株式投資をはじめ、さまざまな投資において登場する用語が「上値」。すでにわかっていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は正確な意味については把握できていないことも。
「上値」についてしっかり理解すると、将来の値動き予測ができるようになったり、売り買いのポイントがわかるようになりトレードにおいて非常に有用。
今回はそのような「上値」、また対義語の「下値」について解説いたします。
こうした基本的な知識ほどちゃんと押さえておくことが重要。トレーダーとしてレベルアップしていくためにも、是非とも今回の記事で頭に入れておいてくださいね。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
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「上値」「下値」とは
まずは「上値」・「下値」の正しい意味について確認し、なぜこうした用語が重要であるかについても理解しておきましょう。
「上値」とは現在の水準より上の値段のこと
現在の水準より上の値段を「上値(うわね)」と言います。言い換えれば、現在の株価位置よりもさらに高い株価のことを指しています。
投資スタイルによっても、意識される「上値」の位置は異なっているのが一般的。例えば”デイトレード”や”スイングトレード”では数日間~数週間単位で見た高値圏、”長期投資”では数ヵ月~数年単位で見た高値圏を上値とすることが主となります。
「下値」とは現在の水準より下の値段のこと
逆に、現在の水準より下の値段を「下値(したね)」と言います。つまりは、現在の株価位置よりもさらに安い株価のことを指しているのですね。
上値と同じく、投資スタイルによって意識される「下値」の位置も変わってきます。
トレードの上下を捉えられることが大切
当然ながらトレードにおいては”安く買って高く売る”ことが重要となってくるため、こうした「上値」「下値」という用語も頻繁に使われるのですね。
言わば、できるだけ下値で買い付けを行い、できるだけ上値での売却ができればそのトレードは上手くいったと考えることができるでしょう。
このように上下を捉えながらトレードを行うことは、上達する上でも非常に大切。上手く利益を出しやすくなりますし、株の流れを読めるようになることにも繋がりますよ。
上値・下値を使用した用語・文章を解説
ここからは株式ニュースなどで頻繁に耳にすることのある、「上値」「下値」を使用した用語や文章について解説いたします。
上値追い・下値追い
「上値追い」とは上昇の勢いがある銘柄が、さらなる高値を追いかけるように一段と買いが盛んになり、引き続き値上がりしていく様を指します。
上値追いの時にはローソク足を見ても陽線が連続するように株価の値上がりが続き、勢いよく上昇する状態が見て取れるでしょう。
一方「下値追い」とは下落の勢いがある銘柄が、さらなる下値へ落ち込んでいくように一段と売りが盛んになり、引き続き値下がりしていく様を指します。
悪材料が発表されたり、短期間に株価が上がりすぎた銘柄では、その後こうした下値追いで何日も連続で陰線を付けることが珍しくありませんので注意しておきたいところです。
上値が重い・下値が堅い
「上値が重い」とは、株価が上がりそうでなかなか上がらない状況のことを指します。
その理由としては、国際情勢や為替面に不安要因があったり、”夏枯れ相場”など薄商いの時期、他のセクターに相場の資金が集中している、などさまざま。
つまりは、積極的に現在より高い値段で買うのは躊躇してしまう投資家心理が働いていると言えます。
対して「下値が堅い」とは、株価が下がりそうでなかなか下がらない状況のこと。悪材料などで大量の売り注文が入っていたとしても、これをチャンスと見て買い注文を入れる投資家が多く現れれば株価は下がりにくく、下値が堅い相場となります。
上値を残す・下値を残す
「上値を残す」とは株価が値上がりした後で、まだこの先に株価の上がる余地がある場合を指します。こうした状況の銘柄があれば、エントリーチャンスとして積極的に狙っていくのもおすすめ。
「下値を残す」とは相場が値下がりした後で、まだ下がる余地を残した状態を指します。損切りの判断や底打ち買いを考えている場合などには、この先にまだ下値を残しているか見極めることが大切なのですね。
上値に乏しい・下値に乏しい
「上値に乏しい」とは相場が上げ止まり、これ以上高くなることが期待できそうにない状態を指します。
