ファンダメンタル分析とは一体なに?分析事例とおすすめツールをかんたん解説

投資を行う場合には、国や企業の将来性を判断することが求められます。そのための分析手法としてファンダメンタルズ分析があります。

ファンダメンタルズとは基礎的条件と呼ばれ、一国の経済の基礎的条件を分析したり、一つの企業の経営の基礎的条件を分析したりします。

この記事では、そんなファンダメンタルズをどのように分析したら良いのかについてわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、自分でファンダメンタルズを分析しやすくなるでしょう。

この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。

ファンダメンタルとは

まずはファンダメンタルの基礎から理解していきましょう。

ファンダメンタルとは何か

ファンダメンタル(fundamental)とは、国や企業などの経済状態などを表す指標のことを言います。ファンダメンタルズは「経済の基礎的条件」と訳されます。一般的には、ファンダメンタルズと複数形で使われます。

これは経済の基礎的条件が複合的なものであるという理解からきています。企業の場合は、売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が挙げることができます。

これらが、企業経営を存続させるための基礎的条件だからです。世界的に著名な大投資家であるウォーレン・バフェット氏はファンダメンタルズに注目して株式投資を行っていることで有名で、ファンダメンタルズを分析することで企業の長期的な収益力がわかると言っています。

ファンダメンタルの例とは

ファンダメンタルズの原義は基礎的条件です。ファンダメンタルズが使われる文脈によって若干異なる意味合いを持つようになります。

たとえば、国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支などがファンダメンタルズとなります。なぜなら、これらの指標が経済の基礎的条件となっているからです。

また、同様の理由から、企業の場合は売上高や利益といった業績や資産、負債などの財務状況が経営の基礎的条件としてファンダメンタルズと言われています。

ファンダメンタルズ分析とは

ファンダメンタルズは経済や経営の基礎的条件となるものなので、これを分析することで企業の長期的な収益力がわかるようになります。

このようなファンダメンタルズを分析することは、株式やFX投資に欠かせません。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のふたつの手法

投資判断の手がかりとなる分析手法には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があります。ファンダメンタルズ分析は、企業の財務情報などに基づいて分析を行いますが、テクニカル分析は個別の銘柄の株価の動きや出来高の推移の分析を行います。

ふたつの分析手法のどちらに重点を置くかは投資家によって違います。バフェット氏のように、企業の長期的な収益力を判断したい場合には、ファンダメンタルズ分析が有効で、短期的に利益をあげたい場合には、テクニカル分析の方が有効と言えます。

2つの分析手法を自分の投資スタイルに合わせて使いこなせるようにすることが大切です。

株式やFX投資におけるファンダメンタルズ分析の考え方

次に株式やFXにおけるファンダメンタルズ分析の考え方を解説していきましょう。

株式投資におけるファンダメンタルズ分析:考え方

ファンダメンタルズ分析は、企業の本質的な価値を分析することを目的とする分析方法です。そのため、ファンダメンタルズ分析では会社の価値に対して株価が割安か、今後の成長が見込めるかを見極めることになります。

ファンダメンタルズ分析では、現時点の企業のポテンシャルを把握しようとするのです。そのためには、財務情報のような定量的なデータだけではなく、経営者のマインドといった定性的な情報の分析も行います。

株式投資におけるファンダメンタルズ分析:使用するデータ

ファンダメンタルズ分析において企業価値を分析するために使用するデータとしては主に財務情報を用います。上場している企業であれば、有価証券報告書の提出が義務付けられているので、そこから企業の財務情報データを集めることが可能です。

また、企業の財務情報は企業のIR情報としてホームページでも公開されています。財務情報だけではなく、会社にとって重要な事象についても公開されているのでそのデータを使用する場合もあります。

株式投資におけるファンダメンタルズ分析:代表的な指標

株式投資におけるファンダメンタルズ分析には様々な指標があります。その指標をまとめると以下の表のようになります。

価値 指標
安全性 自己資本比率
流動比率
手元流動性
キャッシュフロー など
成長性 EPSの経年変化
キャッシュフロー など
収益性 売上高比率
ROE
ROA など

ファンダメンタルズ分析では、企業の基本的価値について投資判断のためにどんな指標を重視するかによって使われる指標は異なります。

上記の表で示されている項目以外にも様々な指標がありますが、投資の神様と言われているバフェット氏が重視しているのは、ROEとESPです。EPSは1株あたりどれだけの利益が出ているかを示しており、ROEは、株主のお金を使ってどれくらい利益をあげたかという資金効率を示しています。

