不動産投資の利回りって実際どれくらい?最低ラインと理想の推移を完全ガイド!

不動産投資を始める前に知っておいていただきたいのが、利回りの存在です。

どのような投資物件を選ぶべきか判断するためには立地条件や設備仕様などの条件を考慮しなければいけませんが、確実に成功を収めるためには高利回りが期待できる物件を探すことが大切です。

この記事では、不動産投資における重要な指標のひとつである利回りについてわかりやすく紹介しています。

初めて不動産投資にチャレンジしてみようとしている方には重要な内容なので、是非参考にして正しく理解しましょう!

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

不動産投資における「利回り」とは

不動産投資を成功させるために参考にしたい指標が利回りとは、具体的にどのようなものなのか確認してみましょう。

「利回り」とは投資額に対する年間収益の割合

利回りとは、不動産物件に投資した金額と1年間の家賃収入で得られる利益の割合を示す指標です。

利回り = 1年間で得られる収益 ÷ 投資した金額 × 100

この計算式で算出されますので、たとえば1年間の収益が200万円、物件価格が3,000万円の場合は利回りが約6.6%になります。

「利回り」は不動産投資の収益性を判断する基準の一つ

利回りは不動産投資において、収益性を判断するために非常に重要な指標になります。

物件価格 利回り 1年間で得られる収益 物件価格の元を取るまでの年数
3,000万円 5% 150万円 20年
10% 300万円 10年

このように同じ物件価格でも利回りが違うと1年間で得られる収益が全く違うため、最終的に物件の購入価格の元を取れるまでの年数も変わってきます。

不動産投資にかかわる2つの「利回り」

不動産投資における利回りとは、大きく分けると表面利回り実質利回りの2種類があります。

どちらが利回りとして表示されているのかによって投資物件の選び方も変わってくるので、それぞれの違いをしっかり理解しておきましょう。

表面利回り

表面利回り(別名・グロス【gross】利回り)とは、不動産維持に必要な固定資産税などの税金や、維持管理費などの諸経費を一切考慮せず、単純に物件購入価格と1年間の家賃収入で計算するものです。

家賃収入に関しても常に満室状態を想定した数字を使うため、万が一空室になって家賃収入が途絶えた時のことは想定していません。そのため、実際には表面利回りと同じ数値になるとは限らない点に注意が必要です。

不動産の物件探しを店頭やインターネット上で行うと表示されている利回りは、一般的に表面利回りが表示されていることが多いので、あくまでも目安として考えましょう。

実質利回り

実質利回り(別名・ネット【net】利回り)とは、表面利回りでは考慮しない不動産維持に必要な税金、保険料、管理維持費、修繕費などさまざまな諸経費をしっかり考慮したうえで算出します。

実際に不動産投資を行った結果で得られる利回りに近い数値となるので、本格的に物件選びをする際には実質利回りを考慮することが大切です。

なお、諸経費には減価償却費や支払利息は含まないようにして、入居稼働率についてもしっかりチェックすることをおすすめします。

「利回り」を算出する方法

利回りの種類によって算出方法が異なるので、それぞれの計算例を紹介します。同じ物件価格でも、諸経費や空室リスクを考慮した場合では利回りが異なる点に注目してください。

表面利回りを算出する計算式

表面利回り = 1年間の家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

例:3,000万円で購入した物件で1年間の家賃収入が150万円(※)の場合、利回りは5%になります。

※表面利回りを計算する際には入居率100%の場合を考慮した年間の家賃収入額

実質利回りを算出する計算式

実質利回り = (1年間の家賃収入 – 年間に発生する諸経費) ÷ (物件購入価格 + 物件購入時の諸経費) × 100

例:3,000万円の物件を購入し、登記費用などの諸費用で50万円かかった。1年間の家賃収入が150万円で、維持管理費や税金、修繕費などの諸費用が30万円かかった場合、利回りは3.9%になります。

実質利回りを計算する際には、運用に必要な1年間の諸経費と、物件購入時にかかった諸経費についてもしっかり考慮するため、実際に運用した時に近い指標になりますが、万が一空室が発生した場合を考慮していないため、より正確な指標を算出する場合は以下の計算式を参考にしてください。

空室リスクを考慮した場合の計算式

空室率は物件の立地条件によっても異なり、利便性の良い場所にある物件は空室率が低めで、郊外で利便性があまり良くない場所にある物件は空室率が高めになる可能性があります。

年間の空室率 = (空室部屋数 × 空室日数) ÷ (物件の全部屋数 × 365)× 100

例:10室のうち、2室が30日間、1室が40日間空室だった場合の空室率は2.7%になるので、入居率は97.3%になります。

入居率が算出できたら、1年間の家賃収入にかけて利回りを計算します。

空室リスクを考慮した実質利回り = (1年間の家賃収入 × 入居率 – 年間に発生する諸経費) ÷ (物件購入価格 + 物件購入時の諸経費)× 100

例:3,000万円の物件を購入し、登記費用などの諸費用で50万円かかった。1年間の家賃収入が150万円で、入居率90%、維持管理費や税金、修繕費などの諸費用が30万円かかった場合、利回りは3.4%になります。

