株式投資やFXよりも低いリスクで安全に資産を増やせる方法として、人気を集めているのが「投資信託」。
現在はさまざまな証券会社が投資信託の取り扱いを開始しており、投資初心者でも気軽に始めやすくなりました。
商品の選択肢も充実していて、資産も増やしやすいと言われている投資信託ですが、実際のところどれくらい儲けることが可能なのでしょうか?
投資信託に興味を持たれている方ならば、このような疑問を浮かべたことがきっとあるはずです。
そこでこの記事では、投資信託の根本的な仕組みの解説を通じて、その疑問にお答えします。
覚えておくべき注意点はもちろん、応用編として商品選びのポイントや儲けるコツもご紹介しますので、そちらもぜひ参考にしてください。
この記事で投資信託の基本をマスターし、新たな資産運用を始める第一歩としていただければ幸いです。
この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希 | |
プロフィール・所持資格 | 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。 |
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そもそも投資信託は本当に儲かる?
投資初心者であれば、「そもそも投資信託って本当に儲かるの?」といった疑問を浮かべることでしょう。
それもそのはず、仕組みやコツをどれだけ学んだとしても実際に利益を出せないのなら、お金と時間の無駄となってしまいます。
仕組みを解説する前にそこの結論から申し上げますが、投資信託で儲けることは誰にでも可能です。
ただ、投資信託への知識が浅い状態で取り組むと損失を被ってしまう可能性が高まってしまうため、しっかり学ばなければなりません。
投資信託はその性質上、しっかり儲けるためには長期的な運用が大前提となります。
株式投資やFXとは違って、短期で大きく稼げるような仕組みにはなっていないので、これを期待している方にとっては「投資信託は儲からない」といえるかもしれません。
ともかく、投資信託で確実に儲けるためには、
- どのくらいのお金を
- どのタイミングで
- どこの運用会社へ
- いつまで預けるのか
この4点を意識したうえで、長期的な運用をすることが必須です。
投資信託とはあくまで長期で運用すべきものであり、一発逆転を狙える仕組みにはなっていないことをまず理解しておきましょう。
どのように儲かる?投資信託の仕組みとは
投資で儲けるためには、仕組みを把握しておかないことには始まりません。
もちろん投資信託においても、しっかりと知っておく必要があります。
こちらでは、投資信託とはどういった流れで儲けるのか、その仕組みを詳しく解説します。
投資家たちのお金で専門家が投資を行う
投資信託とは、多くの投資家から預けられたお金を運用会社がまとめ、それをもとに投資の専門家こと「ファンドマネージャー」が株や債券など複数の商品へ投資・運用する金融商品です。
この投資・運用が成功した際は、それによって得た利益を投資額に応じて分配し、投資家は収益として受け取る仕組みとなっています。
「自分で株式投資をするのとなにが違うの?」と思われた方もいるかもしれませんが、投資信託の強みは投資のプロに運用を代わってもらえる点にあります。
通常、株式投資を経て自力で稼ぐとなると相当の勉強が求められるところを、投資信託ならほぼすべての流れをプロに任せられるのです。
難易度の高いトレードもファンドマネージャーが行なってくれるため、投資初心者にとっては期待度の高い投資となっています。
投資経験がまったくなくても気軽に利用できるのが大きなメリットです。
投資信託で得られる利益は主に2種類ある
投資信託において得られる利益は、主に「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。
単語だけ見るとなんだか複雑に感じますが、覚えてしまえば簡単ですのでご安心ください。
インカムゲインは保有資産が生む利益
「インカムゲイン(運用益)」とは、資産を保有することで安定的かつ継続的に受け取れる利益を指します。
信託商品を保有していることで、ファンドマネージャーが運用で出した利益を”分配金”として獲得でき、これがインカムゲインに該当します。
インカムゲインは月1回~年1回の頻度で受け取れるもので、銀行預金から得られる利息と見かけは似ていますが、これらを混同してはいけません。