最近では、証券会社が適用するスクリーニングツールを使えば、自動的にファンダメンタルズ分析を分析してくれる機能も増えてきています。

FX投資におけるファンダメンタルズ分析

FX投資においては、各銘柄の個別の状況を分析するのではなく、各国の政策金利動向や経済指標、要人の発言などの経済の基礎的要因を分析することが重要となります。

そのため、FX投資におけるファンダメンタルズ分析ではこのような経済の基礎的要因を分析することで相場の方向性を予測していくことになります。

FX投資におけるファンダメンタルズ分析:経済指標

FX投資におけるファンダメンタルズ分析の経済指標にも様々なものがあります。代表的な経済指標は次の表の通りです。

経済指標 概要
政策金利 通常は一定であるものの、一度動くと続けて調整される傾向がある
雇用統計 米国の雇用統計が最も重要で、毎月第1金曜日に前月分が発表されます。
GDP速報 GDPが良好であれば株高となって金利は上昇、悪化していれば株安で金利は低下します。
小売売上高 景気の良し悪しを一番実感できる指標
CPI・PPI 消費者物価指数(CPI)と製造業物価指数(PPI)で、インフレ傾向であれば金利上昇、デフレ傾向であれば金利低下となります。

消費者物価指数(CPI)と製造業物価指数(PPI)で、インフレ傾向であれば金利上昇、デフレ傾向であれば金利低下となります。

FX投資を行う場合にはこれらの経済指標が非常に重要となります。経済指標が公表されると、価格が大きく変動することもあるからです。

各国の経済指標は、FX業者などが前回の数値と予測、結果を提供しているので、定期的にチェックすることをおすすめします。

ファンダメンタルズ分析におすすめの本やツールとは

ファンダメンタルズ分析を勉強するためには本やツールを活用することがおすすめです。以下では、おすすめの本と役立つツールを紹介していきます。

ファンダメンタルズ分析:おすすめの本

ファンダメンタルズ分析を行うためには、まずは企業情報が必要となります。

会社四季報 2019年1集新春号 [雑誌]
東洋経済新報社 (2018-12-14)

昔から投資家に愛されてきた企業情報が掲載されている本としては『会社四季報』があります。

東洋経済が独自に行ったアンケート調査と取材に基づいて、各社業績についてのコメントも掲載されているので、企業情報からより詳しい経営状態を把握することが可能です。

株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版
足立 武志
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 3,278

その他にも、『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』という本があります。この本を読めば、基本的なファンダメンタルズ分析はできるようになるのでおすすめです。

まずはファンダメンタルズ分析の基礎が知りたいという方は、この本を読めば間違いありません。

株で富を築くバフェットの法則[最新版]---不透明なマーケットで40年以上勝ち続ける投資法
ロバート・G・ハグストローム
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 2,294

さらに、投資の神様と言われるバフェット氏の投資術を知りたい方は『株で富を築くバフェットの法則 – 不透明なマーケットで40年以上勝ち続ける投資法』がおすすめです。

長期的な企業の価値をどのように見抜いたら良いかについて説明されています。初心者には難しい部分もありますが、是非手元に一冊置いておきたい本です。

ファンダメンタルズ分析:役立つツール

ファンダメンタルズ分析をするためには情報収集が欠かせません。情報収集におすすめなのが、FXの総合情報サイトである「ザイFX!」の編集部による無料の情報収集アプリである『ザイFX! for iPhone』やFXに特化したアンドロイド用の無料アプリ『FXニュースまとめ!』です。

どちらのアプリもさまざまなニュースを一度にチェックできるため、FX初心者でも必要な情報が効率よく収集することが可能です。

さらに、投資情報会社のフィスコが提供する「FISCO」は、スマホにインストールするだけですべての機能が無料で利用できる企業分析ツールを提供しています。

さらに、「ロイター」「ブルームバーグ」も質の高い情報を提供しているので、投資をするのであれば是非チェックしておきたいサイトです。『トレーダーズウェブ』のように、チャート分析にもとづいた情報を提供しているサイトもあります。

ファンダメンタルズ分析をするに際しては情報収集が非常に重要な意味を持ちますが、どの情報が信頼できるかは実際に自分で使ってみないとわかりません。まずは様々なツールを試してみて、過度にツールに頼らずにファンダメンタルズを分析できるようにすることが大切です。

実践!ファンダメンタルまとめ

それでは、ファンダメンタルズ分析を実践するために必要なことについて例を用いて説明していきます。

実践!ファンダメンタルズ分析:株式投資における実例

株式投資においてファンダメンタルズ分析は欠かせません。しかし、ファンダメンタルズ分析で用いられる指標には様々な指標があるので、自分の投資スタイルに合わせた指標を使って投資判断することが大切です。

