株式投資に慣れてくると、買いだけではなく空売りにも挑戦して利益を狙いたいと思うはず。
しかし空売りでは、時に注文の規制がかけられ出来なくなってしまうことがあるのをご存知でしょうか?
こうした仕組みを知らずにいると、チャンスを逃してしまったり規制による値動きへの影響で損をしてしまうことも・・・。
そうならないためにも、今回の記事では空売りの規制である「売り禁」について詳しく解説させていただきます。
この記事を読んで「売り禁」の仕組みについてマスターすれば、リスクを避けられるだけでなく規制を逆手に取って利益を狙えるようにまでなるはずですよ。
この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希 | |
プロフィール・所持資格 | 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。 |
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売り禁とは
「売り禁」とは証券会社が行う規制の一つで、『空売り』・信用買いの『現引き』が禁止されること。
正式には”貸借取引の申込停止措置”といった名称となります。
ここで言う『現引き』とは、信用取引の買い建玉について、自分の手元にある現金を使い現物株として引き取ることのできる制度。別名、「品受け」とも呼ばれます。
もう一つの『空売り』については、これから詳しく解説させていただきます。
空売りとは
売り禁について学ぶには、「空売り」への理解が欠かせません。
すでに知っている方もそうでない方も、ここでおさらいしておきましょう。
手元にない株を証券会社から借りて売ること
「空売り」とは信用取引の1つで、手元にない株を証券会社から借りて売ることを指します。
その後、空売りした時点よりも株価が下落したタイミングで買い戻せば、その差額分が利益になるといった仕組み。
空売りでは株を借りて売るので、後々必ず買い戻しの注文を入れて借りた株を返さなくてはならないのですね。
空売りの流れ
では、空売りにおける一連の流れについて頭に入れておきましょう。
まず、
- 空売りをする際は信用取引口座が必要
- 空売りした時よりも株価が下がっていれば利益、上がっていれば損失になる
というのが前提となります。
それを理解したら、空売りの流れは以下の通り。
- 証券会社から株式を借りて、その時点の株価で空売り
- 株価が下がったら買戻しをする
- 借りた株を返済する
意外とシンプルに行えることがわかったのではないでしょうか。
空売りについて一通り理解したところで、再度「売り禁」について学んでいきましょう。
売り禁になる条件と発表のタイミング
どのような状況の時に、売り禁となるのでしょうか。
ここでは売り禁になる条件・発表のタイミングについて解説いたします。
「貸株注意喚起」が出ている銘柄
ある銘柄において、空売りの数量が大きく増加している時に日証金から出されるのが「貸株注意喚起」。
特に規制などがかかるわけではないのですが、今後近いうちに株不足となる可能性があることを意味しています。
そして貸株注意喚起が出ている銘柄の需給がさらにタイトになり、日証金による株式の調達が困難、つまり株不足になった場合に行われるのが「売り禁」。
そのため、貸株注意喚起が出ている銘柄はのちに売り禁となる可能性が高いのですね。
ただし必ずしも貸株注意喚起の後に売り禁になるわけではなく、空売りがあまりに急増加した際には予兆なく一気に売り禁になることもあります。
取引終了後に発表されることが多い
売り禁の規制がかかるかどうかについては、15:00以降の取引時間終了後に発表されることがほとんど。
トレードを行っているザラ場中に発表とされることはほぼないので、常にアンテナを張っている必要はありません、
しかし急激に売り注文が増加した際などは、前場終了後に売り禁の発表がなされる場合もありますので注意してください。
売り禁についての格言から学ぼう
相場格言の中には、売り禁に関するものもいくつかあります。
こうした格言を知ることで、売り禁についてより理解を深めていきましょう。
売り禁に買いなし
売り禁の規制がかかるということは、これから空売りで値が下げられるリスクがないため、買いのチャンスと感じるかもしれません。
しかし相場格言では「売り禁に買いなし」。
つまり、売り禁がかかった銘柄は買わないほうが良いということを表した格言があります。
理由としては、売り禁になるほど空売り注文が出される銘柄というのは、それだけの悪材料があると考えられるため。
たとえ売り禁になってもしばらく下落トレンドが続く可能性が高いので、買いで入るべきではないのですね。
売り禁は金の玉
「売り禁は金の玉」という格言もあります。
これは、売り禁になるとこれから新たに売りの注文は出せないので、今持っている売り玉は貴重なものであるということを表した言葉。
先ほども述べたように、売り禁がかかるということは強い悪材料で今後さらに値下がりする可能性が高く、すでに売り玉を持っていれば大きな利益を期待することができるでしょう。
買いは家まで、売りは命まで
売り禁の直接な格言ではないのですが、空売りをする際には知っておきたい格言が「買いは家まで、売りは命まで」。
空売りのリスクを物語る格言となります。
意味として買い注文であれば失敗したとしても、下落の限度は倒産や上場廃止で最低でも価値が0円になるだけ。
損失はすでにある資産(比喩として家)がなくなるまでとなります。
しかし空売りでは値上がりに限度がないため、失敗すれば青天井に損失が膨らんでしまう可能性が。
つまり一生かけても返せない借金を背負い、それを苦にして命を落としてしまうほどのリスクがあるのです。
空売りにはこうした危険な面もあるため、行う際には買い以上に慎重になるようにしましょう。
売り禁になった株価の動き
売り禁になると、株価はどのような動きをするのでしょうか?