不動産投資の利回り相場

不動産投資における利回り相場は実際のところどのくらいなのか、各都市の状況を調べてみました。

不動産投資家調査(日本不動産研究所・2019年4月現在)
立地条件(ワンルーム) 期待利回り
東京都城南地区(目黒区、世田谷区) 4.3%
東京都城東地区(墨田区、江東区) 4.5%
横浜 5.0%
名古屋 5.1%
さいたま、京都、神戸、福岡 5.2%
千葉 5.3%
札幌、仙台 5.5%
広島 5.8%

このように、東京よりも地方都市の期待利回りが1%前後高い結果になっています。

利回りを活用する際の注意点

不動産投資の物件選びで利回りを参考にする際には、いくつか注意しなければいけない点があります。

高利回りの落とし穴に注意する

各都市の利回り相場を調査した結果からわかるように、地方都市は東京よりも利回りが良いのですが、この結果だけを見て単純に「不動産投資をするなら東京よりも地方都市の方が儲かる」と考えるのはNGです。

地方都市は東京よりも家賃が安いため、敷金も安く設定されていますが、入居者が退去した際に大がかりな改装が必要になると敷金だけでは足りなくて改装費がかさむ傾向があります。

また、首都圏に人口が集中して地方都市の人口が減るほど、空室リスクが高くなる可能性もあるため、数年~数十年後には思っていたほどの利回りが期待できないケースも考えられるのです。

このような現状からもわかるように、高利回りの物件は資産価値が低い可能性があります。

資産価値が低いと物件購入価格も安くなるため、利回りも高めの数値で算出されますが、物件価格が安いのは空室リスクが高い可能性があるなどの理由が潜んでいることも忘れないでください。

経年による利回り低下に注意する

実質利回りの計算方法で紹介したように、1年間の家賃収入に対する利回りだけを考慮するのではなく、運用するにあたって必要な諸経費を計上することを忘れてはいけません。

購入する物件が新しいうちは修繕費がほとんどかかりませんが、数年・数十年後には老朽化に伴いあちこちの修繕が必要になって費用がかさみます。

また、「同じ家賃を支払うならキレイな物件が良い」と考える人も多いため、物件が古くなるほどニーズが落ち込んで空室リスクが高まるため、家賃の値下げに踏み切る例も少なくありません。

このように経年に伴う利回りの低下に関しても考慮しておく必要があるので、購入当初の実質利回りだけでなく数年後の実質利回りについても考えてみる必要があります。

利回りはあくまでも目安にすぎないと認識する

利回りは空室リスクや経年劣化などの影響など、さまざまな理由で当初見込んだ利回りよりも下回る可能性があると考えた方が良いでしょう。

あくまでも利回りは目安として考えておき、この先不動産投資を続けるにあたってどんなリスクが発生する可能性があるのかも考えて購入物件を慎重に選ぶことが大切です。

高利回りの物件を見つけてラッキー!と飛びつかず、どんなリスクが考えられるのだろうか?と冷静になって考えてみましょう。

不動産投資用物件を選ぶ際のポイント

不動産投資用の物件を選ぶ際には利回りを参考にするべきですが、他にも参考にしなければいけないことはたくさんあります。

利回り以外にも特に重要視していただきたいポイントを紹介します。

物件のエリアの賃貸需要があるかどうか

不動産投資を成功させるためには入居率100%を目指したいので、物件エリア内の賃貸需要についてしっかりリサーチする必要があります。

都心から近い、または駅から近いエリアは利便性の良さから需要が高く、企業や学校が集中しているエリアは入居者の入れ替えも多いと考えられるので需要が高いと考えられます。

ただし、数年後には当初見込んでいたほどの需要がなくなってしまう可能性もあるので注意しましょう。

たとえば、大学の近くにある物件は学生の入居者が期待できることから購入したのに、少子化の影響で閉校してしまい、学生の入居者がいなくなってしまった……という失敗例もあるので、一つのターゲットだけに絞り込まないように気をつけてください。

築年数はどのくらいか

中古物件を購入する際には初期費用が安くて利回りが高いため魅力に感じられるかもしれませんが、築年数が古くなるほど維持費が高くなったり、入居者が退去しても新しい入居者が見つからずに入居率が下がる可能性に注意が必要です。

新築物件は購入時の初期費用は高いですが、中古物件よりも耐用年数が長いため維持費や入居率のバランスが良く、長い目で見ると安定した家賃収入を得られる可能性が高いと考えられます。

もちろん、中古でも良い条件の物件がたくさんありますので、築年数があまり古すぎず、入居者のニーズがあるかをよく確認してみましょう。

不動産投資の利回りを理解して良い物件を選ぼう

不動産投資用の物件を選ぶ際には、空室リスクまで考慮した実質利回りを考慮しなければいけませんが、運用中にさまざまな影響で利回りが低下するおそれもあるので、あくまでも目安として考えましょう。

利回りの高さは魅力に感じられるかもしれませんが、利回りの数値だけで判断するのではなく、入居者の需要やこの先必要な諸経費などの条件についてもしっかり検討することが大切です。

不動産投資用物件は焦らず慎重に選ぶことが大切なので、利回りを含めた条件を比較しながらご検討ください。

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