騰落レシオとは?騰落レシオの投資法とどこでチャートを見るかを徹底解説!

株式投資においては、売り買いのベストなタイミングを掴むことが非常に大切。

底値で購入し、天井で売却できるのが一番の理想ですが、実際にトレードをしてみるとそれを判断するのは至難の業ですよね。

ですが、実は相場の反転タイミングを見極める上で非常に役立つテクニカル指標があるのです。

それが今回解説する「騰落レシオ」。

わかりやすいチャートで、簡単に市場全体の過熱感を分析することができるのです。

また、騰落レシオの意味や詳しい使い方だけでなく、本記事内ではその他にも役立つテクニカル指標もご紹介していきます。

この記事を読んで、是非とも騰落レシオを活用した逆張りトレードを身に付けていきましょう!

この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。
 
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目次

騰落レシオとは市場全体の過熱具合

「騰落レシオ」とは株式投資における指標の一つで、市場全体の過熱具合がどれくらいであるのかを把握するのに使われます。

ここで言う”過熱”とは「買われすぎ・売られすぎ」といった状態を指しており、市場が過熱しすぎると必ずその反動が起こるため、リスクを回避したり逆張りで利益を狙う上で役立つのですね。

では、そのような騰落レシオの仕組みについても詳しく見ていきましょう。

騰落レシオは取引所の全銘柄で計算

市場全体の過熱具合を表す騰落レシオは、どのようにして算出しているのでしょうか?

計算に使われるのは、対象の取引所に上場している全銘柄。

それらを【(一定期間内の)値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数】とすることで、騰落レシオが導き出されます。

数値の目安としては、100%が”中立”、120%以上が”過熱”、70%以下は”底値”ゾーンとするのが一般的。

指標の名前だけ聞くと複雑そうなイメージがあるかもしれませんが、実は意外とシンプルで直感的に把握できるのが魅力です。

騰落レシオの種類は計算する日数で分かれる

騰落レシオは5日や10日、25日など、計算する期間ごとで短期から長期の種類があります。

例えば5日であれば「5日騰落レシオ」、10日であれば「10日騰落レシオ」といった呼び方になるのですね。

デイトレードやスイングトレードのような短いスパンでの投資を行うなら短期の騰落レシオ、長期投資を行うなら長期の騰落レシオを活用するといったように使い分けるのがおすすめですよ。

市場が変われば騰落レシオも変わる

先ほどの日数の他に、”東証一部”や”マザーズ”、”S&P500”など、計算の対象とする市場によっても騰落レシオの種類は変わってきます。

ここで実際に、現在(2020年3月2日)における、日経225の25日騰落レシオを見てみましょう。

・日経225:【値上がり銘柄数[1982]÷値下がり銘柄数[240]=25日騰落レシオ[60.09]】

この日は前週まで新型コロナウイルスショックにより大きく下げていたのに対し、始めて買い戻しの陽線が見られました。

そのため、前営業日の53.31から60.09へと大きく騰落レシオが上昇。

このように、騰落レシオはその時々の市場の状況を如実に反映しているのですね。

騰落レシオを使ったチャートの分析

仕組みを知ったところで、さっそく実際のトレードにも役立ててみましょう。

ここでは騰落レシオを使った、チャートの分析方法について解説いたします。

上昇トレンドが中長期で続くなら120%超えも起きる

先ほど騰落レシオの数値における目安として、120%を超えると過熱ゾーンに差し掛かると述べました。

ですが、必ずしも120%が危険地帯というわけではないのです。

確かに短期的な上昇でそうした数値に達した場合、近いうちに反動の暴落が来ると予測されるでしょう。

しかし、じっくりと中長期の上昇トレンドで120%超えを起こしたのであれば、さらにそこから数段上を目指す展開になることも十分にあり得ます。

事実、アベノミクスからの上昇トレンドであった2012年以降には、なんと160%を超えることもありました。

またTOPIXのような指標と騰落レシオのピークを比較しても、上昇トレンド時には一致しないこともしばしばあり、相場全体の雰囲気と照らし合わせて判断するのが良さそうです。