というのも、銀行預金の利息は確実に受け取れる一方で、投資信託の分配金額はファンドマネージャーの運用次第で大きく変わる場合があるのです。
運用する人が自分ではないというだけで、根本の流れは株式投資とほとんど変わりません。
大きく得をすることがあれば、その逆もあり、つまり受け取れる分配金額も変わるということです。
投資信託には2種類の利益があるとお話ししましたが、実際はこちらのインカムゲインが大半の収益源となりますので、ぜひ覚えておきましょう。
キャピタルゲインは資産売却で得られる利益
「キャピタルゲイン(譲渡益)」とは、保有している資産の価格が上がったとき、それを売却することで得られる収益です。
実は投資信託においても、株式などと同じく売却することでキャピタルゲインを受け取れるケースがあります。
ただし注意点として、投資信託の売却には”ブラインド方式”というルールが存在します。
このルールにより、投資家はその時の基準価額(投資信託の値段)がわかりません。
加えて解約手数料もいざ解約するまでわからなかったり、その他の手続きが面倒だったりという制限もあります。
ゆえに、投資信託でキャピタルゲインを狙うのはあまり向いていないといえます。
あまり踏み込みすぎると投機となりかねませんので、キャピタルゲインを期待するのはほどほどにしておきましょう。
投資信託は「解約」できる
解約と聞くと、携帯電話やクレジットカードなどのそれを思い浮かべた方が多いかもしれませんね。
投資信託における解約とは、投資先の会社に請求を行うことで、全体の運用金から切り崩したお金を受け取ることをいいます。
すなわち「売却・換金」であり、解約は原則的にいつでも行えるようになっています。
ただし、一部の投資信託は「クローズド期間」という間が存在し、期間中は解約ができません。
投資信託を始めたばかりの時に解約請求が多くなると想定通りの運用ができなくなることから、クローズド期間はこの問題を防ぐために設けられました。
投資信託で掛かる3種類の手数料も覚えておこう
投資信託を利用する際は、以下3種類の手数料が発生します。
- 購入手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
「購入手数料」とは、投資信託を購入する際に一度だけ発生するコストのことです。
「信託報酬」は、投資信託を保有している間は継続して発生するコストで、運用会社へ支払うものです。
「信託財産留保額」は解約の際に一度だけ発生するコストです。
他のサービスに言い換えるならば、購入手数料は「入会金」、信託報酬は「月謝や年会費など」、信託財産留保額は「解約手数料」となります。
儲かるための投資信託を選ぶポイント
投資信託はさまざまな運用会社があるため、いかに良質なところを選べるかが儲けるためのカギと言っても過言ではありません。
それでは、儲けられる投資信託を選ぶポイントについて見ていきましょう。
購入手数料が掛からない
「購入手数料」とは先述したとおり、投資信託を購入する際に一度だけ発生するコストのことです。
運用会社ごとに購入手数料は異なりますが、一般的に3%前後に設定しているところがほとんどです。
投資信託においては数十万~数百万もの大金を運用する場合があり、そうなると購入手数料だけで数万円以上も掛かることになります。
「たかが3%前後」と思っていると、思わぬ出費を強いられる可能性があるため注意してください。
ですが、中には購入手数料が発生しない投資信託も存在します。
それは「ノーロード型投資信託」というもので、ネット証券会社のほとんどはノーロード型を採用しています。
高額運用をしたいとなると購入手数料がネックとなりやすい中、ノーロード型投資信託であれば無料にできるのは大きなメリットです。
ただ、その代わりに信託報酬が従来より高く設定されていることがあります。
つまり他のコストが高いと、運用結果が良くなかった場合にトータルで損をすることになりかねません。
複数のノーロード型投資信託から1つを選ぶのであれば、信託報酬と信託財産留保額はかならず事前に比較しておきましょう。
信託報酬の低さ
先ほども述べた「信託報酬」は投資信託の運営者に支払う報酬のことで、投資信託を保有している間は継続して発生する仕組みになっています。
購入手数料が抱える問題はノーロード型投資信託を選ぶことで避けられますので、実質的に重要視するべきポイントは「信託報酬の低さ」となります。
信託報酬は継続的にかかる費用なので、ここを抑えられるのであればそうするに越したことはありません。
信託報酬が高いと、たとえ利益を上げた場合でも実際に得られるお金は大きく目減りしてしまうケースもあるため、やはり慎重に選びたいところです。
