり信頼感や企業イメージ低下の恐れ

といったデメリットがあります。

また、ただでさえ忙しい時期に決算に関わる業務を重ねたくないといった事情もあるでしょう。なので多くの企業は決算月を繁忙期とずらして決めますが、中にはあえて決算月と繁忙期を重ねることで気持ちを追い込み、士気を高めようと考える会社もあります。

この他に消費税免除や資金繰りの面を考慮して決算月を決める会社もありますが、これはどちらかと言えば規模の小さな中小企業や零細企業が主で、私たちが株式投資の対象とするような上場企業ではあまり関係が無いと言えるでしょう。

決算予想サイトの使い方

決算予想サイトでは業績や決算スケジュールなどの情報がまとめられており、情報収集の一環として活用するのがおすすめです。

ここではYahoo!ファイナンスが提供する、「IFIS株予報」を例に決算予想サイトの使い方を解説していきます。

決算スケジュールを確認する

まずは決算予想サイトで、さまざまな銘柄の決算スケジュールについて確認してみましょう。IFIS株予報のサイトを開いてすぐの位置に、決算スケジュールについてのカレンダーが表示されています。

決算発表がある日の日付には青い文字で「○件」といったように件数が表示されており、クリックするとその日に決算発表をする銘柄を確認することができます。

また、サイト上部にあるタブの「スケジュール」からも決算スケジュールをチェックすることが可能。こちらでは銘柄が「今期の進ちょく状況」や「前期の結果」のような情報と共に一覧表示されるため、情報収集に役立つことでしょう。

株式アナリストのレポート・コラムを読む

IFIS株予報では、個々の銘柄についての株式アナリストによるレポートやコラムを読むことができます。無料にも関わらず、非常に情報価値の高いレポートが多く提供されているため、是非ともこれらの情報は積極的に活用されることをおすすめします。

ではIFIS株予報のサイトで株式アナリストのレポート・コラムを読んでみましょう。まずサイト上部にあるタブ一覧から「レポート・コラム」のタブをクリックします。すると最新のものから順にレポート・コラム記事の一覧が表示されますので、興味のある記事をクリックすると読むことができます。

また、気になる銘柄や株式アナリストに関する記事を探したい場合は、検索機能を利用すると便利ですよ。

決算予想に関する株式ランキングをチェック

IFIS株予報では「経常利益ランキング」や「増益率ランキング」といった、決算予想に関するテーマの株式ランキングも提供されており、これらをチェックすることも役立つと思われます。

サイト上部にあるタブ一覧から「ランキング」のタブをクリックすると、「経常上昇ランキング」を始めとした様々なランキングを見ることができます。

これらのランキングは毎日、当日に発表されたアナリスト予想の状況を反映し更新されているため、普段目にする「値上がり率ランキング」などと合わせて、こまめに確認しておきましょう。

決算予想の活用方法

決算予想は株価にも大きな影響を与えるため、うまく活用すればトレードに役立てることができるでしょう。

では、そのような決算予想の活用方法に関してご紹介します。

会社四季報を使おう

年4回発行される、上場会社のあらゆるデータを網羅した情報誌が「会社四季報」です。決算予想をトレードに活用する際には、会社四季報を使うことは不可欠と言えるほど重要なので、是非ともその使い方を把握しておきましょう。

企業業績を見る

会社四季報で知ることのできる情報の中でも、何より充実しているのが「企業業績」です。過去5期分の業績を見ることができる上、今後2期分の業績予想までも掲載されています。

ここで、企業は1期分の期初予想しか発表しないにも関わらず、今後2期分もの業績予想が掲載されていることに関して、少し疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は会社四季報では、企業が発表した業績予想とは別に、四季報独自の業績予想である「四季報予想」が載せられていることも特徴で、そのために2期先までの業績予想が掲載できるのです。

この「四季報予想」は株式投資の専門家の予想であることはもちろん、外部の立場からなされたフラットな目線の予想であるため、会社予想よりも重要性が高いとされており、実際に四季報予想に影響されたと見られる株価の動きをすることも多くあります。

あらゆる銘柄において「四季報予想」は参照することができるため、会社四季報を活用する際は是非ともチェックしておきたいポイントです。

株価チャートを見る

会社四季報では株価チャートも掲載されているため、業績と合わせて確認することで、より深い分析が可能となります。もちろん3ヵ月ごとに発行される情報誌なので、チャートは長期投資向けの月足を軸とした長いスパンになっています。

業績の浮き沈みや企業のニュースとリンクさせてチャートを見ることで、株式市場がどのような反応を示したかがわかり、今後の投資戦略を立てる参考になることでしょう。

プロは業績予想を見ない?