過去の事例を踏まえ解説いたしますので、トレードに役立ててみましょう。
下落しやすい傾向にある
売り禁になった株価の動きにおける例として、過去の「クボテック(7709)」の値動きを参考にしてみましょう。
こちらの銘柄では2015年4月16日に売り禁が発表。
空売りができない状態になり、空売り分の買戻し注文(返済)も出てくることで、一時的に買い圧力が強くなったものの、のちには大暴落。
結果的に、売り禁発表時よりも株価は下落することとなりました。
このように、基本的には売り禁が発表されると株価は下落しやすい傾向にあります。
中には上昇するケースも
売り禁になると株価下落につながりやすいとされているのですが、場合によっては上昇するケースもあるので一概には言えません。
先ほどの「クボテック(7709)」においても、最終的には下落したものの、一時的に数倍近くまで株価が上昇した場面もありました。
もしも大きなポジションを持ってしまっていたら、下落を待つまでに追証がかかり強制決済となることでしょう。
「買いは家まで、売りは命まで」の格言の通り、空売りでの損失は青天井となりますので、もしも売り禁で上昇へ向かうと察知した場合は早めに損切りするのも大切です。
勘違いしやすい「空売り規制」との違い
売り禁と勘違いしやすい制度に「空売り規制」があります。
これらを混同してしまわないよう、その違いについても学んでおきましょう。
空売り規制とは
「空売り規制」とは、信用取引を利用した売り(=空売り)から入る取引を規制するものです。
これは空売りが多くなることによって、株価が急激に下落するのを阻止するための制度。
では今回のテーマである売り禁とはどこが違うのか、詳しく見ていきましょう。
空売り規制の内容
空売り規制においては、一度に51単元以上の空売り注文をすることができなくなります。
それ以下の単元では空売りが可能なので、規制といっても全く空売りができなくなるというわけではないのですね。
しかし50単元以下の空売りでも連続的に行った場合、意図的に分割して行ったとされ法令違反行為に認定される可能性があるので注意しましょう。
規制の期間については、適用された当日から翌営業日の取引終了時点まで適用されます。
空売り規制が株価に与える影響について
空売り規制がかかると、当然株価にも影響が。
大きな注文を入れる大口投資家が売りにくくなるため、売りポジションから撤退しようと買戻しが入りやすい状態になり、結果として株価が上昇に繋がるケースもしばしば。
ただし空売り規制が入った理由が粉飾決算などによるものであれば、たとえ規制がかかっても手放し売りなどでまだまだ株価が下がる可能性があります。
リスクが高いので、買いでエントリーするのは危険と言えるでしょう。
売り禁と空売り規制の違いを比較
空売り規制についても一通り解説いたしましたが、やはり「売り禁」と「空売り規制」ではさまざまな面で違いがあります。
最後に以下の表で、両者の違いをしっかりと確認しておきましょう。
売り禁 | 空売り規制 | |
規制内容 | 空売り・信用買いの現引きの全面的な規制 | 51単元以上の空売り注文の規制 |
規制のタイミング | 当日の基準価格から10%以上下落した時点 | 基本的に取引時間終了後 |
規制の期間 | 日証金の判断で決定 | 当日~翌営業日の取引終了時点 |
株価への影響 | 一時的に上昇しても、最終的には下落傾向に | 背景にもよるが、上昇するケースが多い |
まとめ
今回は「売り禁」について詳しく解説いたしました。
空売り注文が増加すると売り禁の規制がかかり、その後の株価にも大きく影響を与えます。
今後空売りがなされないということは買いのチャンスにも見えますが、それだけの悪材料が出ているケースもあるので注意しなくてはなりません。
また、勘違いしやすい「空売り規制」との違いも覚えておきましょう。
思わぬ損をしないためにも、今回の「売り禁」についてはしっかり理解を深めておくことが大切ですね。
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