騰落レシオの下限は相場と一致しやすい

一方で過熱気味の場合と異なり、売られすぎている時の下限については、各指標と騰落レシオのチャートとで親和性があり、一致しやすいようになっています。

特に騰落レシオが70%を下回るほどの売られすぎになれば、過去のケースを見ても近いうちに相場は反発する可能性が高いでしょう。

そのため、底打ち狙いで買いエントリーをするには良好な状況と考えることができます。

日経平均と騰落レシオが一致しない理由

「日経平均」とは東証一部の中の代表的な225銘柄の平均値を取った指標ですが、騰落レシオとは一致しない傾向にあるとされています。

その理由には、対象となる銘柄数が少ないことが。

東証一部全体だと2000以上の銘柄があるのに対し、日経平均では225銘柄のみで、東証一部のおよそ10分の1の数しか反映されていません。

さらには、日経平均では銘柄の株価によって指数に与える影響度が異なるといったように偏りがある側面も。

もちろん日経平均には厳選された大企業が集められているのですが、騰落レシオにおいては企業の規模は考慮せず、該当銘柄の数で算出されるようになっています。

そのため騰落レシオが120%を越えていても、日経平均は下がることがあるのです。

実際の株の購入タイミングは個別に判断

騰落レシオはあくまで市場全体の流れを把握するのに役立つ指標であり、実際の株の値動きはまた少し変わってきます。

なので、たとえ騰落レシオが中立から極端に乖離していても、特定の株が騰落レシオのチャートに従って動くという保証はないということ。

あまり頼りすぎるのも禁物なので全体の流れでアタリをつける程度の活用にし、実際の株の購入タイミングは個別に判断していくようにしましょう。

最新の騰落レシオを調べる方法

騰落レシオのようなテクニカル指標においては、情報の鮮度が命。

ここでは最新の騰落レシオを調べる方法についてご紹介します。

日本経済新聞の総合面

毎日発行される「日本経済新聞」を使うのが一つの方法。

東証一部の25日騰落レシオは、総合面の「市場体温計」で紹介されています。

他の市場における騰落レシオに関しては載っていないのですが、市場ごとの「値上がり銘柄数」「値下がり銘柄数」は紙面に掲載されています。

なので気になる市場があれば、本記事内でご紹介した計算式を使って自分で計算をしてみるのがおすすめですよ。

スマホ向けのアプリをインストール

スマホ向けのアプリでも、騰落レシオを調べられる便利なものが登場しています。

それが「騰落レシオ通知」

東証1部の騰落レシオ(25日)を1日1回指定された時刻に確認し、設定された上限値、下限値に達していた場合はユーザーに通知が届く仕組みとなっています。

無料版と有料版があり、それぞれで以下のような違いが。

  • 無料版は広告あり。有料版はなし。
  • 無料版は上限値、下限値の選択値が10%刻み。有料版は5%刻み。
  • 無料版は騰落レシオの即時確認機能なし。有料版はあり

残念ながら対応OSはAndroidのみとなっていますが、利用されている方は是非ともおすすめのアプリですよ。

モーニングスターのHPを見る

株式情報サイト「モーニングスター」のホームページでも、最新の騰落レシオをチェックすることができます。

サイト内にある株価指標の項目に、騰落レシオの指標があるのでそちらをクリックしてみてください。

時間帯としては、通常17時前後に更新。

ただしチェックできるのは東証一部の騰落レシオのみとなっていますが、日々の相場状況を素早く把握するには便利なのではないでしょうか。

証券会社が提供するツールを使う

証券会社が提供するツールでも、最新の騰落レシオを調べることができますよ。

例えば「丸三証券」であれば、”マルサントレード”というサイト内で公開されている「オリジナルデータ集」より過去数年を含めた騰落レシオのデータが掲載されています。

こちらではTOPIXを対象とした25日騰落レシオとなっていますので、先ほどご紹介した日本経済新聞やモーニングスターと合わせて活用するのがおすすめですよ。

市場の過熱を知る騰落レシオ以外の5つのテクニカル指標

騰落レシオだけでも十分に役立つのですが、他のテクニカル指標と組み合わせることでさらに力を発揮します。

そこで騰落レシオ以外にもある、市場の過熱を知るための5つのテクニカル指標を合わせてマスターしてしまいましょう。

逆張りの指標となるRSI

「RSI(=Relative Strength Index)」とは一定期間の終値を対象に、上昇と下落のどちらに勢いがあるかを見ることのできる指標。

計算方法としては、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割り、そこに100を掛けて求めます。

0~100%の範囲で推移し、目安としては70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと考えることができます。

