日本の証券取引所では想定外の損害から投資家保護の目的から値幅制限が設定されています。値幅制限が設定されているため、その範囲外で指値注文をしてもエラーとなってしまいます。値幅制限についてきちんと理解しておけば、自分の投資にもその知識を活かすことができます。
この記事では、値幅制限についてわかりやすく解説していきます。
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この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格
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株の値幅制限の意味とは?なぜ日本では設定されている?
株の値幅制限とは、株価の異状な暴騰・暴落を防ぐことを目的として、証券取引所で1日に動く株価の幅を前日の終値(特別気配のまま引けた場合は最終気配値)を基準として一定幅に制限することを言います。
値幅制限いっぱいまで上昇あるいは下落した場合、それぞれストップ高・ストップ安と呼ばれます。
値幅制限が設定されたのはいつから?
日本において、現行の値幅制限が設定されたのは2010年からです。東京証券取引所が2006年から開発に取り組み、2010年初めに可動させた新しい株式売買システムである「アローヘッド」の導入に伴って設定されました。
値幅制限後の特別気配(特買い・特売り)とは
株価が1,000円のとき、その直後に1,100円、その後1,200円、さらに900円などのように乱高下すると、成行注文を出した場合に思わぬ値段で売買が成立する可能性があり、注文を出すタイミングをはかることも難しくなってきます。
そのため、価格を決定する場合、取引所は、直前の価格と比較して一定の値幅の範囲内となるときに限って即座に売買を成立させています。その値幅は「気配の更新値幅」と呼ばれ、直前の価格を基準に定められています。
直前の価格から更新値幅を超えた水準で売買が成立するような状況では、即座に売買は成立せず、更新値幅の範囲内で「特別気配」が表示されます。直前の価格よりも高い値段で売買が成立するような場合には、「買」特別気配(特買い)、直前の価格よりも低い値段で売買が成立するような場合には、「売」特別気配(特売り)と呼ばれます。
値幅制限とサーキットブレーカー(CB)の違いとは
サーキットブレーカー(Circuit Breaker:CB)は、株式市場や先物取引において、価格が一定上の変動を起こした場合に、強制的に取引を止めるなどの措置をとる制度のことを言います。
東京証券取引所と大阪証券取引所は1994年から、東京工業品取引所では2009年からサーキットブレーカーが導入されています。サーキットブレーカーは取引自体を停止する制度ですが、値幅制限は株価の1日の変動幅を制限するものであるという違いがあります。
なお、日本のサーキットブレーカー制度は、先物とオプションのみに適用され、現物株式については適用対象外となっています。
値幅制限と関連性が深い比例配分とは
株式取引において板寄せやザラ相場では売買が成立せず、値幅制限の上限で取引が終わってしまい、売買注文数が極端に合わないとき、取引所が「比例配分」を行います。
通常では、売りと買いの株数が同じになったところで株価が決まりますが、売買のバランスが極端に偏って値幅制限水準に達した場合、その株価での売り株数と買い株数の比率に応じて株価は決定されることになります。
例えば、東京証券取引所の比例配分では、制限値段に発注している証券会社ごとに注文数量を合算して、注文数量の多い証券会社から最低売買単位ずつ割り当てていきます。
証券取引所が値幅制限を撤廃する理由
株式が整理ポストに入ると、値幅制限が撤廃されます。取引所が規定している上場廃止基準に抵触すると、その企業は上場廃止とあります。上場廃止となると、その企業の株式は整理ポストに分類されます。
上場廃止となる場合、その株式の価値が0となる可能性があるため、株価は大きく下がることになります。そのため、整理ポストに分類された場合には、値幅制限が撤廃されることになります。
これまで整理ポストに分類されて上場廃止となった企業には、江守商事・エルピーダ・タカタ・ビットアイルなどを挙げることができます。
株の値幅制限一覧表
東京証券取引所における値幅制限は、前日の終値又は最終気配値などを基準値段として以下の表の通り定められています。
基準価格(前日の終値) | 制限される上下の値幅 |
~100円未満 | 30円 |
100円以上~200円未満 | 50円 |
200円以上~500円未満 | 80円 |
500円以上~700円未満 | 100円 |
700円以上~1,000円未満 | 150円 |
1,000円以上~1,500円未満 | 300円 |
1,500円以上~2,000円未満 | 400円 |
2,000円以上~3,000円未満 | 500円 |
3,000円以上~5,000円未満 | 700円 |
5,000円以上~7,000円未満 | 1,000円 |
7,000円以上~10,000円未満 | 1,500円 |
10,000円以上~15,000円未満 | 3,000円 |
15,000円以上~20,000円未満 | 4,000円 |
20,000円以上~30,000円未満 | 5,000円 |
30,000円以上~50,000円未満 | 7,000円 |
50,000円以上~70,000円未満 | 10,000円 |
