GDP(国内総生産)とは何?日本のGDPと株価との関係、実質GDPと名目GDPの違いを徹底解説!

将来のために資産運用をするのならば、現在の経済がどのような状況かを把握しておくことは欠かせません。

そのような時に役立つ指標が「GDP」です。

学生の頃などに学んだことはあっても、どういったものなのか忘れてしまったという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、この「GDP」についてわかりやすく解説してまいります。

基本的な「GDP」の意味から、株価の指標としてどう使われるのか、さらには株を売買するときの判断基準として活用できる方法までご紹介いたします。

GDPについて復習したい方や、今後の投資に活かしたいという方は、ぜひとも参考にしてみてくださいね。

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

GDPとは国の経済活動の総計

国の経済活動の統計が「GDP」です。

では具体的に、どのような内容を反映しているのでしょうか?

GDPとして勘定されるもの

「GDP(=Gross Domestic Product)」とは、国内総生産のことを指します。

国内総生産とは、言わば国内に在住している人々により、1年間で新たに生み出された商品やサービスの付加価値です。

日本企業が海外で生産したモノやサービスなどはGDPに勘定されないので、混同しないよう注意しましょう。

ちなみに、国内・海外での生産分も含んだ指標については”GNP(国民総生産)”となります。

GDPはこのうち、国内での生産分に限定した指標といったところですね。

GDPは名目と実質の2種類が存在

GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2種類が存在します。

・名目GDP:統計を集計した時の市場価格を、そのまま反映したもの
・実質GDP:名目GDPから、物価の変動を差し引いたもの

市場価格がそのまま反映されるため生活感覚に近い名目GDPと、より実体経済を表している実質GDP。

GDPを見る際には、この両者を合わせて見ることが大切になります。

GDPが発表される時期と時間帯

GDPは、1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期といったように、四半期ごとに発表されます。