その中でも株式投資で重要視される代表的指標にROEがあります。ROEは株主資本を使ってどれくらい効率的に利益を上げることができたかを示すための指標です。株主資本をどれくらい効率的に利用できているかを知れば、企業経営がどれくらい効率的に行われているかを知ることができます。

ROEは主に国外の投資家において重要視される指標でしたが、最近では日本においても重要視されてきています。ROEは証券取引所に上場している企業であれば決算短信で毎年のものが公表されています。自分でわざわざ計算せずとも利用できるので便利です。

ROEが高い企業ほど株主資本を効率的に運用して利益を獲得している企業であると判断できるので、今後も経営状態が悪化することなく続いていくことが予測されます。同じ業界に属するA社とB社を比較する場合、当然ROEが高い企業の方が効率的に株主資本を運用しているということが可能です。

もちろん、ROEは企業経営の一部の側面のみに焦点があてられているので、他の指標と組み合わせて投資判断を行うことが最も効果的です。

実践!ファンダメンタルズ分析:FX投資における実例

FX投資においてもファンダメンタルズ分析は非常に重要です。FX投資におけるファンダメンタルズ分析における代表的な指標は米雇用統計です。米雇用統計は米国雇用に関わる経済指標の複合体を意味しています。

この雇用統計の結果次第で為替トレンドが決まることもあるので、FX投資をする方であれば必ず知っておかなければなりません。世界の経済大国であるアメリカの景気が悪くなると世界中の企業や国にも悪影響が出るからです。

雇用が安定しないと消費が少なくなり、景気が低迷してしまいます。国の景気が悪くなると景気回復のための金融政策が実行されるので、米雇用統計は金融政策のトリガーともなるものです。

そのため、米雇用統計をみて、前月よりも悪い結果が示されていれば、景気が悪化傾向にある可能性がありますし、逆に上向いていれば景気が上向いている可能性があることになります。

実践!ファンダメンタルの手法:テクニカル分析とどちらを重視する?

投資判断を行うためには、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も非常に重要です。どちらの方を重視して投資判断を行うかは究極的には投資家の投資スタイルによって異なります。テクニカル分析はチャートを分析することで投資判断を行います。

チャートは企業それぞれの状況を反映したものであるというよりも、多くの企業の平均的な動向を示したものです。そのため、大きな流れをつかむのには適していますが、個別の企業や国のことについてはわかりません。

個別の企業や国ごとの動向をつかむためには、ファンダメンタルズを重視した投資判断が必要となります。どちらの分析手法も一長一短であるため、自分の投資スタイルに合った方法を使うことが重要です。

ファンダメンタルの関連用語とは

最後にファンダメンタルズと関連する用語について解説していきます。

ファンダメンタルの関連用語①「ウォーレン・バフェット」

ウォーレン・バフェット氏はアメリカの有名な投資家です。世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めている人物です。その純資産は840億ドル(約8兆8000億円)を超えるとも言われています。

ファンダメンタルの関連用語②「割安株(バリュー株)」

割安株(バリュー株)とは、ファンダメンタルズ分析の結果、会社の利益や資産に対しての評価が株価に反映されておらず、株価が低い状態の株式であると判断することができます。割安株を探してその株に投資する手法はバリュー株投資と呼ばれます。

ファンダメンタルの関連用語③「成長株(グロース株)」

成長株(グロース株)とは、株価も高く評価されており、かつ、まだまだ成長が見込める株式のことを言います。

成長株と呼ばれる銘柄は、売上高や経常利益などが年々大きく増加している銘柄です。今後もさらに業績は良くなっていくことが予想され、最先端の技術を持つ企業や、流行の業種の企業であることが特徴となります。

ファンダメンタルの関連用語④「コンセンサス予想」

コンセンサス予想とは、その時点における証券アナリスト、エコノミスト、その他の市場参加者の期待を示す指標です。

ただし、コンセンサス予想は、全員の意見・予想をすり合わせて一致したものを出すわけではなく、予想の平均値ない最頻値を提示したものに過ぎないので、常に正しいわけではないことに注意が必要です。

まとめ

正確に投資判断を行うためには、きちんとファンダメンタルズ分析ができるようになる必要があります。ファンダメンタルズ分析で活用される指標には様々な指標があるので、それぞれの指標の意味をきちんと理解する必要があります。

ファンダメンタルズ分析においては一つの指標を活用するのではなく、複数の指標を組み合わせて投資判断をすることが重要です。現在の財務情報や株価が常に正しいわけではないので、その点をきちんと考慮した上で、ファンダメンタルズ分析を行う必要があります。

まずはファンダメンタルズ分析の基礎をきちんと理解して、投資判断に活かせるようにすることが大切です。