70,000円以上~100,000円未満 | 15,000円 |
100,000円以上~150,000円未満 | 30,000円 |
150,000円以上~200,000円未満 | 40,000円 |
200,000円以上~300,000円未満 | 50,000円 |
300,000円以上~500,000円未満 | 70,000円 |
500,000円以上~700,000円未満 | 100,000円 |
700,000円以上~1,000,000円未満 | 150,000円 |
値幅制限の例として、前日の終値が600円だったとき、制限される上下の値幅は100円なので、ストップ安になった場合は500円まで下がり、ストップ高のときは700円まで上がります。
また、値幅制限には特別措置というものあり、条件は以下の通りです。
株の売買が行なわれず(出来高ナシ)、3日連続でストップ安、もしくはストップ高になった場合、値幅制限が規定の2倍に拡大される。ただし、ストップ安のときは下限のみの拡大で、ストップ高のときは上限のみ拡大となる。
呼び値の一覧表
呼び値とは、売買する際の価格の刻み幅のことです。株価が一気に上下動しないように、一度に動く値幅や1日に動く幅は決められています。東京証券取引所・名古屋証券取引所・JASDAQでは共通の呼び値を採用しており次の表の通りです。
オプション取引の値幅制限表
オプション取引の値幅制限表については次のように定められています。なお、先物取引でサーキットブレーカーによって取引が中断となった場合には、オプション取引についても同様に取引が中断されます。
商品先物取引・東京金(Gold)の値幅制限
東京金(gold)の値幅制限の仕組みはなくなり、現在は値幅制限に変わってサーキットブレーカーが採用されています。
くりっく365の値幅制限
クリック365でも値幅制限が採用されています。クリック365では、東京金融取引所の基準に準じた値幅制限を設定しています。東京金融取引所では、マーケットメイカーが提示する最優良売気配と最優良買気配の中心値が基準価格となっています。
国債先物・オプション取引の値幅制限
国債先物・オプション取引における制限値幅は、基準値段を中心として上下に通常時制限値幅に記載の範囲内となっています。サーキットブレーカーが発動している場合、上限又は下限の拡大は一回のみで、それぞれ表の拡大時制限値幅まで拡大します。
TOPIX先物の値幅制限
TOPIX先物の場合、所定の期間における中心限月の毎取引の呼値の制限値幅の基準値段から算出される制限値幅算定基準値に、以下の比率を乗じて得た値幅を制限値幅とします。サーキットブレーカーの発動状況に応じて、2段階まで拡大する可能性があります。
日経225先物の値幅制限
日経225先物の値幅制限についても、TOPIX先物と同様の値幅制限が行われています。日経225先物も、サーキットブレーカーの発動状況に応じて、2段階まで拡大する可能性があります。
仮想通貨の値幅制限
仮想通貨については2018年11月現在、値幅制限はありません。
米国(アメリカ)株式の値幅制限
日本とは異なり、米国株式には前日終値を基準とした値幅制限はありません。ただし、株価が急激に変動して投資家が不利益を被る可能性がないように、取引先がその時々の最良気配値を基準とした注文受付許容範囲が設定されています。
中国株式(香港株・上海株)の値幅制限
中国株式は2つの株式に分かれており、香港株と上海A株で値幅制限が異なっています。
香港株 | 原則なし(注文受付許容範囲あり) ※クロージング・オークション時間帯は値幅制限あり。 |
上海A株 | 前日終値の±10% (注意銘柄の場合は前日終値の±5%) ※ 取引所の規制により、上海A株の買い注文は、 直近最良買気配より3%以上低い指値注文は現地取引所において 受付けられません(「出来ず」となります)。 最良買気配がない場合は直近出来値、最良買気配と直近出来値がない場合は、 前日終値が基準値となります。 |
台湾株式の値幅制限
台湾株式については前日終値±10%で値幅制限が行われています。
値幅制限の特例措置
証券取引所は制限値幅を設定していますが、制限値幅には特例措置が存在するため、必ずしも最初に設定された値幅内に株価が収まるとは限りません。
例えば、3営業日連続でストップ高(安)となった場合で、かつストップ配分も行われず売買高が0の場合や、売買高が0のまま午後立会終了を迎えて、午後立会終了時に限ってストップ高(安)で売買が成立し、かつストップ高(安)に買(売)呼値の残数がある場合には、翌営業日から制限値幅が拡大されることがあります。
値幅制限の拡大要件
上でも説明したように、証券取引所は制限値幅を設定していますが、この制限値幅は一定の条件を満たすと拡大されることがあります。これが制限値幅の特例措置です。
拡大要件・拡大方向・拡大解除要件・重複上場銘柄の取扱いは以下の表の通りです。
値幅制限拡大方向
上の表で示している通り、値幅制限には拡大の方向が2つあります。ストップ高が連続して拡大する場合には上限のみが拡大され、ストップ安が連続して拡大する場合には下限のみが拡大されます。
値幅制限の拡大解除要件
上の表で示している通り、一度拡大された値幅制限はストップ値段以外の値段で売買が成立した場合は、翌営業日より通常の制限値幅に戻ります。
現物取引での新規上場銘柄の初値決定までの値幅制限
現物取引での新規上場銘柄の初値決定までには値幅制限があります。新規上場銘柄の初値が決定するまでの間は、通常の制限値幅を適用せず下記の上限から下限の間にて注文が可能です。