これまで述べてきたように、企業や四季報などによる業績予想は個人投資家にとって大いに参考となります。ですが、機関投資家のように、プロのトレーダーたちはほとんど業績予想をあてにしていないようなのです。

その理由としては、彼らは個人投資家よりも二手三手と先を行く必要があるため、独自に収集したデータにより、自らでさらに綿密な業績予測を行っていることが挙げられます。

実は多くの企業が、通常の決算説明会よりも情報が詳細な「プロトレーダー限定の決算説明会」を開催していることもあり、個人投資家とプロトレーダーの間には大きな情報格差が存在することも事実。

しかし、個人投資家によるファンダメンタルズ分析が決して無駄というわけではなく、有望な銘柄を見つけたり、リスクの高い銘柄を避けることにおいては大いに役立ちます。

ただどうしてもプロに比べると情報の早さや精度で引けをとってしまうため、個人投資家がトレードを成功させるためには自らの判断だけで行動せず、出来高やテクニカル分析などでプロがどう考えているのか意識することも重要と言えるでしょう。

決算発表シーズンの乗り切り方

決算発表シーズンの株価は大きく動くため、利益を上げるチャンスとなる一方、予想外の動きで大きな損失を出してしまうリスクも高く、どのような判断をすべきかは難しいところですよね。

そこで、ここでは決算発表シーズンを乗り切るためのポイントをご紹介します。

決算結果の通りに株価が動くわけではない

決算結果の良し悪し通りに株価が動くわけではなく、好決算にも関わらず株価が下落したり、逆に赤字決算なのに株価が上昇するのを目にしたことがあるかもしれません。

その理由は、決算発表シーズンの値動きにおいては実際の決算結果が、証券アナリストたちの見解である「市場コンセンサス」を上回ったか、下回ったかということが重要となるためです。

なので、たとえ好決算であっても市場コンセンサスからは下回っていたため、大きく売られるといった状況が起こりうるのです。

銘柄に対する市場コンセンサスがどの程度であるかについては、「四季報予想」や決算予想サイトの「コンセンサス予想」などをチェックすると参考になることでしょう。

決算発表を機にトレンド転換することも

先ほど述べたように、決算発表シーズンでは市場コンセンサスとの比較により株価が上下するのですが、この動きがそのままトレンド転換となることも多くあります。

特に決算まで上昇トレンドを続けてきた銘柄は注意が必要で、期待外れの決算結果からに下降トレンドへ移行してしまうことも。

逆に言えば下降トレンドだった銘柄が、予想外の好決算を発表したことで一気に上昇トレンドに変わることもあります。

このような銘柄はしばらく上昇の動きを続けることも多いため、トレンドの流れに乗ってエントリーすることも良いと思われます。

しかしストップ高が連続するような激しい値動きの場合は、すぐに暴落して元の株価に戻ってしまうこともあるので慎重に判断しましょう。

業績の推移や見通しもチェック

決算では過去の業績も含め、業績がどのように推移しているかを見ることも大切です。これを見ることで業績の「底打ち」や「頭打ち」の気配を掴むことができ、エントリーや利益確定の参考となるでしょう。

また、本決算では決算結果だけでなく、今後の見通しとなる期初予想の内容も大きく影響します。

市場コンセンサスを上回るような好決算であったとしても、決算予想が横ばいや減益予想などと後ろ向きの内容であれば、株価が下落してしまう可能性が高いので注意しましょう。

決算予想の関連用語

決算予想について調べていると、しばしば耳慣れない用語も出てくることがあるかもしれません。

そこで、決算予想の関連用語として頻繁に登場する、特に重要な3つの言葉の意味についてご紹介します。

決算予想の関連用語1「上方修正」

「上方修正」とは、企業が自社の業績について、以前発表した予想よりも高い結果で着地することが見込まれた場合に、新たに業績予想を高く修正して発表することを指します。

基本的に、企業は最初の業績予想を控えめに発表する傾向があるため、上方修正が出されることは頻繁にあり、これだけで必ずしも株価が上がるわけではありません。

ですが市場の期待以上であったり、意外性のある上方修正であれば、株価は一気に値上がりすることも起こります。

決算予想の関連用語2「下方修正」

「下方修正」とは上方修正の逆で、企業が自社の業績について、以前発表した予想よりも低い結果で着地することが見込まれた場合に、新たに業績予想を低く修正して発表することを指します。

下方修正では、企業側はなるべく小さな数字で発表しようとする思惑があり、結果さらに業績が悪化した場合には、追加でより低い下方修正を出すこともあります。

そのため下方修正が出された際には、株価も値下がりすることがほとんどですが、市場が考えていたよりも悪くない下方修正だったような場合など、まれに値上がりすることもあります。

上方修正・下方修正は、以前の予想よりも10%以上の売上高、もしくは30%以上の利益が変動する場合に発表することが定められています。

決算予想の関連用語3「コンセンサス」

決算予想では、「コンセンサスを上回った」といったように、「コンセンサス」という用語を多く耳にする機会があるかもしれません。

この「コンセンサス」とは、いわば様々な証券アナリストたちによる業績予想を平均化した数値と捉えると良いでしょう。コンセンサスは全ての銘柄に出されているわけではなく、ある程度売買代金が高く、有名な銘柄に多く出されています。

決算発表後の値動きにおいてコンセンサスは非常に大きな影響を与え、実際の決算結果の良し悪しよりも、業績の数値がコンセンサスを上回っていたか下回っていたかでその後の値動きが決まると言っても過言ではありません。

決算を受けて株価が値上がりするためには、コンセンサスの予想を大きく上回る意外性があることが重要で、たとえ好業績であったとしても、コンセンサスと同程度、もしくは少し上回ったぐらいでは値下がりの可能性も大いに考えられるので注意しましょう。

まとめ

今回は「決算予想」について解説させて頂きました。様々な種類がある決算ですが、いずれも決算結果だけでなく事前に出されるアナリストたちの「コンセンサス」が重要であることを頭に入れておきましょう。

決算予想を活用したトレードを成功させるには、会社四季報や株式ニュース、決算予想サイトなどで情報収集を積み重ねていくことが大切です。

日々少しずつの時間から決算に向けて情報を集め、是非ともトレードを成功させたいところですね。

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