信託報酬は年1~2%程度の商品が多いのですが、中には年3%を超える高い商品から、逆に年0.5%を下回る低い商品などさまざま。
投資信託の利回りや、短期・長期といった投資期間などの面も考慮して検討するのがおすすめですよ。
インデックス型かバランス型の運用タイプがおすすめ
投資信託の運用タイプは、大きく以下の3つに分類されます。
- 「インデックスファンド」:日経平均株価や、東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動して資産運用を行うタイプ。
- 「アクティブファンド」:インデックスファンドよりも高い利益を出すために、個別銘柄などにも積極的に資産運用をするタイプ。
- 「バランスファンド」:1つの商品で、全世界の株式・債券・REITなどにバランスよく投資を行うタイプ。
ここで、安定した資産運用で利益を上げたいと思うなら、「インデックスファンド」か「バランスファンド」を選ぶのがおすすめです。
インデックスファンドは指数の動きが連動していることから値動きがわかりやすいため、初心者でも投資がしやすくなります。
バランスファンドは本来ひとつであればリスクの高い商品たちを、複数にまとめてから運用することでリスク分散ができるため、こちらもおすすめとなっています。
アクティブファンドについては、インデックスファンドよりも柔軟な運用ができる代わりにコストは高い場合が多いです。
また、リスクの大きい商品を取ることも多いため、堅実に儲けたい方にはやや不向きといえるでしょう。
運用期間の期限が無い
投資信託には運用期間(償還日)が定められているものもあります。
こうした商品はその期間を過ぎると、その時点で運用を終えてしまうため、知らぬ間に最終損益が確定していた…などというケースに陥ってしまう場合も。
たとえば一時的な下落時に運用期間を迎えると、これから値上がりする可能性があるにも関わらず、損失が強制的に確定してしまうことがあります。
以降も下がり続けたのであれば結果的に損を抑えられたとも考えられますが、長期的な運用ができないことを思うとデメリットが目立ちます。
長期保有を第一とするなら、運用機関の期限がない投資信託を選びましょう。
無期限の投資信託を利用することで長期的な運用が可能になり、もし途中で利益が出ていればそのタイミングで解約して利益を得るといった動きもできるようになります。
毎月分配型の投資信託は避ける
一般的に投資信託は、決算日後に分配金を受け取ることができるようになっています。
ですが分配方針は投資信託ごとに異なり、中にはより多く分配を行っているものも。
以下に分配方針の一例を上げてみました。
- 「年1回配当」年に1回分配金が支払われる
- 「毎月分配型」毎月分配金が支払われる
- 「無分配型」分配金がないもの
これを見ると「毎月分配型」が一番お得なように感じられるかもしれません。
しかし、投資信託は分配金を支払った分だけ基準価額が下がり、運用に回せる資金が減るといった面があるのです。
投資信託の分配金は「普通分配金」と「元本払戻金」の2種類に分かれており、その時の運用結果によってどちらの分配金を出すかが決まります。
運用結果が良ければ普通分配金が、悪ければ元本払戻金が出されます。
普通分配金は純粋にボーナス的なものですので良いのですが、元本払戻金は元本の一部を削って出されるものです。
つまり、もともと積み立てていたお金が戻ってくるだけですので、プラスになるわけではありません。
この時点ならそれほど問題にはなりませんが、元本払戻金の厄介なところはそのあとの運用にあります。
元本払戻金に潜む罠
たとえば元本が10,000円だとして、Aの投資信託は10,000円のままで運用、Bの投資信託は途中で2,000円の元本払戻金を出して8,000円で運用したとしましょう。
そのあとに20%もの上昇が起こった場合、Aの投資信託は元本が12,000円となる一方で、Bの投資信託は9,600円にしかなりません。
それぞれの増えた額を見るとAの投資信託は+2,000円、対するBの投資信託は+1,600円と、400円もの差がついてしまっています。
これは長い目で見ると致命的な機会損失となりうるため、分配金を受け取らずにその分を運用に回した方が投資元本を増やせるのです。
さらに言えば複利効果が高まり、投資効率を上げられるようにもなります。
一方の「毎月分配型」は複利効果が得られず、普通分配金をもらえたとしても額が中途半端であれば、最終的に税金だけが増えるなどということも。