このように上値が乏しくなった時は、そこが天井となり下落トレンドへ転換してしまう可能性もありますので、エントリーしている場合は一旦撤退しておくのが無難と考えられます。
「下値に乏しい」とは下げ相場で売りが一巡し、これ以上あまり下がる余地がないことを指します。底打ち狙いでエントリーしようと考えるなら、このように下値に乏しくなったタイミングを見計らうと良いでしょう。
上値にしこりがある
「上値にしこりがある」とは、以前に急激な値下がりがあった場合など、損切りをせず高値掴みをしたままで株式を保有している投資家が多くいる状態を指します。
このように高値掴みの株式を持ったままの投資家が多いと、たとえ株価が値上がりしても慌てて彼らが損切りをしようと売り注文が殺到するため、なかなか株価が現時点より上の水準へと上昇できないのですね。
ちなみに、こうした高値掴みの株式を総称して「しこり玉」とも呼ぶこともあります。
上値切り下げ
「上値切り下げ」とは、株価における直近の高値が、以前の高値よりも安い位置にある状態のことを指します。つまりは以前の高値から一旦下落を経て再び上昇したものの、前よりも買いに勢いがない状態というところでしょうか。
このように「上値切り下げ」が起きてくると、売り圧力の強い下降トレンドへと突入する場合も多くあります。
「上値抵抗線」「下値抵抗線」について解説
上値・下値をライン化したものとして、「上値抵抗線」「下値抵抗線」があります。これらを知っておくと格段にトレードがやりやすくなりますので、ぜひとも押さえておきましょう。
上値抵抗線と下値抵抗線とは
「上値抵抗線」「下値抵抗線」とは、それぞれどのようなものなのでしょうか。
ここでは、それらの意味について学んでいきましょう。
上値抵抗線とは上値が抑えられる位置のこと
「上値抵抗線」とは、その位置まで株価が上昇すると、買いの勢いが弱まり上値が抑えられるラインのこと。別名、「上値支持線(レジスタンスライン)」とも呼ばれます。
主に、チャート上で過去の高値と高値を結んだラインのことを指す場合が多く、買いで利益を上げるためにはこの上値抵抗線を突破できるかが大きなカギとなってきます。
下値抵抗線とは下げ止まるか反発する位置のこと
「下値抵抗線」とは、その位置まで株価が下落すると、売りの勢いが弱まり下げ止まるか反発に転じると見られるラインのこと。別名、「下値支持線(サポートライン)」とも言います。
こちらもチャート上で過去の安値と安値を結んだラインのことを指す場合が多く、底打ちのタイミングでエントリーしたいと考えるならばぜひとも意識しておきたいところです。
上値抵抗線と下値抵抗線を見つけられると変動予測ができるようになる
株式の売買で利益を上げるためのテクニックの1つに、「レンジトレード」というものがあります。
これは、上値抵抗線と下値抵抗線との間を株価が行き来する”レンジ相場(=ボックス相場)”となった時に行うトレード手法のこと。上下の抵抗線を売買のエントリーやエグジットの判断材料とし、トレードを行っていくのですね。
レンジトレードでは買いと売りの両方からエントリー可能で、株式市場の上昇局面でも下落局面でも利益を得ることが可能。はっきりとラインがあってわかりやすいため、初心者の方でも比較的行いやすいトレードテクニックとなっています。
予測変動ができるようになると売り買いのポイントが分かる
上値抵抗線・下値抵抗線も活かして株価変動が予測できるようになってくると、売り買いのポイントが分かるようになりトレードの成功率が格段に上がります。
たとえば上昇トレンドである時は、一旦利益確定などで株価の下げる「押し目」を買いポイントとすれば良いでしょう。
また上値抵抗線を抜けた場合にはさらに一段高へと上昇が期待できるので、そこでも買い入れるポイントになります。
空売りで利益を出すならば、下落トレンド時に戻りから再び下落したところを売りポイントとすると良いでしょう。
また直近の下値支持線や安値を下回った場合も、さらに大きく値下がりすることが予測されるので、そこが空売りのポイントになります。
まとめ
今回は「上値・下値」について解説してまいりました。
基本的に”安く買って高く売る”ことが重要となる投資では、今後の値動きを予測するのに欠かせない上値や下値を意識することが必須となるのですね。
また、上値抵抗線・下値抵抗線はトレードのエントリーチャンスを掴む上で非常に有用。是非とも普段のトレードに活用してみてください。
今回のように、基本的な用語も深く掘り下げるとさまざまな発見があります。こうした用語の理解を深め、正確に株の知識を付けていきましょう!
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