上限 | (上場2日目以降は前日の最終気配値段)×4 |
下限 | 公開価格(上場2日目以降は前日の最終気配値段)÷4 |
なお、初値決定後は初値を当日の基準値段とし、通常の制限値幅が設定されます。
値幅制限の縮小措置
値幅制限は拡大されることもありますが、一方で縮小措置がとられることもあります。特に、社会情勢の混乱など、株価の大暴落が予想されるような場合には値幅制限の縮小が行われます。
最近の事例では、アメリカ同時多発テロの発生によって、東証の値幅制限が当時の通常値幅の2分の1に縮小されました。
整理銘柄の値幅制限
破産法・会社更生法・民事再生法の申請などが行われたり、重大な経営不祥事によって整理銘柄に指定されると、司令された翌々営業日から下限値幅のみ撤廃する措置がとられます。
これらの事象が起きると株価が下落するため、値幅制限が株価形成を歪めないように下限値幅のみ撤廃されます。
最新の値幅制限をチェック
主要銘柄の値幅制限についてはヤフーファイナンスなどから確認することができます。主要銘柄の一部をリンクと共に記載しますので、ぜひ参考にしてください。
値幅制限と配当落ちの関係
配当落ちとは、その期の配当を受ける権利が権利確定日の翌営業日をもってなくなることを指した言葉です。配当落ちした株式は、配当を受ける権利が受けられない分株価が安くなる傾向があります。
例えば1株1,000円の銘柄が1株あたり5円の配当を出すとした場合、配当権利がある銘柄と配当権利が無くなった銘柄とでは5円分の差があることになります。そのため、配当を受ける権利が確定する権利確定日後には、配当分だけ株価が下がることになります。
配当権利確定日の翌営業日は、この理論的な株価が基準値となって値幅制限が設定されることになります。
値幅制限の計算方法
上で示した値幅制限表を用いることで、その費の値幅制限を計算することができます。例えば、前日の終値が200円であった場合、制限される上下の値幅が80円であるため、ストップ安になった場合には120円まで下がり、ストップ高のときは280円まで上がります。
他にも、前日の終値が15,000円だった場合、制限される上下の値幅は4,000円となるので、ストップ安の場合11,000円まで下がり、ストップ高のときには19,000円まで上がります。
指値注文は値幅制限の範囲内で
値幅制限が設定されている銘柄に注文をする場合、指値注文ではその値幅制限の範囲内で注文しなければなりません。証券会社によっては、注文がエラーとなることもあります。それでもその銘柄に注文をしたい場合には、成行注文を行うしかありません。
値幅制限が参考になる理由
日本の銘柄には値幅制限が設定されていることから、値幅制限を参考にすれば、想定外の高値づかみを避けることができます。例えば、前日の終値が1,000円のとき、値幅制限は上下150円となります。
結果として、その日のストップ高は1,150円であることがわかるので、ストップ高付近に株価が寄り付いて高値づかみを避けるために、1,075円で指値注文を入れておけば、指値注文でも想定外の高値づかみを避けることができます。
値幅制限・上場廃止決定後のスカイマークの例
経営不振が続いて東証一部上場企業のスカイマークは2015年1月28日に民事再生法の適用を受けました。その結果、スカイマークはその年の3月1日に上場廃止となることが決定しました。
上場廃止が決まっていることから、スカイマークの株価はどんどん下がっていきます。民事再生法の適用を受けることが発表され、上場廃止が決定されると株価は急落して制限値幅いっぱいまで売りが集まってストップ安となります。
その後、2営業日連続でストップ安となりました。3営業日目には、特例措置が行われ、スカイマークの株価は下限値幅のみ値幅制限が撤廃された結果、1月28日に1株あたり317円あった株価は、2月1日の段階で終値19円にまで下落しました。
値幅制限寄らずのストップ安・ライブドアの例
ライブドアのように、強制捜査を受けるような企業は売り注文が殺到することがあります。その場合、株価が急落し寄り付くことなくストップ安となることがあります。
寄り付きとは、株式市場が開いて最初につく値段のことを言います。
高値の買いと安値の売りがマッチングすることによって株価が決定されます。しかし、ライブドアは強制捜査後、売りが殺到し、買いとマッチングしませんでした。3日間連続でストップ安が続いた翌日には、値幅制限が2倍に拡大するという値幅制限の特例措置が行われ、その日にライブドアの株価はさらに急落しました。
ストップ高翌日の株価統計から予想する例
前日にストップ高となった銘柄は株価統計をみると、翌日の始値は71%の確率で高値がつき、前日の高値よりも翌日の高値が高い時がある確率は85%、翌日の終値ベースで比較すると、値上がりしている確率は60%となっています。
このように、前日にストップ高を記録している銘柄は高い確率で翌日は前日よりも高値をつけることがわかります。
まとめ
日本の値幅制限は、株価などの急騰・暴落を防ぐ目的があるものです。値幅制限があると、その範囲外で指値注文をすることができなくなるため、値幅制限の重要性を意識した取引を心がけることが大切です。
日本には値幅制限がありますが、海外の証券取引所や仮想通貨については値幅制限がなく、想定外の大きな損失を被る可能性があるため注意が必要です。
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