先述した機会損失と合わせて考えると、どうしてもデメリットが目立ってしまうのですね。
特に、長期運用の場合はロスが大きくなってしまいがちですので、できるだけ避けるようにしましょう。
投資信託で儲けるコツ
投資信託における資産運用の基本は「長期投資・分散投資・積立投資」の3点とされています。
それぞれについては以下のとおりです。
◯長期投資:購入した後、10年、20年などの長い間持ち続けること
→長期投資はインカムゲインによる収入を得られる
◯積立投資:毎月1万円を機械的に投資するなど、コツコツと継続的に投資すること
→積立投資はいっぺんに買うよりも平均購入単価を下げられる
◯分散投資:日本の株だけでなく、アメリカの不動産やインドの債券など、投資対象をさまざまな国や資産に分けて投資すること。
→分散投資はリスクを軽減しつつ高い利益を期待できる
これらの方法を実践することで、目先の値動きの影響を受けにくくなります。
このように予算や投資対象を決め、最適なバランスを考えることを「ポートフォリオ」といいます。
自身に合ったポートフォリオを作り、それに従うことで余計な損失を抑えつつ、より大きな利益を出せる可能性も高めることができるのです。
投資信託でしっかり儲けるためには、この基本をしっかり押さえておくことが何よりのコツと言っても過言ではありません。
なお、以上のことは他の投資においても同じことがいえます。
リスク分散を徹底するほど安全な投資を実現できるようになりますので、優先度を高く設定して取り組みたいところですね。
投資信託に関する注意点
投資信託は株式投資に比べるとシンプルですが、初心者が陥りやすいとされる注意点がいくつかあります。
最後にそれらを把握し、不向きな投資信託を選んでしまう可能性を前もって潰しておきましょう。
人気ランキングを鵜呑みにしない
これから始める方がどの投資信託を選ぼうか検討する際、まず参考にするのが商品の「人気ランキング」ではないでしょうか。
ランキング上位の商品であれば、それだけ投資している人数が多いわけですから、利益を得やすいと感じられるかもしれません。
ですが実のところ、人気ランキングを鵜呑みにするのは禁物です。
こうしたランキングには、その時々で一時的に話題になった商品が上位に来ることが多く、必ずしも優れた商品が反映されるというわけではありません。
ランキングは参考程度に見て、必要以上に頼るのは控えたほうが安全です。
自身の求めている条件はなにかをよく考え、そのうえでどの投資信託がベストかを判断してください。
短期の利回りだけで判断しない
「利回り」とは投資金額に対し、ある一定の期間に得た利益がどれくらいの割合であるかを表す指標のことです。
投資信託では基本的にこの利回りを使って、商品の紹介がなされるようになっています。
そこで注意したいのが、「短期の利回りだけで判断しない」こと。
というのも、短期的に高い利回りが出る商品だったとして、長期スパンとなった場合もその利回りを維持できる保証はないからです。
投資信託は長期の運用が好ましいため、直近のリターンの高さだけで商品を判断してしまうと、想定を下回る結果を生むリスクが出てきます。
利回りを見る際は短期だけに絞らず、かならず長期も見て総合的な判断をしましょう。
まとめ
今回は投資信託で儲けることはできるのか、基本的な仕組みから効果的な投資信託選びのポイントといったことも踏まえて解説いたしました。
解説した内容のうち、投資初心者から見てとくに重要なのは以下になります。
【投資信託まとめ】
・購入手数料をカットするならノーロード型投資信託。
代わりに信託報酬が高くなりがちなので合わせてチェック・運用タイプはインデックスファンドかバランスファンドがおすすめ。
アクティブファンドは安全な資産運用を望む人には不向き・運用期間が設定されている投資信託を選ぶと長期的な運用がしづらくなるため注意。
無期限の投資信託を選ぶのが無難・自分用のポートフォリオを作り、それにならった運用を心がける
・投資信託はプロのファンドマネージャーに運用を任せられる金融商品!
以上を踏まえて臨めば、大小はあれど儲けることはむずかしくありません。
ただ、しつこいようですが投資信託は長期運用が前提となるため、儲けるためにはコツコツと時間をかけて取り組むことが不可欠です。
自分に合った投資信託を見つけて、収入をどんどん上乗せしていきましょう。
この記事が、あなたの生活を豊かにするきっかけとなれば幸いです。
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