株式投資などの資産運用を行う際には、景気に影響を与える情報には敏感に反応できるように情報収集することが大切です。
経済関連ニュースで「イールドカーブのスティープ化が見られる」などの情報が発信された場合は、金融市場へ大きな影響を与える判断材料の一つとして考えることが大切です。
そこでこの記事では、イールドカーブのスティープ化は具体的にどのような状態なのか、スティープ化の対義語として覚えておきたいフラット化とはどのような意味があるのかなどを詳しく紹介します。
イールドカーブのスティープ化が見られる理由がわかると、発生しそうなタイミングも見極めしやすくなり、株式投資でも効率よく利益を得やすくなりますのでぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人 ファイナンシャルプランナー 児玉一希 | |
プロフィール・所持資格 | 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。 |
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スティープ化とは
経済関連ニュースなどで耳にすることがある、イールドカーブのスティープ化とは具体的にどのような意味があるのか確認してみましょう。
急勾配と言う意味
スティープとは「急勾配の、険しい、途方もなく高い」という意味がある「steep」のことで、右肩上がりになっているグラフが急角度になっている状態を示しています。
金融用語としては「イールドカーブはスティープ化した」などとよく使われています。
イールドカーブが右上がりのグラフになること
金利は一般的に期間が長くなるほど高くなることから、イールドカーブのグラフは右肩上がりになります。
短期金利と長期金利の差が大きくなると、イールドカーブの傾きが急角度になりスティープ化していきます。
イールドカーブとは
イールドカーブとは「イールド=利回り・カーブ=曲線」のことで、横軸が債券償還までの残存期間、縦軸が債券利回りで示すグラフのことです。
短期金利が安い・長期金利が高いこの状態のイールドカーブは右肩上がりになり順イールドと呼ばれます。
逆に極度の金融不安などの影響で短期金利が高い・長期金利が安い状態で右肩上がりになると逆イールドになります。
イールドカーブがどのような形状を作るのかによって、将来の景気動向などを判断する材料の一つになることを覚えておきましょう。
過去にも長短金利の逆転現象となる逆イールドになった後には景気後退が見られており、日本ではバブル崩壊が発生しました。
ロールダウン効果を大きくすることができる
イールドカーブが右肩上がりになっていると、残存期間が短くなるほど利回りが低下、債券価格が上がります。
時間の経過により債券価格が上がると期待できるのをロールダウン効果といいますが、スティープ化することでさらにロールダウン効果が大きくなります。
スティープ化の種類
イールドカーブのスティープ化は大きく分けると3つの種類があります。
それぞれの違いや特徴を確認しておきましょう。
長期金利が大きく上昇するベア・スティープ化
債権市場では、金利が上がると債券価格が下落して弱気(ベア*)になります。
*ベア=熊のこと。爪を振り下ろして敵を攻撃する様子から相場が下落する弱気な状態を示します。
景気が回復局面になると中央銀行が政策金利の引き上げを行うと予想されることから、長期金利の上昇が大きくなります。
長期金利の上昇幅が短期金利の上昇幅よりも大きくなると、イールドカーブの傾斜が急になってスティープ化し、このような状態をベア・スティープ化と呼んでいます。
短期金利が大きく低下するブル・スティープ化
ベアとは逆に、債券市場では金利が下がると債券価格が上昇して強気(ブル*)になります。
*ブル=雄牛のこと。角を上に突き上げて攻撃する様子から相場が上昇する強気な状態を示します。
景気の後退する状態が続くと中央銀行が政策金利の引き下げを行うと予想されることから、短期金利の低下が大きくなります。
短期金利の低下幅が長期金利の低下幅よりも大きくなると、イールドカーブの傾斜が大きくなってスティープ化し、このような状態をブル・スティープ化と呼びます。
短期金利低下・長期金利上昇のツイスト・スティープ化
短期金利が低下、長期金利が上昇してイールドカーブがねじれるようにスティープ化する状態をツイスト・スティープ化と呼びます。
ツイスト・スティープ化するのは特殊な状態で、短期債の金融緩和策がある状態で、長期債の金融引き締め策があるなど、短期債と長期債で利回りの見通しが異なる状態だと起こりやすくなります。
イールドカーブがスティープ化する理由
なぜイールドカーブがスティープ化するのか、理由を知っているとタイミングを見極めやすくなります。
どのような局面でイールドカーブのスティープ化が見られるのか確認しておきましょう。
先行き景気が回復し政策金利の引き上げが予想されるから
一般的にイールドカーブがスティープ化するのは、将来の景気に先高感が見られる場合です。
先高感とは、相場の先行きが高いと予想できる状態をいいます。
債券市場においては、将来景気が回復して政策金利の引き上げが予想されると、短期金利と長期金利の金利差が大きくなってスティープ化が見られる場合が多いです。
不況期に政策金利が急速に引き下げられているから
不況時には金融緩和により政策金利が引き下げられます。
短期金利が下落することで長期金利が相対的に高くなり、短期金利と長期金利の金利差が大きくなることでスティープ化します。
スティープ化の対義語であるフラット化とは
スティープ化と合わせて知っておきたいのが「フラット化」です。
スティープ化とフラット化は何が違うのか、具体的にどのような状態なのか確認してみましょう。
イールドカーブが緩やかになること
一般的にイールドカーブは右肩上がりの状態になっていますが、短期金利と長期金利の差がほとんどなくなってくると傾斜が緩やかになってきます。
イールドカーブの形状がフラット(平ら)な状態に近づくことをフラット化と呼んでいます。
フラット化する理由は2種類ある
イールドカーブがフラット化する理由は二つあり、スティープ化と同様に弱気(ベア)と強気(ブル)の状態が関係します。
一つは好景気が続いて金融引き締め策により短期金利が上昇して長期金利との差が少なくなるベア・フラット化です。
もう一つは、徐々に景気が後退してきた状態で中期的な不況のシグナルが見られると、将来金融緩和を織り込んだ長期金利の低下に伴うブル・フラット化です。
イールドカーブは景気や金融政策の状況によって、以下のようにスティープ化とフラット化を繰り返すのが一般的です。
- ベア・スティープ化
- ベア・フラット化
- ブル・フラット化
- ブル・スティープ化
- 1に戻る
スティープ化からフラット化、フラット化からスティープ化する時に相場が大きく変わる可能性があるので、日頃からイールドカーブの形状を伝えるニュースなどを確認しておきましょう。
フラット化の影響について
イールドカーブがフラット化することで影響を受けるのは業種によって異なります。
長期金利が上昇しない状態だと、不動産業界やインフラ業界(エネルギー)が受ける影響はプラスになります。
逆に、長期の負債や資産がある金融業界や保険業界についてはマイナスの影響を受けてしまいます。
フラット化からスティープ化するタイミングを見極めよう
景気動向の判断材料として注視しておきたいイールドカーブの形状をしっかり読み解くことが、金融市場の変動を見極めることに繋がります。
通常のイールドカーブは右肩上がりの傾斜になっていますが、あるきっかけで傾斜の角度がきつくなるスティープ化が見られる場合があります。
スティープ化は短期金利と長期金利の金利差が大きくなると見られる現象なので、イールドカーブの動きを読み解くことで金融政策や景気の変化をあらかじめ予測できます。
また、イールドカーブがフラット化からスティープ化するタイミングでも相場が大きく変わる可能性があるので、動きをしっかり確認しておきましょう。
株式投資などの資産運用においてイールドカーブの変化は大事な判断材料の一つになります。
国内や海外の経済ニュースをこまめに確認して「スティープ化が見られる」「フラット化した」などの情報をチェックしておきましょう。
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