具体的な公表予定時については内閣府より、事前に発表される仕組みです。

ですが、基本的に公表時刻は8時50分となっており、9時に始まる株式投資などではその日の地合いに大きく影響することがしばしば。

同じ時期のGDPでも速報性の高い「1次速報」と、正確さの高い「2次速報」があり、発表の間隔は半月以上となっています。

GDPの変化率から経済の成長を判断

GDPの変化率を見ることで、その国の経済の成長を簡単に判断することができます。

内閣府のホームページなどには、過去数年間から現在に至るまでの推移がグラフとして公表されているので、そちらを参照するのが好ましいでしょう。

特に気にしておきたいのが前年比で、これがプラスなら経済が成長している、横ばい、またはマイナスなら、経済の成長が止まっていると考えることができます。

GDPの変化率が前年比でプラスが続いているならば、多くの企業業績も好調であるため、株価も上がっていくことが期待できますよ。

日本のGDPの成長推移

【画像出典:世界経済のネタ帳

これまでにおける日本のGDPの成長推移についても大まかに振り返っておくと、右肩上がりだった1980年~1990年に比べて、1990年以降は成長が鈍化。

そこから00年代は横ばいを続けるものの、2008年のリーマンショック発生から2011年の東日本発生前後までは大きく下落しました。

その後、アベノミクスのように景気改善策が打たれたこともあり、再び現在まで緩やかに成長を続けているといったところになります。

直近の年次成長率を見ると、2018年比で2019年の名目GDPは0.1%プラス。

わずかながら、成長は続いているようですね。

GDPで判断できることの限界点

国を判断する上で非常に有用な指標であるGDPですが、必ずしもこれだけで全てが決まるわけではないことに注意してください。

国民にとって経済成長と同じ、もしくはそれ以上に重要なこととして「幸福度」がありますが、実はGDPの上昇と幸福度はイコールではないのです。

確かに、経済が成長すればモノやサービスも充実し、暮らしは便利になりますが、同時に急激な工業化などで環境破壊や健康被害を引き起こすことも。

そこで現在はGDPよりも総合的に国の発展を判断できる、「IWI(インクルーシブ・ウェルス指数)」のような新たな指標の試みもなされています。

GDPの発表と株価への影響

GDPの発表があると、株価にも大きく影響します。

ここでは、その理由について詳しく解説いたします。

発表直後の株価は荒い値動き

先ほども述べた通り、GDOの発表時刻は8:50であるため、9:00に始まる株式投資には大きな影響を与えます。

予想外な結果が出れば、一時的に大きく株価が上昇・下落するでしょう。

しかし発表時刻が10分前とギリギリのタイミングであるため、取引開始直後はGDPの数字だけで条件反射的に反応していることも。

しばらく経って数字の中身が精査されると、徐々に値動きが収束していくケースもよく見られます。

日経平均株価とGDPに明確な相関はない

経済における重要指標である「日経平均株価」と「GDP」ですが、実はこの両者に明確な相関関係はありません。

GDPの数値が日経平均にもたらす影響はありますが、株価はその他の要因(金利や為替レート、海外の景気)なども含めて総合的に判断されるようになっています。

ですので、GDPの成長率がプラスだったとしても、株価が上がる保証はありません。

株式投資の際は好調なGDPが出ても、慌てて買い注文を入れてしまわないよう注意しましょう。

直近でのGDPの発表とエコノミストの判断

では、実際のGDPの数値とエコノミストがどのように判断しているかについても見てみましょう。

現在、2020年2月下旬における直近のGDPは「2019年10~12月期」なのですが、実質GDPで-6.3%と大幅減の結果となっていますね。

エコノミストによれば、昨年10月からの消費増税が大きく影響しているとされています。

さらには、米中貿易摩擦や関東を襲った台風、暖冬による冬物商品の販売不振などが複合的に作用していると判断しているようです。

このように、普段ニュースなどで報道されている出来事がGDPの数値にも大きく影響しているので、日頃から注意深くチェックしていきたいところですね。

株をするなら世界のGDPも把握

株式投資をするのであれば、日本だけでなく世界中のGDPを把握しておくことは不可欠。

では、その見方についてもご紹介いたします。

世界のGDPランキング

世界各国のGDPランキングを見ていきましょう。

ここでは、2018年におけるGDPのランキングの上位10カ国をご紹介いたします。

1位 アメリカ 20,580,250
2位 中国 13,368,073
3位 日本 4,971,767
4位 ドイツ 3,951,340
5位 イギリス 2,828,833
6位 フランス 2,780,152
7位 インド 2,718,732
8位 イタリア 2,075,856
9位 ブラジル 1,867,818
10位 韓国 1,720,489

(単位:百万USドル)

やはりアメリカ・中国の2大大国が1位2位を独占していますが、これに続いて日本も3位と奮闘しています。

その他EU諸国はもちろんですが、インドやブラジルといった新興国もランクインしてきているのにも注目したいところですね。

アメリカと中国のGDP発表時期

アメリカ・中国のGDP発表時期についても確認しておきましょう。

アメリカは四半期終了後の翌月末に発表され、夏時間では日本時間の21時30分、冬時間では22時30分。

中国は四半期終了後の翌月中旬に発表され、基本的には日本時間の11時に発表されます。

世界のGDPの成長率は2019年で3%

IMF(国際通貨基金)によれば、2019年における世界のGDPの成長率は3%。

この3%はリーマンショック以降で最低の成長率であり、世界経済の停滞が懸念されています。

2019年は米中貿易摩擦が本格化していたこともあって、経済規模が大きく、成長率も世界でトップクラスの中国のような国でも鈍化しました。

2020年では新型コロナウイルスによる経済活動への影響もあるため、さらにGDPが悪化していくことも考えたほうが良いかもしれません。

国によってはGDPの偽装も考慮

国家が発表する指標とはいえ、国によってはGDPの偽装を行うこともあり、鵜呑みにできない面もあります。

その傾向が強いのが中国であり、2018年のGDPにおいても本来4.1%のところを6.5%と水増しして発表していたとの調査結果が出ています。

また日本においても統計の取り方の変更で、国が発表したGDPが実情と異なっていたケースがありました。

あまりに世間の予想と異なる結果が出た場合には、一度疑ってみるのが賢明と思われます。

株の取引のためGDPに関わる情報を収集

GDPに関わる情報を収集するには、ちょっとしたコツがあります。

最後にそれについてもご紹介いたしますので、ぜひとも日々の情報収集に活かしてみてください。

過去のデータは国の機関で検索

GDPに関わる、過去のデータについては国の機関のホームページなどで検索することができます。

日本であれば、GDPだけならば「内閣府」の国民経済計算(GDP統計)を参照すると良いでしょう。

その他の統計データも調べるなら、政府統計の総合窓口「e-Stat」がおすすめ。

また、世界各国のGDPを調べるなら、IMFのサイトを参考にしてみてください。

GDPの予想は証券会社の情報を活用

株の取引にGDPを活かすのであれば、結果だけでなく事前にどのような予想がなされていたかが重要となります。

そうしたGDPの予想を見るのであれば、証券会社の情報を活用するのがおすすめ。

各証券会社のエコノミストなどが、国が発表する半月ほど前に予測を発表しています。

こうした情報をあらかじめ押さえておくと、実際の結果がどう株価に影響するかの予想も立てることができますよ。

GDPを上げる取り組みは国の政策を見る

この先GDPが上がっていくかを判断するには、国が行っていく政策を見ると参考になります。

日本や中国、アメリカのような先進国を例に挙げれば、景気改善のために利下げなどの金融緩和や、さまざまな事業支援のような取り組みがあるでしょう。

こうした政策を行うことが報道されただけでも株価を左右することがあるので、常に情報にはアンテナを立てておきたいところですね。

まとめ

今回はGDPという指標について解説いたしました。

国の経済成長がわかりやすく把握できるGDPは、今後の経済を予想する上でも非常に有用。

しかし国によっては偽装などで実態と異なる数値が発表されることもあるため、あまりに違和感のある結果であった場合は疑ってみるのも重要なのですね。

株取引をする上でもGDPはとても役立ちますので、ぜひともトレードの判断に使ってみてくださいね。

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