ローソク足と併用しやすいのが特徴で、日々のチャート分析に活用しながら逆張り狙いをするのが好ましいでしょう。

RSIと似ているRCI

「RCI(=Rank Correlation Index)」は、「時間」と「価格」の相関関係を指標化したものです。
先ほどのRSIと似ていますが、「時間」が考慮されているためより売買のタイミングを計りやすいと言えるでしょう。

計算式は、

【RCI=(1-6Σ(x-y)^2÷(n^3-n))×100(xは終値の順位、yは日付の順位、nは期間中の日数)】

と、なかなか複雑。

とは言え証券会社のツールなどを使えば自動で計算してくれるので、無理に覚える必要はありません。

値は-100~+100の間を推移していき、+100%に近づいていれば高値圏、-100%に近づいていけば安値圏と判断しましょう。

価格の行きすぎを判断する移動平均線乖離率

「移動平均線乖離率」は、現在の価格が移動平均線からどれぐらい乖離しているかを、パーセンテージ(%)で表した指標。

移動平均線には離れすぎた価格を引き戻す慣性の力が働くため、価格の行きすぎから戻るタイミングを見極めるのに活用することが出来ます。

計算式は【((当日の終値-移動平均値)÷移動平均値)×100】により算出。

見方としては過去の値動きにおける乖離率を参考に、たとえば-8%前後で下げ止まったならそこが「売られすぎ」、+5%~6%で下落したならそこが「買われすぎ」といったように判断していきます。

2本の線で分析するストキャスティクス

「ストキャスティクス」は、統計学・確率論といった知識を利用して相場の過熱感を分析すするテクニカル指標。

基本的には“%K”、”%D”、”スロー%D”という3本のうち、2本の線を組み合わせて分析する仕組みとなっています。

それぞれの線を求める計算式は以下の通り。

【%K=(現在値-N日間の最安値)÷(N日間の最高値-N日間の最安値)】

【%D=%Kの3日平均】

【スロー%D=%Dの3日移動平均】

使い方としては、”%K”と”%D”を使う「ファーストストキャス」は短期投資、”%D”と”スロー%D”を使う「スローストキャス」は長期投資といったように使い分けます。

80%以上で買われすぎ、20%以下で売られすぎを目安としましょう。

心理状態を数値化するサイコロジカルライン

「サイコロジカルライン」は一風変わったテクニカル指標で、投資家たちの心理状態を数値化したものとなっています。

株価の値動きが連続することで、強気になったり弱気になったりする人間心理を指標のラインとして反映。

計算式は【(対象期間の価格上昇日の日数)÷(対象期間の日数)×100%】となります。

サイコロジカルラインも0%~100%の間で推移し、50%を中立として見ます。

75%以上であれば「買われすぎ」、25%以下となれば「売られすぎ」と判断し、逆張りでエントリーチャンスを狙っていくのがおすすめですよ。

まとめ

今回は騰落レシオについて解説いたしました。

相場の流れが変わるタイミングを掴める騰落レシオは、逆張りトレードにぴったり。

ですがあくまで市場全体の動きを反映したものであるため、実際の株の売買チャンスについては個別で考えていく必要があるのですね。

また、騰落レシオ以外にご紹介した5つのテクニカル指標にもそれぞれ個性がありますので、合わせて活用することでより正確なタイミングを狙うことができるはず。

まずは株価分析の第一歩として騰落レシオを使いこなし、市場の流れを把握していきましょう!

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